製品規格書は、工場・試験機関・販売者が、商品を売り続けるあいだ何度も立ち返る書類です。規格書がないまま見積もりを頼んでもおおよその金額しか出ず、製造した品物が正しいかどうかを判断する基準もありません。
本記事は、自社ブランドのサプリを日本国内で販売したい事業者の方に向けた内容です。製品規格書に書く項目と、GMPの指針が定める「製品標準書」との関係を説明します。あわせて、賞味期限と保存方法の決め方、食品表示や届出とのつながりを整理します。
💬 試作品はあるけれど、規格書はまだという方へ。 承認した試作品をもとに規格書を作るのが一般的な順番です。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。
製品規格書に書く項目
製品規格書には、すべての原材料とその量、剤形と1粒の重さ、外観、微生物や重金属などの管理項目と基準、賞味期限と保存方法、包装を書きます。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 原材料と1日あたりの量 | 機能を期待して配合する成分だけでなく、賦形剤、カプセルの皮膜、コーティング剤、香料、着色料まで、1日あたり・1粒あたりの量 |
| 剤形と重さ | 錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、粉末、ゼリー、グミなどの別と、1粒・1包の目標の重さと許容範囲 |
| 外観 | 色、形、大きさ、表面の状態。合格品の見た目と、不良とする状態 |
| 含量 | 機能を期待して配合する成分の量と、許容する範囲、測定の方法 |
| 微生物 | 検査する微生物の種類と、それぞれの基準 |
| 重金属・残留農薬など | 検査する項目と基準。植物を原料にする場合は残留農薬も検討する |
| 賞味期限 | 製造日から品質を保証する期間と、その前提となる保存条件 |
| 保存方法 | 温度、湿度、光など、賞味期限まで品質を保つための条件 |
| 包装 | ボトル、PTP、分包、パウチなどの形と素材、乾燥剤などの有無 |
どの項目をどの基準で管理するかは、製品ごとに規格書で決めます。基準の数値は、法令の規格がある項目はそれを満たすように、法令の規格がない項目は業界団体の自主基準や工場との取り決めをもとに決めるのが一般的です。
GMPの指針が定める「製品標準書」との関係
GMPの指針は、製品ごとに「製品標準書」を作って製造所に備えるよう定めており、製品規格書で決めた内容は製品標準書の中身とほぼ重なります。
消費者庁が示す「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」では、製造業者が製品ごとに製品標準書を作ります。製品標準書に書く主な事項は次のとおりです。
- 製品の名称と販売名
- 製品の成分と分量
- 原材料・製品・中間品の規格と試験検査の方法
- 容器包装の規格と試験検査の方法
- 製造の方法と手順
- 製品の保管条件と、消費期限または賞味期限
- 1日の摂取目安量と、使用上または取扱い上の注意
- 製造の一部を委託する場合の取り決めの内容が分かる書類
製品標準書は工場が作って管理する書類で、品質部門の承認を受けたものとされています。販売者と工場が合意する製品規格書は、製品標準書の土台になります。規格書で決めていない項目は、工場の判断で決まることになるため、上の項目に漏れがないか確認すると安心です。
機能性表示食品のうち錠剤・カプセルなどの形状のものは、内閣府告示第108号(令和6年8月30日)でも、製造者が製品ごとに製品標準書を作ることが定められています。同じ告示は、届出者が、機能性関与成分を含む原材料について、製品標準書の規格に合ったものが供給されるよう確保することも求めています。
賞味期限と保存方法の決め方
賞味期限は、表示に責任を持つ事業者が、試験の結果などの科学的・合理的な根拠にもとづいて決め、前提とした保存条件を保存方法として表示します。
消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月)では、期限を設定する食品関連事業者を「表示責任者」と呼んでいます。期限の根拠には、理化学試験・微生物試験・官能検査などで数値化できる項目を使うとしています。
同じガイドラインは、年単位で品質が保たれることが理論的に算出できる食品については、品質が保たれなくなるまで試験を続けなくてもよいとしています。科学的・合理的な知見を根拠にできる場合があるということです。
常温で保存する食品については、期限を決めるときに想定した温度や湿度などの条件を、保存方法に書き添えることが望ましいとされています。製品規格書の保存条件と、表示する保存方法をそろえておくと、説明に食い違いが出ません。保存試験の進め方は、サプリの賞味期限の決め方で詳しく説明しています。
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食品表示・届出とのつながり
製品規格書は社内と工場で使う書類で、表示とは別のものですが、原材料名・内容量・栄養成分表示・保存方法など、表示の多くは規格書の内容から作られます。
| 表示や届出の項目 | 規格書との関係 |
|---|---|
| 原材料名・添加物 | 規格書の原材料を、食品表示基準のルールに従って重量の多い順に表示する |
| 栄養成分表示 | 分析した値、または合理的な推定にもとづく値を表示する。推定の値には、その旨の表示と根拠資料の保管が必要 |
| 保存方法・賞味期限 | 規格書の保存条件と期限の設定と一致させる |
| アレルゲン | 原材料やカプセルの皮膜などに特定原材料が含まれるかを、規格書の段階で確認する |
| 機能性表示食品の届出 | 製品規格書などの規格を示す資料と、分析試験の成績書を届出に添付する(非公開の資料) |
アレルゲンの対象品目と書き方は、サプリのアレルゲン表示で整理しています。製造したロットが規格を満たしているかは、サプリの試験成績書で確かめます。
栄養成分の値は、食品表示基準で、分析で得た値が表示した値を基準とする許容差の範囲内にあることが求められています。推定の値を使う場合も、表示した値と分析の値が一致しない可能性があることを示し、根拠資料を保管します。
機能性表示食品は、届け出た後の規格書の変更にも注意が必要です。消費者庁の「機能性表示食品の届出等に関する手引き」は、変更届出で規格書を変える場合、前の資料と異なる点を明示するよう求めています。製造する施設を追加・削除する場合も、その旨を届け出ます。
規格書を作る順番と、抜けやすい項目
規格書は、試作品を承認した後に工場が案を作り、販売者が確認して承認するのが一般的で、抜けやすいのは原材料ではなく検査の頻度と許容範囲です。
手戻りの少ない順番は、配合を決め、試作品を承認し、その試作品にもとづいて規格書を書き、規格書にもとづいて見積もりと製造を行う流れです。試作の前に書いた規格書は目標にすぎません。味、色の安定、崩れやすさなどは、実際に作ってみると紙の上とは違う結果になることがあります。
試作の進め方は、サプリOEMの試作と見積もりで整理しています。
販売者が最初に用意する案では、原材料の一覧はよく決まっています。抜けやすいのは、各検査を毎回行うか一定の間隔で行うか、重さの許容範囲をどこまでとするか、基準ぎりぎりの品物をどう扱うか、といった運用の部分です。規格書の中で決めておくと、工場との関係が安定します。
見積もり・相談の前に決めておくこと
次の項目がそろっているか、工場と一緒に決める準備ができていれば、正式な見積もりを頼めます。
- すべての原材料と、1日あたりの量
- 剤形の希望と、1粒の目標の重さ
- 承認した試作品があるか、これから試作するか
- 目標とする賞味期限と、実際に置かれる保存環境
- 販売の区分(機能性表示食品として届け出るかどうか)
- 包装の形の希望
決まっていない項目は、工場の提案を受けながら決めることもできます。ただし、販売の区分だけは早めに決めておくと、検査の範囲と書類の準備が定まります。
💬 配合や試作品を、規格書の形に整えたい方は、Sunshoにお送りください。 足りない項目をお伝えし、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造までご提案します。お問合せフォーム・LINEから。
よくある質問(FAQ)
規格書がなくても見積もりはもらえますか?
おおよその幅は出せますが、正式な見積もりにはなりません。1粒の重さ、検査の範囲、包装など、金額を左右する項目の多くが規格書で決まるためです。
微生物や重金属の基準は、だれが決めますか?
法令の規格がある項目は、それを満たすように決めます。法令の規格がない項目は、業界団体の自主基準や、原材料の性質から実際に達成できる水準をもとに、販売者と工場で合意して書面にします。
製品規格書と製品標準書は同じものですか?
同じではありません。製品標準書は、GMPの指針にもとづいて工場が製品ごとに作り、製造所に備える書類です。製品規格書は販売者と工場が合意する仕様で、製品標準書の土台になります。
賞味期限は工場が決めてくれますか?
試験は工場が行うことが多いですが、期限の設定は表示に責任を持つ事業者が行うものと整理されています。試験の結果と期限の根拠を受け取り、自社でも保管しておくことをおすすめします。
規格書と表示は同じ書類ですか?
違います。規格書は製造と検査のための書類で、表示は食品表示基準などのルールに従って作る別の書類です。原材料名や保存方法など、表示の多くは規格書の情報から作られます。
参考
- 消費者庁「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」(令和6年12月27日一部改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/health_food/
- 消費者庁「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」(令和6年内閣府告示第108号) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms205_240830_01.pdf
- 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_250328_1029.pdf
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」(令和7年10月1日一部改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/assets/food_labeling_cms205_251001_41.pdf
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010
(2026年10月12日確認)