カー用品のOEMや海外からの仕入れというと、まず中国の工場を思い浮かべる方が多いはずです。ところが、ドアバイザーやフロアマットのような外装・内装のカー用品は、台湾・タイ・マレーシアにも輸出を前提にした専門工場があります。
本記事では、日本のカー用品店・部品商・EC事業者の方に向けて、カー用品をアジアから仕入れる方法と、自社ブランドでOEMする方法を整理します。国ごとの得意分野、既製品からOEMへの進め方、関税の調べ方、輸入して売る会社が負う責任まで、発注前に押さえておきたい論点をまとめました。
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カー用品の調達先は中国だけではない
外装・内装のカー用品は、台湾・タイ・マレーシアにも輸出実績のある工場があり、品目によっては中国より条件が合う場合があります。
中国以外を検討する理由
中国の工場は品目も数も多く、価格面で強いのは確かです。一方で、取引先が一つの国に集中していると、品質が安定しない工場に当たったときや、物流が止まったときに代わりの仕入れ先がありません。
調達先を複数の国に分けておくと、次のような利点があります。
- 同じ品目で国をまたいだ見積もり比較ができる
- 一つの国で問題が起きても、別の国の工場で供給を続けられる
- タイ・マレーシアからは、原産地証明を使うと関税が下がる品目がある
上の3点のうち、関税の話は品目によって効き方が大きく違います。詳しくは後半の「関税と原産地証明」の章で、日本税関の実行関税率表をもとに説明します。
Sunshoが扱えるカー用品
Sunsho Tradeが現在、台湾・タイ・マレーシアの工場とのやりとりを代行できるのは、次の外装用品と内装用品です。
| 区分 | 主な品目 |
|---|---|
| 外装用品 | ドアバイザー(サイドバイザー)、ボンネットガード(バグガード)など |
| 内装用品 | フロアマット、ラゲッジマット(トランクマット)、シートカバーなど |
上の表は代表的な品目です。エンジン部品や電装品、ランプ類など、表にない品目も、仕様に合う工場を探して製造できます。作りたい製品があれば、まずはご相談ください。
台湾・タイ・マレーシアの得意分野を比べる
台湾はアフターマーケット用品の輸出、タイは自動車生産の集積、マレーシアはゴム・樹脂系の製品に強みがある国として知られています。
| 国 | 知られている強み | 日本との経済連携協定 | 調達で向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 台湾 | 輸出向けのアフター用品・カスタム部品の工場が多い | なし(WTO協定税率) | 車種専用品を少量から試したいとき |
| タイ | ASEAN最大級の自動車生産拠点で、部品の裾野が広い | 日タイEPA・AJCEP・RCEP | 量産品をまとまった数量で仕入れたいとき |
| マレーシア | 天然ゴムの産地で、ゴム製品の工場が多い | 日マレーシアEPA・AJCEP・RCEP | ゴム製マットなど素材重視の品目 |
上の表は国ごとの傾向で、個々の工場の実力は国だけでは決まりません。同じ国の中でも、日本車向けの型を持っている工場と持っていない工場では、対応できる車種の幅が大きく変わります。
台湾
台湾では毎年、自動車部品・用品の大型見本市「TAIPEI AMPA」が台北で開かれ、2025年4月で第41回を数えました。ドアバイザーやボンネットガードを輸出している工場も多く、英語での取引や小ロットの試作に慣れた工場が見つかりやすい国です。台湾からの仕入れ全般の進め方は、台湾からの仕入れ|工場委託と輸出手続きの進め方で詳しく解説しています。
タイ
タイは日系自動車メーカーの生産拠点が集まり、樹脂成形や縫製など部品づくりの裾野が広い国です。フロアマットやシートカバーの工場には、量産を前提にした設備を持つところがあります。タイからの調達の基本はタイから仕入れる・委託製造の進め方と確認先をご覧ください。
マレーシア
マレーシアは天然ゴムの産地で、ゴム製品の製造が盛んな国です。ゴム製のフロアマットやラゲッジマットのように、素材の品質が仕上がりを左右する品目で候補になります。マレーシア調達の手順はマレーシア仕入れ・委託製造の進め方と確認先にまとめています。
3か国のカー用品メーカーを見本市や検索サイトで探す方法と、工場の見極め方は海外カー用品メーカーの探し方|見本市と見極めで解説しています。
既製品の仕入れとOEM、どちらから始めるか
最初は既製品で売れ行きを確かめ、売れたらロゴやパッケージを変え、最後に専用設計へ進む順番が失敗しにくい進め方です。
| 段階 | 内容 | 初期費用の考え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ①既製品の仕入れ | 工場がすでに作っている商品を買う | 商品代と送料が中心 | 売れるか分からない新商品を試す |
| ②簡易OEM | 既製品にロゴを入れ、パッケージを自社仕様にする | 版代・パッケージの初回費用が加わる | 売れ筋を自社ブランドで売りたい |
| ③専用設計OEM | 形や素材を新しく決め、型から作る | 型(金型・裁断型)の費用が大きい | 他社にない商品で差をつけたい |
費用の金額やロット(最低発注数量)は、工場・品目・素材によって大きく異なります。同じドアバイザーでも、工場がすでに型を持っている車種なら既製品として少量から買える一方、型のない車種は③の専用設計になります。
ロット(MOQ)が決まる仕組み
カー用品のロットは、主に「型があるか」と「素材の段取り替え」で決まります。型を新しく作る品目は、型の費用を回収するために一定の数量が必要になります。
マットの場合は、素材の色や厚みを変えるたびに機械の段取り替えが発生するため、色数を絞ると小さいロットで頼みやすくなります。見積もりを取るときは、車種・色・数量を最初にそろえて伝えると、工場ごとの条件を比べやすくなります。複数の国の見積もりを同じ条件にそろえる方法は、アジア複数国の見積もりを同条件で比較する方法で解説しています。
品目別に確認すべきこと
フロアマットは車種ごとの型と固定方法、ドアバイザーは材質と取付方法が、仕上がりとクレームの多さを左右します。
フロアマット・ラゲッジマット
フロアマットの素材には、主に次の3種類があります。
- カーペット(繊維):見た目と足触りがよく、純正品に近い仕上がりにできる
- ゴム:水や泥に強く、洗いやすい
- TPE(熱可塑性エラストマー)などの樹脂:立体成形で縁を立ち上げ、水や砂をためられる
素材を決めたら、次に確認するのは日本車・右ハンドル用の型があるかどうかです。左ハンドル車向けの型しか持たない工場も多いため、運転席側の形状とペダル周りの寸法は必ず実車で確かめます。
マットの固定方法は安全に直結する確認項目です。国土交通省は2010年4月、全国自動車用品工業会などの業界団体に対し、フロアマットのアクセルペダルへの引っかかりによる事故を防ぐため、市販フロアマットの使用方法の表示や形状の改善を検討するよう要望しています(国自審第99号の2)。車両側の固定フックに合う穴や留め具があるか、裏面に滑り止めがあるかを、サンプルの段階で確認してください。素材・型・ロットの考え方はフロアマットOEM|海外工場で作る手順と注意点で詳しく解説しています。
ドアバイザー・ボンネットガード
ドアバイザーの材質は、アクリル樹脂とポリカーボネートが代表的です。アクリルは透明感と表面の硬さに優れ、ポリカーボネートは割れにくさに優れます。スモークの濃さや厚みも工場によって異なるため、サンプルで色味を確かめます。
取付方法は、両面テープで貼るタイプと、窓枠に差し込むタイプがあります。両面テープの粘着力は、日本の夏の高温や洗車で差が出やすい部分です。テープの品番や耐熱の仕様を工場に確認し、可能であれば実車で一定期間テストしてから量産に進みます。材質と取付方法の比べ方はドアバイザーOEM|海外工場の選び方と確認点にまとめています。
シートカバー
シートカバーは、素材と縫製の品質に加えて、シート内蔵のエアバッグを備えた車種に対応しているかが重要です。エアバッグ付きのシートに対応する製品は、展開を妨げない縫製になっているかを工場に確認し、対応していない製品は販売ページで対象外の車種を明記します。エアバッグ対応の確認方法と関税の違いはシートカバーOEM|海外工場での作り方と関税で詳しく解説しています。
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関税と原産地証明で仕入れ値が変わる
自動車用の形状に作られたバイザーやマットは日本の関税が無税ですが、汎用品として分類されると、タイ・マレーシアからは原産地証明の有無で税率が変わります。
日本税関の実行関税率表(2026年8月8日版)で、主な品目の税率を確認した結果は次のとおりです。
| 品目(想定される分類) | HSコード | 基本・WTO税率 | タイ・マレーシア(EPA) |
|---|---|---|---|
| ドアバイザーなど車体の附属品 | 8708.29 | 無税 | 無税 |
| ゴム製の床用敷物(自動車用) | 4016.91-010 | 無税 | 無税 |
| タフテッドじゅうたん(自動車用に適する寸法・形状のもの) | 5703.39-100 など | 無税 | 無税 |
| タフテッドじゅうたん(その他の人造繊維製) | 5703.39-200 | 基本9.6%/WTO 6.3% | 無税 |
| 自動車用シートカバー(合成繊維の織物製) | 6304.93-090 | 基本6.4%/WTO 5.3% | 無税 |
同じ繊維製マットでも、自動車用の寸法・形状かどうかで税率が分かれます。車種専用に裁断したマットは無税ですが、汎用の敷物として分類されると、台湾からはWTO協定税率の6.3%がかかります。タイ・マレーシアからは、EPAの原産地証明を用意できれば無税になります。
シートカバーは、大阪税関の事前教示回答(2025年10月)で6304.93-090に分類された例があり、台湾からは5.3%、タイ・マレーシアからは原産地証明を用意すれば無税です。一方、TPEなど樹脂製の立体成形マットの分類は、素材や形状によって判断が分かれます。分類に迷う品目は、輸入前に税関の「事前教示制度」で確認しておくと、通関時に想定外の税率になるのを防げます。関税とは別に、輸入時には消費税もかかります。
タイ・マレーシアから輸入する場合に、日タイEPA・AJCEP・RCEPのどれを使うかはタイ・マレーシアから日本へ輸入|EPA・AJCEP・RCEPの選び方で詳しく比較しています。税率は改正されることがあるため、発注前に最新の実行関税率表で確認してください。
輸入して売る前に押さえる法律と責任
カー用品を輸入して販売する会社は、製造した工場と同じように製造物責任を負うため、品質の取り決めと検品が欠かせません。
PL法(製造物責任法)
製造物責任法は、製造物の欠陥で人の生命・身体・財産に損害が出た場合の責任を定めた法律です。同法第2条第3項は、責任を負う「製造業者等」に、製造物を業として輸入した者を含めています。
つまり、海外の工場で作ったフロアマットが原因で事故が起きた場合、日本で輸入して販売した会社が責任を問われることがあります。工場との間で品質基準と不良時の対応を書面で決め、出荷前の検品を行い、PL保険への加入も検討してください。
意匠権・商標
自動車メーカーの純正品とそっくりな形のバイザーやマットは、意匠権を侵害するおそれがあります。自動車メーカーのロゴやエンブレムをマットに入れることも、商標権の侵害になり得ます。
工場が「どの車種でも純正風に作れる」と言っても、日本で販売してよいかは別の問題です。特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で意匠と商標を調べ、判断に迷う場合は弁理士に確認します。
保安基準と車検
ドアバイザーのように車体の外側に付ける用品は、取付位置や形状によっては道路運送車両の保安基準との関係を確認する必要が出てきます。販売前に、取付方法と対象車種を明記し、不明点は専門の整備事業者などに確認することをおすすめします。
カー用品OEMの依頼から納品までの流れ
品目と車種を決めて見積もりを取り、サンプルを実車で確かめてから量産に進むのが基本の流れです。
- 品目・車種・数量を整理する(型式、色、年間の想定数量)
- 工場を選び、見積もりを取る(複数の国で条件をそろえて比較)
- サンプルを取り寄せ、実車で確かめる(適合・固定方法・色味)
- 量産と出荷前の検品(検品基準を事前に書面で合意)
- 輸送と通関(HSコードの確認、タイ・マレーシアは原産地証明)
- 国内での販売(対象車種・取付方法・注意事項を表示)
上の流れで最も時間がかかるのは、③のサンプル確認です。車種ごとに形が違うカー用品は、写真や図面だけでは適合を判断できません。実車での確認を省くと、量産後に「取り付けられない」というクレームにつながります。
よくある質問(FAQ)
カー用品は何個からOEMできますか?
工場・品目・素材によって大きく異なります。工場がすでに型を持っている車種なら、既製品として少量から仕入れられる場合があります。新しく型を作る専用設計のOEMは、型の費用を回収するために一定の数量が必要になります。
中国製と比べて価格はどう違いますか?
一概には言えません。商品単価だけでなく、送料・関税・検品の手間・不良率を含めた「日本に届くまでの総額」で比べることが大切です。同じ条件で複数の国の見積もりをそろえると、どの国が有利かが見えてきます。
日本車用の型がない車種でも作れますか?
型を新しく作れば対応できる場合があります。ただし型の費用と開発期間がかかるため、まずは工場が持っている型の車種リストを確認し、足りない車種だけを新しく作る方法が現実的です。
カー用品の輸入に関税はかかりますか?
自動車用の形状に作られたドアバイザーやフロアマットは、日本の関税が無税です(2026年8月8日版の実行関税率表で確認)。汎用品として分類されると税率がかかる場合があります。シートカバーは5.3%かかる例があり、タイ・マレーシアからは原産地証明で無税になります。輸入時には消費税もかかります。
「OEM部品」と「OEM生産」は同じ意味ですか?
違います。「OEM部品」は、自動車メーカーに純正品を納めている会社が作った同等品を指すことが多い言葉です。本記事の「OEM」は、工場に自社ブランドの商品を作ってもらう「OEM生産」の意味で使っています。
まとめ
ドアバイザーやフロアマットなどのカー用品は、中国だけでなく台湾・タイ・マレーシアからも仕入れられます。最初は既製品で売れ行きを確かめ、ロゴ入れ、専用設計へと段階を踏むと、在庫と型の費用を抑えながら自社ブランドを育てられます。
発注前には、車種ごとの適合と固定方法、関税の分類、輸入者としてのPL責任を確認しておくことが大切です。Sunsho Tradeは、台湾・タイ・マレーシアの工場探しから、サンプルの手配、見積もり比較、日本への納品まで日本語でサポートします。
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参考
- 日本税関「実行関税率表(2026年8月8日版)」第40類・第57類・第87類 https://www.customs.go.jp/tariff/2026_08_08/index.htm
- 国土交通省「フロアマットの使用方法に起因する事故の未然防止について(協力依頼及び要望)」国自審第99号・第99号の2(2010年4月22日) https://www.mlit.go.jp/common/000113154.pdf
- 製造物責任法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/406AC0000000085
- 税関「関税分類の事前教示制度について」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1202_jr.htm