マレーシアのサプライヤーから仕入れたい、あるいはマレーシアの工場に製造を委託したいと考えたとき、確認先が複数の機関に分かれていて分かりにくいという声をよく聞きます。輸出振興、企業登記、規格認証、原産地証明はそれぞれ別の機関が担当しています。
本記事では、マレーシアでの調達・委託製造を進める際に確認すべき公的な窓口と手順を、マレーシア政府機関の公表情報をもとに整理します。
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マレーシアの輸出振興の窓口
マレーシアの貿易促進は投資貿易産業省(MITI)傘下の貿易開発公社(MATRADE)が担っています。
MATRADEはマレーシア企業の輸出を後押しする国の機関で、海外の買い手向けにサプライヤーの紹介、業界情報の提供、見本市の主催などを行っています。マレーシア企業と初めて取引する際、その企業がMATRADEに登録されているかどうかは一つの参考材料になります。ただしMATRADEへの登録は輸出企業としての実績や体制を保証するものではなく、あくまで紹介・支援サービスの窓口である点に注意してください。
企業登記を確認する
マレーシアで登記された企業の実在性は、企業委員会(SSM)が管理する登記情報で確認できます。
SSM(Suruhanjaya Syarikat Malaysia)は会社法に基づく法定機関で、株式会社(ROC)・個人事業/パートナーシップ(ROB)・有限責任組合(LLP)などの登記を一元管理しています。取引先の登記番号、設立年、代表者などをSSMの照会サービスで確認できます。名刺やウェブサイトの情報だけで判断せず、登記情報と照合することをおすすめします。
マレーシアの規格・認証制度
SIRIMがマレーシアの国家規格の策定と認証を担い、対象品目にはSIRIM認証の取得が義務づけられています。
SIRIM Berhad(旧・工業研究標準化研究所)は投資貿易産業省の監督下にある機関で、国家規格の策定、輸出入品の適合性評価、認証機関の監督などを担っています。実務でSIRIM認証が義務化される品目の範囲は、国内取引省(Ministry of Domestic Trade and Cost of Living)が公表する対象リスト(DKMスキーム)で定められ、無線通信機器・家電製品など幅広い電気電子製品が含まれます。対象リストは改定されることがあるため、委託製造や仕入れを検討している品目が対象かどうかは、発注前に最新の公表リストで確認する必要があります。
| 目的 | 窓口 | できること |
|---|---|---|
| サプライヤーを探す・輸出支援を受ける | 貿易開発公社(MATRADE) | サプライヤー紹介、業界別の情報提供 |
| 企業の実在性を確認する | 企業委員会(SSM) | 登記情報の照会 |
| 規格・認証の要否を確認する | SIRIM Berhad | 対象品目リストの確認、認証取得の相談 |
(2026年9月25日時点で各機関の公式サイトを確認)
輸出書類と原産地証明の発給機関
マレーシアからの輸出における特恵原産地証明書は、投資貿易産業省(MITI)の貿易産業協力局が発給機関です。
MITIの公表資料によると、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)のForm Dなど特恵税率適用のための原産地証明書は、MITI貿易産業協力局が一元的に発給しています。電子的な原産地証明(e-Form D)は、MITIが運用するmyTRADELINKポータルを通じて申請する仕組みです。一方、特恵を伴わない一般の原産地証明書は、MITIまたはMITIが認定した商工会議所(マレーシア国際商工会議所=MICCIやマレーシア製造業者連盟=FMMなど)が発給を担っています。どちらの証明書が必要かは、輸入側で使う協定によって変わるため、発注前にサプライヤーと確認しておくことをおすすめします。
| 書類 | 発給・関係機関 | 用途 |
|---|---|---|
| 特恵原産地証明書(Form Dなど) | MITI貿易産業協力局 | ATIGA・RCEPなど協定税率の適用 |
| 一般原産地証明書(非特恵) | MITIまたは認定商工会議所(MICCI・FMMなど) | 原産地の証明(協定税率とは別) |
| 企業登記情報 | 企業委員会(SSM) | 取引先の実在確認 |
| 規格・認証 | SIRIM Berhad | 対象品目の市場アクセス |
(2026年9月25日時点でMITI公式サイトを確認)
主な港と輸送ルート
マレーシアの海上輸出入はポートクランとタンジュンペラパスが中心で、半島マレーシアと東マレーシア(サバ・サラワク)では輸送ルートが異なります。
ポートクランはクアラルンプール近郊にある東南アジア有数のコンテナ港で、半島西岸の工業団地からのアクセスが良好です。タンジュンペラパスはジョホール州にあり、シンガポールに近い立地から積み替え拠点としても利用されています。委託先の工場がペナンやジョホールなど地域によって最寄りの港が変わるため、輸送経路は個別に確認してください。
日本やベトナムへ入れるときの協定の選び方
マレーシアから日本、あるいはベトナムへ持ち込む際にどの経済連携協定を使うかは、協定ごとに税率と原産地規則が異なるため個別の判断が必要です。
マレーシアから日本への輸入で使える協定(日マレーシアEPA・AJCEP・RCEP)の選び方と原産地証明の実務はタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方にまとめています。マレーシアの部材をベトナムの自社工場へ入れる場合の書類・関税の考え方はASEAN部品・原料をベトナムの自社工場へ入れるをご覧ください。
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よくある質問
1. マレーシアのサプライヤーが実在する会社かどう確認すればよいですか?
A. マレーシアの企業委員会(SSM)が管理する登記情報で、登記番号・設立年・代表者などを確認できます。名刺やウェブサイトの情報だけで判断せず、登記情報と照合することをおすすめします。
2. SIRIM認証はすべての製品に必要ですか?
A. いいえ。対象品目は国内取引省が公表するリスト(DKMスキーム)で定められており、無線通信機器や家電製品など一部の品目が中心です。対象範囲は改定されることがあるため、発注前に最新リストを確認してください。
3. マレーシアから輸出する際の原産地証明書はどこで発給されますか?
A. 特恵税率用(ATIGAのForm Dなど)はMITI貿易産業協力局が、一般の原産地証明書はMITIまたはMITIが認定した商工会議所が発給します。
4. MATRADEへの登録があれば信頼できる輸出企業と判断してよいですか?
A. MATRADEは輸出支援の窓口であり、登録は紹介・支援サービスを受けるためのものです。企業の実在性や実績の証明にはSSMの登記情報を併せて確認してください。
5. マレーシアから日本やベトナムへ輸入するとき、どの協定を使えばよいですか?
A. 協定ごとに税率と原産地規則が異なるため、品目のHSコードで比較する必要があります。日本向けはタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方、ベトナムの自社工場向けはASEAN部品・原料をベトナムの自社工場へ入れるをご覧ください。
まとめ
マレーシアからの調達・委託製造では、サプライヤー探し(MATRADE)、企業実在の確認(SSM)、規格・認証の要否(SIRIM)、原産地証明の発給(MITI)、そして主要港(ポートクラン・タンジュンペラパス)という5つの確認ポイントを押さえておくと、手戻りを減らせます。
制度は改定されることがあるため、発注前に必ず最新情報を確認してください。
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※出典:マレーシア貿易開発公社(MATRADE)公式サイト、マレーシア企業委員会(SSM)公式サイト、SIRIM Berhad公式サイト、マレーシア投資貿易産業省(MITI)公式サイト。2026年9月25日確認。