ヤマブシタケは、白く垂れ下がる見た目が特徴の食用きのこです。日本では食材として栽培されるほか、乾燥粉末やエキスを使った健康食品も売られています。海外でも「ライオンズメイン」の名前で、集中や気分をテーマにしたサプリに人気があります。

本記事は、ヤマブシタケサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた内容です。研究で分かっていること、日本での扱い、いわゆる健康食品として売る場合の表示、配合と剤形の決め方を整理します。ヤマブシタケの試験は少人数のものが多く、結果も分かれています。試験の条件と原料の部位の違いを知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。

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研究で分かっていること

中高年が子実体の粉末を数か月とり続けた国内の試験では、一部の検査で差が出ましたが、若い人の海外の試験では全体としてはっきりした差はみられていません。

試験対象結果
二重盲検プラセボ対照試験、Phytotherapy Research 2009(PubMed 18844328)軽度認知障害と診断された50〜80歳の日本人30人。乾燥粉末96%の250mg錠を4錠、1日3回、16週間8・12・16週で、認知機能の点数がプラセボより高かった。摂取をやめて4週後には点数が下がった。検査値に有害な影響はなかった
ランダム化二重盲検試験、Biomedical Research 2019(PubMed 31413233)健康な50歳以上の日本人31人(解析対象)。子実体の粉末を1日3.2g、12週間3つの検査のうち、MMSEだけでプラセボとの差があった。視覚の記憶の検査と、言葉の記憶の検査には差がなかった
ランダム化二重盲検試験、Nutrients 2023(PubMed 38004235、PMC10675414)健康な18〜45歳の41人。1日1.8g、28日間1回目の摂取60分後に、一つの課題で反応が速かった。28日後のストレスの自己評価は、差が有意に届かなかった(p=0.051)。差がない項目や、一部に不利な結果もあった
ランダム化二重盲検クロスオーバー試験、Frontiers in Nutrition 2025(PubMed 40276537、PMC12018234)健康な18〜35歳の18人。子実体の10倍濃縮エキス3gを1回認知機能と気分の総合的な指標に、プラセボとの差はなかった。手先の作業の検査一つだけで成績が良かった

どの試験も、数十人以下の規模です。差が出た国内の2件は、数か月とり続けた中高年の試験で、2009年の試験はきのこを生産する企業の研究所の研究者が筆頭著者です。2009年の試験では、摂取をやめると点数が下がりました。

海外の2件は、若い健康な人を対象にしています。2023年の試験は、試験品を企業が提供しています。2025年の試験は、ヤマブシタケを製品に使う企業の社員が著者に含まれます。試験ごとに、原料の部位や形、量、期間が違う点にも注意が必要です。

(2026年10月18日時点で、各論文の公開抄録と公開本文を確認)

日本での扱い

ヤマブシタケの子実体は、効能をうたわない限り医薬品と判断しない原材料のリストに例示されており、食品として使えます。

成分・部位リスト(2026年8月5日更新)食品に使えるか
ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)の子実体医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しないリスト使える。医薬品的な効果をうたうと医薬品と判断されるおそれ
ヤマブシタケの菌糸体どちらのリストにも記載なし配合前に最新の通知で確認し、必要に応じて都道府県の薬務担当を通じて判断を求める

子実体は、きのことして食べる部分です。菌糸体は、きのこの本体にあたる糸状の部分で、培養して作る原料もあります。原料の規格書で、どちらの部位を使っているかを最初に確かめます。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。ヤマブシタケで届け出る場合も、自社の原料と量で科学的根拠を示す必要があります。

2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

ヤマブシタケサプリは、脳や記憶への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、原料の部位と量の事実を中心に伝えます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定ヤマブシタケサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「物忘れを防ぐ」「神経を再生する」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「臨床試験で実証」「医師も推薦」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日分にヤマブシタケ子実体粉末〇g配合」(部位と量の事実)「認知症を防ぐ」「もの忘れが治る」
「国産ヤマブシタケを使用」(原料の事実)軽度認知障害の方の試験結果を、商品の効果のように紹介する表現
「毎日の食生活に」(使用場面)「飲んですぐ頭がさえる」など、試験の条件を示さない表現

海外の商品は「ブレインフード」のような言葉で売られることがあります。日本で売る場合は、同じ言葉でも表示全体で医薬品的な効果をうたっていないかを確認します。

ヤマブシタケの製剤設計

ヤマブシタケは試験で1日数グラムが使われており、粉末かエキスか、量をどう粒数に収めるかが製剤設計の中心になります。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤国内の試験でも使われた形。1回あたりの費用を抑えやすいグラム単位を入れる場合の粒数と粒の大きさ
ハードカプセルきのこの味やにおいを感じにくい1日の量に対して粒数が多くなりやすい
粉末・顆粒スティックグラム単位の量を1包に収めやすい味と、水やお湯への溶け方

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の部位と形:子実体か菌糸体か、乾燥粉末か濃縮エキスかを規格書で確認します。試験の多くは子実体を使っています。
  2. 1日あたりの量:試験によって、粉末で1日約3g、エキスで1回3gなど、量も形も違います。参考にする試験と原料の形をそろえます。
  3. 規格の指標:エキスの場合は、何を指標に規格を決めているかを原料メーカーに確認します。
  4. 組み合わせる成分:集中や気分をテーマにした配合では、ほかのきのこや植物素材と組み合わせることがあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。

きのこの粉末は吸湿しやすいため、包装の形と乾燥剤も工場と相談して決めます。粉末をそのまま使う場合は、微生物の検査の項目も規格に入れておくと安心です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

ヤマブシタケの子実体は、医薬品のリストではなく、効能をうたわない限り医薬品と判断しないリストにあります。ほかのきのこや植物素材と組み合わせる場合は、一つずつリストと照らし合わせます。配合の確認はサプリメントOEMのページで詳しく説明しています。きのこ由来の成分はβ-グルカンサプリのOEM、同じテーマの成分はホスファチジルセリンサプリのOEMの記事も参考になります。

見積もりの前に決めておくこと

原料の部位と形、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 原料の部位(子実体か菌糸体か)と、粉末かエキスか
  • 1日あたりの量と粒数、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、粉末の場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形と乾燥剤
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

1日数グラムを錠剤やカプセルにすると、粒数が多くなります。粒数と剤形のバランスも含めて、ご相談いただけます。

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よくある質問(FAQ)

ヤマブシタケの脳への効果は、研究で確かめられていますか?

確かめられたとはいえない段階です。中高年の国内の試験では一部の検査で差が出ましたが、どれも数十人以下の規模です。若い健康な人の海外の試験では、全体としてはっきりした差はみられていません。

子実体と菌糸体は、どちらを使えばよいですか?

ヒト試験の多くは子実体を使っています。また、厚生労働省のリストに例示されているのは子実体です。菌糸体を使う場合は、配合前に最新の通知で扱いを確認します。

とり続けないと意味がないのですか?

2009年の国内の試験では、16週間とり続けた後、摂取をやめて4週後に点数が下がりました。広告で試験を紹介する場合は、こうした条件も踏まえて言葉を選びます。

1日にどれくらいの量を配合しますか?

試験では、子実体の粉末で1日約3g、濃縮エキスで1回3gなど、グラム単位の量が使われています。参考にする試験と原料の形をそろえ、粒数に収まるかを工場と確認します。

ヤマブシタケは食品に使えますか?

ヤマブシタケの子実体は、厚生労働省の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に例示されています。食品に使えますが、医薬品的な効果をうたうと医薬品と判断されるおそれがあります。

参考

  • “Improving effects of the mushroom Yamabushitake (Hericium erinaceus) on mild cognitive impairment: a double-blind placebo-controlled clinical trial”, Phytotherapy Research 2009, PubMed 18844328, doi 10.1002/ptr.2634
  • “Improvement of cognitive functions by oral intake of Hericium erinaceus”, Biomedical Research 2019, PubMed 31413233, doi 10.2220/biomedres.40.125
  • “The Acute and Chronic Effects of Lion’s Mane Mushroom Supplementation on Cognitive Function, Stress and Mood in Young Adults: A Double-Blind, Parallel Groups, Pilot Study”, Nutrients 2023, PubMed 38004235, PMC10675414
  • “Acute effects of a standardised extract of Hericium erinaceus (Lion’s Mane mushroom) on cognition and mood in healthy younger adults: a double-blind randomised placebo-controlled study”, Frontiers in Nutrition 2025, PubMed 40276537, PMC12018234
  • 厚生労働省「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734637.pdf
  • 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月18日確認)