「ベトナムは市場が伸びているから、自社の化粧品やサプリを売ってみたい」——そう考えて調べ始めると、すぐに công bố(コンボー/製品公示) という耳慣れない言葉にぶつかります。これはベトナムで製品を流通させるための入口にあたる手続きで、化粧品・食品・サプリを売るうえで避けて通れません。本記事では、công bố と輸入手続きの全体像を、日系商社の実務目線で「地図」として整理します。なお、制度・運用・必要書類は頻繁に改正されるため、最新の要件は必ず公的情報や専門家にご確認ください。

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ベトナムで製品を売る前に必要な「公示(công bố)」とは

ベトナムで化粧品・食品・サプリを流通させるには、販売を始める前に製品を当局へ「公示(công bố)」し、適法な輸入手続きを通すことが原則として必要です。

công bố は、ざっくり言えば「この製品はベトナムの基準を満たしており、こういう内容で販売します」と当局に届け出る手続きの総称です。日本の薬機法や食品表示の感覚とは制度設計が異なり、製品カテゴリーごとに窓口も書類も変わります。ここで押さえておきたいのは、công bố は 安全性・適法性に関する手続きであって、効能効果を保証するものではない という点です。「公示を取ったから効く」「公示済み=なんでも宣伝してよい」ではなく、表示や広告には別途の規制がかかります。

また、công bố を済ませれば自動的に通関・販売できるわけでもありません。後述するラベル表示や成分規制、輸入書類などの条件が複合的に揃って、はじめて適法な販売に近づきます。まずは「製品を売るには、公示という入口がある」という構造を理解することが第一歩です。

化粧品(公示)と食品・サプリ(自己宣言/登録公示)の違い

化粧品は「化粧品公示」、食品・サプリは内容に応じて「自己宣言(tự công bố)」か「登録公示(đăng ký bản công bố)」に分かれ、必要書類も担当窓口も異なります。

同じ「công bố」でも、製品カテゴリーによって中身がまったく違います。代表的な区分を整理すると、おおよそ次のようになります(※あくまで概要であり、最新の分類・要件は要確認です)。

製品カテゴリー公示の種類(概念)関係する法令の例窓口の例
化粧品化粧品公示(Phiếu công bố)Thông tư 06/2011/TT-BYT(Thông tư 34/2025/TT-BYT で第5条を改正)、ASEAN化粧品指令の枠組み保健省/医薬品管理局(DAV)系
一般の加工食品自己宣言(tự công bố)Nghị định 15/2018/NĐ-CP(第4条・第5条)自己宣言書を所管当局へ提出
健康補助食品・特定用途食品など登録公示(đăng ký bản công bố)Nghị định 15/2018/NĐ-CP(第6条〜第8条)保健省、または省級の所管機関

ポイントは、サプリメント(健康補助食品)は一般の食品より要件が重くなりやすい ことです。一般加工食品が比較的シンプルな「自己宣言」で済むケースがある一方、健康効果をうたう製品や特定用途の製品は「登録公示」として、より踏み込んだ書類審査が求められる傾向があります。化粧品は化粧品で、ASEAN共通の枠組みに沿った成分・表示のルールがあります。

ここで挙げた法令番号(Nghị định 15/2018/NĐ-CP など)はあくまで実務でよく参照される「例」です。法令は改正され、運用も変わり得るため、自社製品がどの区分に当たるかは個別に専門家へご確認ください。 ベトナムのサプリ市場の背景はベトナムのサプリメント市場最新動向もあわせてご覧ください。

条文で確認する——食品・化粧品の公示の書類と期限

公示の書類と処理期限は、食品が Nghị định 15/2018/NĐ-CP、化粧品が Thông tư 06/2011/TT-BYT に条文があり、食品側は2026年に出た新しい政令が効力停止中のため、旧来の政令が現行です。

まず食品です。Nghị định 15/2018/NĐ-CP の主な条文を表にしました。

項目内容条文
自己宣言の対象包装済みの加工食品、食品添加物、加工助剤、食品用の容器・一次包装(登録が必要な製品を除く)第4条
自己宣言の添付書類指定試験所が宣言の前12か月以内に発行した食品安全の検査成績書第5条
自己宣言の手続宣言書を公表し、1部を所管当局へ提出。宣言後は製造・販売でき、安全性の責任は事業者が負う第5条
登録公示が必要な製品健康補助食品、医療用食品、特別用途食品、36か月までの乳幼児向け栄養製品、新用途の混合食品添加物 など第6条
輸入品の登録書類公示書、領事認証済みの自由販売証明書(CFS)、検査成績、効能の科学的根拠、GMP証明書(健康補助食品は2019年7月1日から)第7条
受付機関と処理期限健康補助食品と混合添加物は保健省。医療用食品・乳幼児向け製品は省級の機関。処理期限は健康補助食品が21営業日、混合添加物・医療用食品・特別用途食品・乳幼児向け製品が7営業日第8条

出典: Nghị định 15/2018/NĐ-CP(2018年2月2日付、食品安全法の施行細則)(2026年10月1日に英訳版の条文で確認)。

この政令の位置づけは2026年に動きました。 Nghị định 46/2026/NĐ-CP(食品安全法の施行政令)と、食品の公示・登録を定める Nghị quyết 66.13/2026/NQ-CP は、2026年4月6日付の Nghị quyết 15/2026/NQ-CP により、改正食品安全法と施行政令が発効するまで効力が停止されています。その間は Nghị định 15/2018/NĐ-CP とその関連文書が引き続き適用され、2026年4月6日より前に提出済みの書類も 15/2018 で処理されます(2026年10月1日に ベトナムの法令データベースおよび報道で確認)。

次に化粧品です。Thông tư 06/2011/TT-BYT の主な条文は次のとおりです。

項目内容条文
公示書類化粧品公示書2部と電子データ、事業者登録証の写し、製造元の公証済み委任状。輸入品は有効な自由販売証明書(CFS)が加わる第4条
公示書の様式付録01-MPの様式。成分は含有量の多い順に記載。2025年8月18日施行の Thông tư 34/2025/TT-BYT でオンライン提出と持参・郵送の署名・押印要件が整理された第5条(同通達で改正)
受理番号の発行完全な書類の受領から3営業日以内。不備がある場合は5営業日以内に補正を通知第7条
製品情報ファイル(PIF)4部構成(行政・概要、原料の品質、製品の品質、安全性・有効性)。様式は付録07-MP同通達の PIF の規定
受理番号の有効期間発行日から5年同通達

出典: Thông tư 06/2011/TT-BYT(2011年1月25日付、保健省)、Thông tư 34/2025/TT-BYT(2026年10月1日に英訳版の条文と解説記事で確認)。所要日数は書類が完全に揃った場合の法定の期限で、書類の準備に要する期間は含みません。

ラベル表示(nhãn phụ)と成分・書類の要件

公示と並んで、ベトナム語のサブラベル(nhãn phụ)表示や成分規制、CFS・COAなどの裏付け書類が揃って、はじめて適法な販売に近づきます。

公示だけに気を取られがちですが、実務では「表示」と「書類」のハードルも同じくらい重要です。代表的なものを挙げます。

  • ベトナム語のサブラベル(nhãn phụ):輸入品には、原則としてベトナム語の補助ラベルを貼り、必要事項(製品名・成分・輸入者・原産国・注意表示など)を表示することが求められます。日本語パッケージのままで販売、という前提は通用しないと考えておくのが安全です(ラベル表示は 2026年1月23日付 Nghị định 37/2026/NĐ-CP が現行法で、旧 Nghị định 43/2017/NĐ-CP と 111/2021/NĐ-CP は廃止済み。要件は要確認)。
  • 成分規制:化粧品・食品ともに、禁止成分・制限成分・上限値などのリストがあります。日本で問題なく使える原料が、ベトナムでは制限対象という場合もあり得ます。
  • 裏付け書類:自由販売証明書(CFS)、分析証明(COA)、製造に関する証明、場合によっては公証・領事認証など、原産国側で用意すべき書類が出てきます。

ラベルの規定を Nghị định 37/2026/NĐ-CP(2026年1月23日施行。Nghị định 43/2017/NĐ-CP と 111/2021/NĐ-CP を置き換え)で整理すると次のとおりです。

項目内容条文
ベトナム語で表示する必須事項商品名、責任を負う組織・個人の名称と住所、原産地、商品の性質に応じたその他の必須事項第42条第1項
輸入品の原ラベル商品名、原産地、製造者の情報を表示。流通前にベトナム語のラベルを追加する第42条第2項
補助ラベル(nhãn phụ)の内容原ラベルの必須事項をベトナム語に訳し、不足する必須事項を補う。ラベルを付ける者が正確さに責任を負う第40条第3項
補助ラベルの貼り方商品または包装に貼り、原ラベルを隠さない第40条第2項
補助ラベルが不要な場合保証・修理用の部品、小売しない原料・食品添加物、試験・展示用のサンプル、市場に出さない生産支援設備第40条第4項
経過措置2026年1月23日より前に製造・輸入された商品は、使用期限まで流通できる同政令の経過規定

出典: Nghị định 37/2026/NĐ-CP(2026年10月1日に 条文で確認)。

つまり「公示の申請書を出す」だけでなく、製品設計(成分)・パッケージ(表示)・原産国書類 の三方向を同時に整える必要があります。ここでつまずくと、せっかく輸入しても通関や販売の段階で止まってしまいます。

💬 「どの書類を、どこで、どう揃えればいいか分からない」——その状態こそご相談ください。 Sunshoが現地総代理店・販売代行として、公示書類とラベル・成分チェックを日本語で並走します。まずはお問合せから。

なぜ「現地の輸入者」が必要なのか

ベトナムでは、公示や輸入通関の名義人として「現地の輸入者(現地法人または現地の代理店)」が必要で、海外のメーカーが直接これらをおこなうことは原則できません。

ここが、日本のメーカーにとって最大の構造的ハードルです。công bố の申請も、輸入通関も、そのあとの卸・小売への販売も、ベトナム国内に「輸入者」という主体がいて初めて成立 します。海外法人のまま、日本から直接ベトナムの当局に公示を出して売る、というルートは原則として取れません。

選択肢は大きく二つです。

  1. 自社でベトナム法人を設立し、自分が輸入者になる:自由度は高い一方、法人設立・資本・人員・会計・労務、そして公示や通関の実務知識を自前で抱えることになり、初期コストと時間、運用負荷が大きくなります。
  2. 現地のパートナーを輸入者として立てる:そのパートナーが輸入者・公示申請者・販売者を兼ねれば、自社は製品供給に集中できます。立ち上げが速く、固定コストも抑えやすいのが利点です。

「まずベトナムで売れるか試したい」「いきなり法人を持つのは重い」という段階であれば、現地パートナーを輸入者にする方が現実的 なケースが多いといえます。

Sunshoができること(輸入者・登録・通関・配荷の代行)

Sunsho Tradeはホーチミン拠点の日系商社として、自らが現地の輸入者となり、công bố・通関から卸・小売・ECへの配荷、販促・レポートまで日本語で一気通貫に代行します。

Sunshoは「代理店を探すお手伝い」ではなく、Sunsho自身が現地の輸入者・総代理店・販売代行 として動きます。具体的には次のような役割を一気通貫で担います。

  • 輸入者としての名義・体制の提供(公示申請者・輸入通関の主体)
  • công bố(化粧品公示/食品の自己宣言・登録公示)の申請サポート
  • ベトナム語サブラベル・成分・書類の事前チェック
  • 輸入通関、HSコード・関税まわりの手配(輸出・通関などの貿易実務とも連携)
  • 卸・ディストリビューター・小売・EC(Lazada・Shopee)への配荷、販促・商談
  • 日本語での定期レポート

さらに、製品そのものを現地で作りたい・改良したいという段階であれば、ベトナムでの製造(OEM)からの相談にも橋渡しできます。製造から販売まで一つの窓口で完結 できるのが、現地に根ざした日系商社ならではの強みです。

制度や手続きは変わり続けますが、現地で日々それに向き合っているパートナーが横にいれば、変化への対応も含めて任せられます。「何から手をつければいいか分からない」段階こそ、いちど全体像をすり合わせるところから始めましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 公示(công bố)はどれくらいの期間がかかりますか?
A. 製品カテゴリー、提出書類の揃い具合、当局の運用状況によって大きく変わります。一般加工食品の自己宣言は比較的早く、化粧品公示や健康補助食品の登録公示はより時間を要する傾向があります。具体的な日数は時点により変動するため、断定はできません。最新の目安は個別にご相談ください。

Q2. 自社でベトナム法人を作らないと製品は売れませんか?
A. 必ずしも自社法人は必須ではありません。ベトナム国内に「輸入者」がいれば成立するため、Sunshoのような現地パートナーを輸入者・公示申請者・販売者として立てる方法があります。まずは試験的に売りたい段階では、こちらの方が立ち上げが速く負荷も軽い傾向です。

Q3. 化粧品と食品・サプリで手続きはどう違いますか?
A. 化粧品は「化粧品公示」、食品は内容により「自己宣言(tự công bố)」または「登録公示(đăng ký bản công bố)」に分かれます。窓口・必要書類・審査の重さが異なり、サプリは一般食品より要件が重くなりやすい点に注意が必要です(最新の区分は要確認)。

Q4. 日本で使っている成分・原料はそのまま使えますか?
A. 多くは使えますが、ベトナム側に禁止成分・制限成分・配合上限のリストがあり、日本では問題なくてもベトナムでは制限対象という場合があります。輸入前に成分の適合性を確認しておくことが重要です。規制は改正され得るため、その都度の確認をおすすめします。

Q5. パッケージは日本語表示のままで販売できますか?
A. 原則として、ベトナム語のサブラベル(nhãn phụ)を貼り、製品名・成分・輸入者・原産国・注意表示などを表示することが求められます。日本語パッケージそのままでの販売は前提にしない方が安全です。表示要件は法令で定められており、こちらも最新情報の確認が必要です。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の法的判断を保証するものではありません。công bố・輸入・関税・製品登録に関する制度や運用、必要書類、手数料、税率、所要期間は改正・変更され得ます。実際の手続きにあたっては、最新の公的情報および専門家・当局の確認をお願いいたします。