サプリの企画で最初に確かめるべきことは、配合したい成分が食品に使えるかどうかです。海外で人気の素材でも、日本では医薬品の成分として扱われ、サプリにできない場合があります。成分が使えても、表示や飲み方の書き方しだいで医薬品とみなされることもあります。

本記事では、日本国内で自社ブランドのサプリを販売したい事業者の方に向けて、食品と医薬品を分ける「食薬区分」の仕組みを整理します。判断の土台となる昭和46年の通知、2つの成分リスト、効能効果・形状・用法用量の考え方、リストにない成分の照会手続きを、厚生労働省の通知に沿って説明します。

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食薬区分は「医薬品にあたるか」を判断する仕組み

口から摂る物が医薬品にあたるかどうかは、昭和46年の厚生省薬務局長通知(46通知)に基づき、成分・形状・表示・販売方法を総合して判断されます。

46通知は、昭和46年6月1日の「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(薬発第476号)です。別紙の「医薬品の範囲に関する基準」が、医薬品かどうかを判断する物差しになっています。基準は、通常人が医薬品の目的を持つ物と認識するかどうかで判断すると定めています。

判断に使う要素は次のとおりです。

  • 成分本質(原材料)
  • 形状(剤型、容器、包装、意匠など)
  • 表示された使用目的・効能効果・用法用量
  • 販売方法や販売の際の説明

一方で、基準は次の3つを原則として医薬品と認識しない物としています。外観から明らかに食品と分かる野菜や調理品、許可を受けた表示をする特別用途食品、届け出た表示内容を表示する機能性表示食品です。自社ブランドのいわゆる健康食品は、この例外にあたらないため、4つの要素を一つずつ確認する必要があります。

2つのリスト:専ら医リストと非医リスト

個別の成分の扱いは、令和2年3月31日の例示通知にある「専ら医リスト」と「非医リスト」で確認でき、専ら医リストの成分は食品に使えません。

成分のリストは、「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号)の別添にまとめられています。

リスト正式名サプリでの扱い
別添1(専ら医リスト)専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト効能効果・形状・用法用量にかかわらず、原則として医薬品の範囲。食品として製造・販売できない
別添2(非医リスト)医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト医薬品的な効能効果・形状・用法用量でなければ、食品として扱える

注意したいのは、同じ植物でも部位によって扱いが分かれることです。例示通知には、根は専ら医リスト、地上部は非医リストという書き分けもあります。原料メーカーの規格書で、学名と使用部位まで確認します。

非医リストについて、46通知は「食品としての安全性等の評価がなされたもののリストではない」と明記しています。非医リストに載っていても、食品としての安全性は別に確認が必要です。また、非医リストの原材料でも、水とエタノール以外の溶媒で抽出した場合は、改めて検討の対象になります。

リストは改正が続いています。2026年5月28日付の改正通知(医薬監麻発0528第1号)でも、専ら医リストへの追加と非医リストの記載整備が行われました。厚生労働省の法令等データベースに掲載された別添1は「2026.8.5更新」と表示されています。企画のたびに最新版を確認してください。

判定の4つの要素:成分・効能効果・形状・用法用量

専ら医リストにない成分でも、医薬品的な効能効果、アンプル形状などの医薬品的な形状、医薬品的な用法用量のどれか一つにあたれば、原則として医薬品とみなされます。

46通知の「判定方法」は、次の2段階です。

  1. 専ら医リストにあたる成分を配合している場合は、効能効果・形状・用法用量にかかわらず、原則として医薬品とする
  2. それ以外の成分でも、効能効果・形状・用法用量のどれかが医薬品的であれば、原則として医薬品とみなす

2種類以上の成分を配合した製品は、どれか一つの成分が医薬品と判定されれば、製品全体が医薬品とみなされます。

要素医薬品的とみなされる例(46通知)サプリの企画で気をつけること
効能効果病気の治療や予防をうたう表現。疲労回復、体力増強、食欲増進、老化防止など、身体機能の増強を主な目的とする表現商品名、キャッチコピー、原料の由来や製法の説明、医師や学者の談話の引用でも、暗示とみなされることがある
形状アンプル形状など、通常の食品として流通しない形状錠剤・カプセルは、食品である旨を明示すれば、原則として形状だけで医薬品と判断されない
用法用量服用時期・服用間隔・服用量を細かく定める記載(例「1日2〜3回、1回2〜3粒」「食前、食後に」)栄養機能食品は摂取方法の記載が認められるが、「食前」「食後」「食間」など食品らしくない表現は医薬品的とみなされる
成分本質専ら医リストの成分配合するすべての成分を、学名・部位まで確認する

効能効果の判断は、容器や包装だけでなく、チラシ、パンフレット、ウェブサイトなどの広告物にも及びます。販売ページのコピーやSNSの投稿も、表示と同じ目で確認しておくと安全です。

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リストにない成分は照会で判断を求める

どちらのリストにも載っていない成分は、製造・輸入する事業者が都道府県の薬務担当課を通じて厚生労働省に資料を出し、判断を求めることができます。

46通知の別添「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」は、照会の手続きを次のように定めています。

段階内容
資料の準備学名、使用部位、薬理作用または生理作用、毒性、麻薬・覚せい剤様の作用、国内外での医薬品としての承認の前例、食習慣などの資料をそろえる
提出都道府県の薬務担当課を通じて、厚生労働省の監視指導・麻薬対策課に提出する
判断監視指導・麻薬対策課が学識経験者と協議し、専ら医薬品の成分にあたるかを判断する。追加資料を求められることがある

申請の様式は、令和4年7月26日の通知(薬生監麻発0726第1号)で示されています。新しい素材を使う企画は、照会と追加資料のやりとりの期間も見込んで計画します。

機能性表示食品で、これまで届出の公表例がない機能性関与成分を使う場合も同じ論点が出てきます。消費者庁の手引きは、医薬品にあたらないことを都道府県を通じて確認した文書の提出を求められた場合は、速やかに応じるよう定めています。制度の詳細は機能性表示食品の届出ガイドで整理しています。

OEMの企画で食薬区分を確かめる順番

配合案ができた段階で、成分のリスト確認、表示と広告の確認、飲み方の書き方の確認を、この順番で行うと手戻りが少なくなります。

  1. 全成分の洗い出し:主成分だけでなく、少量の植物エキスや香りづけの素材も含めて一覧にします。
  2. リストとの照合:学名・使用部位・抽出溶媒を、専ら医リストと非医リストの最新版と照らし合わせます。
  3. 表示と広告の確認:商品名、キャッチコピー、販売ページの説明が、医薬品的な効能効果の暗示になっていないかを見ます。
  4. 飲み方の書き方:服用時期や回数を細かく指定する表現を避け、摂取の目安の書き方を決めます。
  5. 形状と包装:アンプルのような医薬品を思わせる形状や意匠を避け、食品である旨を明示します。

食薬区分は、表示だけでなく製造そのものにかかわります。日本の工場は日本の法律のもとで製造するため、専ら医リストの成分は食品として製造できません。成分ごとの扱いは、NMNサプリのOEMやGABAサプリのOEMでも具体的に説明しています。

見積もり・相談の前に決めておくこと

全成分の一覧と、表示・広告で使いたい言葉が決まっていれば、食薬区分の確認と見積もりを同時に進められます。

  • 配合するすべての成分と、その原料の規格書(学名・使用部位・抽出溶媒)
  • 商品名と、パッケージ・販売ページで使いたい主な言葉
  • 剤形(錠剤、カプセル、粉末など)と包装の形
  • 1日あたりの摂取の目安と、その書き方
  • 機能性表示食品として届け出るか、いわゆる健康食品として売るか
  • 海外の素材など、リストに載っていない可能性がある成分の有無

成分の一覧が早い段階でそろうほど、照会が必要な成分を早く見つけられます。

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よくある質問(FAQ)

食薬区分とは何ですか?

口から摂る物が食品か医薬品かを判断する仕組みです。昭和46年の通知(薬発第476号)の基準に基づき、成分本質、形状、表示された効能効果・用法用量、販売方法を総合して判断します。

非医リストに載っていれば、どんな表示でも食品として売れますか?

売れません。非医リストは、医薬品的な効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分のリストです。医薬品的な効能効果・形状・用法用量にあたる表示をすれば、医薬品とみなされるおそれがあります。

錠剤やカプセルのサプリは医薬品とみなされませんか?

46通知は、食品である旨が明示されていれば、原則として形状だけで医薬品と判断しないとしています。ただし、アンプル形状など通常の食品として流通しない形状は、医薬品と判断される場合があります。

「1日2粒」と書いてもよいですか?

46通知は、服用時期・服用間隔・服用量を細かく定める記載を、原則として医薬品的な用法用量とみなすとしています。栄養機能食品は摂取方法の記載が認められていますが、「食前」「食後」などの表現は避けます。書き方は工場や都道府県の担当課と相談しながら決めると確実です。

リストはどのくらいの頻度で変わりますか?

決まった周期はありませんが、改正は続いています。2026年にも5月28日付の改正通知が出ています。企画のたびに、厚生労働省の最新の通知とリストを確認してください。

参考

  • 厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日 薬発第476号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4935&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長通知「「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」の一部改正について」(令和8年5月28日 医薬監麻発0528第1号)および同年6月3日付の訂正事務連絡
  • 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知「新規成分本質(原材料)の判断に関する照会の際の様式について」(令和4年7月26日 薬生監麻発0726第1号)
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」(令和7年10月1日一部改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145

(2026年10月12日確認)