シチコリン(CDP-コリン)は、米国では集中や記憶を意識したサプリやエナジードリンクの素材として知られています。EUでも、サプリメントに使える新規食品として認められています。海外の商品をもとに、同じ成分のサプリを日本で作りたいという相談もあります。
結論から言うと、日本ではシチコリンを配合したサプリを食品として作ることはできません。シチコリンは日本で医療用医薬品の有効成分として使われており、原料メーカーも日本では食品に使用できないと説明しています。本記事では、確認できた事実と海外との違い、代わりに検討できる食品素材を説明します。
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結論:日本での扱い
シチコリンはどちらの成分リストにも載っていませんが、日本では医療用医薬品の有効成分として使われ、食品には使用できない成分とされています。
食薬区分では、成分ごとの扱いが別添1(専ら医薬品)と別添2(医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない)の2つのリストで示されています。2026年8月5日更新の両リストに、シチコリンは載っていません。
| 成分 | リスト | 食品に使えるか |
|---|---|---|
| シチコリン(CDP-コリン) | 別添1・別添2のどちらにも掲載なし | 使えない。日本では医療用医薬品の有効成分 |
シチコリンを製造する国内の原料メーカーは、2021年の発表資料で「日本では「シチコリン」を食品に使用することはできません」と注記しています。同じ資料は、素材の用途は各国の法令で決まり、国や地域によって異なると説明しています。
リストに名前がないことは、食品に使ってよいという意味ではありません。どちらのリストにもない成分は、製造・輸入する事業者が厚生労働省に判断を求める仕組みです。
海外での扱いとの違い
EUでは2014年にシチコリンが新規食品として認められ、1日500mgまでサプリメントに使えますが、日本では同じ扱いになっていません。
EUの欧州委員会実施決定 2014/423/EU は、シチコリンをサプリメントに1日最大500mgまで使うことを認めています。特別医療用途食品にも条件付きで使え、子ども向けの食品には使えないとされています。米国では、原料メーカーが集中や記憶を意識したサプリメントの素材として販売しています。
| 国・地域 | シチコリンの扱い(確認できた範囲) |
|---|---|
| 日本 | 医療用医薬品(注射剤・処方箋医薬品)の有効成分。食品には使用できない |
| EU | 新規食品として認可(2014年)。サプリメントでは1日最大500mg。子ども向け食品には使えない |
| 米国 | サプリメントやエナジードリンクの素材として流通 |
同じ原料メーカーが作る素材でも、国によって医薬品になるか食品になるかが分かれます。海外で食品として売られていることは、日本で食品として作れる理由になりません。
なぜ日本ではこの扱いなのか
シチコリンは日本で処方箋医薬品の注射剤に使われている成分で、食薬区分の判断基準が示す「専ら医薬品としての使用実態のある物」の考え方にあたります。
46通知の別添「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」は、専ら医薬品の成分の考え方として、次のものを挙げています。
- 専ら医薬品としての使用実態のある物
- 処方せん医薬品に相当する成分を含む物であって、保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要性がある物(ほかの項目もある)
PMDAの添付文書では、シチコリンを有効成分とする医療用の注射液が処方箋医薬品として承認されています。医療機関で、医師の処方のもとで使われる医薬品です。日本では、医薬品としての使い方しか確立していない成分といえます。
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代わりに検討できる食品素材
集中や記憶を意識したサプリには、日本で食品に使え、機能性表示食品の届出がある素材があります。ただし研究の結果は分かれています。
どの素材もシチコリンとは働き方が違い、シチコリンの代わりになると説明することはできません。研究の現状は素材ごとに異なるため、各ガイドで正直に整理しています。
| 素材 | 日本での主な使い方 | 研究の現状(各ガイドの要約) |
|---|---|---|
| DHA・EPA(魚油) | 機能性表示食品で、中高年の記憶力の維持に関する届出がある | 記憶の検査で差が出た試験がある一方、健康な高齢者の大規模試験では差がない |
| ホスファチジルセリン | 機能性表示食品で、中高年の言葉を思い出す力の維持に関する届出がある | 大豆由来の試験は少数で結果が分かれる |
| イチョウ葉エキス | 機能性表示食品で、中高年の記憶力の維持に関する届出がある | 高齢者の長期の大規模試験と健康な人のメタ分析では、差はみられなかった |
いわゆる健康食品として売る場合、どの素材でも「頭がよくなる」「物忘れがなくなる」といった表現は使えません。46通知は「勉学能力を高める」などの表現を、医薬品的な効能効果の例として挙げています。
見積もり・相談の前に決めておくこと
シチコリンを使わない前提で、製品で伝えたいことと販売方法が決まっていれば、代わりの設計と見積もりを同時に進められます。
- 製品で伝えたいこと(食品として表示できる範囲)
- 機能性表示食品として届け出るか、いわゆる健康食品として売るか
- 配合したい成分の一覧と、原料の規格書
- 剤形(ソフトカプセル、錠剤、粉末など)と1日あたりの摂取目安
- 商品名・パッケージ・販売ページで使いたい主な言葉
- 参考にしている海外商品の全成分表示
海外の集中系サプリには、シチコリン以外にも日本で扱いが異なる成分が入っていることがあります。成分表があれば、一度に確認できます。
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よくある質問(FAQ)
海外で個人輸入されているシチコリンサプリと同じものを、日本で作れますか?
食品としては作れません。シチコリンは日本で医療用医薬品の有効成分として使われており、食品には使用できない成分とされています。
配合量を少なくすれば、食品として作れますか?
量を減らしても、食品として扱えることにはなりません。食薬区分は成分そのものの扱いを判断するもので、量の大小で区分が変わる仕組みではありません。
海外の工場で作って輸入すれば、日本で食品として売れますか?
売れません。日本国内で販売する以上、輸入品にも薬機法と食薬区分が同じように適用されます。医薬品の成分を含む製品は、医薬品としての承認と許可がなければ販売できません。
EUで食品として認められているフリー体なら、日本でも使えますか?
使えません。原料メーカーの説明では、シチコリンには医薬品に使われるナトリウム塩と、国によって医薬品にも食品にも使われるフリー体があります。そのうえで、日本では食品に使用できないとしています。
今後、日本でも食品に使えるようになりますか?
決まった予定は公表されていません。どちらのリストにもない成分は、事業者が厚生労働省に資料を出して判断を求める仕組みがあります。扱いが変わった場合は厚生労働省の通知で示されるため、企画のたびに最新の通知を確認してください。
参考
- 厚生労働省「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734637.pdf
- 厚生労働省 同 別添2「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
- 厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日 薬発第476号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」および別添「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品の添付文書情報(シチコリン注射液) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
- キリンホールディングス・協和発酵バイオ ニュースリリース「「シチコリン」製造設備を、協和発酵バイオ山口事業所に増設」(2021年2月9日)
- Commission Implementing Decision 2014/423/EU of 1 July 2014 authorising the placing on the market of citicoline as a novel food ingredient(Official Journal of the European Union L 196)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145
(2026年10月18日確認)