車のシートカバーを自社ブランドで売りたい、または今の仕入れ先とは別の工場を探したい。そう考えたとき、台湾・タイ・マレーシアの縫製工場は有力な候補になります。

シートカバーには、ドアバイザーやフロアマットにはない注意点が2つあります。1つは、シートに内蔵されたサイドエアバッグの働きを妨げないこと。もう1つは、日本に輸入するときに関税がかかり、仕入れる国によって税率が変わることです。本記事では、この2点を中心に、シートカバーのOEMを海外の工場に頼むときの手順と注意点を整理します。カー用品全般のアジア調達は、カー用品OEM・仕入れ|台湾・タイ・マレーシアで解説しています。

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シートカバーOEMで最初に決めること

シートカバーのOEMでは、素材、車種専用か汎用か、エアバッグ対応の有無の3つを最初に決めます。

決めること選択肢影響
素材合成皮革(PVC・PU)、ファブリック(ポリエステルなど)、ネオプレンなど見た目・耐久性・価格帯・関税の分類
車種専用か汎用か車種ごとの型紙で作る専用品/多くの車に被せる汎用品型紙の有無・ロット・適合のクレーム
エアバッグ対応サイドエアバッグ付きのシートに対応/非対応縫製の仕様・販売時の表示

素材は、見た目と価格帯だけでなく、関税の分類にも関わります。合成皮革とファブリックでは分類が変わる可能性があるため、後半の関税の章もあわせて確認してください。

車種専用品は、シートの形にぴったり合う分だけ見栄えがよく、単価も高く設定できます。その代わり、車種ごとに型紙が必要で、工場が型紙を持っているかどうかで、ロットと費用が大きく変わります。

車種専用の型紙と縫製の品質を確かめる

車種専用のシートカバーは、工場がその車種・グレードの型紙を持っているか、そして縫製の精度が十分かで、仕上がりが決まります。

同じ車種でも、グレードや年式によってシートの形、ヘッドレストの形、アームレストの有無、後席の分割の仕方が異なります。工場に型紙の有無を聞くときは、車名だけでなく、型式・年式・グレード・シートの配置(5人乗りか7人乗りか)まで伝えます。

輸出向けの工場は、海外仕様の車の型紙しか持っていない場合があります。日本仕様の車でシートの形が違えば、型紙を新しく作る必要があります。新しく型紙を作るときは、実車のシートから採寸するのが基本です。

縫製の品質は、サンプルで次の点を確認します。

  • 縫い目がまっすぐで、糸のほつれや目飛びがないか
  • 実車に付けたとき、しわやたるみが出ないか
  • ヘッドレストやシートベルトの穴の位置が合っているか
  • 留め具(フック・ゴム・面ファスナー)が外れにくいか

上の4点は、写真ではほとんど判断できません。サンプルを実車に取り付けて、運転席と助手席だけでも確かめてから量産に進むのが安全です。

サイドエアバッグへの対応は安全に直結する

サイドエアバッグを内蔵したシートでは、シートカバーがエアバッグの展開を妨げないよう、対応した縫製になっているかを必ず確認します。

サイドエアバッグは、前席の背もたれの外側に内蔵されていることが多い装備です。自動車メーカーの取扱説明書にも、たとえばホンダの取扱説明書には「サイドエアバッグがシートカバーによっては、正常に機能できなくなります」との注意書きがあり、前席へのシートカバーの装着は販売店に相談するよう案内されています。

OEMでシートカバーを作るときは、工場に次の点を確認してください。

  • サイドエアバッグ付きのシートに対応した製品か
  • 対応している場合、どの部分をどのような縫製にしているか(エアバッグが展開する部分の仕様)
  • 対応を確かめた試験や、根拠になる資料があるか

工場が「エアバッグ対応」と言うだけで、根拠を示せない場合は慎重に判断します。対応を確認できない製品は、販売ページで「サイドエアバッグ付きの車種には使用できません」と明記し、対象外の車種をはっきり示すことが大切です。

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関税はタイ・マレーシアからなら無税になる

自動車用シートカバーは日本の関税が5.3%かかる品目で、タイ・マレーシアからはEPAの原産地証明を用意すれば無税になります。

大阪税関は2025年10月、合成繊維の織物などを縫製した「自動車用腰掛けのカバー」について、関税分類の事前教示に回答しています。回答では、簡単に取り付け・取り外しができるカバーは座席の一部を構成しないため、座席の部分品(第94.01項)には当たらないとされました。そのうえで、合成繊維製の織物から成る室内用品として、HSコード6304.93-090に分類されています。

日本税関の実行関税率表(2026年8月8日版)で、6304.93-090の税率を確認した結果は次のとおりです。

仕入れる国適用される税率6304.93-090の税率
台湾WTO協定税率5.3%
タイ日タイEPA・AJCEP・RCEP無税(原産地証明が必要)
マレーシア日マレーシアEPA・AJCEP・RCEP無税(原産地証明が必要)
(参考)中国RCEP3.3%

ドアバイザーやフロアマットと違い、シートカバーは仕入れる国で関税の差が出ます。同じ商品単価なら、タイ・マレーシアから原産地証明付きで輸入する方が、台湾から輸入するより5.3%分安くなる計算です。

ただし、分類は素材や構造で変わります。合成皮革(PVC・PU)が主体のものや、メリヤス編み(ニット)の生地を使ったものは、別の項に分類される可能性があります。同じ回答事例でも、製品の構造が違えば結論が変わり得るため、初めて輸入する商品は税関の事前教示制度で確認しておくと安心です。原産地証明の種類と選び方はタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方で解説しています。

ロット・費用の決まり方

シートカバーのロットと費用は、型紙の有無、生地の色と種類、ロゴやパッケージの仕様で決まります。

金額やロットは工場・素材・車種によって大きく異なるため、ここでは決まり方を整理します。

決まる要素ロット・費用への影響
型紙の有無型紙がある車種は少量から。新しく作る車種は採寸と試作の費用がかかる
生地の色・種類生地は反物単位で仕入れるため、色や種類を増やすほど最低数量が上がりやすい
ステッチ・パイピング糸の色や縁取りを変えると、仕様ごとに段取りが増える
ロゴ・タグ・パッケージ刺しゅうやタグ、自社仕様の箱は、初回の版代や最低数量が別にかかる

最初の発注では、型紙がある売れ筋の車種に絞り、生地とステッチの色を1〜2種類に抑えると、在庫と初期費用を小さくできます。複数の国の工場から見積もりを取るときは、商品単価に関税を足した総額で比べてください。上の関税の表のとおり、シートカバーは国によって5%前後の差が出ます。条件のそろえ方はアジア複数国の見積もりを同条件で比較する方法で解説しています。

シートカバーOEMの進め方

素材と車種を決めて型紙を確認し、エアバッグ対応とサンプルを実車で確かめてから量産に進みます。

  1. 素材と販売する車種を決める(型式・年式・グレード・シート配置)
  2. 工場の型紙の有無と、エアバッグ対応の仕様を確認する
  3. 見積もりを取る(車種・生地・色・数量・ロゴの条件をそろえ、関税込みで比べる)
  4. サンプルを実車で確認する(形・縫製・穴の位置・留め具・エアバッグ部分の仕様)
  5. 量産と出荷前の検品(縫製・寸法・付属品の数を確認)
  6. 輸送・通関(HSコードの確認、タイ・マレーシアは原産地証明)

輸入して販売する会社は、製造物責任法上の「製造業者等」に含まれ、製品の欠陥で事故が起きた場合に責任を問われることがあります。エアバッグ対応の根拠資料と検品の記録は、販売後も保管しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

シートカバーは何台分からOEMできますか?

工場・素材・車種によって大きく異なります。工場がすでに型紙を持っている車種なら、少量から作れる場合があります。新しく型紙を作る車種や、生地・色を指定する場合は、採寸や生地の最低数量の分だけロットが大きくなりやすいです。

シートカバーの輸入に関税はかかりますか?

合成繊維の織物などから成る自動車用シートカバーは、大阪税関の事前教示回答(2025年10月)で6304.93-090に分類され、日本のWTO協定税率は5.3%です。タイ・マレーシアからはEPAの原産地証明を用意すれば無税になります。輸入時には消費税もかかります。

サイドエアバッグ付きの車にも使えるシートカバーは作れますか?

作れる工場はあります。ただし、エアバッグの展開を妨げない縫製になっているか、根拠となる試験や資料があるかを工場に確認する必要があります。根拠を確認できない製品は、エアバッグ付きの車種には使えない旨を販売ページに明記してください。

自動車メーカーのロゴを入れてもよいですか?

自動車メーカーのロゴやエンブレムを無断で入れると、商標権の侵害になるおそれがあります。自社ブランドのロゴを入れる場合は問題ありません。

まとめ

シートカバーのOEMは、素材と車種を決め、工場が型紙を持っているかを確かめるところから始まります。サイドエアバッグへの対応は安全に直結するため、工場の仕様と根拠を確認し、販売ページの表示まで決めておくことが大切です。

関税の面では、シートカバーは日本で5.3%かかる品目で、タイ・マレーシアからは原産地証明で無税になります。Sunsho Tradeは、台湾・タイ・マレーシアの工場探しから、サンプル手配、関税を含めた見積もり比較、原産地証明の手配、日本への納品まで日本語で対応します。

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参考