アスタキサンチンは、サケやエビの赤い色のもとになるカロテノイドの一種です。日本では美容や目をテーマにしたサプリの代表的な成分で、機能性表示食品として肌の潤いや目のピント調節に関する表示をした商品もあります。

本記事は、アスタキサンチンサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた解説です。研究で分かっていること、機能性表示食品といわゆる健康食品の表示の違い、剤形と原料の決め方を整理します。アスタキサンチンは、肌と目の両方で研究されている一方、レビューによって評価が分かれる成分です。研究の中身を知っておくと、配合と広告の両方で迷いにくくなります。

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研究で分かっていること

肌の水分量と弾力については2つのメタ解析で評価が分かれ、しわの深さはどちらでも有意な改善が示されていません。

試験・レビュー対象結果
系統的レビューとメタ解析、Nutrients 2021(PubMed 34578794)肌に関する研究11件。うち経口のアスタキサンチンのランダム化比較試験9件プラセボと比べて肌の水分量と弾力が有意に改善。しわの深さは有意な差なし
系統的レビューとメタ解析、Frontiers in Nutrition 2022(PubMed 35719159)健康な成人を対象にした肌の保湿に関するサプリのランダム化比較試験66件。アスタキサンチンは5件他の成分との組み合わせを含めると水分量は有意に改善。アスタキサンチン単独の3件(99人)では有意差なし。根拠は不十分と判断
ランダム化二重盲検試験、Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition 2021(PubMed 34376917)画面作業で目の疲れを感じる健康な日本人44人。アントシアニン・アスタキサンチン・ルテインの組み合わせ、6週間画面作業の前後で測った瞳孔の反応と、ピントの合わせにくさの自覚症状がプラセボと比べて改善
ランダム化二重盲検試験、Nutrients 2023(PubMed 36986186)画面作業を日常的に行う健康な人。アスタキサンチン6mg・ルテイン10mg・ゼアキサンチン2mgのソフトカプセル、8週間画面作業後の目と手の協調運動が改善。目で物を追う動きには明確な改善なし

2022年の解析の著者は、組み合わせ試験での肌の結果は、一緒に配合されたコラーゲンなどの影響かもしれないと述べています。目の2つの試験も、アスタキサンチンを他の成分と組み合わせた食品で行われました。組み合わせ試験の結果は、その組み合わせについての結果です。

目の2つの試験は、どちらも食品・医薬品メーカーが資金を出し、その社員が著者に入っています。研究を商品の説明に使うときは、配合をその試験と合わせ、資金提供の有無も確認しておくと安心です。

(2026年10月11日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

アスタキサンチンは、目のピント調節機能や、紫外線を浴びた肌の潤いに関する表示で、機能性表示食品に使われています。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

届出の例には、次のような趣旨の表示があります。

  • 目のピント調節機能を維持し、パソコンやスマートフォンなどによる目の疲労感を軽減する
  • 紫外線刺激から肌を保護するのを助け、紫外線を浴びた肌を乾燥から守り、肌のうるおいを守る

肌の表示の例では、アスタキサンチンを1日6mg配合しています。根拠とする研究と同じ量と原料を使うことが前提です。

2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMPに基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を消費者庁へ報告することも届出者の義務です。

アスタキサンチンで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究を集めて評価する研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 表示の内容と量:肌か目か、どちらの表示を目指すかを決め、根拠とする研究の1日あたりの量に合わせる
  • 分析の方法:光や酸素で分解しやすい成分を、賞味期限まで保証できるかを含めた測定の体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ないアスタキサンチンサプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定アスタキサンチンサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「シミが消える」「視力が回復する」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「最強の抗酸化力」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日分にアスタキサンチン〇mg配合」(量の事実)「しわが消える」「若返る」
「ヘマトコッカス藻由来」(原料の事実)「目の病気に」「視力が戻る」
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「日焼け止めの代わりに」「臨床で実証済み」など、研究の条件と限界を示さない表現

アスタキサンチンの製剤設計

アスタキサンチンは油に溶け、光と酸素で分解しやすいため、ソフトカプセルで作られることが最も多い成分です。

剤形選ばれる理由検討すること
ソフトカプセル油に溶かした原料をそのまま包み、光と空気から守れるカプセルの素材(ゼラチンか植物由来か)と色
ハードカプセル・錠剤粉末化して安定化した原料なら使える安定性と色の試験
ドリンク・ゼリー他の美容素材と組み合わせた商品液体の中で光や酸素から守る工夫が必要

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来:サプリに使われるアスタキサンチンは、ヘマトコッカスという微細藻類から抽出したものが多いです。原料メーカーに、抽出の方法と抽出物中のアスタキサンチンの含有量を確認します。他の由来の原料を使う場合は、アレルギー表示も確認します。
  2. 1日あたりの量:試験は1日数ミリグラムで行われています。研究を引用するなら、その試験の量に合わせます。
  3. 組み合わせる成分:目をテーマにするならルテインやゼアキサンチン、美容をテーマにするならコラーゲンやビタミンEがよく組み合わされます。それぞれ食品に使えるかの確認が必要です。
  4. 包装:光を通さない包装が基本です。PTPシート、アルミ袋、遮光ボトルなどから選びます。

油に溶ける成分のため、水が中心のドリンクに使うには、乳化などの加工をした原料が必要になります。剤形は、原料の形と組み合わせる成分から決めていくのが近道です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

アスタキサンチン自体は食品に使われていますが、美容や目をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。美容の成分を組み合わせるなら、コラーゲンペプチドサプリのOEMやセラミドサプリのOEMもご覧ください。

見積もりの前に決めておくこと

原料の規格、1日あたりの量、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • アスタキサンチンの由来と原料の規格
  • 1日あたりの量と、1袋(1箱)あたりの日数
  • 剤形と、ソフトカプセルの場合はカプセルの素材
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形と、光を防ぐ方法
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか、届け出るなら肌か目か
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

肌と目のどちらをテーマにするかで、組み合わせる成分と量が変わります。テーマを先に決めておくと、仕様の相談がスムーズです。

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よくある質問(FAQ)

アスタキサンチンの肌への効果は、研究で確かめられていますか?

2021年のメタ解析は肌の水分量と弾力の改善を報告しましたが、2022年の解析では、アスタキサンチン単独の試験に限ると有意差はなく、根拠は不十分とされました。しわの深さは、どちらでも有意な改善が示されていません。

目に関する研究はありますか?

あります。画面作業の前後でピント調節や目の動きを調べた試験があり、一部で改善が報告されています。ただし多くはルテインなど他の成分と組み合わせた試験です。研究を引用するなら、配合をその試験と合わせる必要があります。

なぜソフトカプセルが多いのですか?

アスタキサンチンは油に溶け、光と酸素で分解しやすい成分です。ソフトカプセルなら、油に溶かした原料を包んで光と空気から守れます。

原料はどこから作られていますか?

サプリでは、ヘマトコッカスという微細藻類から抽出した原料が多く使われています。原料メーカーに、抽出物中のアスタキサンチンの含有量と規格を確認します。

コラーゲンと組み合わせることはできますか?

できます。美容をテーマにした定番の組み合わせの一つです。ただし、アスタキサンチンは油に、コラーゲンは水になじむため、剤形の設計に工夫が必要です。どちらの成分も食品に使えるかを最初に確認します。

参考

  • “Systematic Review and Meta-Analysis on the Effects of Astaxanthin on Human Skin Ageing”, Nutrients 2021;13(9):2917, PubMed 34578794, PMC8472736, doi 10.3390/nu13092917
  • “Effectiveness of Dietary Supplement for Skin Moisturizing in Healthy Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials”, Frontiers in Nutrition 2022, PubMed 35719159, PMC9201759, doi 10.3389/fnut.2022.895192
  • “Effects of anthocyanin, astaxanthin, and lutein on eye functions: a randomized, double-blind, placebo-controlled study”, Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition 2021;69(1):77-90, PubMed 34376917, PMC8325772, doi 10.3164/jcbn.20-149
  • “Effects of Astaxanthin, Lutein, and Zeaxanthin on Eye-Hand Coordination and Smooth-Pursuit Eye Movement after Visual Display Terminal Operation in Healthy Subjects: A Randomized, Double-Blind Placebo-Controlled Intergroup Trial”, Nutrients 2023;15(6):1459, PubMed 36986186, PMC10054128, doi 10.3390/nu15061459
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月11日確認)