ローヤルゼリーは、働きバチが分泌し、女王バチになる幼虫が食べる乳白色の物質です。日本では広く消費されている健康食品で、錠剤やカプセル、ドリンク、生のローヤルゼリーなど、さまざまな形で販売されています。
本記事では、ローヤルゼリーサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、蜂産品としてのアレルギーの報告と注意表示の考え方、原料の形と剤形の決め方を整理します。ローヤルゼリーは知名度の高い成分ですが、ヒトでの研究は小規模で、結果も分かれています。アレルギーの報告がある点も、企画の最初に押さえておきたいところです。
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研究で分かっていること
ローヤルゼリーのヒト試験は数が少なく、メタ解析でも一部の指標にだけ差が出ており、研究全体の結論はまだ出ていません。
| 試験・メタ解析 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| 系統的レビューと用量反応メタ解析、Frontiers in Nutrition 2023(PubMed 37599677) | 成人を対象としたランダム化比較試験10件・512人。体重、BMI、体脂肪 | 全体では体重・BMI・体脂肪に有意な差なし。1日3,000mg未満の小集団でのみ体重とBMIが減少。著者は追加の試験が必要としている |
| 系統的レビューとメタ解析、Avicenna Journal of Phytomedicine 2025(PubMed 40656618) | ランダム化比較試験6件(7データセット)。炎症と酸化ストレスの血液指標 | 酸化ストレスの指標(MDA)が低下し、抗酸化力の指標(TAC)が上昇。炎症の指標(hs-CRP)には差なし。試験間のばらつきが大きく、試験数も少ない |
| ランダム化プラセボ対照試験、Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine 2018(PubMed 29853955) | 健康な閉経後の日本人女性42人。酵素分解したローヤルゼリーの乾燥粉末800mgまたはプラセボを12週間 | 不安の得点(p=0.046)と腰の痛みの得点(p=0.040)がプラセボと比べて改善 |
2018年の試験は1群21人の小規模なもので、著者の多くは蜂産品メーカーの社員です。2025年のメタ解析は、試験数が限られているため今後の更新が必要だと著者自身が述べています。
酸化ストレスの指標の変化は、血液の数値の変化で、体の調子の変化を直接示すものではありません。製品の広告で、こうした数値の改善をうたうことはできません。
(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)
日本での扱い
ローヤルゼリーは日本で食品として広く消費されていますが、アレルギー表示の対象品目には入っておらず、アナフィラキシーの症例報告もあるため、注意表示は事業者が自ら設計します。
食品表示基準のアレルギー表示では、義務の「特定原材料」9品目と、推奨の「特定原材料に準ずるもの」20品目が決められています。ローヤルゼリーはどちらにも入っていません。表示の義務がないことは、アレルギーの心配がないことを意味しません。
ローヤルゼリーの摂取によるアナフィラキシー(重い全身のアレルギー反応)は、症例報告として発表されています。
| 報告 | 内容 |
|---|---|
| Journal of Dermatology 2006(PubMed 16700835) | 33歳の日本人男性。ローヤルゼリーなどを摂った後に全身のかゆみ、呼吸困難、意識障害などが起き、検査ではローヤルゼリーだけが陽性 |
| Journal of Dermatology 2008(PubMed 18419679) | 26歳の日本人女性。ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの既往があり、はちみつ入りのローヤルゼリー飲料を飲んだ後にアナフィラキシー。著者は、健康食品での消費が増えると反応が増えるおそれがあると指摘 |
| Journal of Asthma and Allergy 2021(PubMed 35221696) | 56歳の中国人女性。摂取後1時間以内のアナフィラキシーが1か月に2回。主要なローヤルゼリーたんぱく質の一つ(MRJP3)が原因で、蜂の巣とも交差反応を示した |
蜂産品のアレルギーをまとめた2025年の総説(PubMed 41465502)は、反応はまれだが、アナフィラキシーショックを含む重い反応が起こりうるとしています。アトピー体質の人や養蜂家はリスクが高いとし、アレルゲンを明確にした表示を対策に挙げています。
海外では、オーストラリア・ニュージーランドの食品基準が、ローヤルゼリーを含む食品に警告表示を義務づけています。文言は、重いアレルギー反応やまれに死亡例が報告されており、特にぜんそくやアレルギーのある人で起きやすい、という趣旨です。日本で販売する商品でも、「ぜんそくやアレルギー体質の方は摂取しないでください」などの注意表示を入れるかを、企画の段階で決めておくと安心です。
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いわゆる健康食品として売る場合の表示
機能性表示食品として届け出ない健康食品は、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。
健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。
| 法律 | かかわる規定 | ローヤルゼリーサプリで注意すること |
|---|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 承認前の医薬品の広告の禁止(第68条) | 食品なのに「疲れが取れる」「若返る」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある |
| 健康増進法 | 誇大表示の禁止(第65条) | 健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない |
| 景品表示法 | 優良誤認表示の禁止 | 根拠のない「医師も推薦」「天然だから安心」などの表示 |
消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。
| 比較的安全な言い方 | 避けるべき言い方 |
|---|---|
| 「1日3粒に生ローヤルゼリー換算〇mg、デセン酸〇mg」(量の事実) | 「更年期障害に」「腰痛に」など、病名や症状名を挙げた表現 |
| 「毎日の元気な習慣に」(使用場面) | 「ホルモンバランスを整える」「滋養強壮」など医薬品的な表現 |
| アレルギー体質の方への注意表示 | 「天然成分だから副作用なし」「誰でも安心」 |
ローヤルゼリーの製剤設計
ローヤルゼリーには生、乾燥粉末、酵素分解した粉末などの原料の形があり、どの形を選ぶかで剤形・保管方法・量の表し方が決まります。
| 原料の形・剤形 | 選ばれる理由 | 検討すること |
|---|---|---|
| 生ローヤルゼリー(冷凍・冷蔵) | 素材そのままの形として訴求しやすい | 製造から販売までの低温管理と、日持ち |
| 乾燥粉末の錠剤・ハードカプセル | 常温で扱いやすく、量をそろえやすい | 生ローヤルゼリーに換算した量の表し方 |
| ソフトカプセル | 生や乾燥粉末を油に分散させて閉じ込められる | 被膜の原料と、中身の処方 |
| ドリンク | 毎日の習慣として売り場でなじみがある | 味の設計と、1本あたりの量 |
仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。
- 原料の形と産地:生か、乾燥粉末か、酵素分解したものかを決め、産地とあわせて原料メーカーの規格書で確認します。研究で使われた原料の形と違う場合は、その研究を根拠に使えません。
- 品質の指標:ローヤルゼリーの品質基準では、10-ヒドロキシ-2-デセン酸(デセン酸)の含有量が主に使われています。2025年の総説(PubMed 41465005)は、デセン酸の量だけでは鮮度の全体像を捉えきれないと指摘しており、保管条件や他の試験項目も原料メーカーに確認します。
- 1日あたりの量:生ローヤルゼリー換算の量か、乾燥粉末の量かで数字が大きく変わります。表示する量の基準をそろえます。
- 注意表示:アレルギー体質の方への注意を、パッケージと販売ページの両方に入れるかを決めます。
- 組み合わせる成分:ビタミンや他の美容成分と組み合わせる企画があります。組み合わせる成分にも、それぞれ食品に使えるかの確認が必要です。
最初に確認すること:食品に使える成分か
日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。
厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
ローヤルゼリー自体は食品として広く使われていますが、「元気」や「美容」をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材や動物由来素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。アレルギー表示の基本は、サプリのアレルゲン表示でも解説しています。
見積もりの前に決めておくこと
原料の形と規格、1日あたりの量、剤形、注意表示が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。
- 原料の形(生・乾燥粉末・酵素分解)と産地、デセン酸の規格
- 1日あたりの量(生換算か乾燥粉末か)と、1袋(1本)あたりの日数
- 剤形と、ドリンクの場合は容量と味
- 組み合わせる成分と、その量
- アレルギー体質の方への注意表示の文言
- 包装の形と、生の場合は保管温度
- 初回の製造数と、年間の見込み数
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よくある質問(FAQ)
ローヤルゼリーの効果は、研究で確かめられていますか?
メタ解析では、酸化ストレスの血液指標など一部にだけ差が出ており、体重やBMIには全体として差がありませんでした。試験の数は少なく、研究全体の結論はまだ出ていません。
ローヤルゼリーは誰でも安心して飲めますか?
ローヤルゼリーの摂取によるアナフィラキシーの症例報告があり、ぜんそくなどの既往がある人での報告も含まれます。商品には、アレルギー体質の方への注意表示を入れることをおすすめします。
アレルギー表示は義務ですか?
ローヤルゼリーは、食品表示基準の特定原材料にも、特定原材料に準ずるものにも入っていません。表示の義務はありませんが、注意表示を自主的に入れるかを企画の段階で決めておくと安心です。
デセン酸とは何ですか?
10-ヒドロキシ-2-デセン酸の略称で、ローヤルゼリーの品質基準で主に使われる指標です。ただし、デセン酸の量だけでは鮮度の全体像を捉えきれないという指摘もあります。
生と乾燥粉末、どちらを選べばよいですか?
生ローヤルゼリーは低温での保管と流通が必要です。乾燥粉末は常温で扱いやすく、錠剤やカプセルにしやすい形です。販売方法と保管体制にあわせて選びます。
参考
- “The effects of royal jelly supplementation on anthropometric indices: a GRADE-assessed systematic review and dose-response meta-analysis of randomized controlled trials”, Frontiers in Nutrition 2023, PubMed 37599677, PMC10438987
- “Effects of royal jelly consumption on inflammation and oxidative stress: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials”, Avicenna Journal of Phytomedicine 2025, PubMed 40656618, PMC12244952
- “Royal Jelly Supplementation Improves Menopausal Symptoms Such as Backache, Low Back Pain, and Anxiety in Postmenopausal Japanese Women”, Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine 2018, PubMed 29853955, PMC5949161
- “Food-induced anaphylaxis caused by ingestion of royal jelly”, Journal of Dermatology 2006, PubMed 16700835
- “Case of anaphylaxis caused by ingestion of royal jelly”, Journal of Dermatology 2008, PubMed 18419679
- “A Case of Anaphylaxis Caused by Major Royal Jelly Protein 3 of Royal Jelly and Its Cross-Reactivity with Honeycomb”, Journal of Asthma and Allergy 2021, PubMed 35221696
- “Ensuring the Safe Use of Bee Products: A Review of Allergic Risks and Management”, International Journal of Molecular Sciences 2025, PubMed 41465502
- “Monitoring and Maintaining the Freshness of Royal Jelly: A Review of Analytical Approaches and Preservation Technologies”, Foods 2025, PubMed 41465005, doi 10.3390/foods14244300
- Australia New Zealand Food Standards Code, Standard 1.2.3 (1.2.3—3 Mandatory warning statement—royal jelly)(オーストラリア連邦法令登録簿 legislation.gov.au)
- 消費者庁「アレルギー表示について」(令和8年4月時点) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)
(2026年10月12日確認)