葛の花由来イソフラボンは、マメ科の植物である葛の花から取り出した成分です。葛は、葛切りや葛餅の原料として日本人になじみのある植物で、花のエキスには大豆とは種類の違うイソフラボンが含まれています。日本では、体重やお腹の脂肪に関する表示をした機能性表示食品に使われてきました。

本記事は、葛の花由来イソフラボンのサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた解説です。研究で分かっていること、機能性表示食品として届け出る場合の考え方、2017年の措置命令から学ぶ広告の注意点、原料と剤形の決め方を整理します。葛の花由来イソフラボンの機能性表示食品は、広告の表示をめぐって景品表示法の措置命令を受けた事例があります。その経緯を知っておくと、広告の言葉選びで同じ失敗を避けられます。

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研究で分かっていること

論文として確認できるヒト試験は、BMIが25以上の日本人を対象とした12週間の1件で、内臓脂肪の面積とBMIの減少が報告されています。

試験・研究対象結果
無作為化プラセボ対照試験、Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 2012(PubMed 22878195、doi 10.1271/bbb.120235)BMIが25以上の日本人の男女81人を3群に分け、葛の花エキス300mg、200mg、プラセボを12週間エキスの群でBMIと内臓脂肪の面積が減った。皮下脂肪の面積には差がなかった
研究、Bioscience and Microflora 2011(PubMed 25045319、PMC4103641)葛の花のイソフラボンを、ヒトの便の細菌やマウスの小腸の酵素と反応させた試験管内の研究葛の花のイソフラボンは、腸内で活発に代謝される可能性が示された。体内での動きはさらに研究が必要とされた
レビュー、Journal of Ethnopharmacology 2023(PubMed 36621660)葛の花(葛花)の成分・薬理・毒性などの研究を整理精製した成分の多くは作用が調べられていない。実験から臨床への研究の移行が必要と提言

ヒト試験は1件で、筆頭著者は原料メーカーの研究者です。対象はBMIが25以上の方で、期間も12週間に限られます。別の研究グループによる再現は、論文としては確認されていません。

葛の花のエキスは、原料ごとに抽出の方法やイソフラボンの量の示し方が異なります。試験と同じ原料・同じ規格でなければ、試験の結果は当てはまりません。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

葛の花由来イソフラボンは機能性表示食品に使われている成分で、肥満気味な方の体重やお腹の脂肪、ウエスト周囲径を減らすのを助ける、という趣旨の届出表示があります。

機能性表示食品は、販売前に機能性の科学的根拠と安全性の情報を消費者庁に届け出る制度です。国の審査や許可ではなく、届出者が自らの責任で根拠を示します。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

届出では、関与成分を「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)」とし、テクトリゲニン類の量で示した例があります。対象も「肥満気味な方」「BMIが高めの方」に限られています。届出表示の範囲を超えて、誰でもやせるかのように広告すると、次の章のように景品表示法の問題になります。

2024年の制度改正で、サプリメント形状の機能性表示食品はGMPに基づく製造管理が届出者の義務となり、2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。

2017年の措置命令に学ぶ表示の注意

2017年11月7日、消費者庁は、葛の花由来イソフラボンの機能性表示食品を販売する16社に対し、痩身効果の表示が優良誤認にあたるとして景品表示法に基づく措置命令を出しました。

消費者庁の公表資料によると、16社は、商品を摂るだけで誰でも容易に、内臓脂肪や皮下脂肪の減少によって、見た目で分かるほどお腹がやせるかのように示す表示をしていました。消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を求めました。16社から資料は提出されましたが、いずれも表示の裏付けとは認められませんでした。

項目公表資料の内容
問題とされた表示摂るだけで、誰でも容易に、外見上の身体の変化が分かるほどの腹部の痩身効果が得られるかのような表示
根拠の扱い景品表示法第7条第2項に基づき資料の提出を求めたが、合理的な根拠とは認められなかった
命じられたこと再発防止策を講じ、役員と従業員に周知すること。合理的な根拠なく同様の表示をしないこと。一部の事業者には、違反を一般消費者に周知することも命じられた
ほかの違反1社は、実際より多くの注文があるかのような表示も問題とされた

2018年1月19日には、一部の事業者に課徴金納付命令も出されています。機能性表示食品として届け出ていても、広告が届出の範囲を超えれば景品表示法の対象になります。試験の対象者・期間・量の条件を外し、「誰でも」「飲むだけで」と受け取られる表現は避ける必要があります。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ない葛の花の商品は、体重や脂肪への効果をうたうと医薬品とみなされたり、誇大表示にあたったりするおそれがあります。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定葛の花由来イソフラボンのサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「脂肪を燃焼させる」「内臓脂肪を減らす」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止「飲むだけでお腹がへこむ」「運動も食事制限も不要」など根拠のない表示。注文数を偽る表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日〇粒で葛の花エキス〇mg」(量の事実)「飲むだけでやせる」「誰でも簡単に」
「葛の花から抽出したエキスを使用」(原料の事実)ウエストを細く見せた写真と組み合わせ、見た目の変化を約束する表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「肥満を解消」など病名や症状名を挙げた表現

葛の花由来イソフラボンの製剤設計

葛の花由来イソフラボンは粉末のエキスとして使われるため、錠剤やカプセルに向いており、原料の規格をそろえることが設計の中心になります。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤1回あたりの費用を抑えやすく、毎日続ける商品になじむ他の成分と合わせた粒の大きさ
ハードカプセル味がなく、粉末エキスをそのまま詰められる配合する成分の量と粒の数
粉末スティック・青汁飲み物に混ぜる習慣と組み合わせやすい苦みと、全体の味の設計

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来と規格:原料メーカーに、葛の基原植物の学名と使用部位(花)、抽出の方法、イソフラボンの量の示し方(テクトリゲニン類としてなど)を確認します。
  2. 1日あたりの量:機能性表示食品にするなら、根拠とする研究と同じ原料・同じ量に合わせます。
  3. 組み合わせる成分:体重や代謝をテーマにした配合では、他の植物素材と組み合わせることがよくあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  4. 名前の取り違えの防止:「プエラリア・ミリフィカ」は、葛の花とは別の植物です。プエラリア・ミリフィカは指定成分等含有食品の対象で、製造と届出に特別な義務がかかります。原料の規格書と表示で、両者を混同しないようにします。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

葛の花由来イソフラボン自体は機能性表示食品に使われていますが、体重や代謝をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。プエラリア・ミリフィカなどの扱いは指定成分等含有食品の解説、同じテーマの成分は茶カテキンサプリのOEMでも解説しています。

見積もりの前に決めておくこと

原料の規格、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 葛の花エキスの原料と、イソフラボンの量の示し方
  • 1日あたりの量と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、粉末の場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

葛の花由来イソフラボンの研究は、どのくらいありますか?

論文として確認できるヒト試験は、BMIが25以上の日本人81人を対象にした12週間の1件です。内臓脂肪の面積とBMIの減少が報告されましたが、皮下脂肪の面積には差がありませんでした。研究の数が限られることを踏まえて、表示の言葉を選ぶ必要があります。

2017年の措置命令では、何が問題になったのですか?

消費者庁の公表資料によると、商品を摂るだけで誰でも容易に、見た目で分かるほどお腹がやせるかのような表示が、優良誤認にあたるとされました。機能性表示食品の届出があっても、広告が根拠の範囲を超えれば景品表示法の対象になります。

機能性表示食品として届け出れば、広告は自由に書けますか?

書けません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、対象者や条件を外した広告は景品表示法や健康増進法の問題になります。届出表示と広告の言葉をそろえることが大切です。

葛の花とプエラリア・ミリフィカは同じものですか?

別の植物です。プエラリア・ミリフィカは、女性ホルモンに似た作用が原因と考えられる健康被害の報告を受けて、現在は指定成分等含有食品の対象になっています。原料の規格書と表示で、両者を取り違えないようにしてください。

葛の花由来イソフラボンに向いている剤形は何ですか?

粉末のエキスとして使われるため、錠剤とハードカプセルが中心です。飲み物に混ぜる粉末スティックや青汁の形にも使われています。

参考

  • “Consumption of Pueraria flower extract reduces body mass index via a decrease in the visceral fat area in obese humans”, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 2012, PubMed 22878195, doi 10.1271/bbb.120235
  • “Metabolism of Isoflavones Found in the Pueraria thomsonii Flower by Human Intestinal Microbiota”, Bioscience and Microflora 2011, PubMed 25045319, PMC4103641
  • “Oriental traditional herbal Medicine—Puerariae Flos: A systematic review”, Journal of Ethnopharmacology 2023, PubMed 36621660, doi 10.1016/j.jep.2022.116089
  • 消費者庁「葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分とする機能性表示食品の販売事業者16社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(平成29年11月7日公表)
  • 消費者庁「景品表示法に基づく法的措置件数の推移(平成30年3月31日現在)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180423_0001.pdf
  • 厚生労働省・消費者庁「プエラリア・ミリフィカを原材料に含む「健康食品」の取扱いについて」(平成29年9月22日) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/pueraria0922.pdf
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)