作業服やユニフォームは、ファッション衣料と違って「同じ物を、同じ品質で、何年も作り続ける」ことが求められる縫製品です。初回の出来がよくても、二回目の発注で色が違う、サイズ感が変わった、という事態が起きると、着る人の現場で困りごとになります。
本記事では、作業服・事務服・飲食店や工場のユニフォームを、ベトナムの縫製工場で作りたい日本の企業やユニフォーム業者に向けて、決めることを順番に整理します。アパレル全般のOEM(CMT・FOBといった取引形態や、小ロットの通し方)はベトナムでアパレルOEM・縫製委託で解説していますので、ここではユニフォームに特有の論点に絞ります。
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ユニフォーム生産がファッション衣料と違う点
ユニフォームは「毎年同じ物を追加で作る」ことが前提なので、生地・色・サイズの再現性と、追加発注のしやすさを最初から設計しておく必要があります。
ファッション衣料は、売り切ったら次のシーズンは別のデザインに変わることが多いのに対し、ユニフォームは同じ型を何年も使います。新入社員が入るたび、制服が傷むたびに、少しずつ追加が出ます。そのため、次のような点が重要になります。
- 色の再現性:初回と追加分で色がずれると、並んだときにすぐ分かる
- サイズ感の一貫性:同じ「M」でも、型紙や縫い代の扱いが変わると着心地が変わる
- 生地の継続供給:同じ生地が数年後も手に入るか
- 追加発注の単位:少数の追加をどう作るか、在庫で持つか
| 比較項目 | ファッション衣料 | 作業服・ユニフォーム |
|---|---|---|
| デザインの寿命 | シーズンごとに変わる | 同じ型を何年も使う |
| 重視される点 | 流行・見た目 | 動きやすさ・耐久性・洗濯への強さ |
| 発注の形 | まとめて作って売り切る | 初回+少数の追加が続く |
| 色の管理 | ロットごとの差はある程度許容 | 追加分との差が目立つため厳しく管理 |
| 着る人 | 一般の消費者 | 社員・スタッフ(会社が支給する場合が多い) |
生地は「用途」と「洗濯の頻度」で選ぶ
作業服の生地は、綿・ポリエステル混・機能素材のどれを選ぶかで、着心地、耐久性、洗濯後の縮みや色落ちが変わり、現場の使い方から逆算して決めます。
代表的な選択肢は次のとおりです。
| 生地のタイプ | 向いている現場 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 綿100% | 火を扱う現場、肌ざわり重視 | 洗濯での縮み、しわ、色あせ |
| ポリエステルと綿の混紡 | 工場・物流・飲食など幅広い現場 | 混率による風合いの差、毛玉 |
| ポリエステル系の機能素材 | 夏場の屋外、汗をかく作業 | 吸汗速乾などの性能の根拠、静電気 |
| ストレッチ素材 | しゃがむ・腕を上げる動作が多い作業 | 伸びの戻り、縫い目の強さ |
ユニフォームは家庭や業務用の洗濯機で何度も洗われます。サンプルの段階で、実際の洗い方に近い条件で何回か洗い、縮み・色落ち・毛玉を確かめておくと、量産後のクレームを減らせます。生地の試験項目と、どの段階で何を試すかは縫製品の検品と生地試験にまとめています。
生地の調達先を決める
生地は、ベトナム国内で調達する、近隣国から輸入する、日本から支給する、のいずれかが基本です。どれを選ぶかは品質やコストだけでなく、後で触れる原産地規則にも影響します。機能素材や指定の色がある場合は、その生地を数年後も同じ品番で手配できるかを、工場または生地の供給元に確認しておきます。
サイズ展開と型紙は「追加発注」を見越して決める
サイズの数を増やすほど裁断・縫製・在庫の手間が増えるため、着る人の体型分布を見てサイズ数を決め、型紙は自社でも保管しておくのが安全です。
ユニフォームでは、男女別・サイズ別に何型を用意するかが最初の大きな判断です。サイズを細かく分けると着る人は喜びますが、品番が増え、追加発注のたびに少数のサイズだけを作る必要が出てきます。
型紙(パターン)については、次の点を工場と取り決めておくと、工場を変えるときや追加発注のときに困りません。
- 型紙のデータと、サイズごとの寸法表(仕上がり寸法と許容差)を書面で持つ
- 承認したサンプル(サイズごとの見本)を自社と工場の両方で保管する
- 型紙を修正したら、修正日と内容を記録して共有する
寸法の許容差や縫製の仕様は、仕様書(テックパック)に書き切るのが基本です。サンプル承認の進め方は、アパレル全般と共通なのでベトナムでアパレルOEM・縫製委託を参照してください。
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刺繍とプリントで社名・ロゴを入れる
社名やロゴの入れ方は刺繍・プリント・ワッペンが主な選択肢で、耐久性、見た目、追加発注のしやすさがそれぞれ違います。
| 入れ方 | 特徴 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 刺繍 | 立体感があり、洗濯に強い | 細い線や小さな文字の再現、糸の色合わせ |
| プリント(シルク・転写など) | 色数の多いロゴや写真調も表現できる | 洗濯後のひび割れ・はがれ |
| ワッペン(別布に刺繍して縫い付け) | 後付けでき、在庫の服に付けられる | 縫い付けの強さ、角の浮き |
ロゴの色は、刺繍糸やインクの色番号で指定し、承認したサンプルを基準にします。追加発注のたびに同じ色を出すには、使った糸やインクの番号を記録しておくことが大切です。
社名ロゴ以外に、部署名や個人名を入れる場合は、名前入れを日本側で行うか、ベトナムで行うかも決めておきます。個人名は追加や変更が多いため、無地の在庫を持って日本で名前を入れる、という分担も考えられます。
なお、他社のロゴやキャラクター、ブランドのデザインをまねた服は作りません。商標権や著作権、意匠権を侵害するおそれがあるためです。自社のロゴ・デザインで作ることを前提に進めます。
継続発注と在庫の持ち方
ユニフォームは追加発注が続くため、「生地を確保しておく」「無地の在庫を持つ」「年に何回まとめて作るか決める」のどれで対応するかを、初回の段階で決めておくと運用が安定します。
追加発注の考え方には、主に次の三つがあります。
- 生地を先に確保する:同じ生地をまとめて手配し、工場か自社で保管して、追加のたびに縫製する
- 製品在庫を持つ:サイズごとに一定数を作り、日本の倉庫で保管して、必要な分を出す
- 定期的にまとめて作る:年に数回など発注の時期を決め、その間の追加は在庫でまかなう
どれが合うかは、着る人の数、入れ替わりの頻度、保管場所の有無で決まります。数量や費用は工場と仕様によって大きく変わるため、ここでは数字を挙げませんが、見積もりを取るときは「初回」と「追加分」の条件を分けて出してもらうと比べやすくなります。最低ロットの考え方はベトナム製造委託のMOQ(最低ロット)も参考になります。
ベトナムでは旧正月(テト)の前後に工場の稼働が大きく変わります。春の入社に合わせた追加発注などは、テトをまたぐかどうかで段取りが変わるため、ベトナムのテト前後の発注逆算表を見ながら時期を決めてください。
日本で使う・売るときに確認すること
作業服や事務服は家庭用品品質表示法の対象品目に含まれており、一般の消費者に販売する場合は、繊維の組成、洗濯表示、表示者名と連絡先の表示が必要です。
家庭用品品質表示法施行令の別表には、繊維製品として「事務服、作業服」が挙げられています。消費者庁の繊維製品品質表示規程では、事務服・作業服について「繊維の組成」と「家庭洗濯等取扱方法」を表示事項とし、あわせて表示者の氏名または名称と、住所または電話番号を付記することを求めています。
一方で、この法律は「一般消費者が通常生活の用に供する」家庭用品を対象としています。会社が社員に支給するだけのユニフォームがどこまで対象になるかは、本記事では断定しません。販売するか支給するか、誰に渡すかで扱いが変わる可能性があるため、迷う場合は消費者庁に確認するのが確実です。表示者になるのは誰か、洗濯表示の新しい記号などは、家庭用品品質表示法と輸入衣料|表示者と洗濯表示で詳しく解説しています。
原産地と特恵関税
ベトナムで縫製した衣類を日本へ輸入するとき、経済連携協定(EPA)の特恵税率を使えるかどうかは、生地をどこで作ったかによって変わります。日本税関の資料では、日ベトナムEPAや日アセアンEPAなど多くの協定が、生地を作る工程と縫製の工程の二つを求める「2工程ルール」を基本としている一方、RCEP協定では衣類(第61類・第62類)は類の変更(CC)が基準で、非原産の生地を使っても締約国で縫製すれば規則を満たすと説明されています。また、CPTPPの繊維製品は、紡ぐ・織る(編む)・縫製の3工程を原則として締約国内で行う「ヤーンフォワード・ルール」が基本とされ、2工程ルールとも異なります(ショートサプライ・リストに載った材料など、緩和の規定もあります)。
どの協定を使えるかは、生地の調達先と品目の分類で決まります。生地を決める前に、通関業者や税関に確認しておくと、後から「この生地では特恵が使えなかった」という事態を防げます。
Sunshoができること
Sunsho Tradeは工場を持たない商社です。案件ごとに、品目・生地・数量に合うベトナムの縫製工場を探し、工場の設備や縫製の水準を確認したうえで、サンプルから量産、出荷前の検品までを管理します。必要に応じて、ベトナム以外のアジアの工場も候補にします。
ユニフォームの場合は、追加発注の運用まで含めて相談をお受けします。型紙と承認サンプルの保管、色番号の記録、追加分の発注時期の調整など、長く続けるための段取りを一緒に組み立てます。詳しくは縫製品OEMサービスをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 作業服は何着からベトナムで作れますか?
工場・生地・仕様によって大きく異なるため、一律の数字はありません。既製の生地を使い、サイズや色を絞るほど少ない数量でも受けてもらいやすくなります。見積もりの段階で、初回と追加分の条件を分けて確認するのがおすすめです。
Q2. 今使っているユニフォームと同じ物を作れますか?
現物と仕様書があれば、近い物を作れる工場を探せます。ただし、同じ生地が手に入らない場合は代わりの生地になるため、サンプルで着心地と色を確かめてから量産に進みます。他社のブランドロゴやデザインの複製はしません。
Q3. 追加発注で色がずれないようにするには?
承認したサンプルを基準として保管し、生地の品番・ロット、刺繍糸やインクの色番号を記録しておきます。生地をまとめて確保しておく方法も、色のずれを抑えるのに役立ちます。
Q4. 社員に支給する作業服にも品質表示は必要ですか?
家庭用品品質表示法は一般消費者向けの家庭用品を対象としており、支給のみの業務用ユニフォームの扱いは本記事では断定しません。販売する可能性がある場合や判断に迷う場合は、消費者庁に確認したうえで表示を付けておくと安全です。
Q5. ベトナム製の作業服を輸入すると関税は優遇されますか?
協定ごとに原産地規則が違い、生地をどこで作ったかで使える協定が変わります。RCEPでは縫製が基準になる一方、日ベトナムEPAなどは2工程ルール、CPTPPは糸から締約国内で作る3工程(ヤーンフォワード)が基本です。生地を決める前に通関業者や税関に確認してください。
まとめ
作業服・ユニフォームのベトナム生産は、初回の出来だけでなく、追加発注のたびに同じ物を作れるかどうかが成否を分けます。生地は現場の使い方と洗濯の頻度から選び、サイズ数は着る人の体型分布から決め、型紙・承認サンプル・色番号を記録して保管しておくと、長く安定して作り続けられます。
日本で販売する場合は品質表示が必要になり、EPAの特恵税率を使うなら生地の調達先も関わってきます。生地を決める段階から、表示と原産地まで見通しておくのが近道です。
💬 作業服・ユニフォームのベトナム生産は、Sunshoにご相談ください。 サービスの詳細は縫製品OEMサービス、ご相談はお問合せフォーム・LINEからどうぞ。
参考(2026年10月24日確認)
- 家庭用品品質表示法施行令 別表(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/337CO0000000390
- 消費者庁「繊維製品品質表示規程」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/law/law_04.html
- 消費者庁「事務服及び作業服」の表示 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/fiber/fiber_37.html
- 財務省関税局・税関「我が国の原産地規則~EPA原産地規則(詳細)~」2026年4月 https://www.customs.go.jp/roo/origin/epa_roo.pdf
- 財務省関税局・EPA原産地センター「RCEP協定 業務説明会Q&A解説」令和3年8月 https://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/news/rcep/202108rcep_qa.pdf