サプリのOEMを探すと、多くの工場が「GMP認証取得」と案内しています。ところが日本の健康食品のGMPには、法律上の義務、国の自主的な指針、民間の認証という3つの層があります。どれを指しているかで、意味は大きく変わります。
本記事は、日本国内で自社ブランドのサプリを販売したい事業者の方に向けた解説です。GMPの中身、2026年9月1日に義務になった範囲、いわゆる健康食品の自主的な指針、民間認証との違いを整理します。工場に確認したい書類も、あわせて紹介します。
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サプリのGMPとは
GMP(適正製造規範)は、原材料の受け入れから最終製品の出荷まで、すべての工程で製造管理と品質管理を組織的に行うための基準です。
錠剤やカプセルのサプリは、原料を濃縮する工程を経るため、製品ごとに成分の偏りが生じるおそれがあります。原料の安全性を確かめていても、工程の管理がなければ、想定した安全性が保証されない場合があります。消費者庁や厚生労働省の指針は、こうした理由からGMPによる品質の確保を求めています。
機能性表示食品のサプリ形状に適用される内閣府告示第108号は、主に次の事項を定めています。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 責任者の体制 | 製造所ごとに総括責任者を置き、その下に製造管理責任者と品質管理責任者を置く。製造管理責任者と品質管理責任者は兼ねない |
| 製品標準書 | 製品ごと・製造所ごとに、成分と分量、規格と試験方法、製造手順などを文書にする |
| 製造と品質の管理 | ロットごとの製造指図書と記録、原材料・中間品・製品の試験検査 |
| 出荷の判断 | 総括責任者が製造と品質の結果を評価し、出荷の可否を決める |
| バリデーション | 初めて製造するときや、品質に大きく影響する変更のときに、手順が期待どおりの結果を出すかを検証する |
| 自己点検と記録 | 定期的な自己点検。製造・保管の記録は作成から3年間、または消費期限等から1年間保管する |
| 安全性情報と教育 | 原材料の安全性情報の収集と評価、複数の作業員による確認の記録、計画的な教育訓練 |
3つの層:法的な義務、自主的な指針、民間の認証
GMPが法的な義務になっているのは、機能性表示食品のサプリ形状と指定成分等含有食品で、いわゆる健康食品は国の指針に沿った自主的な取り組みです。
| 区分 | 根拠 | 位置づけ | 主に守る・確認する人 |
|---|---|---|---|
| 機能性表示食品(錠剤、カプセル剤等食品) | 内閣府告示第108号(2024年8月30日) | 2026年9月1日から届出者が守る事項 | 届出者が製造者を点検し、消費者庁が立入検査等を行う |
| 指定成分等含有食品 | 指定成分等含有食品の製造又は加工の基準(令和2年厚生労働省告示第121号) | 2020年6月から適用 | 製造・加工する事業者 |
| いわゆる健康食品(錠剤、カプセル剤等食品) | 錠剤、カプセル剤等食品のGMP指針(2024年3月11日通知) | 事業者の自主的な取り組み | 製造・加工する事業者 |
| 民間のGMP認証 | 認証機関ごとの基準 | 任意 | 認証機関が工場を審査 |
指定成分等含有食品は、食品衛生法で指定された成分を含む食品です。それ以外の錠剤・カプセルのサプリは、機能性表示食品として届け出ない限り、GMPは法律上の義務ではありません。ただし国の指針は、GMPに沿った製造管理と品質管理を行うことが望ましいとしています。
2026年9月1日から義務になった範囲
義務の対象は、「天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品」として届け出た機能性表示食品で、2026年9月1日以降に製造等されるものです。
対象となる食品は、食品表示基準で次のように定められています。天然物や天然由来の抽出物を、分画・精製・濃縮・乾燥などで成分割合を変えたもの、または化学的合成品を原材料とする、錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の加工食品です。機能性表示食品の届出では、この区分に当たるかどうかを選びます。その他の加工食品として届け出る場合は、該当しない合理的な理由が必要です。
経過措置として、2026年8月31日までに製造・加工・輸入された加工食品は、従前の例によることができます。届出者の責務は告示第4条に定められています。
- 製造者が告示に従って製造することを確保する
- 機能性関与成分を含む原材料について、製品標準書の規格に適合したものが供給されることを確保する
製造所ごとの扱いは、工程の内容で分かれます。消費者庁の手引きは、製品に何かが混入できる状態や、製品に手で直接触れられる状態の工程を「衛生状態に変化を生じる工程」としています。この工程を行う製造所は、告示の基準に基づいて製造していることを届出で確認します。一次包装済みの製品を受け入れて二次包装だけを行う製造所は、衛生状態に変化を生じない工程として扱われます。
消費者庁は2026年10月1日、届出者向けの点検指針と点検表を示しました。届出者は届出の際と届出後に、点検表で製造者の体制を確認し、記録を保管します。結果は、毎年の自己点検等報告で報告します。剤形ごとの違いはサプリの剤形ガイド、届出の流れは機能性表示食品の届出ガイドで整理しています。
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いわゆる健康食品のGMPは国の指針に沿った自主的な取り組み
機能性表示食品以外の錠剤・カプセルのサプリには、2024年3月11日の国の指針があり、事業者が自主的に沿うことが期待されています。
厚生労働省は2024年3月11日、平成17年の通知を廃止し、2つの指針を新たに示しました(健生食基発0311第2号)。
| 指針 | 主な内容 |
|---|---|
| 原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針 | 食経験、文献調査、安全性試験の3段階で原材料を点検する。食薬区分の確認も点検の項目に含まれる |
| 製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針 | 責任者の体制、製品標準書、製造管理、品質管理、構造設備など |
GMP指針は、2024年12月27日に一部改正されました(消食基第419号)。紅麹関連製品の事案を受けて、微生物の培養や発酵で作る原材料を使う場合の製品標準書の指針が加わっています。2026年6月19日には、消費者庁が項目解説と自己点検表を改めて示しました。
原材料の点検では、配合する成分が「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」にないことを確かめます。食薬区分の考え方は、食薬区分のガイドで説明しています。
民間のGMP認証との違い
民間のGMP認証は、認証機関が工場を審査して認証する任意の仕組みで、機能性表示食品の告示への適合は、認証とは別に届出者が点検します。
厚生労働省の「健康食品」の安全性確保に関する検討会は、2008年の報告書で第三者認証制度の導入を挙げました。事業者以外の第三者が、原材料の安全性やGMPの水準を客観的に確認することが重要だとしています。現在、業界団体などが運営する民間のGMP認証があり、取得するかどうかは工場の判断です。
民間の認証は、公的な義務とは役割が違います。消費者庁の点検表は、告示と国の指針で求める内容が一部異なる点を注記しています。たとえば指針は責任者の実務経験を5年以上とすることを望ましいとしていますが、告示にこの要件はありません。認証を持つ工場でも、告示の項目を満たしているかの確認は欠かせません。
工場に確認したい書類は次のとおりです。
- GMP認証の認証書:認証機関名、対象の製造所と住所、認証の範囲、有効期限を確認します。
- 製造所の情報:機能性表示食品として届け出る場合は、届出に記載する製造所と、実際に製造する製造所が一致しているかを確認します。
- 製品標準書の考え方:規格、試験方法、製造手順をどのように文書にするかを確認します。
- 試験成績書:ロットごとに、規格に適合しているかを示す書類です。認証書とは別の書類です。
認証書は製造所の管理体制を示し、試験成績書は個々のロットの中身を示します。どちらか一方では、もう一方の代わりになりません。
見積もり・相談の前に決めておくこと
機能性表示食品として届け出るかどうかと剤形が決まれば、必要なGMPの層と、工場に求める書類が決まります。
- 機能性表示食品として届け出るか、いわゆる健康食品として売るか
- 剤形(錠剤、カプセル、粉末、液体など)と包装の形
- 機能性関与成分を含む原材料と、その規格書
- 民間のGMP認証を取得した工場での製造を希望するか
- 工場から受け取りたい書類(認証書、試験成績書など)
- 健康被害や品質の情報を、工場とどう共有するか
義務の有無にかかわらず、書類のやりとりを最初に決めておくと、販売後の問い合わせにも対応しやすくなります。
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よくある質問(FAQ)
日本で作るサプリは、すべてGMPが義務ですか?
義務ではありません。法的な義務は、機能性表示食品のサプリ形状(2026年9月1日から)と指定成分等含有食品です。それ以外の錠剤・カプセルのサプリには国の指針があり、事業者が自主的に沿うことが期待されています。
2026年9月1日の義務化で、何が変わりましたか?
天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品として届け出た機能性表示食品は、内閣府告示第108号の基準に従って製造することが届出者の遵守事項になりました。2026年8月31日までに製造等されたものには経過措置があります。
民間のGMP認証を持つ工場なら、告示の義務も満たしていますか?
認証だけで判断はできません。告示と国の指針では求める内容が一部異なります。機能性表示食品の届出者は、消費者庁の点検表で製造者の体制を点検し、記録を残す必要があります。
粉末や液体のサプリも、GMPの義務の対象ですか?
天然抽出物等を原材料とする粉末剤や液剤等の加工食品として届け出た機能性表示食品は対象です。対象かどうかは、届出で選ぶ「食品の区分」で決まります。
GMP認証書と試験成績書は、何が違いますか?
認証書は、製造所の製造管理と品質管理の体制が基準に沿っていることを示します。試験成績書は、特定のロットが規格に適合していることを示します。役割が違うため、両方を確認します。
参考
- 内閣府告示第108号「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」(令和6年8月30日、令和6年9月1日施行) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms205_240830_01.pdf
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)附則(令和6年8月23日内閣府令第71号)第2条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」(令和7年10月1日一部改正)、届出者向け点検指針(令和8年10月1日 消食表第773号) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/
- 消費者庁食品表示課「機能性表示食品の今後について」(2024年8月) https://www.caa.go.jp/notice/assets/food_labeling_cms201_240823_01.pdf
- 厚生労働省通知「「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」及び「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」について」(令和6年3月11日 健生食基発0311第2号、令和6年12月27日一部改正 消食基第419号) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/health_food/
- 消費者庁食品衛生基準審査課 事務連絡「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」に係る項目解説及び自己点検表について(令和8年6月19日)
- 厚生労働省「「健康食品」の安全性確保に関する検討会報告書の概要」(2008年) https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0704-9b.pdf
(2026年10月12日確認)