セラミドは化粧品の保湿成分として知られ、日本ではカプセルや美容ドリンクの成分としても定着しています。食品に使われるのは、米やこんにゃくなどの植物から抽出したグルコシルセラミドが中心で、動物由来でない美容素材を求める事業者に選ばれています。
本記事は、セラミドサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた解説です。研究で分かっていること、機能性表示食品といわゆる健康食品の表示の違い、剤形と原料の決め方を整理します。セラミドは1日数ミリグラムという少ない量で研究されている成分です。研究の内容を知っておくと、配合と広告の両方で判断しやすくなります。
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研究で分かっていること
2022年のメタ解析は、経口のセラミドで肌の水分量が増え、経皮水分蒸散量が減ると報告していますが、効果は小さく、試験ごとのばらつきも大きいとされています。
| 試験・レビュー | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| 系統的レビューとメタ解析、Frontiers in Nutrition 2022(PubMed 35719159) | 健康な成人を対象にした肌の保湿に関するサプリのランダム化比較試験66件。セラミドは11件、601人 | セラミド単独の7件(426人)で、プラセボと比べて肌の水分量が有意に増加。経皮水分蒸散量も有意に減少。試験間のばらつきは大きい |
| ランダム化比較試験、BMC Complementary Medicine and Therapies 2020(PubMed 32020853) | 18〜60歳の健康な51人。こんにゃく抽出物100mg(グルコシルセラミド5mg)またはプラセボを1日、6週間 | 皮膚科医の評価で、肌の乾燥感や赤みなどが有意に改善 |
| ランダム化二重盲検試験、Nutrients 2024(PubMed 38999848) | 20〜64歳の健康な日本人30人。ワインの搾りかす由来のセラミド・グルコシルセラミド、またはプラセボを12週間 | 12週後の経皮水分蒸散量がプラセボより有意に低い。肌の水分量などの副次的な項目は差なし |
2022年のメタ解析は、小麦や米、野菜、酢酸菌、しょうゆの搾りかすなど、由来の異なるセラミドの試験をまとめて解析しています。由来によって構造が違うため、結果を一つの原料にそのまま当てはめることはできません。
個々の試験は数十人規模で、期間も数週間〜12週間です。2020年と2024年の試験は、どちらも原料を供給する企業が資金を出し、その社員が著者に入っています。研究を引用するときは、人数と資金提供の有無をあわせて確認しておくと安心です。
(2026年10月11日時点で、各論文の公開抄録を確認)
機能性表示食品として届け出る場合
グルコシルセラミドは、肌の水分を逃がしにくくし、乾燥から守るバリア機能に関する表示で、機能性表示食品に使われています。
機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。
届出の例には、グルコシルセラミドについて「肌の水分を逃がしにくくし、肌を乾燥から守る機能(バリア機能)を維持する」という趣旨の表示があります。関与成分の量は、1日あたり1800µg(1.8mg)という例が見られます。根拠とする研究と同じ由来の原料を、同じ量で使うことが前提です。
2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMPに基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を消費者庁へ報告することも届出者の義務です。
セラミドで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。
- 根拠の取り方:既存の研究を集めて評価する研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
- 原料の由来と量:根拠とする研究で使われた原料の由来と、1日あたりの量に合わせる
- 分析の方法:ごく少ない量の関与成分を、製品の中で正しく測る方法と、その結果を保証する体制
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いわゆる健康食品として売る場合の表示
機能性表示食品として届け出ないセラミドサプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。
健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。
| 法律 | かかわる規定 | セラミドサプリで注意すること |
|---|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 承認前の医薬品の広告の禁止(第68条) | 食品なのに「肌荒れを治す」や皮膚の病名を挙げた表現など、医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある |
| 健康増進法 | 誇大表示の禁止(第65条) | 健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない |
| 景品表示法 | 優良誤認表示の禁止 | 根拠のない「化粧品はもういらない」「No.1」などの表示 |
消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。
| 比較的安全な言い方 | 避けるべき言い方 |
|---|---|
| 「1日分に米由来グルコシルセラミド〇mg配合」(由来と量の事実) | 「肌荒れが治る」、皮膚の病名を挙げた表現 |
| 「毎日の美容習慣に」(使用場面) | 「しわが消える」「化粧品の代わりになる」 |
| 機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内) | 「臨床で実証済み」など、研究の条件と限界を示さない表現 |
セラミドの製剤設計
試験で使われる量は1日数ミリグラムとごく少ないため、セラミドはカプセル・錠剤・ドリンクなど、ほとんどの剤形に使えます。
| 剤形 | 選ばれる理由 | 検討すること |
|---|---|---|
| ハードカプセル・錠剤 | 量が少なく、1日あたりの費用を抑えやすい | 他の美容素材と組み合わせやすい |
| ソフトカプセル | 油になじむ脂質の素材に向く | カプセルの素材(ゼラチンか植物由来か) |
| ドリンク・ゼリー | 日本の売り場でなじみのある美容ドリンクの形 | 他の素材の量に合わせて剤形が決まる |
| 粉末スティック | 飲み物に混ぜて使える | 脂質の素材の溶けにくさ |
仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。
- 原料の由来:米・こんにゃく・パイナップル・小麦など、植物由来の原料があります。小麦は表示が義務の特定原材料、大豆は表示が推奨される品目です。由来はパッケージで伝える内容にもなります。
- 1日あたりの量:上の試験では、グルコシルセラミドとして1日数ミリグラムが使われています。研究を引用するなら、その試験の量に合わせます。
- 組み合わせる成分:ヒアルロン酸やコラーゲンペプチドなどと組み合わせることがよくあります。それぞれ食品に使えるかの確認が必要です。
- 安定性と包装:脂質の素材は酸化しやすいため、原料の安定化の方法と、包装の形を工場と確認します。
量がごく少ないため、製品の中で均一に混ざっているかの確認も大切です。少量の素材を扱った経験のある工場かどうかも、選ぶときの目安になります。
最初に確認すること:食品に使える成分か
日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。
厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
植物由来のグルコシルセラミド自体は食品に広く使われていますが、美容をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせることの多い成分は、ヒアルロン酸サプリのOEMとコラーゲンペプチドサプリのOEMでも解説しています。
見積もりの前に決めておくこと
原料の由来、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。
- セラミドの由来(米・こんにゃく・パイナップルなど)と規格
- 1日あたりの量と、1袋(1箱)あたりの日数
- 剤形と、ソフトカプセルの場合はカプセルの素材
- 組み合わせる成分と、その量
- 包装の形
- 機能性表示食品として届け出るかどうか
- 初回の製造数と、年間の見込み数
由来は、原料費とパッケージでの訴求の両方にかかわります。候補の由来がいくつかある場合は、まとめてご相談いただくと比べやすくなります。
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よくある質問(FAQ)
飲むセラミドの肌への効果は、研究で確かめられていますか?
2022年のメタ解析では、肌の水分量の増加と経皮水分蒸散量の減少が報告されています。ただし効果は小さく、試験ごとのばらつきも大きいとされています。表示や広告では、研究の条件と限界を踏まえた言葉を選ぶことが大切です。
試験ではどのくらいの量が使われていますか?
グルコシルセラミドとして1日数ミリグラムです。たとえば2020年のこんにゃく由来の試験では、1日5mgを6週間摂取しています。他の美容素材と比べて、とても少ない量です。
どの植物由来の原料がよいですか?
米・こんにゃく・パイナップルなど、由来によって原料の構造や研究の内容が異なります。研究を引用したい場合は、その研究と同じ由来の原料を選びます。アレルギー表示とパッケージでの伝え方も、選ぶときの判断材料です。
セラミドの研究に企業はかかわっていますか?
かかわっている試験が多いです。上の2020年と2024年の試験は、原料を供給する企業が資金を出し、その社員が著者に入っています。研究を引用するときは、利益相反の記載も確認しておきましょう。
工場に製造を断られることはありますか?
セラミド自体ではなく、組み合わせた植物素材が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。
参考
- “Effectiveness of Dietary Supplement for Skin Moisturizing in Healthy Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials”, Frontiers in Nutrition 2022, PubMed 35719159, PMC9201759, doi 10.3389/fnut.2022.895192
- “Potential benefits of oral administration of Amorphophallus konjac glycosylceramides on skin health - a randomized clinical study”, BMC Complementary Medicine and Therapies 2020;20(1):26, PubMed 32020853, PMC7076855, doi 10.1186/s12906-019-2721-3
- “Efficacy and Safety of Oral Administration of Wine Lees Extract (WLE)-Derived Ceramides and Glucosylceramides in Enhancing Skin Barrier Function: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study”, Nutrients 2024;16(13):2100, PubMed 38999848, PMC11243426, doi 10.3390/nu16132100
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
- 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)
(2026年10月11日確認)