GABA(γ-アミノ酪酸)は、日本の店頭で最もよく見かける成分の一つです。錠剤だけでなく、チョコレートや飲料、お茶にも使われ、機能性表示食品として「一時的なストレス」や「睡眠の質」に関する表示をした商品も数多くあります。

本記事では、GABAサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、機能性表示食品として届け出る場合といわゆる健康食品として売る場合の表示の違い、剤形と配合の決め方を整理します。GABAは売り場での認知度が高い一方で、海外の独立したレビューは研究の結果を「限定的」と評価しています。その差を知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。

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研究で分かっていること

2020年に発表された系統的レビューは、経口のGABAについて、ストレスへの効果を示す根拠は限定的、睡眠への効果を示す根拠はごく限定的と結論づけています。

レビュー対象結論
系統的レビュー、Frontiers in Neuroscience 2020(doi 10.3389/fnins.2020.00923)天然または生合成の経口GABAについて、ストレス・睡眠などを調べたプラセボ対照のヒト試験(2020年2月までの文献)ストレスは限定的、睡眠はごく限定的な根拠。結果にばらつきがあり、さらなる研究が必要
ミニレビュー、Frontiers in Psychology 2015(PubMed 26500584)食品として摂取するGABAの、脳と行動への影響に関する研究落ち着きに関する一定の報告はあるが、その多くは利害関係の可能性がある研究者によるもの。作用の仕組みはよく分かっていない

2015年のレビューは、口から摂ったGABAが脳に届くかどうかについて、研究の結果が食い違っていることも指摘しています。腸の神経を通じて働く可能性も挙げていますが、仕組みはまだはっきりしていません。

(2026年10月11日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で科学的根拠を消費者庁に届け出る制度で、GABAは「一時的なストレス」や「睡眠の質」に関する表示で多く使われています。

機能性表示食品として販売するには、販売前に、機能性の科学的根拠と安全性の情報を消費者庁に届け出ます。表示できるのは、届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

2024年の制度改正で、届出者の責任は重くなりました。錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となり、2026年9月1日に完全施行されています。届け出る予定がある場合は、製造する工場がGMPの体制を整えているかを最初に確認してください。

GABAで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究レビュー(研究レビュー)を使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:根拠とする研究で使われた1日あたりの量と合わせる
  • 分析の方法:製品中のGABAの量を測る方法と、その結果を保証する体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ない健康食品は、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定GABAサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「ストレスを解消する」「眠れるようになる」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1粒にGABA〇mg配合」(量の事実)「ストレスに効く」「不眠を改善」
「毎日のリラックスタイムに」(使用場面)病名や症状名を挙げた表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「臨床で実証済み」など、研究の条件と限界を示さない表現

GABAの製剤設計

GABAは水に溶けやすく安定で、ミリグラム単位で配合できるため、錠剤・菓子・飲料など、ほとんどの剤形に使えます。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤・チュアブル錠小さく飲みやすく、1回あたりの費用を抑えやすいチュアブルは味の設計
ハードカプセル味がなく、他の成分と組み合わせやすい配合する成分の量と粒の大きさ
菓子(タブレット菓子・チョコレート)日本の売り場でなじみのある形糖分の量と、菓子としての表示
飲料・顆粒スティック夜の習慣として訴求しやすい味と包装

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来:食品に使われるGABAは発酵で作られることが多いです。原料メーカーに製法とGABAの含有量を確認します。
  2. 1日あたりの量:機能性表示食品にするなら、根拠とする研究の量に合わせます。
  3. 組み合わせる成分:「リラックス」や「睡眠」をテーマにした配合では、GABAと植物の素材を組み合わせることがよくあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  4. 包装:吸湿しやすい配合では、アルミ包装やボトルの乾燥剤を検討します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

GABA自体は食品に広く使われていますが、リラックスや睡眠をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。

見積もりの前に決めておくこと

1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • GABAの1日あたりの量と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、チュアブルや菓子の場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

GABAのストレスへの効果は、研究で確かめられていますか?

2020年の系統的レビューでは、ストレスへの効果を示す根拠は限定的、睡眠はごく限定的とされ、研究の結果にもばらつきがありました。商品の表示や広告では、研究の条件と限界を踏まえた言葉を選ぶことが大切です。

それでも機能性表示食品にGABAが多いのはなぜですか?

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で科学的根拠を示して届け出る制度で、GABAは一時的なストレスや睡眠の質に関する表示で多く届け出られています。届出は消費者庁の審査や許可ではない点に注意が必要です。

機能性表示食品にしないGABAサプリでも、リラックスと書けますか?

いわゆる健康食品では、身体への効果をうたう表現は避ける必要があります。「リラックスタイムに」のような使用場面の表現でも、全体として効果をうたう表示になっていないかを確認してください。

GABAに向いている剤形は何ですか?

ほとんどの剤形に使えます。水に溶けやすく安定で、ミリグラム単位で配合できるため、錠剤・カプセル・菓子・飲料のいずれにも使われています。

工場に製造を断られることはありますか?

GABA自体ではなく、組み合わせた植物素材が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。

参考

  • “Effects of Oral Gamma-Aminobutyric Acid (GABA) Administration on Stress and Sleep in Humans: A Systematic Review”, Frontiers in Neuroscience 2020, doi 10.3389/fnins.2020.00923
  • “Neurotransmitters as food supplements: the effects of GABA on brain and behavior”, Frontiers in Psychology 2015, PubMed 26500584
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月11日確認)