カフェチェーン、テイクアウト中心の飲食店、イベント事業者、食品メーカーにとって、紙コップや紙容器は毎月必ず減っていく消耗品です。ロゴ入りの紙コップを自社仕様で作りたい、プラスチック製のカトラリーを紙や木に切り替えたいと考えたとき、海外の工場から直接仕入れるとなると、仕様の決め方、見本の進め方、日本に入れるときの手続きと、確認することが一気に増えます。

本記事では、紙コップ・紙容器(バガス容器を含む)・紙ストロー・木製カトラリーをアジアの工場から調達するときに、発注前から納品までに押さえておきたい点を順番に整理します。法令の記述は2026年10月26日に一次資料で確認した範囲に限り、価格・最小ロット・納期は工場と案件で大きく変わるため書いていません。日本の規制そのものを詳しく知りたい方は、環境配慮型容器と日本の規制もあわせてご覧ください。

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調達の対象になる品目と、それぞれの論点

紙コップ、紙・バガス容器、紙ストロー、木製カトラリーは、同じ「環境配慮型」でも材質も作り方も違い、確認すべき点が異なります。

紙コップと蓋

紙コップは、原紙の内側に液体を通さないためのコーティングを施し、扇形に打ち抜いて巻き上げたものです。内面のコーティングにはポリエチレン(PE)、植物由来の樹脂であるPLA、水性の分散コートなどがあります。コーティングの種類によって、耐熱性や、後で説明するポジティブリストとの関係が変わります。

ホット用は一重のままだと持てないほど熱くなるため、二重構造のコップや、外側に波形の紙を巻いたコップがよく使われます。蓋は別の工場で作られることが多く、口径が合っていても嵌合が甘いと配達中に漏れます。蓋の材質(PS・PP・PETなどの樹脂、紙、バガス)も、仕様書に必ず書き込む項目です。

紙容器・バガス容器

紙容器は、コーティングした板紙を打ち抜いて折り、貼り合わせて箱や丼の形にします。バガス容器は、サトウキビの搾りかすの繊維をパルプにして、加熱した金型で成形します。どちらも繊維そのものは水や油に弱く、耐水・耐油の性能はコーティングや添加剤で決まります。同じ見た目でも工場ごとに処方が違うため、使う料理と温度を伝えて見本で確かめることが欠かせません。

紙ストロー・木製カトラリー

紙ストローは細い紙を螺旋状に何層も巻き、接着剤で貼り合わせたものです。層の数と接着剤の種類で、飲み物の中でどれだけ形を保てるかが決まります。木製のスプーン・フォーク・ナイフ・マドラーは、薄い板を打ち抜いて研磨したものが一般的です。木の種類、厚み、表面のささくれ、梱包時の含水率(カビの原因になります)が確認の中心です。

品目ごとの確認項目

仕様書に書く項目を表にまとめました。どれも見本の段階で現物を使って確かめ、合意した内容を文書に残します。

品目仕様書に書く項目見本で確かめること
紙コップ容量、一重・二重・波形、内面コーティングの種類、印刷色数ホット・アイスでの持ちやすさ、漏れ、色
蓋材質、口径、飲み口の形状実際のコップとの嵌合、傾けたときの漏れ
紙・バガス容器形状、仕切り、耐水・耐油の処方、色(漂白・未漂白)最も熱い料理・油の多い料理での染み、変形
紙ストロー径、長さ、層数、接着剤、印刷の有無、個包装実際の飲み物に浸したときの形の保持、におい
木製カトラリー木の種類、長さ、厚み、表面処理の有無ささくれ、割れ、におい、硬い料理での強度
梱包入数、防湿、外箱の表示海上輸送後の湿気、カビ、つぶれ

表の項目は、工場に最初に問い合わせる段階で伝えておくと、見積もりの比較がしやすくなります。逆に「とりあえず一番安い仕様で」と依頼すると、工場ごとに前提がばらばらになり、比較ができません。

見本と印刷の進め方

見本は「無地の見本で機能を確かめる」「印刷見本で色と位置を確かめる」「量産見本で量産品の基準を決める」の三段階に分けると、手戻りが少なくなります。

最初は無地の見本を取り寄せ、実際の店舗やキッチンで使ってみます。コップなら実際の飲み物を注いで蓋をし、配達用の袋に入れて持ち運ぶところまで試します。容器なら一番熱い料理と一番油の多い料理を入れて、配達にかかる最長の時間だけ置いてから底を確認します。

次にロゴや柄を印刷した見本です。紙コップは平らな紙に印刷してから扇形に打ち抜いて巻くため、デザインは工場から受け取る扇形の展開図の上に配置する必要があります。貼り合わせの部分にロゴが掛からないか、飲み口の近くに印刷が来すぎていないかを確認します。色は紙の白さやインクの吸い方で変わるため、データや画面ではなく、印刷した現物で確認します。承認した見本にはサインをして、自社と工場で一つずつ保管し、検品の基準にします。

最後に量産ラインで作った見本を確認し、量産に入ります。他社のロゴやキャラクター、デザインを真似た仕様はお受けしていません。

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日本に輸入するときの手続き

販売用や営業用の器具・容器包装を輸入する場合、食品衛生法第27条により、輸入のたびに厚生労働大臣への届出が必要です。

食品衛生法第27条は、販売の用に供し、または営業上使用する食品・添加物・器具・容器包装を輸入しようとする者は、その都度、厚生労働大臣に届け出なければならないと定めています。紙コップや紙容器、ストロー、カトラリーを店舗で使う、または販売するために輸入する場合は、この「器具・容器包装」の届出の対象として検討することになります(2026年10月26日確認)。

届出は、貨物を通関する場所を管轄する検疫所に出します。大阪検疫所の案内では、届出書は貨物到着の7日前から受け付けており、器具・容器包装について、次のような資料が挙げられています。

  • 食品が触れる部分の材質と色が確認できる資料(パーツリスト)
  • 製品のカラー写真やカタログ
  • 登録検査機関等で検査を実施した試験成績書

紙コップなら原紙・内面コーティング・蓋、ストローなら紙・接着剤というように、部品ごとに材質を説明できる資料を工場からそろえてもらう必要があります。初めて輸入する場合は、厚生労働省も案内しているとおり、届出予定の検疫所に事前に相談するのが確実です。どの資料が必要か、試験の項目は何かは品目と材質で変わるため、本記事では一律には書きません。

ポジティブリストと、販売先への説明

合成樹脂を使った器具・容器包装は食品衛生法のポジティブリストの対象で、輸入して販売する事業者には、販売先へ適合を説明する義務があります。

食品衛生法第18条第3項にもとづくポジティブリスト制度では、政令で定める材質の原材料について、規格に定められていない物質は使ってはならないとされています。消費者庁のQ&Aによると、対象の材質は「合成樹脂」で、熱可塑性・熱硬化性のプラスチックと熱可塑性エラストマーを含み、ゴムは含みません。紙コップの内面のPEやPLA、樹脂製の蓋、樹脂コーティングをした紙容器は、この合成樹脂の部分が対象になります。

さらに第53条は、合成樹脂を使った器具・容器包装を販売し、または販売のために製造・輸入する者は、販売の相手方に、ポジティブリストの規格に適合したものであることなどを説明しなければならないと定めています。輸入して卸す場合、自社が説明する立場になるということです。工場からは、コーティングや蓋に使った樹脂がポジティブリストに適合していることを示す情報を受け取っておく必要があります。

紙の繊維や木材そのものは合成樹脂ではないため、ポジティブリストの対象外です。ただし消費者庁のQ&Aは、対象外の物質であっても事業者は従来の管理を守り、自らの責任で安全性を確保する必要があるとしています。食品衛生法第16条は、有害な物質を含む器具・容器包装の販売や輸入を禁じています。

検品で見るポイント

量産品は承認見本と比べて、漏れ・変形・印刷のずれ・におい・湿気を中心に確認します。

紙コップでは、胴や底の貼り合わせからの漏れ、飲み口の巻きの不揃い(蓋が合わなくなります)、印刷の色と位置のずれ、外箱に詰めすぎたことによるつぶれを見ます。紙・バガス容器では、厚みのむら、縁のバリ、蓋の嵌合、においを確認します。紙ストローは層のはがれと曲がり、木製カトラリーはささくれ・割れ・カビです。

紙や木は湿気を吸うため、海上輸送ではコンテナ内の結露に注意が必要です。防湿の梱包を仕様に入れておき、到着後は乾いた倉庫で保管します。

継続発注と在庫の考え方

紙コップや容器は繰り返し発注する消耗品なので、初回から「次も同じものが届く」状態を作っておくことが大切です。

継続して発注するときに起きやすいのは、原紙やコーティングの仕入れ先が工場側で変わり、見た目は同じでも使い心地が変わってしまうことです。仕様書に原紙の種類や坪量、コーティングの種類を書き、変更する場合は事前に知らせてもらう約束を取り付けておきます。材質が変わると、輸入届出に添える資料や、販売先への説明の内容も見直しが必要になります。

在庫は、店舗の消費量と、見本から量産・輸送・通関・届出にかかる期間を見込んで持つ必要があります。季節によってホットとアイスの比率が変わる飲食店では、サイズごとの消費量の変化も考慮します。紙や木は湿気に弱いため、在庫を多く持つほど保管環境の管理が重要になります。

当社は工場を持たない商社です。案件ごとに、ベトナム・中国・タイなどアジア各地から合う工場を探し、見本・量産・検品・輸出までを管理します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 紙コップの輸入にも食品衛生法の届出が必要ですか?
販売用、または店舗などで営業上使用する目的で輸入する場合、食品衛生法第27条により、器具・容器包装として輸入のたびに届出が必要です。届出先は通関地を管轄する検疫所で、初めての場合は事前に相談すると確実です。

Q2. 紙コップはポジティブリストの対象ですか?
紙の部分は合成樹脂ではないため対象外です。内面のPEやPLAなどのコーティング、樹脂製の蓋は合成樹脂として対象になります。輸入して販売する場合は、第53条により販売先へ適合を説明する必要があります。

Q3. バガス容器や木製カトラリーには何の書類が要りますか?
輸入届出では、食品が触れる部分の材質が分かる資料、写真やカタログ、試験成績書などが求められます。必要な資料と試験項目は品目で変わるため、届出予定の検疫所に確認してください。

Q4. 見本は何回くらい必要ですか?
無地の見本、印刷見本、量産見本の三段階が基本です。蓋とコップを別々の工場で作る場合や、専用の型を作る場合は、組み合わせや型の確認でさらに回数が増えることがあります。

Q5. 「生分解性」「堆肥化可能」と表示してもよいですか?
表示するには、その製品について試験や認証の根拠が必要です。蓋だけ樹脂製といった構成では、表示が製品全体に当てはまらないこともあります。販売する国の現行の規則を確認したうえで判断してください。

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参考(2026年10月26日確認)