クレアチンは、スポーツ栄養の分野で最もよく研究されてきた成分の一つです。トレーニングを習慣にする人が増え、ジムやECで扱う自社ブランドのスポーツサプリとして、クレアチンを検討する事業者も増えています。
本記事は、クレアチンサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた成分ガイドです。研究で分かっていること、日本での扱いと表示の注意点、剤形と配合の決め方を整理します。クレアチンの研究は厚い一方で、その根拠は特定の形、特定の量、特定の種類の運動に関するものです。範囲を正しく知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。
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研究で分かっていること
国際スポーツ栄養学会は、クレアチン一水和物を、高強度の運動能力と除脂肪量を高める目的で現在最も効果的な栄養補助食品と位置づけています。
| 試験・レビュー | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| 国際スポーツ栄養学会(ISSN)の公式見解、Journal of the International Society of Sports Nutrition 2017(PubMed 28615996) | 運動・スポーツ・医療でのクレアチンの研究の総説 | クレアチン一水和物は、トレーニング中の高強度の運動能力と除脂肪量を高める目的で最も効果的と結論。健康な人を含む研究で、1日30gまでを最長5年使った場合も安全で忍容性が高いと報告 |
| 系統的レビューとメタ解析、Sports Medicine 2015(PubMed 25946994) | プラセボと比べた無作為化比較試験60件(クレアチン群646人、対照群651人)。3分未満の運動での下肢の筋力 | スクワットとレッグプレスで筋力が向上(下肢全体の効果量は約0.24)。対象者の特徴や量、期間による違いは見られなかった |
研究の範囲として、次の点を押さえておく必要があります。
- 形の違い:ISSNの公式見解は、クエン酸塩、エチルエステル、硝酸塩などの他の形が、一水和物より多く体に取り込まれることは臨床的に示されていないとしています。
- 運動以外のテーマ:上の2つは運動能力と除脂肪量に関する根拠です。脳の働きや加齢に関する研究は別の分野で、運動の根拠をそのまま当てはめることはできません。
- 利害関係:ISSNの公式見解の著者の一部は、クレアチンを販売する企業からの研究資金や顧問契約などを開示しています。
(2026年10月11日時点で、各論文の公開抄録と、ISSN公式見解の本文を確認)
日本での扱い
クレアチンで筋肉や運動能力への効果を表示するには、機能性表示食品として根拠を届け出る必要があり、届け出ない場合は事実の表示が中心になります。
クレアチンをサプリとして販売するときの選択肢は、主に次の2つです。
- いわゆる健康食品として売る:量や原料などの事実を中心に表示する。身体への効果はうたえない
- 機能性表示食品として届け出る:届出者が自らの責任で、研究レビューまたは最終製品の臨床試験により、機能性の科学的根拠と安全性の情報を消費者庁に届け出る
機能性表示食品は、国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。
2024年の制度改正で、サプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。
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いわゆる健康食品として売る場合の表示
機能性表示食品として届け出ない健康食品は、筋肉や体力への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。
健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。
| 法律 | かかわる規定 | クレアチンサプリで注意すること |
|---|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 承認前の医薬品の広告の禁止(第68条) | 食品なのに「筋肉がつく」「体力が上がる」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある |
| 健康増進法 | 誇大表示の禁止(第65条) | 健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない |
| 景品表示法 | 優良誤認表示の禁止 | 根拠のない「トップ選手が愛用」「No.1」などの表示 |
消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。
| 比較的安全な言い方 | 避けるべき言い方 |
|---|---|
| 「1杯にクレアチン一水和物3g」(量の事実) | 「筋肉がつく」「筋力アップ」 |
| 「トレーニングを続ける方の栄養補給に」(使用場面) | 「頭が冴える」など、運動以外の効果をうたう表現 |
| 原料の形と規格の説明(一水和物など) | 一水和物以外の形を「吸収が良い」「より効果的」とする根拠のない表現 |
クレアチンの製剤設計
クレアチンは1日にグラム単位で摂る成分のため、カプセルや錠剤より、粉末やスティックが中心になります。
| 剤形 | 選ばれる理由 | 検討すること |
|---|---|---|
| 粉末(袋・ボトル) | 1回あたりの費用を抑えやすく、量を調整しやすい | 計量スプーンと、量の分かりやすい表示 |
| 顆粒スティック | 1回分ずつ量が決まり、持ち運びやすい | 1本あたりの包装費 |
| ハードカプセル・錠剤 | 他の成分と組み合わせやすい | 1日数グラムでは粒の数が多くなる |
| プロテインなどへの配合 | 既存のスポーツ商品に加えやすい | 配合する商品の形と量 |
仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。
- 原料の形:研究の根拠が厚いのはクレアチン一水和物です。他の形を使う場合は、使う形自体の研究資料を原料メーカーに求めます。
- 1日あたりの量:ISSNの公式見解は、1日5gを4回、5〜7日続けて体内の量を高める方法と、高めた後に1日3〜5gで保つ方法を紹介しています。表示する摂取方法と1包の量をそろえます。
- 組み合わせる成分:スポーツ向けの配合では、アミノ酸や植物素材を加えることがあります。どの成分も、食品に使えるかの確認が欠かせません。
- 包装と安定性:粉末は湿気を防ぐ包装が必要です。飲料にする場合は、賞味期間中の安定性を試験で確かめます。
最初に確認すること:食品に使える成分か
日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。
厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
スポーツ向けの配合では、海外で一般に売られている植物素材や刺激性の成分が、日本では食品に使えないことがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。運動をテーマにした成分では、イミダゾールジペプチドサプリのOEMの記事も参考になります。研究の読み方は、GABAサプリのOEMでも解説しています。
見積もりの前に決めておくこと
原料の形、1日あたりの量、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。
- クレアチンの形(一水和物など)と、原料の規格
- 1日あたりの量と、1袋(1箱)あたりの日数
- 剤形と、粉末やスティックの場合は味の有無
- 組み合わせる成分と、その量
- 包装の形
- 初回の製造数と、年間の見込み数
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よくある質問(FAQ)
クレアチンの研究は、本当に充実していますか?
短時間・高強度の運動については、サプリの成分としては研究の蓄積が厚いほうです。国際スポーツ栄養学会の公式見解と、60件の試験をまとめたメタ解析が、運動能力や下肢の筋力への効果を報告しています。
どの形のクレアチンを選べばよいですか?
研究の根拠が厚いのはクレアチン一水和物です。国際スポーツ栄養学会は、他の形が一水和物より多く体に取り込まれることは臨床的に示されていないとしています。
クレアチンがカプセルより粉末で売られるのはなぜですか?
1日にグラム単位で摂る成分だからです。カプセルでは1日の粒の数が多くなるため、粉末やスティックが現実的な形になります。
商品に「筋力アップ」と書けますか?
いわゆる健康食品では、筋肉や体力への効果をうたう表現は避ける必要があります。機能性を表示したい場合は、機能性表示食品として根拠を届け出る方法があります。
工場に製造を断られることはありますか?
クレアチン自体ではなく、組み合わせた植物素材や刺激性の成分が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。
参考
- “International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine”, Journal of the International Society of Sports Nutrition 2017, PubMed 28615996, PMC5469049
- “Creatine Supplementation and Lower Limb Strength Performance: A Systematic Review and Meta-Analyses”, Sports Medicine 2015, PubMed 25946994
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)
(2026年10月11日確認)