ベトナムなど海外の工場で作った作業服、Tシャツ、エプロン、タオルを日本で販売するとき、必ず確認しておきたいのが家庭用品品質表示法です。繊維の組成、洗濯表示、表示者名と連絡先を、決められた方法で表示する必要があります。

本記事では、e-Gov法令検索の条文と、消費者庁の繊維製品品質表示規程・関連の案内をもとに、輸入した繊維製品の品質表示の要点を整理します。表示を付けるのは誰か、2024年に変わった洗濯表示、海外の表示をそのまま使えない理由まで、輸入して売る会社が押さえておきたい順にまとめました。

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家庭用品品質表示法の仕組み

家庭用品品質表示法は、一般消費者が品質を見分けにくい家庭用品について、表示すべき事項と表示の方法を国が定め、守らない事業者に指示や公表を行う仕組みの法律です。

法律(昭和37年法律第104号)の第1条は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護することを目的としています。第2条は、対象となる「家庭用品」を、一般消費者が通常生活の用に供する繊維製品などのうち、購入時に品質を識別することが著しく困難で、識別が特に必要なものとして政令で定めるもの、としています。

仕組みを順に並べると、次のようになります。

段階条文内容
表示の標準を定める第3条内閣総理大臣が、家庭用品ごとに表示すべき事項と、表示の方法など守るべき事項を定めて告示する
指示第4条第1項表示事項を表示しない、または遵守事項を守らない製造業者・販売業者・表示業者に、表示や遵守を指示できる
公表第4条第3項指示に従わない場合は、その旨を公表できる
命令第5条〜第7条特に必要な場合は、内閣府令で表示の方法に従うことなどを命じられる
罰則第25条・第27条命令に違反した者は罰金。法人の業務で違反した場合は法人にも罰金刑を科する

繊維製品について、第3条にもとづいて定められているのが繊維製品品質表示規程(平成29年消費者庁告示第4号)です。最終改正は令和6年12月25日の消費者庁告示第13号で、令和7年1月1日に施行されています。

対象になる繊維製品

対象品目は家庭用品品質表示法施行令の別表で決まっており、作業服・事務服・シャツ・エプロン・帽子・タオル・手拭い・ハンカチなど、縫製品の多くが含まれます。

施行令の別表は、繊維製品として、コート、セーター、シャツ、ズボン、事務服、作業服、下着、靴下、手袋などの衣服、ハンカチ、マフラー、エプロン、かっぽう着などの身の回り品、毛布、カーテン、テーブル掛け、タオル、手拭いなどの家庭用繊維製品を挙げています。施行規則では、衣服に帯・足袋・帽子(条件付き)などが加えられています。

消費者庁の案内で、品目ごとの表示事項を整理すると次のとおりです。

品目繊維の組成家庭洗濯等取扱方法表示者名等の付記
事務服・作業服必要必要必要
シャツ必要必要必要
エプロン・かっぽう着必要必要必要
帽子必要必要必要
タオル・手拭い必要表示事項に挙げられていない必要

注意したいのは、品目ごとに対象の範囲が細かく決められている点です。消費者庁の案内では、帽子について「業務用として用いられる帽子」やサンバイザー、フェルト製の帽子などが対象外とされ、タオルについては手拭いはパイルの有無にかかわらず含む一方、ディッシュタオルなどパイルのないものは含まないとされています。

一方、バッグについては、施行令の別表で「かばん」が雑貨工業品として挙げられていますが、施行規則で定める素材(牛革・馬革・豚革・羊革・やぎ革)を使ったものに限られています。布だけで作ったエコバッグは、別表に名前がないと読めます。

表示する事項と方法

繊維製品品質表示規程は、繊維の組成を指定用語と混用率で、家庭洗濯等取扱方法をJIS L 0001の記号で表示し、表示者の氏名または名称と住所または電話番号を付記するよう定めています。

規程第3条が定める遵守事項の要点は次のとおりです。

  • 繊維の組成:組成繊維である全ての繊維の名称を示す用語に、それぞれの混用率を百分率で併記する。繊維の名称は、規程が定める指定用語を使う
  • 家庭洗濯等取扱方法:家庭での洗濯、漂白、乾燥、アイロン仕上げ、商業クリーニングの取扱方法を、日本産業規格L 0001:2024(繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法)の4.1と4.4に規定するところにより表示する
  • はっ水性:表示する場合は「はっ水(水をはじきやすい)」などの決められた用語を使う
  • 表示者名等の付記:表示者の氏名または名称と、住所または電話番号を付記して、見やすい箇所に見やすいように表示する

消費者庁の案内では、品質表示の内容を分けて表示する場合は、それぞれに表示者名等を付記する必要があるとされています。また、取扱表示のラベルは、消費者が簡単に分かる箇所に見やすく、縫い目などに隠れず、容易に取れない方法で取り付けることとされています。縫い付けると製品が傷むおそれのある帽子などは、貼り付けや下げ札でもよいとされています。

取扱表示の記号は、JIS L 0001の附属書Aに挙げられた試験方法の結果や、同等の試験の結果、蓄積された技術情報などから予測できる結果にもとづいて選ぶこととされています。つまり、記号は「なんとなく」ではなく、根拠をもって選ぶ必要があります。試験の進め方は縫製品の検品と生地試験で解説しています。

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2024年8月に洗濯表示が変わった

JIS L 0001が国際規格ISO 3758の改正に合わせて改正されたことに伴い、繊維製品品質表示規程も2024年8月20日に改正され、記号の追加・意味の変更・デザインの微修正が行われました。

消費者庁の発表(令和6年8月20日)によると、改正の経緯と内容は次のとおりです。

  • 経緯:令和5年12月にISO 3758(ケアラベル)が改正され、これと整合させるためにJIS L 0001が改正された。規程はJISを引用しているため、あわせて改正した
  • 主な改正内容:洗濯記号の新規追加、洗濯記号の意味の変更、洗濯記号のデザインの微修正の3点
  • 施行日:令和6年8月20日(改正告示は令和6年消費者庁告示第9号。その後、令和6年12月25日の告示第13号でも改正されています)
  • 経過措置:令和7年8月19日までに従前の表示を行った繊維製品は、そのままの表示で販売できる

追加された記号には、液温30℃を限度とした手洗いの記号や、スチームなしでのアイロン仕上げの記号があり、アイロンの温度の上限の意味も一部変わっています。経過措置の期限はすでに過ぎているため、これから表示を作る場合は、改正後の記号を使う前提で準備します。消費者庁のQ&Aでも、JIS L 0001:2024にもとづく記号を表示する必要があると案内されています。

また、同じQ&Aでは、洗濯ができないことを示す場合は、文言ではなく洗濯処理記号の記号番号100を使う必要があるとされています。

表示者は誰になるのか

法律は、表示事項を表示しない製造業者・販売業者・表示業者に指示ができると定めており、海外製品を輸入して日本で販売する会社は、少なくとも販売業者として表示に責任を持つ立場にあると考えて準備するのが安全です。

家庭用品品質表示法第2条第2項は、「製造業者」を家庭用品の製造または加工の事業を行う者、「販売業者」を家庭用品の販売の事業を行う者、「表示業者」を製造業者または販売業者の委託を受けて表示事項を表示する事業を行う者と定めています。法律の条文に「輸入業者」という言葉はありません。

消費者庁の繊維製品に関するQ&Aでは、次の点が案内されています。

  • 海外の言語による組成表示や海外規格の洗濯記号のままで日本の消費者向けに販売すると、不適正な表示となる場合がある。指定用語とJIS L 0001:2024にもとづく表示が必要
  • 別途ラベルを縫い付ける場合は、表示者が誰であるかを明確にすることが消費者に分かりやすい
  • 無地のTシャツにプリントや染めの加工をした場合は、加工後の新たな品質表示に責任を持つ者が表示者になる

ここから、海外の工場が付けたラベルをそのまま使うのではなく、日本向けの表示(指定用語の組成、JIS記号、日本の表示者名と連絡先)を、輸入して売る側が用意する必要があることが分かります。誰の名前を表示者として載せるかは、製造・輸入・販売の分担によって変わるため、個別の判断は本記事では断定しません。迷う場合は消費者庁に確認してください。

実務では、日本向けのラベルの文面とデザインを日本側で確定し、工場に支給データとして渡して、縫製の段階で付けてもらう方法がよく取られます。出荷前の検品で、ラベルの内容と取り付け位置を確認しておくと、日本に着いてから付け直す手間を防げます。

業務用・配布品はどう考えるか

家庭用品品質表示法は一般消費者が通常生活の用に供する家庭用品を対象としているため、会社が社員に支給するユニフォームや無料で配るノベルティがどこまで対象になるかは、個別に確認が必要です。

法律の定義は「一般消費者が通常生活の用に供する」家庭用品であり、帽子については消費者庁の案内で業務用の帽子が対象外と明記されています。ただし、業務用のユニフォーム全般や無料配布品について、対象かどうかを一律に示した消費者庁の案内は、本記事の確認範囲では見つけられませんでした。そのため、本記事では対象外と断定しません。

販売する可能性がある場合や、着る人・使う人が一般の消費者である場合は、表示を付けておくのが安全です。品目ごとの進め方は、作業服・ユニフォームOEM|ベトナム生産の進め方やノベルティ・販促品OEM|ベトナムで縫製品を作るでも触れています。

あわせて確認したい法令

品質表示のほかに、有害物質の基準、原産国の表示、製造物責任も、輸入して販売する会社に関わってきます。

法令輸入して売る会社に関わる点
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律製造・輸入の事業者の責務(第3条)、基準に適合しない家庭用品の販売禁止(第5条)。施行規則でホルムアルデヒドやアゾ化合物などの基準を定める
景品表示法の告示「商品の原産国に関する不当な表示」原産国を「商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国」と定義。運用細則では外衣・下着・帽子などは「縫製」が実質的な変更とされる
製造物責任法製造物を業として輸入した者も「製造業者等」に含まれる(第2条第3項)

有害物質の基準では、施行規則の別表第一で、出生後24か月以内の乳幼児用の繊維製品や、下着・寝衣・手袋・くつしたなどにホルムアルデヒドの基準があり、特定の芳香族アミンを生じるアゾ化合物を含む染料を使った下着・中衣・外衣・帽子・寝具・タオルなどにも基準があります。対象の品目を作る場合は、工場に使用する染料や加工剤を確認し、必要に応じて試験で確かめます。

原産国の告示は、外国で生産された商品について、原産国以外の国名や、文字による表示の全部または主要部分が和文で示されている表示などで、原産国が判別しにくくなるものを不当な表示としています。ベトナムで縫製した衣類に日本語だけのタグを付ける場合などは、原産国が分かるように表示しておくと安全です。

ベトナム製の衣類を日本へ輸入するときの関税や原産地規則(EPA・RCEP)は、作業服・ユニフォームOEM|ベトナム生産の進め方で税関の資料にもとづいて触れています。

Sunshoができること

Sunsho Tradeは工場を持たない商社です。ベトナムを中心に、案件ごとに合う縫製工場を探し、確認し、生産を管理します。日本向けの表示ラベルについては、お客様が確定した文面とデザインを工場に正しく伝え、量産前のサンプルと出荷前の検品で内容・取り付け位置を確認します。

表示の最終的な判断や、表示者として誰の名前を載せるかは、販売する会社の責任で決めていただく必要があります。判断に必要な情報(組成の根拠、洗濯試験の結果など)を工場から集めるお手伝いをします。詳しくは縫製品OEMサービスをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 海外の工場が付けた英語のラベルのまま日本で売れますか?
消費者庁のQ&Aでは、海外の言語による組成表示や海外規格の洗濯記号のままで日本の消費者向けに販売すると、不適正な表示となる場合があるとされています。指定用語とJIS L 0001:2024の記号、日本の表示者名と連絡先を表示する必要があります。

Q2. 表示者として誰の名前を書けばよいですか?
法律は製造業者・販売業者・表示業者に表示の責任を求めており、条文に「輸入業者」という言葉はありません。輸入して販売する会社は、少なくとも販売業者として責任を持つ立場と考えて準備するのが安全です。個別の判断は消費者庁に確認してください。

Q3. 2024年より前の洗濯表示のラベルが残っています。使えますか?
改正の経過措置は、令和7年8月19日までに従前の表示を行った製品をそのまま販売できるというものでした。これから新しく表示を付ける場合は、改正後のJIS L 0001:2024の記号を使ってください。

Q4. タオルにも洗濯表示が必要ですか?
繊維製品品質表示規程では、タオル・手拭いの表示事項は「繊維の組成」で、表示者名と連絡先の付記も必要です。家庭洗濯等取扱方法は、タオル・手拭いの表示事項に挙げられていません。

Q5. 会社が社員に支給するだけの作業服にも表示は必要ですか?
法律は一般消費者が通常生活の用に供する家庭用品を対象としていますが、支給のみの業務用ユニフォームを一律に対象外とする案内は確認できませんでした。本記事では断定しませんので、迷う場合は消費者庁に確認し、表示を付けておくと安全です。

まとめ

輸入した衣料やタオルを日本で販売するときは、家庭用品品質表示法の対象品目かどうかを施行令の別表で確かめ、繊維製品品質表示規程に沿って、組成・洗濯表示・表示者名と連絡先を表示します。洗濯表示は2024年8月に改正され、現在はJIS L 0001:2024の記号を使います。

海外の工場が付けたラベルをそのまま使わず、日本向けの表示を輸入・販売する側で用意し、量産前と出荷前に確認しておくことが、トラブルを防ぐ一番の近道です。

💬 海外生産の衣料・タオルの表示ラベルの手配も、Sunshoにご相談ください。 サービスの詳細は縫製品OEMサービス、ご相談はお問合せフォーム・LINEからどうぞ。

参考(2026年10月24日確認)