縫製品の品質トラブルは、「サンプルはよかったのに量産品の縫い目が粗い」といった縫製の問題だけではありません。「洗ったら縮んだ」「色が移った」「持ち手が取れた」のように、生地や付属品の性質が原因のものも多くあります。縫製の不良は出荷前の検品で見つけられますが、生地の性質は、見ただけでは分からず、試験をしないと確かめられません。
本記事では、作業服、Tシャツ、バッグ、タオルなどの縫製品を海外の工場で作るときに、どの段階で何を確かめるかを整理します。検品全般の考え方(AQLの抜き取り、検査の種類、是正の流れ)はベトナム調達の品質管理・検品代行ガイドで解説していますので、ここでは縫製品に特有の確認点に絞ります。
💬 縫製品の検品や試験の段取りまでご相談いただけます。 品目と販売先を伺い、工場での確認と出荷前の検品を手配します。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。
確かめる段階は4つに分ける
縫製品の品質確認は、生地の段階、サンプルの段階、量産中、出荷前の4つに分けると、問題を早く見つけ、手戻りを小さくできます。
出荷前の検品だけで不良を見つけても、その時点では作り直しに時間がかかり、配布日や販売日に間に合わないことがあります。生地の段階で分かる問題は生地の段階で、縫製の問題は量産の初めに見つけるのが理想です。
| 段階 | 主に確かめること | 見つけたいトラブル |
|---|---|---|
| 生地の段階 | 組成、重さ、色、縮み、色落ち | 洗濯で縮む、色が移る、指定と違う素材 |
| サンプルの段階 | 寸法、縫製、付属品、ロゴ、着用・使用感 | サイズ感の違い、ロゴの色違い、壊れやすい部分 |
| 量産中 | 初期の縫製品質、裁断の正確さ | 量産でだけ起きる縫製の粗さ、寸法のばらつき |
| 出荷前 | 抜き取りでの外観・寸法・数量・包装 | 汚れ、縫製不良、ラベルの誤り、数量不足 |
生地の段階で確かめること
生地の段階では、組成・重さ・色・寸法変化・色落ちを確かめておくと、量産後に「洗ったら縮んだ」「色が移った」という問題を防げます。
生地の性質は、縫製してからでは変えられません。次の項目を、生地を裁断する前に確かめておきます。
- 組成:綿やポリエステルの混用率。日本で販売する場合、品質表示に書く内容の根拠になる
- 重さ・厚み:g/m²などで指定した値に合っているか
- 色:承認した色見本と比べてずれがないか。ロットが変わる場合は特に注意
- 寸法変化:洗濯の前後で縦横がどのくらい変わるか
- 染色堅ろう度(色落ちのしにくさ):洗濯、こすれ、汗、光などで色が落ちたり移ったりしないか
- 強度:引っ張りや引き裂きに対する強さ。作業服やバッグでは特に重要
これらの試験には、JIS(日本産業規格)やISO(国際規格)などに試験方法が定められているものがあります。どの規格のどの方法で試すかは、試験機関と相談して決め、試験報告書に規格番号と条件を書いてもらうようにします。
生地の供給元が試験報告書を持っている場合もありますが、その報告書が今回使う生地のロットのものかどうかは確認が必要です。生地の調達先と管理の考え方は、アパレル全般についてベトナムでアパレルOEM・縫製委託で触れています。
日本の表示と基準につながる試験
日本で販売する繊維製品は、品質表示の組成と洗濯表示に根拠が必要で、品目によっては有害物質の基準もあるため、試験はそれらとつなげて計画します。
消費者庁の繊維製品品質表示規程は、繊維の組成を混用率で表示し、家庭洗濯等の取扱方法をJIS L 0001:2024の記号で表示するよう定めています。消費者庁の案内では、取扱表示の記号はJIS L 0001の附属書Aに挙げられた試験方法の結果や、同等の試験の結果、蓄積された技術情報などから予測できる結果にもとづいて選ぶこととされています。つまり、洗濯表示を決めるためにも、洗濯や乾燥に関する確認が必要です。
また、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律の施行規則では、繊維製品について次のような基準が定められています。
| 物質 | 対象となる繊維製品(施行規則 別表第一から抜粋) |
|---|---|
| ホルムアルデヒド | 出生後24か月以内の乳幼児用のおしめ・下着・寝衣・手袋・くつした・中衣・外衣・帽子・寝具など。乳幼児用以外の下着・寝衣・手袋・くつした、たびなど |
| 特定の芳香族アミンを生じるアゾ化合物 | アゾ化合物を含む染料を使った、おしめ・下着・寝衣・手袋・くつした・中衣・外衣・帽子・寝具・床敷物・テーブル掛け・ハンカチーフ・タオル、バスマットなど |
この法律は、家庭用品の製造または輸入の事業を行う者に、含まれる物質が人の健康に与える影響を把握し、被害が生じないようにする責務を定め(第3条)、基準に適合しない家庭用品の販売を禁じています(第5条)。対象の品目を作る場合は、工場に使う染料や加工剤を確認し、必要に応じて試験機関で確かめておきます。基準値と試験方法は施行規則と関連の告示で定められているため、試験機関に対象品目を伝えて相談してください。
品質表示の詳細は家庭用品品質表示法と輸入衣料|表示者と洗濯表示で解説しています。
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サンプルの段階で確かめること
サンプルでは、寸法・縫製・付属品・ロゴを確かめるだけでなく、実際に着たり使ったり洗ったりして、量産後に起きる問題を先に見つけておきます。
縫製品は、見た目だけでなく「使ったときにどうなるか」が品質を決めます。品目ごとに、次のような確かめ方があります。
| 品目 | サンプルでの確かめ方の例 |
|---|---|
| 作業服・ユニフォーム | 現場の動きで着てみる、何回か洗って縮み・色落ち・毛玉を見る |
| Tシャツ・ポロシャツ | 洗濯後の首まわりの伸び、プリントのひび割れ |
| バッグ | 重さのある物を入れて持ち歩き、持ち手の付け根を見る |
| ポーチ | ファスナーを何度も開け閉めし、引っかかりや外れを見る |
| タオル | 重さを測る、洗う前後の吸水性、毛羽落ち |
| キャップ | サイズ調整の具合、洗濯後の型崩れ |
サンプルを承認したら、その現物を自社と工場の両方で保管し、量産の基準にします。サンプル承認を段階的に進める考え方は、アパレル全般と共通です。
量産中と出荷前の検品
量産の初めに縫製の状態を確かめ、出荷前に抜き取りで外観・寸法・ラベル・数量・包装を確認すると、手戻りを小さくできます。
量産の初めの段階(最初の製品が仕上がり始めた頃)で、縫製の状態と寸法を確かめると、問題があっても修正の範囲が小さくて済みます。出荷前の検品では、次のような項目を確認します。
- 外観:汚れ、シミ、色むら、生地の傷、糸くず
- 縫製:縫い目の飛び、ほつれ、縫い代の始末、補強の縫い(バッグの持ち手など)
- 寸法:仕様書の寸法と許容差に入っているか
- ロゴ・名入れ:位置、色、かすれ、ずれ
- 付属品:ファスナー・ボタン・ホックの動き、取り付けの強さ
- ラベル:組成・洗濯表示・表示者名と連絡先の内容、取り付け位置
- 包装と数量:サイズ・色ごとの数量、包装の仕様、箱の表示
日本の買い手からは、縫製品に折れた針などが混入していないかを確かめる検針を求められることがあります。検針を行うかどうか、どの段階で行うかは、販売先の求めに合わせて工場と取り決めておきます。
不良が見つかった場合の対応(選別、手直し、作り直し)と、その費用の負担は、発注の段階で取り決めておくと、もめずに済みます。品質トラブルの予防についてはベトナム製造委託の品質トラブル対策も参考になります。
検品項目は「仕様書」から作る
検品の項目は、仕様書と承認サンプルにもとづいて作り、工場・検品担当・買い手の三者が同じ基準で判断できるようにしておくことが大切です。
検品で「これは不良か、許容範囲か」で意見が分かれるのは、基準が書面になっていない場合がほとんどです。仕様書には、寸法の許容差、縫い目の細かさ、ロゴの位置と色、ラベルの内容を書き、それをもとに検品のチェックリストを作ります。重大な不良と軽微な不良の区分も、事前に決めておきます。
Sunshoができること
Sunsho Tradeは工場を持たない商社です。案件ごとに合うベトナムの縫製工場を探し、確認し、生産を管理します。生地の段階での確認、サンプル承認の運用、量産初期の確認、出荷前の検品まで、日本語でやりとりしながら進めます。
試験が必要な場合は、工場や生地の供給元から試験報告書を集め、不足があれば試験の手配を調整します。試験結果の評価や、表示の最終的な判断は、販売する会社の責任で行っていただく必要がありますが、判断に必要な情報をそろえるお手伝いをします。詳しくは縫製品OEMサービスをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 出荷前の検品だけでは足りませんか?
縫製の不良は出荷前の検品で見つけられますが、縮みや色落ちなど生地の性質は、見ただけでは分かりません。生地の段階とサンプルの段階で確かめておくと、量産後の大きな手戻りを防げます。
Q2. 生地の試験は必ず必要ですか?
品目や販売先によります。日本で販売する繊維製品は、品質表示の組成や洗濯表示に根拠が必要で、乳幼児用品や下着、染めた衣類・タオルなどには有害物質の基準もあります。対象と販売先を整理して、必要な試験を決めるのがおすすめです。
Q3. 生地メーカーの試験報告書があれば十分ですか?
その報告書が今回使う生地のロットと同じものか、試験の方法と条件が販売先の求めに合っているかを確認する必要があります。ロットが変わる場合や、加工が加わる場合は、改めて確かめることを検討してください。
Q4. 洗濯表示はどのように決めればよいですか?
消費者庁の案内では、JIS L 0001の附属書Aの試験方法の結果や、同等の試験の結果、蓄積された技術情報から予測できる結果にもとづいて記号を選ぶこととされています。生地と縫製品の洗濯に関する確認結果をもとに決めます。
Q5. 検針はベトナムの工場でできますか?
検針機を持つ工場もあり、販売先の求めに合わせて工場と取り決めます。行う段階や記録の残し方も含めて、発注の前に確認しておくのが安全です。
まとめ
縫製品の品質は、縫製の出来だけでなく、生地や付属品の性質で決まります。生地の段階、サンプル、量産中、出荷前の4つの段階に分けて確かめると、問題を早く見つけられます。日本で販売する場合は、品質表示の根拠と有害物質の基準も視野に入れて、試験を計画してください。
検品の項目は仕様書と承認サンプルから作り、工場・検品担当・買い手が同じ基準で判断できるようにしておくことが、トラブルを防ぐ近道です。
💬 縫製品の検品・試験の段取りは、Sunshoにご相談ください。 サービスの詳細は縫製品OEMサービス、ご相談はお問合せフォーム・LINEからどうぞ。
参考(2026年10月24日確認)
- 消費者庁「繊維製品品質表示規程」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/law/law_04.html
- 消費者庁「事務服及び作業服」の表示(取扱表示の選び方の記述) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/fiber/fiber_37.html
- 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/348AC0000000112
- 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則 別表第一(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/349M50000100034