インドネシアのサプライヤーから仕入れたい、あるいはインドネシアの工場に製造を委託したいと考えたとき、事業許認可の仕組みが度々変わっていることや、ハラール認証の扱いが分かりにくいという声をよく聞きます。
本記事では、インドネシアでの調達・委託製造を進める際に確認すべき公的な制度と窓口を、インドネシア政府機関の公表情報をもとに整理します。
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事業許認可の一元窓口OSSとNIB
インドネシアの事業許認可はOSS(オンライン・シングル・サブミッション)に一元化されており、事業者番号NIBが実質的な営業許可の基礎になっています。
OSSはインドネシア政府が運営する電子申請システムで、事業者はここで登記情報を提出し、事業者番号(Nomor Induk Berusaha、NIB)の発行を受けます。以前は輸入業者番号(Angka Pengenal Importir、API)を別途取得する必要がありましたが、現在はNIBが輸入業者番号を兼ねる仕組みに統合されています。輸入目的によってAPI-U(一般貿易用)とAPI-P(自社の生産活動用)の区分があり、どちらの区分でNIBを取得しているかで扱える輸入の範囲が変わります。委託先の工場やパートナー企業がどちらの区分を持っているかは、取引の前に確認しておくべき項目です。
| 区分 | 対象 | できること |
|---|---|---|
| API-U(一般貿易) | 転売目的で輸入を行う事業者 | 商品としての輸入 |
| API-P(自社生産) | 自社の生産に使う原材料・部品・資本財を輸入する事業者 | 生産目的の輸入のみ |
(2026年9月25日時点でOSS公式情報を確認)
インドネシアの国家規格SNIとBSN
インドネシア国家標準化庁(BSN)がインドネシア国家規格(SNI)の策定を担い、対象品目にはSNI取得が義務づけられています。
BSNはインドネシアの非省庁型政府機関で、標準化と適合性評価に関する政策を所管し、3万件を超えるSNI規格を策定・維持しています。SNIには強制規格(SNI Wajib)と任意規格(SNI Sukarela)の区分があり、強制規格の対象品目は認証を取得しないとインドネシア国内での販売・流通ができません。対象品目の範囲は所管省庁ごとの規則で個別に定められ、改定されることがあるため、委託製造や仕入れを検討している品目が強制規格の対象かどうかは、発注前に確認する必要があります。
ハラール認証制度BPJPH
ハラール製品保証庁(BPJPH)がインドネシアのハラール認証を統括しており、対象となる製品カテゴリーには認証取得が義務化されています。
BPJPHは宗教省の下にあるハラール認証の統括機関で、ハラール検査機関(LPH)やハラール認証補助機関(LP3H)、認定監査員などのネットワークを通じて認証の審査・発行を行っています。食品・飲料・化粧品・医薬品など一部のカテゴリーでは、インドネシア国内で流通させる際にハラール認証の取得が義務づけられており、対象範囲は段階的に拡大されています。委託製造で食品・化粧品を扱う場合、ハラール認証の要否と、対象であればどの段階で取得するかを工場選定の前に確認しておく必要があります。
| 目的 | 窓口 | できること |
|---|---|---|
| 事業許認可・輸入業者番号を取得する | OSSシステム | NIB(事業者番号)の発行 |
| 規格認証の要否を確認する | 国家標準化庁(BSN) | SNI対象品目の確認 |
| ハラール認証の要否を確認する | ハラール製品保証庁(BPJPH) | 認証対象カテゴリーの確認、認証申請 |
(2026年9月25日時点で各機関の公式情報を確認)
輸出書類と原産地証明の発給機関
インドネシアからの輸出における原産地証明書(Surat Keterangan Asal、SKA)は、商業省が指定する発給機関(IPSKA)が発給しています。
商業省(Kementerian Perdagangan)の対外貿易総局は、電子原産地証明システム(e-SKA)を通じて原産地証明書の発給を管理しています。IPSKA(Instansi Penerbit Surat Keterangan Asal)は原産地証明書を発給する権限を持つ機関の総称で、商業省が各地域の発給機関を指定する仕組みです。ASEAN物品貿易協定(ATIGA)のForm DやRCEP用の様式など、使う協定によって申請する様式が異なるため、輸入側でどの協定の特恵税率を使うかを先に決めておくと手続きがスムーズです。
主な港と輸送ルート
インドネシアの海上輸出入はタンジュンプリオク港(ジャカルタ)とスラバヤのタンジュンペラ港が中心で、島嶼国という地理特性から国内輸送の経路も見積もりに含める必要があります。
タンジュンプリオク港はジャワ島西部・ジャカルタ首都圏の玄関口で、インドネシア最大の取扱量を持つ港です。タンジュンペラ港は東ジャワの拠点で、スラバヤ近郊の工業団地からのアクセスに使われます。委託先の工場がジャワ島以外(スマトラ、スラウェシなど)にある場合、島間の国内輸送を経て輸出港へ運ぶ経路になることがあるため、リードタイムの見積もりに国内輸送区間を含めてください。
日本やベトナムへ入れるときの協定の選び方
インドネシアから日本、あるいはベトナムへ持ち込む際にどの経済連携協定を使うかは、協定ごとに税率と原産地規則が異なるため個別の判断が必要です。
インドネシアから日本への輸入で使える協定(日インドネシアEPA・AJCEP・RCEP)の選び方と原産地証明の実務はタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方にまとめています(インドネシアも同じ枠組みで扱えます)。インドネシアの部材をベトナムの自社工場へ入れる場合の書類・関税の考え方はASEAN部品・原料をベトナムの自社工場へ入れるをご覧ください。
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よくある質問
1. インドネシアで輸入業者として取引するには何が必要ですか?
A. OSSシステムを通じて事業者番号(NIB)を取得する必要があります。現在はNIBが輸入業者番号(API)を兼ねており、転売目的か自社生産目的かでAPI-U・API-Pの区分が分かれます。
2. SNI認証はすべての製品に必要ですか?
A. いいえ。SNIには強制規格と任意規格があり、強制規格の対象品目のみ認証取得が必須です。対象範囲は所管省庁ごとに定められ改定されることもあるため、発注前に確認してください。
3. ハラール認証はどんな製品に必要ですか?
A. 食品・飲料・化粧品・医薬品など一部のカテゴリーで義務化されており、対象範囲は段階的に拡大されています。ハラール製品保証庁(BPJPH)が認証を統括しています。
4. インドネシアから輸出する際の原産地証明書はどこで発給されますか?
A. 商業省が指定する発給機関(IPSKA)が、電子原産地証明システム(e-SKA)を通じて発給します。使う協定によって申請する様式が異なります。
5. インドネシアから日本やベトナムへ輸入するとき、どの協定を使えばよいですか?
A. 協定ごとに税率と原産地規則が異なるため、品目のHSコードで比較する必要があります。日本向けはタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方、ベトナムの自社工場向けはASEAN部品・原料をベトナムの自社工場へ入れるをご覧ください。
まとめ
インドネシアからの調達・委託製造では、事業許認可(OSS・NIB)、規格認証の要否(SNI・BSN)、ハラール認証の要否(BPJPH)、原産地証明の発給(IPSKA)、そして主要港(タンジュンプリオク港・タンジュンペラ港)という5つの確認ポイントを押さえておくと、手戻りを減らせます。
制度は改定されることがあるため、発注前に必ず最新情報を確認してください。
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※出典:インドネシアOSSシステム公式情報、インドネシア国家標準化庁(BSN)公式サイト、ハラール製品保証庁(BPJPH)公式サイト、インドネシア商業省 電子原産地証明システム(e-SKA)公式サイト。2026年9月25日確認。