サプリのパッケージで「機能性表示食品」の枠囲みをよく見かけます。届け出れば機能を表示できる便利な制度ですが、国が効果を認めた食品ではありません。しかも2024年の制度改正で、届出者が負う義務は大きく増えました。
本記事は、日本国内で自社ブランドのサプリを販売したい事業者の方に向けた解説です。機能性表示食品の仕組み、届出から販売までの流れ、2024年改正の内容、届出の手引き、届出後の義務を整理します。消費者庁の手引き・告示・説明資料で日付と文言を確かめた内容だけをまとめています。
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機能性表示食品は国の審査ではなく届出の制度
機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性の科学的根拠を販売前に消費者庁長官へ届け出る制度で、国は効果や安全性を審査しません。
消費者庁は、機能性表示食品について「国が審査を行いません」と説明しています。事業者は自らの責任で、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります。届け出た内容は消費者庁のウェブサイトで公表され、誰でも確認できます。
| 機能性表示食品 | 特定保健用食品(トクホ) | 栄養機能食品 | |
|---|---|---|---|
| 仕組み | 届出制。販売前に消費者庁長官へ届け出る | 個別許可制。消費者庁長官の許可が必要 | 自己認証制。届出・許可とも不要 |
| 国の審査 | なし。根拠の合理性を示す責任は届出者 | 国が効果と安全性を審査 | なし。基準は国が定める |
| 機能性の根拠 | 最終製品を用いたヒト試験、または研究レビュー(システマティックレビュー) | 最終製品を用いたヒト試験が必須 | 国が定めた20の栄養成分の基準 |
| 疾病リスク低減の表示 | できない | 認められる場合がある | 制度の対象外 |
対象となるのは、疾病にかかっていない方です。未成年者、妊産婦(妊娠を計画している方を含む)、授乳婦は対象から外れます。表示できるのは、健康の維持・増進に役立つ特定の保健の目的で、疾病リスクの低減にかかわる内容は表示できません。
ビタミンやミネラルの機能を決まった文言で表示したい場合は、栄養機能食品のガイドをご覧ください。
届出から販売までの流れ
届出は消費者庁の届出データベースで行い、販売開始日の60日前(行政機関の休日を除く)までに済ませる必要があります。
食品表示基準は、販売開始日の60日前までの届出を求めています。60日の数え方には、行政機関の休日は算入しません。届出の公表例がない機能性関与成分など、確認に特に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は120日前までです。
届出の資料は、7つの様式で構成されます。届出時に提出するのは様式第一号から第六号で、第七号は届出後の自己点検の報告に使います。
| 様式 | 内容 | OEMの工場とかかわる点 |
|---|---|---|
| 第一号 | 届出食品の基本情報(商品名、食品の区分、販売開始予定日など) | サプリ形状かどうかで「食品の区分」が決まる |
| 第二号 | 安全性に係る事項(1日あたりの摂取目安量、注意事項など) | 原料の食経験や安全性の資料 |
| 第三号 | 生産・製造及び品質管理に係る事項 | 製造所の情報、GMPの遵守、分析方法と試験成績 |
| 第四号 | 健康被害の情報収集に係る事項 | 連絡窓口と、行政への情報提供の流れ |
| 第五号 | 機能性に係る事項 | ヒト試験または研究レビュー |
| 第六号 | 表示に係る事項 | 表示の見本 |
| 第七号 | 自己点検等報告 | 届出後の毎年の報告 |
研究レビューを根拠にする場合は、PRISMA 2020声明に沿った報告が求められます。消費者庁の2024年8月の説明資料では、令和7年(2025年)4月からの新規届出に導入するとしています。
届出データベースは2025年4月1日に更新され、ログインにGビズIDが加わりました。同日以降に新しく利用する事業者は、GビズIDの取得が必須です。届出の手続き上の義務が果たされると、届出番号が付与されます。届出番号は容器包装への表示が必要です。
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2024年の制度改正で変わったこと
2024年の改正で、健康被害情報の提供、新規成分の慎重な確認、届出後の自己点検、サプリ形状のGMPが、届出者が守る事項として食品表示基準に定められました。
改正のきっかけは、2024年に起きた紅麹関連製品の健康被害の事案です。同年5月31日の関係閣僚会合で今後の対応がとりまとめられ、8月23日に食品表示基準を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第71号)が公布されました。
| 項目 | 施行・適用 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 健康被害情報の提供 | 2024年9月1日 | 医師が診断した健康被害の情報を、都道府県知事等と消費者庁長官に提供する |
| 新規成分の慎重な確認 | 2025年4月1日 | 公表例のない成分などは届出の期限が販売の120日前になる |
| 届出の方法の告示 | 2025年4月1日 | 届出の様式や記載方法を内閣府告示第35号に規定 |
| 自己点検と報告 | 2025年4月1日 | 遵守状況を点検・評価し、年に1回消費者庁長官へ報告する |
| サプリ形状のGMP | 2026年9月1日 | 錠剤、カプセル剤等食品は内閣府告示第108号の製造基準に従う |
| 表示方法の見直し | 経過措置あり | 「機能性表示食品」の文字を主要面の上部に枠で囲んで表示し、届出番号をその近くに表示する |
GMPについては経過措置があり、2026年8月31日までに製造・加工・輸入された加工食品は従前の例によることができます。サプリ形状とは、天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の加工食品です。詳しくはサプリのGMPガイドで整理しています。
表示の文言も変わりました。改正後は「本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません。」と表示し、届け出た科学的根拠等の情報は消費者庁のウェブサイトで確認できる旨を続けます。包材を新しく作る場合は、改正後の様式で版下を作ると安心です。
届出ガイドラインから「手引き」へ
届出の実務は、2025年3月25日に制定された「機能性表示食品の届出等に関する手引き」に沿って行い、最新版は2025年10月1日の一部改正版です。
制度の開始以来、届出の実務は「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(平成27年3月30日 消食表第141号)に沿って行われてきました。2024年の改正では、ガイドラインの内容をできる限り食品表示基準や告示に規定する方針がとられました。
| 資料 | 日付と番号 | 役割 |
|---|---|---|
| 食品表示基準の一部を改正する内閣府令 | 令和6年8月23日公布(内閣府令第71号) | 届出者の遵守事項を定める |
| 錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準 | 令和6年8月30日(内閣府告示第108号) | サプリ形状のGMPの基準 |
| 届出の方法等を定める告示 | 令和7年3月25日(内閣府告示第35号)、4月1日施行 | 様式と報告の方法 |
| 機能性表示食品の届出等に関する手引き | 令和7年3月25日制定(消食表第273号)、10月1日一部改正(消食表第711号) | 届出の手続きを網羅的にまとめた指針 |
| 機能性表示食品に関する質疑応答集 | 令和7年3月25日全部改正、10月1日一部改正 | 解釈と問い合わせへの回答 |
手引きの制定に伴い、2024年8月30日付の「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」は廃止されました。古い資料をもとに準備すると様式が合わないため、消費者庁のページで最新版を確認してから作業します。
届出後に続く義務
届出が終わっても、健康被害情報の収集と提供、年1回の自己点検報告、GMPの点検、新しい知見の報告が続きます。
- 健康被害情報:医師が診断し、食品に起因する、またはその疑いがあるとされた情報を収集します。発生や拡大のおそれがあれば、都道府県知事等に速やかに提供し、消費者庁長官にも提供します。
- 医師以外からの情報:消費者などから情報を得て、医師の診察が行われていない場合は、医師への受診を勧めるなどの対応をとります。
- 自己点検等報告:届出番号が付与された日から1年を経過する日までに1回目を報告し、その後も1年ごとに報告します。
- GMPの点検:消費者庁は2026年10月1日に届出者向けの点検指針と点検表を示しました。届出者は、製造者が告示どおりに製造しているかを点検し、記録を保管します。
- 新しい知見:安全性や機能性について新たな知見が得られたときは、遅滞なく消費者庁長官に報告します。
健康被害情報の提供は、食品との因果関係がはっきりしない段階でも求められます。届出者がOEMで製造を委託する場合も、責任は届出者にあります。工場との契約で、苦情や品質情報の共有方法を決めておくことが大切です。
見積もり・相談の前に決めておくこと
届け出たい機能と根拠の取り方、剤形が決まっていれば、工場は届出に必要な製造側の資料と見積もりを準備できます。
- 表示したい機能と、機能性関与成分の候補
- 根拠の取り方(研究レビューか、最終製品のヒト試験か)と、資料を作る担当
- 1日あたりの摂取目安量と、関与成分の量
- 剤形(錠剤、カプセル、粉末、液体など)と、サプリ形状として届け出るか
- 健康被害情報の連絡窓口と、社内の対応の流れ
- 販売開始の予定日(60日前または120日前から逆算)
販売開始日から逆算すると、根拠の資料と製造側の資料を並行して準備する必要があることが分かります。
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よくある質問(FAQ)
機能性表示食品は、国が効果を認めた食品ですか?
認めた食品ではありません。事業者が自らの責任で科学的根拠を届け出る制度で、国は審査を行いません。表示でも「国による評価を受けたものではありません」と示す必要があります。
届出はいつまでに出せばよいですか?
販売開始日の60日前までです。行政機関の休日は日数に算入しません。届出の公表例がない機能性関与成分など、確認に特に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は120日前までになります。
2024年の改正で、届出者の義務はどう変わりましたか?
健康被害情報の提供(2024年9月1日)、新規成分の120日ルールと年1回の自己点検報告(2025年4月1日)が加わりました。サプリ形状のGMP(2026年9月1日)も加わっています。いずれも食品表示基準で届出者が守る事項とされています。
以前の届出ガイドラインは、今も使えますか?
現在の届出は、2025年3月25日に制定された手引き(2025年10月1日一部改正)に沿って行います。手引きの制定に伴い、2024年8月30日付のマニュアルは廃止されました。様式も届出データベースの更新に合わせて変わっています。
OEMで製造を委託しても、届出者の責任は変わりませんか?
変わりません。GMPの告示は、製造者が告示に従って製造することを確保する責務を届出者に課しています。健康被害情報の収集と提供も届出者の義務です。
参考
- 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
- 消費者庁「【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について」(告示、手引き、質疑応答集、届出者向け点検指針) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」(令和7年3月25日 消食表第273号、令和7年10月1日一部改正 消食表第711号)
- 消費者庁「機能性表示食品に関する質疑応答集」(令和7年10月1日一部改正)
- 消費者庁食品表示課「機能性表示食品の今後について」(2024年8月) https://www.caa.go.jp/notice/assets/food_labeling_cms201_240823_01.pdf
- 内閣府告示第108号「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」(令和6年8月30日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms205_240830_01.pdf
- 内閣府告示第35号(届出の方法並びに遵守すべき事項その他の必要な事項及び報告の方法を定める告示、令和7年3月25日)
- 消費者庁食品表示課長通知「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準に係る届出者向け点検指針について」(令和8年10月1日 消食表第773号)
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第2条第1項第10号、附則(令和6年8月23日内閣府令第71号)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010
(2026年10月12日確認)