ベトナムをはじめアジアのサプリ・食品・化粧品のメーカーやOEM工場の中には、日本で作られた原料を探している会社があります。ただ、海外の買い手との商談は、何を求められているのかがわからないまま書類のやりとりで止まってしまうことが少なくありません。

本記事では、日本のサプリ原料をアジアのメーカーへ販売したい原料メーカー・商社に向けて、買い手が最初に求める書類、サンプルの出し方、輸出の段取り、販路の作り方を、商談が進む順番に沿って整理します。成分ごとの説明や、輸入国での食品・医薬品の区分の判断には踏み込みません。区分は、使う国の現行規則で、使う側(メーカー)が確認する事柄だからです。

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アジアの買い手は「誰が、何のために」原料を探しているか

アジアで日本の原料を探しているのは、主にサプリ・食品・化粧品のメーカー、受託製造を行うOEM工場、そして自社ブランドを企画する会社で、それぞれ判断の基準が違います。

同じ「原料の問い合わせ」でも、相手が誰かによって、最初に送るべき資料と商談の進み方が変わります。

買い手の種類主な関心最初に求められやすいもの
メーカー(自社工場あり)自社の配合・工程に合うか、品質が安定しているか規格書、CoA、製造工程の概要
OEM工場(受託製造)顧客ブランドの配合を再現できるか、書類が顧客と当局に出せるか規格書、CoA、SDS、アレルゲン情報
ブランド企画会社「日本の原料」を商品の訴求に使えるか、少量から始められるか原産地の情報、サンプル、規格書

ブランド企画会社は自社では製造せず、配合と原料の選定だけを行い、製造はOEM工場に任せることが多くあります。その場合、実際に原料を受け取って使うのはOEM工場なので、書類はOEM工場の品質管理担当が読むことになります。誰が書類を読む人なのかを、最初のやりとりで確かめておくと、資料の出し直しが減ります。

「日本の原料」であることの伝え方

アジアの消費者向け商品では、日本で作られたことが商品の魅力の一つとして使われることがあります。ただし、原料を日本で製造したのか、日本の会社が海外で製造したものを扱っているのかで、原産地の書き方は変わります。後で説明する原産地の書類と、販売資料の表現をそろえておくことが大切です。

買い手が最初に求める5つの書類

商談の最初の段階で求められる書類は、規格書(スペックシート)、分析証明書(CoA)、安全データシート(SDS)、アレルゲン情報、原産地の情報の5つで、これらがそろっていると比較の土俵に乗りやすくなります。

書類中身買い手が確かめること
規格書(スペックシート)成分名、含量の規格、性状、分析方法、微生物・重金属などの規格値、保管条件、有効期限自社の配合・工程と、輸入国の規格に合うか
分析証明書(CoA)ロットごとの分析結果規格書の項目と分析方法が一致しているか、ロット番号と日付
安全データシート(SDS)物理化学的性質、取扱い、保管、輸送上の注意倉庫での保管方法、輸送の条件
アレルゲン情報原料とその製造工程で使うアレルゲンの有無製品のラベル表示に必要な情報
原産地の情報どこで製造されたか、由来原料の産地ラベル表示、関税、販売資料の表現

規格書とCoAは「項目と分析方法」をそろえる

買い手の品質管理担当が最初に見るのは、規格書とCoAの項目が一致しているかどうかです。規格書には含量の規格として「◯%以上」と書かれているのに、CoAには別の分析方法で測った数字が載っている、という食い違いは、海外の買い手から質問が来やすい点です。分析方法(どの公定書の方法か、社内の方法か)を明記しておくと、買い手側で受入検査を組みやすくなります。

SDSは国内で使っているものをそのまま出せるか

SDS(安全データシート)は、厚生労働省の職場のあんぜんサイトの説明では、化学物質やそれを含む混合物を譲渡・提供するときに、物理化学的危険性・健康有害性と取扱いの情報を相手方に伝えるための文書とされています。日本では、記載項目をJIS Z 7253に沿って作成する形が標準になっています。

国内向けに作ったSDSは日本語で書かれていることが多いため、海外の買い手には英語版を求められるのが普通です。食品原料の場合、「食品なのでSDSは不要」と考えている会社もありますが、海外の工場や物流会社からは、保管と輸送の判断のためにSDSを求められることがあります。英語版を一つ用意しておくと、商談の初期で止まりにくくなります。

アレルゲン情報は「輸入国の表示ルール」で読まれる

アレルゲンとして表示が必要な品目は国によって異なります。日本の特定原材料の一覧だけでなく、乳・大豆・小麦・甲殻類・魚など、原料と製造工程で使うものを広めに一覧にしておくと、買い手が自国の表示ルールに当てはめて判断できます。どの品目を表示すべきかの最終判断は、製品を売る国の規則に沿って、製品のメーカーが行います。

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サンプルの出し方で商談の進み方が変わる

買い手は書類を見たあとにサンプルで試作をすることが多いため、サンプルの量・送り方・付ける書類を最初に決めておくと、商談が早く進みます。

サンプルについて、送る前に決めておきたいのは次の点です。

  • 量:試作に足りる量か。配合試験と安定性の確認を考えると、買い手が必要な量を先に聞くのが確実です
  • ロット:量産品と同じロットから出すのか、サンプル用に別に用意したものか
  • 付ける書類:サンプルにもCoAを付けると、買い手は量産品との比較がしやすくなります
  • 送り方:国際宅配便で送れるか、品目によって送れない・追加書類が要る場合がないか
  • 保管条件:冷蔵が必要な原料は、届くまでの温度をどう保つか

粉末の原料は、見た目だけでは中身がわからないため、国際宅配便の会社や輸入国の税関から、成分の説明やSDSを求められることがあります。サンプルの段階から、英語の品名と成分の説明を用意しておくと、通関で止まりにくくなります。

試作の結果は量産の条件と結びつける

サンプルでの試作がうまくいっても、量産品が同じ品質で届かなければ意味がありません。サンプルと量産品で、製造ロット、包装の形、保管条件が変わる場合は、事前に伝えておきます。買い手側の試作の進め方は、完成品の側から書いたサプリOEMの試作と見積もり|進め方と準備も参考になります。

輸出のときに確認すること

原料の輸出では、HSコード(関税分類)、原産地証明、輸送中の温度と湿度、ラベル、有効期限の残りを、出荷前に買い手と確認しておく必要があります。

確認項目確認する内容
HSコード輸入国での関税分類。原料の形状や成分で変わる
原産地証明協定の税率を使うか、どの協定を使うか
輸送条件常温か冷蔵か、湿気を避ける包装か
包装とラベル内袋・外装の材質、ロット番号と有効期限の表示
有効期限の残り到着時点で買い手が使い切れる期間が残っているか

原産地証明とEPA

日本とベトナムをはじめとするアジアの国々の間には、経済連携協定(EPA)があります。日本商工会議所の案内では、EPAの原産資格を満たしていることを証明する書類が「特定原産地証明書」で、経済産業大臣が指定した発給機関である日本商工会議所が発給しているとされています。この書類があると、相手国の税関でEPA税率(通常よりも低い関税率)の適用を受けることができます。協定によっては、輸出者が自ら原産地を証明する自己証明制度もあります。

発給を受けるには、事前に企業登録をし、産品ごとに原産性の判定を受ける手順があります。どの協定を使うと有利か、原産性の基準を満たすかは、原料の製造工程と使っている材料によって変わるため、輸出が決まる前の段階で確認しておくと安心です。協定の選び方の考え方は、輸入側の視点ですがタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方も参考になります。

輸入国での手続きは輸入者が行う

原料を輸入する国での手続き(食品として使えるかの確認、届出や登録、輸入時の検査など)は、原料を輸入して使うメーカー、つまり輸入者が行うのが基本です。輸出する側にできるのは、輸入者が手続きに必要とする書類をそろえて渡すことです。

輸入国で、その原料が食品に使えるのか、医薬品の扱いになるのか、届出が必要なのかは、国ごと・成分ごとに異なり、規則も変わります。原料メーカーが「この国では使えます」と言い切ってしまうと、後で行き違いが起きたときに問題になります。「使う国の現行規則で、使う側が確認してください」と伝えたうえで、確認に必要な書類を出す、という線引きが安全です。

販路の作り方は3つ

アジアへの販路は、自社で直接売り込む方法、現地の代理店・商社を通す方法、日本側の商社に輸出を任せる方法の3つに大きく分かれ、どれが合うかは社内の体制と取引の規模で決まります。

販路向いている会社注意点
自社で直接販売海外営業の担当がいて、英語で書類対応ができる買い手ごとの問い合わせ対応、代金の回収、少量注文への対応
現地の代理店・商社特定の国で継続して販売したい代理店の選び方、独占かどうか、価格の決め方
日本側の商社に輸出を任せる海外営業の体制がまだない、まずは反応を見たい誰が買い手に説明するか、書類と情報の受け渡し

直接販売で起きやすいこと

直接販売では、価格を自社で決められる一方で、一件ごとに異なる国の買い手から、書類の追加や少量のサンプル、支払い条件の相談が来ます。買い手によっては、最初は試作用の少量から始めたいと考えます。そうした少量の注文に、輸出の手配と書類の作成で対応できるかが、直接販売を続けられるかの分かれ目になります。

代理店・商社を通すときに決めること

現地の代理店や商社を通す場合は、どの国のどの範囲で売ってもらうのか、独占にするのか、価格と在庫を誰が持つのかを決めます。代理店契約の考え方は、ベトナムでの販売を例にベトナム独占販売契約で決める7項目で整理しています。

Sunshoができること

Sunsho Tradeは、ホーチミンに拠点を置く日系の商社です。日本の原料と、空カプセル・ボトル・パウチ・ラベルなどの消耗品を仕入れ、ベトナムをはじめアジアのメーカー・OEM工場へ供給しています。

原料メーカー・商社の方に対しては、次のようなお手伝いができます。

  • 規格書・CoA・SDS・アレルゲン情報・原産地の情報を、買い手が読みやすい形にそろえる
  • 買い手からの質問を日本語に整理して伝え、回答を現地の言葉と英語で返す
  • サンプルの手配と、試作の結果の聞き取り
  • 輸出の手配

原料の取引条件(価格・数量・納期)は、原料の種類と買い手の条件によって大きく変わるため、個別に伺ってから整理します。サービスの詳細は原料・消耗品の供給をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 海外の買い手に最初に送るべき書類は何ですか?
規格書、分析証明書(CoA)、安全データシート(SDS)、アレルゲン情報、原産地の情報の5つです。英語版を用意しておくと、商談の初期で止まりにくくなります。

Q2. 食品原料でもSDSは必要ですか?
国や品目によって扱いは異なりますが、海外の工場や物流会社から、保管と輸送の判断のために求められることがあります。英語版を一つ用意しておくと対応しやすくなります。

Q3. 輸入国でその原料が使えるかは、輸出する側が確認すべきですか?
輸入国での扱い(食品に使えるか、届出が要るか)は、使う国の現行規則で、原料を輸入して使うメーカーが確認するのが基本です。輸出する側は、確認に必要な書類をそろえて渡します。

Q4. 特定原産地証明書は誰が発給しますか?
日本商工会議所の案内では、経済産業大臣が指定した発給機関である日本商工会議所が発給しています。発給を受けるには企業登録と、産品ごとの原産性の判定の手順があります。協定によっては自己証明制度もあります。

Q5. 海外営業の担当がいなくても、アジアへ原料を販売できますか?
日本側の商社に輸出と買い手とのやりとりを任せる方法があります。まずは書類をそろえ、買い手の反応を見ながら、直接販売や代理店に広げるかを判断する進め方もあります。

まとめ

日本のサプリ原料をアジアのメーカーへ販売するときは、買い手が誰で、誰が書類を読むのかを最初に確かめることから始まります。規格書・CoA・SDS・アレルゲン情報・原産地の5つの書類を、項目と分析方法をそろえて英語で用意しておくと、比較の土俵に乗りやすくなります。

サンプルは量・ロット・書類・送り方を先に決め、輸出ではHSコードや原産地証明、輸送条件を出荷前に確認します。輸入国での手続きは輸入者が行うという線引きを保ちながら、自社の体制に合った販路を選んでください。

💬 日本の原料のアジア向け販売は、Sunshoにご相談ください。 サービスの内容は原料・消耗品の供給、ご相談はお問合せフォーム・LINEからどうぞ。

参考(2026年10月25日確認)