ビタミンDは、骨の健康を気にする方や、日光に当たる時間が短い方に向けた商品でよく使われるビタミンです。単体のソフトカプセルのほか、カルシウムやマグネシウムと組み合わせた錠剤も多く見られます。ビタミンDサプリは、マイクログラム単位のごく少ない量で配合する点が、ほかのビタミンと大きく違います。

本記事では、ビタミンDサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、栄養機能食品として表示する場合の決まり、いわゆる健康食品として売る場合の表示、剤形と原料の決め方を整理します。2026年10月1日の改正で、栄養機能食品のビタミンDの下限値は引き上げられました。既存の配合をそのまま使う場合も、量の確認が必要です。

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研究で分かっていること

2万5千人規模の大規模試験では、ビタミンDをとってもがんや心血管の病気の発生は減らず、呼吸器の感染症を調べたメタ分析では、もともと不足していた人で差が大きく出ています。

試験/レビュー対象結果
ランダム化比較試験(VITAL)、New England Journal of Medicine 2019(PMID 30415629)米国の50歳以上の男性・55歳以上の女性25,871人。ビタミンD3を1日2,000IU、中央値5.3年がんと主要な心血管の病気の発生はプラセボと差がない。高カルシウム血症などの有害事象の増加もなし
個人データのメタ分析、BMJ 2017(PMID 28202713)25のランダム化比較試験、0〜95歳の10,933人急性の呼吸器感染症が全体で少ない(オッズ比0.88)。毎日・毎週とった人のうち、血中濃度が低かった人で差が大きい(0.30)
メタ分析の総括(アンブレラレビュー)、Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2022(PMID 34687206)骨折を調べたメタ分析。カルシウム併用13本、ビタミンD単独19本ビタミンD単独では骨折の減少は見られない。カルシウム併用では減少した分析が多いが、施設に入所している人の結果による可能性

この3つの結果から、ビタミンDの研究は「誰が、どの形でとったか」で結論が変わることが分かります。VITALの参加者の多くは、ビタミンDが足りていた健康な大人でした。2017年のメタ分析では、まとめて大量にとる方法では差が見られず、毎日・毎週とる方法で差が出ています。

試験で使われた量にも注意が必要です。VITALの1日2,000IUは、ビタミンD 1μg=40IUで換算すると50μgです。日本の栄養機能食品の上限値5.0μgの10倍にあたり、研究と同じ量の製品を栄養機能食品として表示することはできません。

(2026年10月11日時点で、各論文の公開抄録を確認)

栄養機能食品として表示する場合

ビタミンDは栄養機能食品の対象成分で、2026年10月1日の改正後は、1日あたりの摂取目安量に2.70μg以上5.0μg以下を含めば、国が決めた文言で機能を表示できます。

栄養機能食品は、国が決めた栄養成分について、決められた機能を表示できる制度です。届出や国の個別審査は必要ありません。そのかわり、量の範囲と表示する文言が、食品表示基準の別表第十一で決まっています。

別表第十一は、2026年10月1日公布・施行の内閣府令(令和8年内閣府令第89号)で改正されました。ビタミンDの基準は次のとおりです。

項目改正後(2026年10月1日施行)改正前
1日あたりの摂取目安量に含まれる量下限値2.70μg、上限値5.0μg下限値1.65μg、上限値5.0μg
栄養成分の機能「ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける栄養素です。」
「ビタミンDは、骨を作るのを助ける栄養素のひとつです。」
「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。」
摂取をする上での注意事項「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」同じ

下限値は、栄養素等表示基準値の30%で決まります。2025年版の栄養素等表示基準値でビタミンDは9.0μgとなり、下限値も2.70μgに上がりました。上限値5.0μgは、医薬部外品の1日最大分量をもとに決められており、改正後も変わっていません。

改正府令の附則には経過措置があり、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正前の基準によることもできます。たとえば1日2.0μgの配合は、改正前の基準なら範囲内ですが、改正後の基準では下限値を下回ります。2030年4月以降も同じ配合で売る予定なら、早めに量を見直しておくと安心です。

機能の文言と注意事項は、主旨が同じでも言い換えや省略が認められていません。ほかにも、次の表示が必要です。

  • 「栄養機能食品(ビタミンD)」のような、栄養機能食品である旨と成分の名称
  • 1日あたりの摂取目安量と、摂取の方法
  • 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の文言
  • 「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」の文言
  • 1日あたりの摂取目安量に含まれるビタミンDが、栄養素等表示基準値に占める割合

ビタミンDのように食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素は、機能性表示食品の機能性関与成分にはできません。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

栄養機能食品の範囲を超える量のビタミンDサプリは、いわゆる健康食品として売ることになり、身体への効果をうたう表示は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定ビタミンDサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「骨を強くする」「感染症を防ぐ」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1粒にビタミンD3 〇μg」(量の事実)「骨粗しょう症を防ぐ」「免疫力で病気に負けない」
栄養機能食品の決まった文言(範囲内の量で、言い換えずに使う)不足していた人の研究結果を、すべての人に当てはまるように見せる表現
「日に当たる時間が少ない方の毎日に」(使用場面)海外の大規模試験の名前を出して、効果が証明済みであるかのように見せる表現

ビタミンDの製剤設計

ビタミンDは脂に溶けるビタミンで、マイクログラム単位で配合するため、油に溶かすか粉末にするかと、1粒の中で量を均一にすることが設計の中心です。

剤形選ばれる理由検討すること
ソフトカプセル油に溶かして封入でき、脂溶性のビタミンDと相性がよい皮膜の原料(ゼラチンか植物由来か)
錠剤カルシウムやマグネシウムと組み合わせやすい粉末化したビタミンD原料の選択と、量のばらつき
ハードカプセル味がなく、少量の成分を入れやすい1粒に入る量と、混ぜ合わせの均一性

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の種類と由来:ビタミンD3(コレカルシフェロール)とビタミンD2(エルゴカルシフェロール)があります。VITALではD3が使われています。原料の由来は「植物由来」などの表示にかかわるため、原料メーカーに確認します。
  2. 1日あたりの量:栄養機能食品にするなら、改正後は2.70〜5.0μgの範囲です。保管中の減少を見込んで多めに配合する場合も、上限値を超えないようにします。
  3. 組み合わせる成分:カルシウム、マグネシウム、ビタミンKとよく組み合わせます。組み合わせる成分も、食品に使えるかどうかの確認が必要です。
  4. 均一性と包装:ごく少ない量を粉末に混ぜるため、1粒ごとの量のばらつきを工場と確認します。光と酸素を避ける包装も検討します。

ビタミンDは配合量が少ないぶん、原料の価格よりも、量を正確に入れる工程と分析の体制が品質を左右します。工場を選ぶときは、微量成分の分析方法も確認しておきましょう。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

ビタミンD自体は食品に広く使われていますが、骨や体調をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。ほかのビタミンと組み合わせる場合は、マルチビタミンやビタミンCの成分ガイドも参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

原料の種類、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • ビタミンD3かD2か、原料の由来
  • 1日あたりの量(μg)と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、ソフトカプセルの場合は皮膜の原料
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 栄養機能食品として表示するかどうかと、使う文言(改正後か経過措置か)
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

栄養機能食品にするかどうかで、配合できる量の範囲が大きく変わります。表示の方針を先に決めておくと、見積もりがぶれにくくなります。

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よくある質問(FAQ)

ビタミンDの栄養機能食品の基準は、2026年に変わったのですか?

変わりました。2026年10月1日施行の改正で、下限値が1.65μgから2.70μgに上がり、機能の文言も2つに分かれました。上限値の5.0μgは変わっていません。2030年3月31日までに製造する食品は、改正前の基準によることもできます。

1日25μgのような量で、栄養機能食品にできますか?

できません。1日あたりの摂取目安量に5.0μgを超えて含む場合は、栄養機能食品としての機能の表示ができません。そのような量の製品は、いわゆる健康食品として売ることになります。

大規模試験の結果を商品の説明に使えますか?

研究の結果を商品の効果のように見せる使い方は避けてください。VITALではがんや心血管の病気の発生は減っておらず、量も栄養機能食品の範囲を大きく超えています。

ビタミンD3とD2は、どちらを選べばよいですか?

本記事で紹介したVITALはD3を使っています。原料の由来によって表示できる内容も変わるため、原料メーカーに由来と規格を確認して選びます。

カルシウムと組み合わせた商品は作れますか?

作れます。それぞれを栄養機能食品として表示するなら、両方を範囲内の量にし、成分ごとの文言と注意事項を表示します。カルシウムは粒が大きくなりやすいため、剤形も合わせて検討します。

参考

(2026年10月11日確認)