ビタミンやミネラルのサプリを企画すると、「栄養機能食品と書けるのか」という質問が必ず出てきます。栄養機能食品は届出も国の審査も要りませんが、量の範囲と表示の文言は細かく決まっています。しかも2026年10月1日に基準が改正され、下限値・上限値と文言の多くが変わりました。

本記事は、自社ブランドのサプリを日本で販売したい事業者の方に向けた内容です。栄養機能食品の仕組み、2026年10月の改正と経過措置、対象20成分の基準を整理します。あわせて、機能の文言と注意事項、包装に表示しなければならない事項も説明します。版下を作る前に、改正後の基準と改正前の基準のどちらで表示するかを決めておくと、作り直しを防げます。

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栄養機能食品は届出不要で決まった文言を表示する制度

栄養機能食品は、国が決めた20の栄養成分を基準の範囲で含めば、届出も審査もなく、決められた文言で機能を表示できる制度です。

食品表示基準では、栄養機能食品を「栄養成分の補給を目的として摂取をする者」に向けて、栄養成分の機能を表示する食品と定めています。消費者庁の質疑応答集は、食品表示基準に適合すれば、許可申請や届出の必要はないと説明しています。

保健機能食品には、栄養機能食品のほかに特定保健用食品と機能性表示食品があります。3つの違いは次のとおりです。

栄養機能食品機能性表示食品特定保健用食品(トクホ)
国の関与届出・審査ともに不要販売の60日前までに消費者庁へ届出(国の審査ではない)製品ごとに国が審査し、消費者庁長官が許可
表示できる内容20成分ごとに決まった機能の文言だけ届け出た科学的根拠の範囲の機能許可を受けた保健の用途の表示
対象の成分ビタミン13種、ミネラル6種、n-3系脂肪酸根拠を示せる成分(機能性関与成分)許可を受けた関与成分
文言の自由度言い換え不可届出者が根拠に沿って作る許可を受けた内容のとおり

栄養機能食品の強みは、準備の負担が小さく、量と文言を守ればすぐに表示できる点です。一方で、表示できるのは20成分の機能だけです。植物素材やアミノ酸などの機能を書くことはできません。

2026年10月1日の改正と経過措置

2026年10月1日の改正で基準と文言が変わりましたが、2030年3月31日までに製造される加工食品は改正前の基準も使えます。

食品表示基準の別表第十一は、栄養機能食品の成分ごとの基準を定めた表です。令和8年10月1日に公布・施行された「食品表示基準の一部を改正する内閣府令」(令和8年内閣府令第89号)で、この表が見直されました。消費者庁は同じ日に通知(消食表第749号)を出し、表示例も改めています。

改正のポイントは次の3つです。

  • 量の基準:亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、パントテン酸、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンEの下限値または上限値が変わりました
  • 機能の文言:多くの成分で「〜を助ける栄養素のひとつです」のような新しい文言になりました
  • 注意事項:ビタミンAとマグネシウムの注意事項に、成分名が入りました

改正府令の附則第二条には経過措置があります。令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正後の別表第十一にかかわらず、改正前の基準によることができます。業務用加工食品は対象外です。

経過措置を使う場合は、量と文言と注意事項をすべて改正前の基準でそろえます。新しく企画する商品は、改正後の基準で設計しておくと、2030年以降に表示を作り直す必要がありません。

対象の20成分と下限値・上限値

栄養機能食品の対象は20成分で、1日当たりの摂取目安量に含まれる量が、成分ごとの下限値以上・上限値以下に入っている必要があります。

下限値に届かない成分は、機能を表示できません。上限値を超える量を含む場合は、その摂取目安量を設定できません。改正後と改正前の基準は次のとおりです。

栄養成分改正後(2026年10月1日施行)改正前
n-3系脂肪酸0.6〜2.0g同じ
亜鉛2.55〜17mg2.64〜15mg
カリウム840〜2,800mg同じ
カルシウム210〜600mg204〜600mg
鉄1.95〜10mg2.04〜10mg
銅0.24〜4.6mg0.27〜6.0mg
マグネシウム96〜320mg96〜300mg
ナイアシン3.9〜60mg同じ
パントテン酸1.65〜30mg1.44〜30mg
ビオチン15〜500μg同じ
ビタミンA231〜600μg同じ
ビタミンB10.30〜25mg0.36〜25mg
ビタミンB20.42〜12mg同じ
ビタミンB60.39〜10mg同じ
ビタミンB121.20〜60μg0.72〜60μg
ビタミンC30〜1,000mg同じ
ビタミンD2.70〜5.0μg1.65〜5.0μg
ビタミンE1.95〜150mg1.89〜150mg
ビタミンK45〜150μg同じ
葉酸72〜200μg同じ

ビタミンB12とビタミンDは、下限値が大きく上がりました。改正前の下限値ぎりぎりで設計していた配合は、改正後の範囲に入らないことがあります。反対に、亜鉛とマグネシウムは上限値が上がり、銅は上限値が下がっています。

錠剤やカプセルなどの形の食品では、カリウムは栄養機能食品の対象から外れています。食品表示基準の定義で、カリウムを除くと決められているためです。

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機能の文言と摂取の注意事項

機能の文言と注意事項は成分ごとに決まっており、言い換えたり、複数の成分をまとめた文に作り直したりすることはできません。

改正後の機能の文言は次のとおりです。表示するときは「ビタミンCは、〜」のように成分名を主語にします。

栄養成分改正後の機能の文言
n-3系脂肪酸皮膚の健康維持を助ける栄養素のひとつです
亜鉛味覚を正常に保つのを助ける栄養素です/皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです
カリウム血圧を正常に保つのを助ける栄養素です
カルシウム骨や歯を作るのに必要な栄養素のひとつです
鉄赤血球を作るのに必要な栄養素です
銅赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつです
マグネシウム骨や歯を作るのに必要な栄養素のひとつです/エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです/血液循環を正常に保つのを助ける栄養素のひとつです
ナイアシンエネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです/皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです
パントテン酸エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです
ビオチン皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです
ビタミンA暗所での視力を正常に保つのを助ける栄養素です/皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです
ビタミンB1エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです
ビタミンB2エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです/皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです
ビタミンB6たんぱく質からエネルギーを作るのを助ける栄養素です/皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです
ビタミンB12赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつです
ビタミンC抗酸化作用により細胞を保護するのを助ける栄養素のひとつです/皮膚や粘膜、骨、血管のコラーゲン合成を助ける栄養素です/鉄の吸収を助ける栄養素です
ビタミンDカルシウムの吸収を助ける栄養素です/骨を作るのを助ける栄養素のひとつです
ビタミンE抗酸化作用により細胞を保護するのを助ける栄養素のひとつです
ビタミンK骨を作るのを助ける栄養素のひとつです/正常な血液凝固を助ける栄養素です
葉酸赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつです/胎児の正常な発育を助ける栄養素です

注意事項は、すべての成分に共通する文と、成分ごとに加える文があります。共通の文は「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」です。成分ごとに加える文の要点は次のとおりです。

  • 亜鉛:摂り過ぎは銅の吸収を阻害するおそれがある旨と、乳幼児・小児は摂取を避ける旨
  • カリウム:腎機能が低下している方は摂取を避ける旨
  • 銅:乳幼児・小児は摂取を避ける旨
  • マグネシウム:マグネシウムを多量に摂取すると軟便(下痢)になることがある旨と、乳幼児・小児は摂取を避ける旨
  • ビタミンA:妊娠3か月以内または妊娠を希望する女性は、ビタミンAの過剰摂取にならないよう注意する旨
  • ビタミンK:血液凝固阻止薬を服用している方は摂取を避ける旨
  • 葉酸:多量摂取により胎児の発育がよくなるものではない旨

複数の成分を表示する商品では、成分の数だけ文言と注意事項が並びます。包装の面積が足りるかを、配合を決める段階で確認しておくと安心です。

包装に表示しなければならない事項

栄養機能食品には、機能の文言のほかに、名称・摂取目安量・注意事項・決まった定型文など11の事項を表示する義務があります。

食品表示基準第7条は、栄養機能食品に次の事項の表示を求めています。

  1. 栄養機能食品である旨と栄養成分の名称(「栄養機能食品(ビタミンC)」の形)
  2. 栄養成分の機能
  3. 1日当たりの摂取目安量
  4. 摂取の方法
  5. 摂取をする上での注意事項
  6. バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言(「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」)
  7. 消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨(「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」)
  8. 1日当たりの摂取目安量に含まれる、機能を表示する成分の量が栄養素等表示基準値に占める割合
  9. 栄養素等表示基準値の対象年齢と基準熱量に関する文言
  10. 調理または保存の方法に特に注意が必要なものは、その注意事項
  11. 特定の対象者に注意が必要なものは、その注意事項

名称は、複数の成分を表示する場合「栄養機能食品(ビタミンB1・ビタミンB2)」のように並べて書きます。消費者庁のリーフレットの表示例では、栄養素等表示基準値の対象を「18歳以上、基準熱量2,200kcal」と示しています。

表示してはいけない言葉もあります。食品表示基準第9条は、栄養機能食品に、別表第十一にない成分の機能を示す用語と、特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語を表示することを禁じています。

包装に書けること書けないこと
基準の範囲に入っている成分の、決まった機能の文言範囲に入らない成分の機能の文言
「栄養機能食品(亜鉛)」のような名称植物素材やアミノ酸など、20成分以外の機能
決まった注意事項と定型文「〇〇の調子を整える」など特定の保健の目的を示す表現
配合量の事実(「1粒にビタミンC〇mg」)文言を言い換えた表現や、複数の成分の機能をまとめた表現

栄養機能食品であっても、広告やウェブサイトの表現には健康増進法第65条(誇大表示の禁止)や薬機法第68条がかかわります。決まった文言の範囲を超えて効果をうたうと、医薬品的な効能効果の表示とみなされるおそれがあります。

ビタミン・ミネラルの成分ごとの詳しい情報は、ビタミンCサプリのOEM、ビタミンDサプリのOEM、亜鉛サプリのOEM、鉄サプリのOEMで紹介しています。複数の成分を組み合わせる場合は、マルチビタミンサプリのOEMもご覧ください。包装全体の義務表示は、サプリの食品表示の作り方で整理しています。

見積もり・相談の前に決めておくこと

表示する成分と1日当たりの量、どちらの基準で表示するかが決まれば、工場は配合と包装の検討を進められます。

  • 栄養機能食品として表示する成分(複数の場合はすべて)
  • 各成分の1日当たりの量と、1日の粒数または包数
  • 改正後の基準で表示するか、2030年3月31日までの経過措置を使うか
  • 剤形(錠剤・カプセルの場合、カリウムは対象外)
  • 保管中の減少を見込んだ配合量と、上限値までの余裕
  • 包装の形と、表示に使える面積
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

配合量と表示の確認は、製造を始める前の段階で行うほど手戻りが少なくなります。ビタミン類は保管中に減ることがあるため、多めに配合する場合も上限値を超えないかを工場と確認しておくと安心です。

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よくある質問(FAQ)

栄養機能食品の表示に、消費者庁への届出は必要ですか?

必要ありません。届出も国の審査もなく、食品表示基準に適合していれば表示できます。そのかわり、量の範囲、機能の文言、注意事項、定型文などを基準のとおりに表示する責任は事業者にあります。

2026年10月の改正前に作った包装は、いつまで使えますか?

改正府令の附則により、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正前の基準で表示できます。ただし、量・文言・注意事項をすべて改正前の基準でそろえる必要があります。

機能の文言を、自社のブランドに合わせて書き換えてもよいですか?

書き換えることはできません。文言は成分ごとに決まっており、成分名を主語にしてそのまま表示します。複数の成分の機能を一つの文にまとめることもできません。

上限値を超える量を配合した場合はどうなりますか?

その成分を含む量が上限値を超える摂取目安量は設定できず、栄養機能食品としての表示ができません。1日の粒数を減らすか、配合量を下げて範囲に収める必要があります。

植物エキスを加えたサプリでも、栄養機能食品と表示できますか?

基準の範囲に入っているビタミンやミネラルについては表示できます。ただし、植物エキスの機能を書くことはできません。加える素材が食品に使えるかどうかも、配合の段階で確認が必要です。

参考

(2026年10月12日確認)