クロレラは、淡水に住む単細胞の緑藻です。日本では古くから錠剤や粉末の健康食品として販売されてきた素材で、たんぱく質やビタミン、ミネラル、葉緑素(クロロフィル)を含みます。1日に数グラム単位で摂るため、粒の多い錠剤の商品がよく見られます。

本記事では、クロレラサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、光線過敏症を防ぐための国の指導、ビタミンKとワルファリンの注意、剤形と原料の決め方を整理します。クロレラは、原料の加工と保存の管理について、昭和56年から国の通知がある素材です。製造を頼む前に、その内容を押さえておく必要があります。

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研究で分かっていること

健康な成人を対象とした数週間の小規模な試験で、免疫の働きに関する指標が変化したという報告がありますが、体調や病気のかかりにくさを調べた研究ではありません。

試験対象結果
無作為化二重盲検プラセボ対照試験、Nutrition Journal 2012(PubMed 22849818、PMC3511195)韓国の健康な成人60人を割り付け、51人が完了。クロレラ錠剤を1日5g、8週間NK細胞の活性と、血液中の一部のサイトカイン(免疫にかかわる物質)が、プラセボ群より大きく増えた
無作為化クロスオーバー試験、Nutrition Journal 2011(PubMed 21906314、PMC3182968)日本の健康な男性15人。クロレラ錠剤を1日30粒、4週間。12週間の休止期間をはさんでプラセボと比べた唾液中の分泌型IgA(粘膜の抗体)の濃度と分泌量が、摂取前より増えた。プラセボでは変化なし

どちらの試験も人数が少なく、期間も4〜8週間と短いものです。測ったのは血液や唾液の指標で、かぜを引く回数などを調べたものではありません。2011年の試験は、試験品を販売する会社が資金と試験品を提供していました。

クロレラについては、脂質や血圧などの検査値を調べた試験を集めたメタ解析(Clinical Nutrition 2018、PubMed 29037431)もあります。対象者の健康状態が試験ごとに異なり、検査値の変化を製品の訴求に使う根拠にはなりません。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録と、公開されている本文を確認)

日本での扱い:光線過敏症を防ぐための通知

クロレラは、葉緑素が分解してできるフェオホルバイドによる皮膚障害を防ぐため、昭和56年の厚生省通知で、原料の成分・加工・保存について指導が行われている素材です。

厚生省環境衛生局長は、昭和56年5月8日の通知(環食第99号)で、フェオホルバイドなどの葉緑素の分解物を含むクロレラ加工品について指導事項を示しました。通知は、クロレラ加工品の摂取による光線過敏症が過去に知られていたことを挙げています。厚生労働省は現在も、健康食品に関する指導の一つとしてこの通知を掲載しています。

指導事項内容
成分既存フェオホルバイド量が100mg%を超えないこと。総フェオホルバイド量(既存フェオホルバイド量とクロロフィラーゼ活性度の和)が160mg%を超えないこと
加工方法原末は100℃で3分間加熱するか、同等以上の効果のある方法で加熱すること。原末は水分や有機溶媒との接触をできるだけ少なくすること
保存直射日光と高温多湿を避けて保存すること

通知の別添は、問題となったクロレラ加工品では、打錠の前の顆粒を作る工程で使った含水エタノールが、葉緑素の分解を進めたと考えられると説明しています。OEMでは、原料の分析値だけでなく、工場での造粒や打錠の方法も確認する必要があります。

医薬品を服用中の方への注意

クロレラはビタミンKを多く含むため、血液を固まりにくくする薬のワルファリンを服用中の方には、医師・薬剤師への相談を案内することが欠かせません。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「くすりQ&A」は、ワルファリンがビタミンKの働きを妨げることで血液を固まりにくくすると説明しています。納豆と同様に、クロレラや青汁もビタミンKを多く含むため、摂取を控えるよう指導されているとしています。

論文では、ワルファリンを服用中の方が、クロレラを摂り始めてから、薬の効き方の指標が目標の範囲を外れた症例が報告されています(臨床神経学 1995、PubMed 8777808)。販売ページや同封物では、医薬品を服用中の方、特にワルファリンを服用中の方に、医師・薬剤師への相談を案内します。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

クロレラの商品は、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できるのは主に原料や成分の事実です。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定クロレラサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「免疫力を高める」「デトックス」「体質を改善」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日〇粒でクロレラ〇g」(量の事実)「免疫力アップ」「かぜを予防」
「たんぱく質や葉緑素を含む緑藻」(素材の事実)「コレステロールを下げる」など検査値の変化をうたう表現
「ワルファリンを服用中の方は医師・薬剤師にご相談ください」(注意の案内)「毒素を排出」「デトックス」

クロレラの製剤設計

クロレラは1日数グラムを摂る素材のため、錠剤・粉末・顆粒が中心で、原末の加熱処理と、造粒・打錠での水分や溶媒の管理が品質を左右します。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤日本の売り場でなじみのある形。数グラムを複数の粒に分けられる1日の粒数と、造粒・打錠で使う水分や溶媒
粉末・顆粒スティック1回分で数グラムを摂りやすく、飲み物に混ぜられる色・におい・味と、吸湿
ハードカプセル味とにおいを感じにくい同じ量に必要な粒数が錠剤より多くなる

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来と加工:原料メーカーに、クロレラの種類、培養の方法、細胞壁の処理、原末の加熱処理の方法を確認します。
  2. フェオホルバイドの規格:既存フェオホルバイド量と総フェオホルバイド量の分析値を、原料ロットごとに規格書と分析表で確認します。
  3. 1日あたりの量:試験では1日5g前後が使われています。量と粒数のバランスを決めます。
  4. 包装と注意書き:直射日光と高温多湿を避けるため、遮光性と防湿性のある包装を検討します。ワルファリンなどを服用中の方への相談の案内も、販売前に決めておきます。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

クロレラ自体は長く食品に使われてきた素材ですが、他の成分を加えた配合では、加えた植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。同じ藻類の素材はスピルリナサプリのOEM、ビタミンKを含む素材は青汁サプリのOEMでも解説しています。

見積もりの前に決めておくこと

1日あたりの量、剤形、原料の規格、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • クロレラの1日あたりの量と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、錠剤の場合は1日の粒数
  • 原料の種類、加熱処理の方法、フェオホルバイドの規格
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 遮光・防湿の包装と、注意書きの内容
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

クロレラの免疫への効果は、研究で確かめられていますか?

数週間の小規模な試験で、NK細胞の活性や唾液中の抗体などの指標が変化したという報告があるのみです。かぜを引く回数などを調べた研究ではないため、「免疫力が上がる」とは言えません。

クロレラで光線過敏症が起きることはありますか?

過去に、葉緑素の分解物であるフェオホルバイドを多く含むクロレラ加工品で、光線過敏症が知られていました。昭和56年の厚生省通知で、フェオホルバイドの量、原末の加熱処理、保存の方法について指導が行われています。

ワルファリンを服用中の方は、クロレラを摂ってよいですか?

PMDAの「くすりQ&A」によると、クロレラはビタミンKを多く含むため、ワルファリンを服用中の方は摂取を控えるよう指導されています。販売時には、医師・薬剤師への相談を必ず案内してください。

クロレラに向いている剤形は何ですか?

1日に数グラムを摂るため、錠剤・粉末・顆粒が中心です。錠剤は造粒や打錠の工程で水分や溶媒を使うことがあるため、葉緑素の分解を進めない製法かを工場と確認します。

機能性表示食品にできますか?

機能性表示食品にするには、届け出る機能について、最終製品または関与成分での科学的根拠が必要です。クロレラの研究は小規模なものが中心のため、根拠の取り方から検討が必要です。

参考

  • “Beneficial immunostimulatory effect of short-term Chlorella supplementation: enhancement of natural killer cell activity and early inflammatory response (randomized, double-blinded, placebo-controlled trial)”, Nutrition Journal 2012, PubMed 22849818, PMC3511195
  • “Salivary secretory immunoglobulin A secretion increases after 4-weeks ingestion of chlorella-derived multicomponent supplement in humans: a randomized cross over study”, Nutrition Journal 2011, PubMed 21906314, PMC3182968
  • “Effect of Chlorella supplementation on cardiovascular risk factors: A meta-analysis of randomized controlled trials”, Clinical Nutrition 2018, PubMed 29037431
  • “[Warfarin therapy and chlorella]”, 臨床神経学(Rinsho Shinkeigaku) 1995, PubMed 8777808
  • 厚生省環境衛生局長通知「フェオホルバイド等クロロフィル分解物を含有するクロレラによる衛生上の危害防止について」(昭和56年5月8日 環食第99号) https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/18.pdf
  • 厚生労働省「健康食品(保健機能食品以外)に係る指導等」 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/4a-1.html
  • 医薬品医療機器総合機構「くすりQ&A Q3 ワルファリンを飲んでいますが、納豆、クロレラ、青汁などの摂取を避けるように指導されました」 https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0016.html
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)