精密部品・電子部品・金型など、台湾には強みを持つ工場が数多くあります。ただし台湾からの調達では、日本や中国からの調達とは勝手が違う点がいくつかあります。企業の実在性を確認する窓口が日本と異なること、規格・検査制度(CNS・BSMI)が独自であること、そして何より日本・ベトナムのどちらとも台湾の間に関税協定がなく、特恵税率が使えないことです。誤解したまま見積もりを進めると、着地価格が想定より高くなります。

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台湾企業の実在性と輸出資格を確認する

結論: 経済部の法人登記情報と、輸出入業者としての登記の両方を確認します。

台湾で法人として実在しているかは、経済部の商工登記公示資料(会社の登記事項を検索できる公的データベース)で、会社名・代表者・資本金・登記状態を確認できます。加えて、輸出入を業として行う事業者は経済部国際貿易署(旧・国際貿易局)に輸出入業者として登記されている必要があります。2021年8月からは、英語社名の事前確認を含めてオンラインで完結する仕組みに切り替わっています。

確認したいこと確認先わかること
法人として実在するか経済部 商工登記公示資料会社名・代表者・資本金・登記状態
輸出入を行う資格があるか経済部国際貿易署の輸出入業者登記輸出入業者としての登記の有無
生産設備・工程現地確認・オンライン面談工場の実態(公的データベースでは確認不可)

登記情報だけでは工場の生産能力までは分かりません。委託前に工程写真や設備リストの提出を求める、あるいは現地確認を挟むといった実務での裏付けが必要です。

規格・検査(CNS規格・BSMI)を先に確認する

結論: 対象製品が台湾のBSMI(標準検験局)による強制検査の対象かどうかを、量産前に確認します。

台湾では経済部標準検験局(BSMI)が、CNS規格(台湾の国家規格)に基づき輸出入品・国産品の検査を所管しています。台湾国内で販売・流通する電気製品や一部の消費財は、商品検験法に基づく強制検査の対象になることがあり、対象品目にはRPC(型式登録+製品証明)・DOC(適合宣言)・TABI(型式承認+ロット検査)という3方式のいずれかが適用されます。

台湾から日本・ベトナムへ輸出する製品そのものにBSMI検査が課されるわけではありませんが、台湾国内で流通・組立される部材がBSMI対象品目に該当する場合、その部材の適合状況が納期や仕様変更に影響することがあるため、委託先の工場がBSMI登録番号を持っているかを事前に確認しておくと安全です。

輸出書類と原産地証明の手配

結論: 原産地証明が必要な取引かどうかをまず判断し、必要であれば台湾の商業団体に発給を依頼します。

台湾からの一般的な輸出書類は、インボイス・パッキングリスト・船荷証券(またはAWB)に加え、取引先や輸入国の求めに応じて原産地証明書(Certificate of Origin)を用意します。台湾の原産地証明書は、台湾省商業会など財政部関務署の枠組みのもとで認められた商業団体が発給する仕組みで、優遇関税向けとは別に、通関上の要請に応じる一般的な原産地証明も発給されています。

書類何のためか
インボイス・パッキングリスト通関・輸送の基本書類
船荷証券/航空運送状貨物の引き渡し・所有権の証拠
原産地証明書(一般)輸入国の通関や取引先の要請に応じるため

日本・ベトナムとの協定の有無を関税に反映する

結論: 日本・台湾間、台湾・ベトナム間のいずれにも政府間の経済連携協定・自由貿易協定はなく、特恵税率は適用されません。

日本と台湾の関係は、公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会という民間窓口の取決めに基づくもので、両国政府間の経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)は締結されていません。したがって台湾から日本への輸入では、RCEPやAJCEPのような協定税率は使えず、通常の関税率(実行税率)で見積もる必要があります。

ベトナムについても、外務省・ジェトロが公表するFTA一覧の中に台湾との協定は見当たらず、台湾はASEANの枠組みにもRCEPにも参加していません。台湾からベトナムへの輸入も、原則として通常税率での試算が前提になります。関税面での優位性がない分、品質・納期・技術対応力といった台湾側の強みで比較することになります。

複数国のサプライヤーを同じ条件で比べたい場合はアジア複数国の見積もりを同条件で比較する方法、ASEAN諸国から日本へ輸入する際の協定選択についてはタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方もあわせてご覧ください。

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よくある質問

1. 台湾からの輸入にRCEPやAJCEPの特恵税率は使えますか?
A. 使えません。台湾は日本・ベトナムいずれとも経済連携協定・自由貿易協定を結んでおらず、RCEPにも参加していないため、通常の関税率で試算します。

2. 台湾の会社が実在するかはどこで確認できますか?
A. 経済部の商工登記公示資料で法人登記の有無・代表者・資本金を確認できます。加えて輸出入を行う事業者かどうかは、経済部国際貿易署の輸出入業者登記で確認します。

3. BSMI検査は日本・ベトナム向けの輸出品にも必要ですか?
A. BSMIは主に台湾国内で流通する製品を対象にした検査制度です。輸出そのものに課されるわけではありませんが、部材の適合状況が納期に影響することがあるため、委託先の登録状況を確認しておくと安心です。

4. 台湾から原産地証明書は発給してもらえますか?
A. 台湾省商業会など、財政部関務署の枠組みで認められた商業団体が発給します。ただし日本・ベトナムとの協定がないため、優遇税率のためではなく、通関や取引先の要請に応じる一般的な証明として使うことになります。

5. 台湾と中国の間のECFA(経済協力枠組協議)は、日本やベトナムへの輸入に関係しますか?
A. ECFAは台湾・中国間の協定であり、日本・ベトナムへの輸入時の関税には適用されません。台湾から日本・ベトナムへの輸入は、別途、通常税率で見積もる必要があります。


※出典:外務省「我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組」、ジェトロ「関税制度:台湾」「輸出入手続:台湾」、台湾経済部国際貿易署の輸出入業者登記に関する公表情報、台湾経済部標準検験局(BSMI)の商品検験制度に関する公表情報、台湾省商業会原産地証明サービスの公表情報。2026年9月25日確認。