サプリの包装に印字する賞味期限は、「この日まで品質を保てます」という約束です。OEMでは工場が試験をしてくれることが多いものの、期限を表示する責任は、ブランドとして販売する事業者にもかかわります。根拠のない長い期限は、売り場や消費者からの問い合わせで困る原因になります。

本記事では、サプリをOEMで製造したい事業者の方に向けて、消費期限と賞味期限の違いと、安定性試験の進め方を整理します。令和7年3月に改正された消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」の考え方も紹介します。あわせて、機能性表示食品で特に注意する点と、食品表示基準にそった期限の書き方も説明します。

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消費期限と賞味期限の違い

食品表示基準は消費期限と賞味期限を別々に定めており、品質が急速に劣化しやすい食品以外には賞味期限を表示します。

項目消費期限賞味期限
食品表示基準の定義定められた方法で保存した場合に、腐敗などの品質の劣化で安全性を欠くおそれがないと認められる期限定められた方法で保存した場合に、期待される全ての品質の保持が十分に可能と認められる期限
優先する試験微生物試験など安全性の試験理化学試験や官能検査など品質の試験
消費者庁が挙げる例弁当、調理パン、そうざい、生菓子類、生めん類スナック菓子、即席めん類、缶詰

消費者庁のガイドラインは、品質が急速に劣化する食品には消費期限を、比較的劣化しにくい食品には賞味期限を表示すべきとしています。水分の少ない錠剤・カプセル・粉末のサプリは、多くの場合、賞味期限を表示する食品にあたります。

賞味期限は、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない、とされています。ただし、機能性表示食品では成分の量を期限まで保つ必要があり、品質の「期待」の中身が一般の食品より厳しくなります。

誰が、どう決めるのか

期限は、その食品を最も理解している製造業者・加工業者・販売業者が、科学的・合理的な根拠にもとづいて自ら設定し、表示します。

消費者庁のガイドラインのQ&Aでは、輸入食品以外は製造業者、加工業者または販売業者が、責任を持って期限を設定し表示するとされています。期限に限らず、食品の表示は表示責任者が行うものです。OEMで自社ブランドとして販売する場合も、設定した期限に責任を持つ立場にあることを意識しておきます。

ガイドラインは、品目ごとに必ず行う検査は決めていません。表示責任者が、食品の特性や保存状態に応じて、期限を決めるための客観的な項目と基準を自ら決める必要があるとしています。

  • 客観的な項目:理化学試験、微生物試験、官能検査などで数値にできる項目
  • 類似する食品のデータ:特性が似ている食品の試験結果を参考に期限を設定することもできる
  • 科学的な知見:年単位で品質が保たれることを理論的に算出できる食品は、長期の試験を必ずしも行わなくてもよい
  • 根拠の保管:期限設定の根拠となる資料を整え、消費者などから求められたら情報を提供するよう努める

ガイドラインは食品全般に向けたもので、サプリに特化した試験の方法までは示していません。そのため、どの項目を何で測るかは、工場や原料メーカーと相談して決めることになります。

令和7年3月の改正で変わった考え方

改正後のガイドラインは、安全係数を1に近づけることが望ましいとし、常温で保存する食品には想定した温度や湿度を保存方法に添えることが望ましいとしています。

ガイドラインの記載サプリで考えること
得られた期限に1未満の安全係数をかける場合、安全係数は1に近づけることが望ましい試験で確かめた期間に対して、必要以上に短い期限にしない
品質のばらつきが大きい食品は、特性に応じて安全係数を設定する必要がある天然原料など、ロットによる差が大きい配合は余裕を見込む
常温保存の考え方には、季節や出荷先の気温、流通全体の温度を考慮する夏場の倉庫や配送の温度を前提に含める
常温で保存する食品は、想定した温度や湿度を保存方法に付記することが望ましい「直射日光・高温多湿を避けて保存」などの書き方を検討する
期限表示は未開封の状態が前提である旨を表示することは適切ボトルや袋の商品では、開封後の注意書きを入れる

ガイドラインは、過度に低い安全係数で期限を設定し、在庫を減らすために期限を貼り替えて消費者に誤解を与えた事例にも触れています。最初に試験で根拠を固め、適切な期限を決めておくことが大切です。

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安定性試験の進め方

サプリの賞味期限は、実際の保存条件で品質の変化を追う試験を基本に、高い温度や湿度で変化を早める試験を目安として組み合わせて決めるのが一般的です。

試験の種類内容使い方
実保存の試験想定する保存条件で保管し、一定の間隔で測る最も信頼できる根拠。ただし、期限と同じだけの時間がかかる
加速の試験高い温度や湿度で保管し、変化を早く起こす発売前の目安として使い、実保存の試験で確かめる
開封後の試験開け閉めをくり返した状態を再現して測る粒数の多いボトルや袋で、注意書きの根拠にする

加速の試験だけで長い期限を決めるのは避け、実保存の試験を続けて確かめるのが安全です。測る項目は剤形と配合で変わります。たとえば、ビタミンなど量が減りやすい成分の含有量、水分、色やにおい、錠剤の硬さや崩れやすさ、微生物などです。

包装は、賞味期限と切り離せません。同じ配合でも、ボトルかPTP包装か、乾燥剤を入れるかで結果が変わります。包装を決めてから試験をするか、候補の包装ごとに比べるかを、工場と最初に決めておきます。包装の選び方はPTP・アルミ袋・パウチの選び方、サプリのボトル素材の選び方、サプリの乾燥剤・脱酸素剤で説明しています。

機能性表示食品で注意すること

機能性表示食品では、表示した機能性関与成分の量を、賞味期限まで通して保つ必要があります。

消費者庁の「機能性表示食品の届出等に関する手引き」は、機能性関与成分の含有量の書き方を定めています。1日あたりの摂取目安量あたりの量を、販売期間(賞味期限を表示する場合はその期間)を通じて含有する値で記載します。一定の値で書く場合は分析値がその値を下回らないこと、下限値と上限値で書く場合は分析値がその範囲内であることが必要です。

サプリ形状の機能性表示食品は、GMPにもとづく製造管理が届出者の義務で、2026年9月1日に完全施行されています。消費者庁の基準では、製品ごとの製品標準書に、製品の保管条件と賞味期限を記載することになっています。賞味期限の根拠となる試験の記録を、工場と届出者のどちらがどう持つかも決めておきます。

成分の量が時間とともに減る場合は、減る分を見込んで製造時の量を多めに設計することがあります。ただし、多めに入れた量でも安全性の範囲を超えないことを確かめる必要があります。

期限の書き方

製造から賞味期限までが3か月を超える場合は、賞味期限を年月で表示でき、その場合は期限の日の前の月で表示します。

食品表示基準では、賞味期限は年月日の順で表示します。製造または加工の日から賞味期限までが3か月を超える場合は、年月の順で表示することで年月日の表示に代えられます。

決まり内容
年月で表示する場合年月の表示は月末までと解されるため、期限の日の前の月で表示する。期限が月末の日なら、その月で表示できる
書き方の例「賞味期限 令和○年○月」「賞味期限 25.9」など、年・月(・日)の順に並べる
「製造日から○か月」期限の書き方としては認められない。期限を正しく書いたうえで任意で添えるのは差し支えない
ロット番号と並べる場合「賞味期限 令和○年○月 LOT A63」のように、期限が明らかに分かる形にする
保存方法一括表示に書く。常温以外に留意事項がなければ省略できるが、「直射日光を避け室温で保管」など留意事項がある場合は書く
文字の大きさ原則8ポイント以上。表示可能面積がおおむね150cm²以下なら5.5ポイント以上

たとえば、品質を保てる期間から計算した賞味期限が7月18日なら、年月で表示するときは「6月」と書きます。「7月」と書くと7月31日までを示すことになり、確かめた期間を超えてしまうためです。

見積もり・相談の前に決めておくこと

剤形と配合、包装の形、希望する賞味期限、機能性表示食品にするかどうかが決まれば、工場は試験の計画と見積もりを出せます。

  • 剤形と、量が減りやすい成分・湿気や酸素に弱い成分
  • 包装の形と、乾燥剤や脱酸素剤の有無
  • 希望する賞味期限の長さ
  • 保存方法の表示(常温か、直射日光・高温多湿を避けるか)
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 試験の結果と根拠資料を、誰がどう保管するか

安定性試験の進め方は工場ごとに異なり、自社で分析するか外部の検査機関に頼むかも工場によって違います。上の項目が決まっていると、工場は試験の範囲と、発売までの段取りを示しやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

サプリには消費期限と賞味期限のどちらを表示しますか?

品質が急速に劣化しやすい食品には消費期限、それ以外の食品には賞味期限を表示します。水分の少ない錠剤・カプセル・粉末のサプリは、多くの場合、賞味期限の表示にあたります。

賞味期限はOEMの工場が決めてくれますか?

試験は工場が行うことが多いものの、期限を設定して表示する責任は、製造業者・加工業者・販売業者などの表示責任者にあります。試験の内容と根拠資料を工場から受け取り、自社でも説明できるようにしておきます。

加速の試験だけで賞味期限を決めてもよいですか?

加速の試験は発売前の目安として役立ちますが、長い期限の根拠としては、実際の保存条件での試験で確かめるのが安全です。ガイドラインも、科学的・合理的な根拠にもとづく設定を求めています。

賞味期限を年月だけで表示できますか?

製造から賞味期限までが3か月を超える場合は、年月で表示できます。その場合は、期限の日が月末でない限り、期限の日の前の月で表示します。

開封後の期限も書く必要がありますか?

期限表示は未開封の状態が前提です。開封後の期限は義務ではありませんが、未開封が前提であることや、開封後の保存の注意を書き添えることは、消費者への情報提供として適切とされています。

参考

(2026年10月12日確認)