NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、エイジングケアをテーマにしたサプリで注目されている成分です。体の中でNAD+という補酵素の材料になる物質で、日本でもNMNを使った機能性表示食品が届け出られています。

本記事は、NMNサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた内容です。研究で分かっていること、機能性表示食品といわゆる健康食品の表示の違い、剤形と配合の決め方を整理します。NMNは話題性が高い一方で、ヒトでの研究はまだ始まったばかりです。研究の現状を正しく知っておくと、エイジングケアの広告で行き過ぎた表現を避けやすくなります。

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研究で分かっていること

NMNのヒト試験は小規模で短期のものが中心で、血中のNAD+が増えることは繰り返し報告されていますが、それ以外の結果はまだはっきりしていません。

試験/レビュー対象結果
系統的レビューとメタ解析、Current Diabetes Reports 2024(PMID 39531138)2021〜2023年に発表された8試験、中高年342人。1日250〜2,000mgを14日〜12週間空腹時血糖、インスリン、HbA1c、脂質の指標に有意な差はなかった
ランダム化比較試験、GeroScience 2024(PMID 38789831)65〜75歳の60人。1日250mgまたはプラセボを12週間主要評価項目の足踏みの検査では差がなかった。副次評価項目で、4m歩行の時間が短く、血中のNAD+が多く、睡眠の質の点数が良かった
単群・非盲検の試験、Endocrine Journal 2024(PMID 38191197)健康な中年の日本人男性11人。1日250mgを8週間問題なく摂取でき、血液の細胞の中のNAD+が増えた
単群の安全性試験、Endocrine Journal 2020(PMID 31685720)健康な日本人男性10人。100mg・250mg・500mgを1回ずつ摂取目立った症状や心拍・血圧などの変化はなかった。一部の検査値は正常範囲内で変化

メタ解析に含まれる試験は8件で、合計342人、期間は長くても12週間でした。エイジングケアという長い時間がかかるテーマに対して、研究の規模と期間はまだ小さいといえます。

歩く速さや睡眠の結果は、60人を対象にした1件の試験によるもので、別の研究者による確認はまだです。また、この試験は食品企業が全額の資金を出し、著者4人のうち3人がその企業の社員でした。2024年と2020年の『Endocrine Journal』の試験は、プラセボと比べていない点にも注意が必要です。

(2026年10月11日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

NMNは、機能性表示食品として「肌の潤いや弾力の維持」や「中高年の歩行能力の維持」といった、限られた趣旨の表示で届け出られています。

機能性表示食品として販売するには、販売前に、機能性の科学的根拠と安全性の情報を消費者庁に届け出ます。届出は国の審査や許可ではなく、届出者が自らの責任で根拠を示す制度です。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

2024年の制度改正で、届出者の責任は重くなりました。錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品では、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務になりました。この義務は2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。

NMNで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究をまとめた研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか。NMNはヒト試験の数が少ないため、根拠の取り方が特に重要になります
  • 関与成分の量:根拠とする研究で使われた1日あたりのNMNの量と合わせる
  • 分析の方法:製品中のNMNの量を測る方法と、賞味期限まで量を保つ体制

届出の表示は、一つの機能と、試験で使われた量に結びついています。「若返り」や「老化を止める」のような広い表現は、届出の範囲を超えてしまいます。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ないNMNサプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定NMNサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「老化を防ぐ」「若返る」「血糖値が下がる」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「純度No.1」「医師も愛用」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日2粒にNMN〇mg」(量の事実)「老化を止める」「寿命が延びる」
「年齢を重ねた毎日の習慣に」(使用場面)病名や検査値を挙げた表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)動物実験の結果を、人への効果のように見せる表現

NMNの製剤設計

NMNはヒト試験で1日250mgなど数百ミリグラム単位の量が使われており、剤形を選ぶうえでは原料の純度と安定性の確認が品質を左右します。

剤形選ばれる理由検討すること
ハードカプセル味がなく、粉のまま詰められる1日の量に合わせた粒の大きさと粒数
錠剤1回あたりの費用を抑えやすい打錠の工程での安定性
粉末スティック量を調整しやすく、飲み物に混ぜられる味と、湿気を防ぐ包装

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来:原料メーカーに、製造の方法、純度、分析の方法、分析結果の証明書を確認します。複数の原料を検討する場合は、規格書を並べて比較します。
  2. 1日あたりの量:機能性表示食品にするなら、根拠とする研究の量に合わせます。ヒト試験では1日250mgが複数の試験で使われています。
  3. 組み合わせる成分:エイジングケアをテーマにした配合では、植物素材を組み合わせることがよくあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  4. 包装・安定性:目標とする賞味期限での安定性のデータを、原料メーカーと工場に確認します。湿気を防ぐアルミ包装や、乾燥剤入りのボトルを検討します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、厚生労働省のもう一つのリストに例として載っています。「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」です。医薬品的な効能効果をうたうと医薬品と判断されるおそれがある点は、ほかの成分と同じです。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。肌をテーマにした配合は、コラーゲンペプチドサプリのOEMもご覧ください。

見積もりの前に決めておくこと

NMNの量、原料の規格、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • NMNの1日あたりの量と、1袋あたりの日数
  • 原料の規格(純度、分析の方法)
  • 剤形と1日の粒数
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

NMNの効果は、研究で確かめられていますか?

血中のNAD+が増えることは、複数のヒト試験で報告されています。一方で、試験は小規模で短期のものが中心で、2024年のメタ解析では血糖や脂質の指標に差はありませんでした。広告では、研究の規模と限界を踏まえた言葉を選ぶことが大切です。

NMNは日本で食品に使えますか?

NMNは、厚生労働省の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に例として掲載されています。医薬品的な効能効果をうたわない限り、医薬品とは判断されません。食品として使う際は食品衛生の規制もあわせて確認し、リストも最新の版を確認してください。

「アンチエイジング」と広告に書けますか?

老化を止める、若返るといった意味に受け取られる表現は避ける必要があります。機能性表示食品でも、表示できるのは届け出た一つの機能の範囲だけです。

1日あたりの量はどのくらいにすればよいですか?

ヒト試験では1日250mgが複数の試験で使われています。機能性表示食品にする場合は、根拠とする研究の量に合わせます。いちばん多い量を選ぶのではなく、根拠とする研究に合わせて決めることが大切です。

工場に製造を断られることはありますか?

NMN自体ではなく、組み合わせた植物素材が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。

参考

  • “Effects of Nicotinamide Mononucleotide on Glucose and Lipid Metabolism in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomised Controlled Trials”, Current Diabetes Reports 2024, PMID 39531138, PMC11557618
  • “Ingestion of β-nicotinamide mononucleotide increased blood NAD levels, maintained walking speed, and improved sleep quality in older adults in a double-blind randomized, placebo-controlled study”, GeroScience 2024, PMID 38789831, PMC11336149
  • “Safety and efficacy of long-term nicotinamide mononucleotide supplementation on metabolism, sleep, and nicotinamide adenine dinucleotide biosynthesis in healthy, middle-aged Japanese men”, Endocrine Journal 2024, PMID 38191197
  • “Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolite levels in healthy Japanese men”, Endocrine Journal 2020, PMID 31685720
  • 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
  • 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月11日確認)