日本のドラッグストアやコンビニのサプリ売り場では、ボトルだけでなく、PTP包装のシートやアルミ袋、スタンドパウチの商品が多く並んでいます。自社ブランドのサプリを作るときも、「どの包装にするか」は早い段階で迷いやすい項目です。包装は見た目だけでなく、湿気や酸素から中身を守る力、持ち運びやすさ、表示できる面積を左右します。
本記事では、サプリをOEMで製造したい事業者の方に向けて、PTP包装・アルミ袋・スタンドパウチ・スティック包装の違いと選び方を整理します。あわせて、食品衛生法のポジティブリスト制度と包材の関係、資源有効利用促進法にもとづく識別表示(プラマーク・紙マーク)、PTP包装の誤飲への配慮も説明します。
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包装の種類と向いている剤形
錠剤やカプセルを1粒ずつ守るならPTP包装、粉末や顆粒を1回分ずつ分けるならスティック包装、まとめて入れるならアルミ袋やスタンドパウチが基本です。
| 包装 | 中身の入れ方 | 向いている剤形 | 検討すること |
|---|---|---|---|
| PTP包装(プラスチックのくぼみ+アルミ箔) | 1粒ずつくぼみに入れ、箔を押して取り出す | 錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル | シートの大きさと、外箱に入れる枚数 |
| アルミPTP・アルミのストリップ包装 | くぼみ側にもアルミを使い、1粒ずつ密封する | 湿気や光に特に弱い配合 | 中身が外から見えないこと |
| アルミ袋(平袋・チャック付き) | 錠剤やカプセルをまとめて入れる | 錠剤、カプセル、粉末 | 開け閉めのたびに湿気が入るため、チャックや乾燥剤 |
| スタンドパウチ | 自立する袋にまとめて入れる | 粉末、顆粒、錠剤 | 売り場での見え方と、フィルムの層の組み合わせ |
| スティック包装 | 1回分ずつ細長い袋に分ける | 粉末、顆粒、ゼリー | 1回分の量と、袋の大きさ |
PTP包装は1粒ずつ密封されるため、開封したあとも残りの粒が湿気にさらされにくい形です。一方、アルミ袋やパウチは、開けるたびに外の空気が入ります。粒数が多い商品では、チャックの有無や乾燥剤を一緒に検討します。
乳酸菌のように水分に弱い成分の包装は、乳酸菌サプリのOEMでも触れています。光に弱い成分の例は、アスタキサンチンサプリのOEMをご覧ください。
湿気・酸素・光を防ぐ力で比べる
包装の守る力は、袋やシートの「形」よりも、使っているフィルムの層、特にアルミの層があるかどうかで大きく変わります。
| 比べる点 | プラスチックだけの包材 | アルミの層を含む包材 |
|---|---|---|
| 湿気 | フィルムの種類と厚さで差が大きい | 通しにくい |
| 酸素 | 酸素を通しにくい樹脂を組み合わせる必要がある | 通しにくい |
| 光 | 透明なものは光を通す | 通さない |
| 中身の見え方 | 透明にでき、中身を見せられる | 見えない |
同じスタンドパウチでも、プラスチックのフィルムだけで作るか、アルミの層を貼り合わせるかで、守る力はかなり違います。PTP包装も同じで、くぼみ側がプラスチックだけのものと、くぼみ側にもアルミを使うものがあります。
どの包材が必要かは、配合する成分の弱点と、目標とする賞味期限で決まります。賞味期限の決め方はサプリの賞味期限の決め方で、袋に入れる乾燥剤はサプリの乾燥剤・脱酸素剤で説明しています。
食品衛生法のポジティブリスト制度と包材
中身に触れるプラスチックの層は、2025年6月1日から全面的に適用されている食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度の対象です。
ポジティブリスト制度は、2018年の食品衛生法改正で導入され、2020年6月1日に施行されました。経過措置は2025年5月31日に終わっています。政令で定める材質は合成樹脂で、合成樹脂を使う場合は、リストに規格が定められた物質だけを使えます。
PTP包装やパウチは、何層ものフィルムを貼り合わせた包材です。消費者庁の資料では、層の扱いが次のように整理されています。
- 全ての層が合成樹脂の場合は、全ての層が対象
- 中身に触れる層が合成樹脂で、外側に合成樹脂以外の層(アルミなど)がある場合は、その層より中身側の合成樹脂の層だけが対象
- 中身に触れる層が合成樹脂以外の場合は、外側に合成樹脂の層があっても対象外
包材を販売する事業者には、販売先に対して、ポジティブリストに適合していることを説明する義務があります。説明の方法は決まっておらず、仕様書や品質保証書なども使えるとされています。OEMでは、工場が包材メーカーからこの情報を受け取っているかを確認し、仕様の資料と一緒に保管しておくと安心です。
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プラマーク・紙マークの識別表示
プラスチック製や紙製の容器包装には、資源有効利用促進法にもとづく識別マークの表示義務があり、包装の製造を発注するブランド側も義務を負います。
経済産業省の解説では、識別表示の義務を負うのは、容器の製造事業者、容器包装の製造を発注する事業者(利用事業者)、輸入販売事業者です。小規模事業者は、再商品化の義務とは違い、識別表示の義務は免除されていません。
サプリの包装でよく問題になる点を、経済産業省の解説にそって整理します。
| 場面 | 経済産業省の解説での扱い |
|---|---|
| アルミとプラスチックを貼り合わせた包材 | 分離できないかたまりを1つの容器包装とみなし、最も重い材質のマークを表示する |
| PTPシートと外箱のように分けられる構成 | 構成部分ごとに表示するのが原則。ほぼ同時に捨てる部分は、役割名を添えてまとめて表示できる |
| マークの大きさ | 上下の長さが、印刷・ラベルは6mm以上、刻印は8mm以上 |
| 使っているプラスチックの種類の記号 | 法的な義務はないが、表示することが望ましい |
たとえば、PTPシートを紙の外箱に入れる場合、シートと外箱はそれぞれ別の容器包装として扱われます。アルミ箔とプラスチックのPTPシートは、最も重い材質で判断します。どのマークをどこに入れるかは、版下を作る段階で工場や包材メーカーと確認してください。
PTP包装で気をつけたい誤飲
消費者庁は、高齢者がPTP包装のシートごと薬を飲み込む事故が多いとして、シートを1錠ずつ切り離さないよう注意を呼びかけています。
消費者庁が2015年9月に公表した資料では、65歳以上の誤飲・誤食の事故情報165件のうち、PTP包装シートの誤飲が明らかな事例が53件ありました。家庭での注意点の1つめに「薬のPTP包装シートは1錠ずつに切り離さない」が挙げられています。
この資料は薬についての注意ですが、サプリのPTP包装も同じ形です。高齢の方が多く買う商品では、シートのミシン目の入れ方や、外箱での注意書きを工場と相談しておくとよいでしょう。
見積もり・相談の前に決めておくこと
剤形、1包装あたりの量、包装の形、必要な守る力、表示の面積が決まれば、工場は包材を選んで見積もりを出せます。
- 剤形(錠剤・ハードカプセル・ソフトカプセル・粉末・顆粒)と、1回あたりの量
- 包装の形(PTP・アルミPTP・アルミ袋・スタンドパウチ・スティック)
- 湿気・酸素・光のうち、配合が特に弱いもの
- 開け閉めできるチャックや、乾燥剤が必要かどうか
- 外箱の有無と、表示を載せる場所
- 機能性表示食品として届け出るかどうか
包材の選び方は工場ごとに異なり、使える包装機の種類も工場によって違います。上の項目が決まっていると、工場は手持ちの設備で作れる包装と、外部の包材メーカーに頼む部分を切り分けて提案できます。
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よくある質問(FAQ)
PTP包装とボトルでは、どちらが中身を守れますか?
包装の形より、使う材料で決まります。くぼみ側にもアルミを使うPTPは守る力が強い一方、プラスチックだけのPTPが密封したボトルより必ず優れるとは限りません。ボトルの素材はサプリのボトル素材の選び方で説明しています。
スティック包装に錠剤やカプセルを入れられますか?
スティック包装は、粉末・顆粒・ゼリーなど、1回分をそのまま出して使う中身に向いています。錠剤やカプセルを1粒ずつ守りたい場合は、PTP包装が一般的です。
自社ブランドの商品でも、プラマークを入れる義務がありますか?
経済産業省の解説では、容器包装の製造を発注する事業者(利用事業者)に識別表示の義務があります。小規模事業者も識別表示の義務は免除されていないため、版下の段階でマークの位置を決めておきます。
アルミ袋とプラスチックの袋では、どちらのマークを入れますか?
アルミとプラスチックを貼り合わせた袋は、分離できないかたまりを1つの容器包装とみなし、最も重い材質のマークを表示します。プラスチックが最も重ければプラマークです。
包材がポジティブリストに適合しているかは、どう確認しますか?
包材を販売する事業者には、販売先に適合していることを説明する義務があります。工場が包材メーカーから受け取った確認書類を共有してもらい、仕様の資料と一緒に保管してください。
参考
- 消費者庁「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月1日以降)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new/
- 消費者庁「ポジティブリスト制度紹介(概要)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new/assets/standards_cms101_250613_004.pdf
- 経済産業省 パンフレット「識別表示の義務」(プラスチック製容器包装および紙製容器包装、平成20年3月発行) https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/pamphlet/pdf/pamphlet_mark_gimu.pdf
- 経済産業省「3R政策 識別表示」 https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/index06.html
- 消費者庁「高齢者の誤飲・誤食事故に御注意ください!」(平成27年9月16日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/150916kouhyou_1.pdf
(2026年10月12日確認)