工場に初めて問い合わせるとき、多くの方が「試作品を見られますか」「いくらかかりますか」の2つをたずねます。どちらも当然の質問ですが、具体的な答えが出るのは、いくつかの項目が決まってからです。
本記事は、自社ブランドのサプリを日本国内で販売したい事業者の方に向けた内容です。試作の流れ、見積もりの金額を左右する情報、最低ロットや価格を一律に示せない理由を整理します。準備する情報がそろうほど、試作と見積もりのやりとりは短くなります。
💬 配合のアイデアはあるけれど、試作はまだという方へ。 成分の確認から試作、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造まで、流れに沿ってご相談いただけます。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。
試作の一般的な流れ
試作は、配合の案をもとに少量を作り、ブランド側が意図どおりかを確かめ、必要に応じて調整を重ねて、基準となる試作品を決める流れで進みます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 配合の相談 | ブランド側が成分の案、1日あたりの量、参考にしたい商品を伝える。工場は、すべての成分が食品に使えるか、技術的に作れるかを確認する |
| 初回の試作 | 配合の案にもとづいて少量を作り、味・食感・見た目・粒の大きさなどを確かめる |
| 評価と調整 | ブランド側が意図と比べて評価する。味、甘さ、食感、色、粒の大きさがよく調整される |
| 追加の試作 | 必要な回数だけくり返す。グミ・ゼリー・飲料は、錠剤やカプセルより調整が多くなりやすい |
| 試作品の確定 | 基準とする試作品をブランド側が承認する。その内容が製品規格書のもとになる |
| 保存試験(必要な場合) | 決めた条件で一定期間保存し、品質の変化を確かめる。味を見る試作より時間がかかる |
試作の期間は、剤形と調整の回数で大きく変わります。一般的な日数を示しても目安にならないため、示していません。具体的な配合をもとに、見通しをご説明します。
試作で最初に確認するのは、味よりも先に、成分が食品に使えるかどうかです。日本では、厚生労働省の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」にある成分を含むと、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
試作品を評価するときの観点
試作品は味や飲みやすさだけでなく、販売する形の包装に入れたときの品質の変化と、賞味期限の設定に使える根拠があるかという観点でも評価します。
消費期限または賞味期限は、食品表示基準で表示が必要な項目です。消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月)は、期限を設定する食品関連事業者を「表示責任者」と呼んでいます。表示責任者が、食品の特性に応じて科学的・合理的な根拠にもとづき期限を決めることが期待されています。
同じガイドラインでは、期限の根拠として、理化学試験・微生物試験・官能検査などで数値化できる項目を使うとしています。賞味期限は、理化学試験や官能検査など品質の試験の結果を優先して決める期限と整理されています。
自社ブランドで販売する場合、表示内容に責任を持つのは販売者です。工場が行う保存試験の結果を受け取り、期限の根拠として保管しておく流れを、試作の段階で決めておくと安心です。詳しくはサプリの賞味期限の決め方をご覧ください。
見積もりの金額を左右する情報
見積もりの正確さは、もとになる仕様で決まり、成分とその量、剤形と1粒の重さ、検査の範囲、包装、製造数のどれが変わっても金額が変わります。
| 工場が必要とする情報 | 金額が変わる理由 |
|---|---|
| すべての成分と、1日あたりの量 | 多くの配合で、原材料費が最も大きな費用になる |
| 剤形と、1粒の重さ・1包の量 | 使う設備、充てんの速さ、カプセルやコーティングの費用が変わる |
| 検査の範囲(含量、微生物、重金属など)と、自社試験か外部の試験機関か | 検査の項目と、外部に出すかどうかで費用が変わる |
| 包装の形と素材 | ボトル、PTP、分包、パウチで、使う設備と費用が変わる |
| 製造数 | 数が増えると1個あたりの費用は下がりやすいが、比例はしない |
| 販売の区分(いわゆる健康食品、栄養機能食品、機能性表示食品) | 必要な分析や書類、製造管理の水準が変わる |
見積もりの前に固めておきたい仕様の中身は、サプリの製品規格書で詳しく説明しています。検査の範囲の考え方は、サプリの試験成績書も参考にしてください。
販売の区分は、日本で売る場合に特に影響が大きい項目です。機能性表示食品の届出では、機能性関与成分が表示された量含まれていることを、第三者機関で実施した分析試験の成績書で示します。届出後も、機能性関与成分の試験検査を定期的に行い、点検の結果を報告する仕組みになっています。
錠剤・カプセルなどの形状の機能性表示食品は、2026年9月1日から、GMPに基づく製造管理が届出者の義務になっています。届け出る予定があるかどうかは、見積もりを頼むときに必ず伝えてください。
💬 仕様の一部しか決まっていなくても大丈夫です。 今ある情報をお送りいただければ、正式な見積もりに足りない項目をお伝えします。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。
最低ロットや価格を一律に示さない理由
最低ロットと価格は、剤形・成分・包装によって大きく変わるため、具体的な仕様が決まる前に示した数字は、実際のどの商品にも当てはまりません。
安定した成分を使うシンプルな錠剤と、油に溶ける成分を包むソフトカプセルでは、費用のかかり方がまったく違います。何度も味の調整が必要なグミとも違います。仕様の違う商品をまとめて一つの数字で示すと、ある商品には低すぎ、別の商品には高すぎる数字になります。
本記事やほかのガイドでも、同じ理由で進め方の説明にとどめて数字を載せていません。具体的な配合をいただければ、その商品に合わせた数字をご説明します。
見積もり後に金額が変わる場面
見積もりは、計算のもとにした仕様と製造数に結び付いているため、どちらかが変われば、自動的な調整ではなく見積もりの出し直しになるのが一般的です。
見積もりを受け取ったら、どの版の仕様と、何個の製造数にもとづく金額かを確認してください。次のような変化があると、金額が変わることがあります。
- 検査の項目を増やす、または外部の試験機関に出すことにした
- 包装の形や素材、資材の仕入れ先が変わった
- 製造数が、見積もりのときから増えた、または減った
- 原材料の価格が、見積もりのときから動いた
見積もりの有効期間と、出し直しになる条件を最初に決めておくと、請求書を見て驚くことを防げます。変更が生じたときは、工場から早めに知らせてもらう取り決めにしておくと安心です。
見積もり・相談の前に決めておくこと
次の情報を最初にそろえるほど、正式な見積もりまでのやりとりが少なくなります。
- 使いたい成分と、1日あたりの量
- 剤形の希望、または工場の提案を受けたいか
- 参考にしたい商品や試作品があるか
- 販売の区分(機能性表示食品として届け出るかどうか)
- 初回の製造数のおおよその見込み
- 包装の形の希望、または工場の提案を受けたいか
すべてが決まっていなくても相談はできます。決まっていない項目は、試作と相談の中で一緒に決めていきます。
💬 試作と見積もりの準備を始めたい方は、Sunshoにお知らせください。 配合の案を伺い、試作品と正式な見積もりに必要な情報をご案内します。お問合せフォーム・LINEから。
よくある質問(FAQ)
試作に費用はかかりますか?
商品の内容と開発の範囲によって異なります。一律の金額を示すとどの商品にも合わないため、ブランドごとに直接ご説明しています。
試作は何回くらいになりますか?
剤形と、初回の試作が意図にどれだけ近いかで変わります。よく知られた配合の錠剤なら少ない回数で決まることがあり、味を作り込むグミや飲料は回数が増えやすくなります。
複数の製造数で見積もりをもらえますか?
仕様が決まっていれば、いくつかの製造数で金額を出してもらうのが一般的です。1個あたりの費用がどう変わるかを比べてから、初回の製造数を決められます。
詳細を伝えずに、おおよその金額だけ教えてもらえますか?
剤形や成分による幅が大きすぎて、参考になる数字にならないことがほとんどです。成分と剤形の希望を伝えていただく方が、意味のある金額に早くたどり着けます。
機能性表示食品にすると、見積もりは変わりますか?
変わることがあります。第三者機関での分析や届出の書類が必要になり、錠剤・カプセルなどの形状ではGMPに基づく製造管理も届出者の義務になるためです。届け出る予定は最初にお伝えください。
参考
- 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_250328_1029.pdf
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」(令和7年10月1日一部改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/assets/food_labeling_cms205_251001_41.pdf
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010
- 「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号)別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(厚生労働省)
(2026年10月12日確認)