ブラックジンジャー(学名 Kaempferia parviflora、黒しょうが)は、タイなど東南アジア原産のショウガ科の植物です。根茎にポリメトキシフラボンという成分群を多く含み、日本では体重やおなかまわりをテーマにしたサプリに使われています。

本記事では、ブラックジンジャーサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、機能性表示食品として届け出る場合といわゆる健康食品として売る場合の表示、原料と剤形の決め方を整理します。ブラックジンジャーの研究は日本人を対象にした試験が中心ですが、人数は多くありません。研究の条件を知っておくと、OEMで原料規格と表示を決めるときに迷いにくくなります。

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研究で分かっていること

BMIが高めの日本人を対象にした12週間の試験2件で、腹部の脂肪面積がプラセボより多く減ったと報告されていますが、どちらも小規模で、独立した追試はまだ少ない状況です。

試験・レビュー対象結果
ランダム化二重盲検プラセボ対照試験、Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity 2018(PMID 30214264、PMC6120512)BMI 24以上30未満の20〜64歳の日本人76人。ポリメトキシフラボン8%超に規格化したエキス150mgを1日1回、12週間CTで測った内臓脂肪・皮下脂肪・合計の脂肪面積が、プラセボより多く減った。試験食品に関連する有害事象はなかった。原料メーカーが資金を出し、同社の社員が著者に含まれる
ランダム化二重盲検プラセボ対照試験、Food & Function 2021(PMID 33475663)BMI 23以上30未満の20〜64歳の日本人80人。精製したポリメトキシフラボン1日12mg、12週間内臓脂肪面積が8週と12週でプラセボより低かった。合計の脂肪面積も同様。有害事象はなかった
プラセボ対照試験、Journal of Nutritional Science and Vitaminology 2015(PMID 25994142)健康な男性。エキスを1回とった後のエネルギー消費量を測定エネルギー消費量が60分後に最大で1日あたり229kJ増えた。褐色脂肪の活性が高い人で増え、低い人では増えなかった。著者に食品企業の研究者を含む
系統的レビュー、Journal of Evidence-Based Complementary & Alternative Medicine 2017(PMID 27694558、PMC5871153)ブラックジンジャーの臨床試験7件良い結果もあるが、小さな試験ばかりで結論は出せないとした。1日1.35gでも有害事象の報告はなかった

研究の範囲として、次の点を押さえておく必要があります。

  • 対象者:12週間の試験は、どちらもBMIが高めの日本人が対象です。一般の人すべてに当てはまるとは限りません。
  • 人数と資金:試験は数十人規模で、2018年の試験は原料メーカーの資金によるものです。
  • 原料の違い:2018年はエキス、2021年は精製したポリメトキシフラボンで、試験ごとに原料が異なります。

このほか、安全性の試験(Journal of Medicinal Food 2019、PMID 31517555)もあります。健康な日本人52人がエキスを1日750mg、4週間とり、プラセボと比べて異常は見られませんでした。研究で使われた原料と量を、自社の原料規格とそろえて考えることが大切です。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録と、2018年の試験の本文を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンは、BMIが高めの方の腹部の脂肪を減らす機能などを表示する機能性表示食品に使われています。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

届出の例では、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンについて、2つの機能が報告されているという趣旨の表示がされています。BMIが高めの方の腹部の脂肪を減らす機能と、日常活動時のエネルギー代謝で脂肪を消費しやすくする機能です。この例の1日あたりの量は、ポリメトキシフラボン12mgです。対象者を「BMIが高めの方」に限っている点が特徴です。

2024年の制度改正で、サプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。

ブラックジンジャーで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究をまとめた研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:ポリメトキシフラボンの1日あたりの量を、根拠とする研究と合わせる
  • 分析の方法:製品中のポリメトキシフラボンの量を測る方法と、その結果を保証する体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ない健康食品は、脂肪や体重への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定ブラックジンジャーサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「おなかの脂肪を落とす」「代謝を上げてやせる」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「飲むだけでウエスト〇cm減」、体型の変化を示す写真などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日2粒でブラックジンジャーエキス〇mg」(量の事実)「おなかの脂肪が燃える」「飲むだけでやせる」
「ポリメトキシフラボン〇%以上に規格化したエキスを使用」(原料の事実)肥満やメタボリックシンドロームなど、病名や検査値を挙げた表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「臨床で実証済み」など、研究の対象者と限界を示さない表現

ブラックジンジャーの製剤設計

ブラックジンジャーは規格化したエキスをミリグラム単位で配合するため、原料の規格と、色やにおいの扱いが設計の中心になります。

剤形選ばれる理由検討すること
ハードカプセルエキスの色や味を感じにくく、他の成分と組み合わせやすいカプセルの大きさと1日分の粒数
錠剤1回あたりの費用を抑えやすい色の濃いエキスの見た目と、コーティングの有無
粉末・顆粒スティック他の素材と合わせた商品にしやすい色と苦味をおさえる味の設計

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の規格:エキスか精製品か、ポリメトキシフラボンを何%保証しているかを、原料メーカーに確認します。研究で使われた原料の規格と比べることも大切です。
  2. 1日あたりの量:届出の例ではポリメトキシフラボン12mgでした。エキスの量ではなく、成分の量で考えます。
  3. ロットごとの確認:植物原料は収穫や抽出のロットで成分量が変わるため、ロットごとの分析結果を確認します。
  4. 組み合わせる成分:体重や代謝をテーマにした配合では、他の植物素材と組み合わせることがよくあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

ブラックジンジャーは、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に例示されています。植物由来物等の項に「ケンペリア・パルビフローラ(ブラックジンジャー)」の根茎として載っています。使える部位が根茎として示されている点も確認しておきます。食品と医薬品の境目は食品と医薬品の区分のガイドで、配合の確認はサプリメントOEMのページで詳しく説明しています。

体重・代謝をテーマにした成分は、L-カルニチン、緑茶カテキン、黒酢のガイドでも扱っています。

見積もりの前に決めておくこと

原料の規格と1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • ブラックジンジャー原料の種類(エキスか精製品か)と、ポリメトキシフラボンの保証量
  • 1日あたりの成分量と、1日分の粒数
  • 剤形
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

ブラックジンジャーの研究は、どのくらい確かですか?

BMIが高めの日本人を対象にした12週間の試験2件で、腹部の脂肪面積がプラセボより多く減ったと報告されています。ただし、どちらも数十人規模で、1件は原料メーカーの資金によるものです。2017年の系統的レビューも、結論を出すには試験が小さいとしています。

機能性表示食品が多いのはなぜですか?

ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンは、BMIが高めの方の腹部の脂肪に関する表示で届け出られています。届出は、届出者が自らの責任で根拠を示すもので、消費者庁の審査や許可ではない点に注意が必要です。

機能性表示食品にしないブラックジンジャーサプリでも、おなかの脂肪と書けますか?

いわゆる健康食品では、脂肪や体重への効果をうたう表現は避ける必要があります。量や原料規格の事実を中心にし、全体として効果をうたう表示になっていないかを確認してください。

原料を選ぶときのポイントは何ですか?

ポリメトキシフラボンの保証量と、エキスか精製品かを確認します。研究や届出は成分の量で示されているため、エキスの量だけで比べないことが大切です。

ブラックジンジャーに向いている剤形は何ですか?

ハードカプセルが多く、錠剤も使われます。エキスの色や味が強いため、カプセルで包むか、錠剤ならコーティングを検討します。

参考

  • “Daily intake of Kaempferia parviflora extract decreases abdominal fat in overweight and preobese subjects: a randomized, double-blind, placebo-controlled clinical study”, Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity: Targets and Therapy 2018, PMID 30214264, PMC6120512
  • “Polymethoxyflavone purified from Kaempferia parviflora reduces visceral fat in Japanese overweight individuals: a randomised, double-blind, placebo-controlled study”, Food & Function 2021, PMID 33475663
  • “Kaempferia parviflora extract increases whole-body energy expenditure in humans: roles of brown adipose tissue”, Journal of Nutritional Science and Vitaminology 2015, PMID 25994142
  • “Clinical Effects of Krachaidum (Kaempferia parviflora): A Systematic Review”, Journal of Evidence-Based Complementary & Alternative Medicine 2017, PMID 27694558, PMC5871153
  • “Evaluation of the Safety of Daily Consumption of Kaempferia parviflora Extract (KPFORCE): A Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Trial”, Journal of Medicinal Food 2019, PMID 31517555
  • 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(別添2、2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)