タイのサプライヤーから仕入れたい、あるいはタイの工場に製造を委託したいと考えたとき、最初に迷うのは「誰に何を聞けばよいか」です。会社の実在性、規格への適合、輸出の際の書類——それぞれ確認先が異なり、ネット上の情報だけでは古いか不正確なことがあります。

本記事では、タイでの調達・委託製造を進める際に確認すべき公的な窓口と手順を、タイ政府機関の公表情報をもとに整理します。

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タイの輸出振興・投資促進の窓口

タイの貿易促進はタイ商務省の国際貿易振興局(DITP)、外国企業の投資促進はタイ投資委員会(BOI)が担っています。

DITPはタイ商務省の下部機関で、海外の買い手向けにタイのサプライヤー情報の提供や見本市の主催を行っています。BOIは首相府直属の機関で、外国からの投資誘致とタイ国内の製造業支援を担当し、対象業種であれば法人税の減免などの投資奨励策を提供しています。タイの工場に製造を委託する場合、その工場がBOI認可企業かどうかで税制上の扱いが変わることがあるため、確認する価値があります。

目的窓口できること
サプライヤーを探す・見本市に参加する国際貿易振興局(DITP)サプライヤー紹介、業界別の情報提供
委託先工場の投資優遇の有無を確認するタイ投資委員会(BOI)認可企業リストの確認、優遇制度の説明

(2026年9月25日時点でDITP・BOIの公式サイトを確認)

企業登記を確認する

タイで登記された企業の実在性は、商務省の事業開発局(DBD)が管理する登記情報で確認できます。

初めて取引する会社の登記番号、代表者、資本金などは、DBDの企業情報照会サービスで確認できます。名刺やウェブサイトの情報だけで判断せず、登記情報と照合することをおすすめします。工場を訪問する前の一次スクリーニングとして有効です。

タイの規格・認証制度

タイ工業規格局(TISI)が製品規格の策定と認証を担い、対象品目には強制規格として認証マークの取得が義務づけられています。

TISIはタイ商務省ではなく工業省の下にある機関で、電気製品・自動車部品・建材・医療機器・食品関連など幅広い品目でタイ工業規格(TIS)を定めています。規格には強制規格と任意規格があり、強制規格の対象品目はTISIの認証(TISIマーク)を取得しないとタイ国内での販売や、対象品目によっては通関ができません。委託製造や仕入れを検討している品目がTISIの強制規格対象かどうかは、発注前にTISIの公表リストで確認する必要があります。品目区分・対象範囲は改定されることがあるため、契約前に必ず最新情報を確認してください。

食品・化粧品・医薬品に関しては、タイ食品医薬品局(Thai FDA)が別途の許可・登録制度を運用しています。TISIの管轄外なので、対象品目によって確認先を分ける必要があります。

輸出書類と原産地証明の発給機関

タイからの輸出における原産地証明書は、タイ商務省の対外貿易局(DFT)が一元的に発給しています。

タイ商務省の対外貿易局(DFT)は、特恵税率の適用に使う原産地証明書(ASEAN物品貿易協定=ATIGAのForm Dなど)と、特恵を伴わない一般の原産地証明書の両方を扱う機関です。タイの輸出者はDFTの電子システムに登録し、電子的な原産地証明書(e-Form D)の発給を受ける仕組みが整備されています。どの協定のどの様式で申請するかは、仕入れ先の国・使う協定によって変わるため、発注前にサプライヤーと確認しておくと、荷物が着いてから慌てずに済みます。

書類発給・関係機関用途
原産地証明書(Form Dなど特恵用)対外貿易局(DFT)ATIGA・RCEPなど協定税率の適用
一般原産地証明書(非特恵)対外貿易局(DFT)原産地の証明(協定税率とは別)
企業登記情報事業開発局(DBD)取引先の実在確認
強制規格の認証タイ工業規格局(TISI)対象品目の市場アクセス

(2026年9月25日時点でDFT公式サイトを確認)

主な港と輸送ルート

タイの海上輸出入はレムチャバン港とバンコク港(クロントイ港)が中心で、内陸から近い場合は空輸との使い分けを検討します。

レムチャバン港はタイ最大のコンテナ港で、バンコク近郊の工業団地から陸送しやすい立地にあります。バンコク港(クロントイ港)は市内に近く、貨物の性質によって使い分けられます。委託先の工場が内陸にある場合は、工場から港までの陸送時間も見積もりに含めて比較する必要があります。

日本やベトナムへ入れるときの協定の選び方

タイから日本、あるいはベトナムへ持ち込む際にどの経済連携協定を使うかは、協定ごとに税率と原産地規則が異なるため個別の判断が必要です。

タイから日本への輸入で使える協定(日タイEPA・AJCEP・RCEP)の選び方と原産地証明の実務はタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方にまとめています。タイの部材をベトナムの自社工場へ入れる場合の書類・関税の考え方はASEAN部品・原料をベトナムの自社工場へ入れるをご覧ください。

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よくある質問

1. タイのサプライヤーが実在する会社かどう確認すればよいですか?
A. タイ商務省の事業開発局(DBD)が管理する企業登記情報で、登記番号・代表者・資本金などを確認できます。名刺やウェブサイトの情報だけで判断せず、登記情報と照合することをおすすめします。

2. TISIの認証はすべての製品に必要ですか?
A. いいえ。TISIは強制規格と任意規格を分けて運用しており、強制規格の対象品目のみ認証取得が必須です。対象範囲は改定されることがあるため、発注前にTISIの公表リストで確認してください。

3. タイから輸出する際の原産地証明書はどこで発給されますか?
A. タイ商務省の対外貿易局(DFT)が、特恵税率用(ATIGAのForm Dなど)と一般の原産地証明書の両方を発給しています。

4. タイの委託製造先がBOI認可企業かどうかは重要ですか?
A. BOI認可企業は投資奨励策の対象になっていることがあり、税制上の扱いに関わる場合があります。委託先を検討する際に確認しておくと良い項目です。

5. タイから日本やベトナムへ輸入するとき、どの協定を使えばよいですか?
A. 協定ごとに税率と原産地規則が異なるため、品目のHSコードで比較する必要があります。日本向けはタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方、ベトナムの自社工場向けはASEAN部品・原料をベトナムの自社工場へ入れるをご覧ください。

まとめ

タイからの調達・委託製造では、サプライヤー探し(DITP)、企業実在の確認(DBD)、規格・認証の要否(TISI)、原産地証明の発給(DFT)、そして主要港(レムチャバン港・バンコク港)という5つの確認ポイントを押さえておくと、手戻りを減らせます。

制度は改定されることがあるため、発注前に必ず最新情報を確認してください。

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※出典:タイ商務省 国際貿易振興局(DITP)公式サイト、タイ投資委員会(BOI)公式サイト、タイ商務省 対外貿易局(DFT)公式サイト、タイ工業規格局(TISI)公式サイト。2026年9月25日確認。