マカは、南米ペルーのアンデス高地で育つアブラナ科の根菜です。現地では古くから食べられてきた食品で、日本でも粉末やエキスを使ったサプリが長く売られています。元気や活力のイメージが強く、運動やエネルギーをテーマにした商品の素材として相談の多い成分です。
本記事は、マカサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた解説です。研究で分かっていること、機能性表示食品といわゆる健康食品の表示の違い、原料と剤形の決め方を整理します。マカは売り場でのイメージと、ヒトの研究で確かめられていることの間に差があります。その差を知っておくと、企画と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。
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研究で分かっていること
マカと運動のパフォーマンスの研究は大半が動物実験で、ヒトを対象にした試験は少なく、プラセボと差が出なかった試験もあります。
| 試験/レビュー | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| 系統的レビュー・メタ分析、Nutrients 2024(PMID 39796542) | 運動のパフォーマンスを調べた21件の研究(動物17件、ヒト4件) | 統合した指標で大きな効果を報告。ただしヒトの研究は少なく、ヒトについては効果の大きさを計算できなかった。出版バイアスの可能性も指摘 |
| 二重盲検クロスオーバー試験、Journal of Physiological Investigation 2025(PMID 40960048) | よく鍛えた男子大学バスケットボール選手10人、1日2,000mgを2週間 | ジャンプの高さ、シュートの正確さ、反復スプリント、疲労の指標、血中乳酸の回復速度のいずれもプラセボと有意差なし |
| 二重盲検プラセボ対照試験、International Journal of Medical Sciences 2025(PMID 39781531) | 健康な男性20人、1回2.25gを1日2回、12週間の後に持久運動 | 運動後の免疫細胞のインターフェロンγの値がプラセボより高かった。その他の免疫・炎症の指標には差がなかった |
2024年のメタ分析は、大きな効果の多くが動物の水泳試験や握力の試験から得られたものです。著者自身も、ヒトの研究が少ないことと、出版バイアスの可能性を限界として挙げています。動物の結果がヒトに当てはまるかは、まだ分かっていません。
ヒトの試験は、どちらも人数が10〜20人と少なく、対象は鍛えた若い男性に限られます。2024年の別の総説は、マカの色(黄・赤・黒など)や産地、加工方法によって成分が大きく変わり、色ごとの臨床研究は限られていると指摘しています。
(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)
機能性表示食品として届け出る場合
機能性表示食品は届出者が自らの責任で科学的根拠を消費者庁に届け出る制度で、マカのエキスでは睡眠に関する表示の届出があります。
機能性表示食品として販売するには、販売前に、機能性の科学的根拠と安全性の情報を消費者庁に届け出ます。表示できるのは、届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。国が審査して許可する制度ではありません。
マカのエキスを使った届出は、運動のパフォーマンスではなく、睡眠に関する表示です。運動の研究と、睡眠の届出は別の根拠です。2つを混ぜて「運動にも睡眠にも」とうたうことはできません。
2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務になりました。この義務は2026年9月1日に完全施行されています。届け出る予定がある場合は、製造する工場の体制を最初に確認してください。
- 根拠の取り方:既存の研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
- 原料の規格:根拠の研究と同じ種類のエキスか、同じ量か
- 分析の方法:製品中の関与成分の量を測る方法と、その結果を保証する体制
マカは粉末とエキスで中身が大きく違います。根拠とする研究と、実際に使う原料が同じものかを、最初に原料メーカーに確認します。
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いわゆる健康食品として売る場合の表示
機能性表示食品として届け出ないマカサプリは、体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。
健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。
| 法律 | かかわる規定 | マカサプリで注意すること |
|---|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 承認前の医薬品の広告の禁止(第68条) | 「疲れが取れる」「精力がつく」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある |
| 健康増進法 | 誇大表示の禁止(第65条) | 健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない |
| 景品表示法 | 優良誤認表示の禁止 | 「アスリート愛用」「No.1」など根拠のない表示 |
消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。
| 比較的安全な言い方 | 避けるべき言い方 |
|---|---|
| 「1日分にマカ粉末〇g配合」(量の事実) | 「スタミナがつく」「パフォーマンスが上がる」 |
| 「アンデス原産の根菜を粉末にしました」(素材の事実) | 男性の機能や妊娠に関する表現 |
| 「毎日の食生活に」(使用場面) | 「臨床で実証済み」など、研究の条件と限界を示さない表現 |
マカは男性向けのイメージで語られることが多い素材です。性に関する機能をうたう表現は、医薬品的な効果の表示にあたるおそれが高く、商品の訴求には使わないでください。
マカの製剤設計
マカはグラム単位で使われることが多いため、1日あたりの量によって、粉末にするか錠剤・カプセルにするかが決まります。
| 剤形 | 選ばれる理由 | 検討すること |
|---|---|---|
| 粉末・顆粒スティック | 食品としての使い方に近く、グラム単位の量を入れやすい | 土のような独特の風味。飲み物に混ぜる前提の設計 |
| 錠剤 | 持ち運びやすく、1回の量を管理しやすい | 1日の量が多いと粒数が増える |
| ハードカプセル | 風味を感じにくい | グラム単位にするとカプセルの数が多くなる |
仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。
- 生マカかゼラチン化マカか:生マカは乾燥した根を粉にしたものです。ゼラチン化マカは、粉にした後に熱・圧力・水分を加えて押し出す加工をしたもので、でんぷんの性質が変わります。消化しやすくなるとされる一方、湿気を吸いやすく安定性が下がることがあり、生マカの方がグルコシノレートという成分が多いという報告もあります。
- 根の色:マカには黄・赤・黒などの色があり、色によって成分が異なります。商品のコンセプトで色を指定するか、一般的な黄色の原料にするかを決めます。
- 1日あたりの量:ヒトの試験では、1日2,000mgや1回2.25gを1日2回といった量が使われています。機能性表示食品にするなら、根拠の研究と同じ原料・同じ量に合わせます。
- 組み合わせる成分:運動やエネルギーをテーマにした配合では、アミノ酸やビタミンB群などと組み合わせることがよくあります。組み合わせる成分は、一つずつ食品に使えるかを確認します。
- 包装:ゼラチン化マカや粉末は湿気の影響を受けやすいため、アルミ包装やボトルの乾燥剤を検討します。
最初に確認すること:食品に使える成分か
日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。
厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
マカ自体は日本で食品として流通していますが、活力をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認はサプリメントOEMのページで説明しています。同じテーマの成分として、クレアチンやイミダゾールジペプチドのガイドもご覧ください。
見積もりの前に決めておくこと
原料の種類、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。
- 生マカかゼラチン化マカか、粉末かエキスか、根の色の指定
- 1日あたりの量と、1袋(1本)あたりの日数
- 剤形と、粉末の場合は味
- 組み合わせる成分と、その量
- 包装の形
- 機能性表示食品として届け出るかどうか
- 初回の製造数と、年間の見込み数
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よくある質問(FAQ)
マカは運動のパフォーマンスを高めると研究で確かめられていますか?
2024年のメタ分析は大きな効果を報告していますが、その多くは動物実験の結果です。鍛えた男性10人を対象にした2025年の試験では、2週間の摂取でプラセボと差が出ませんでした。ヒトでの根拠は限られています。
生マカとゼラチン化マカは、どちらを選べばよいですか?
ゼラチン化マカは熱と圧力で加工したもので、消化しやすくなるとされますが、湿気を吸いやすくなることがあります。生マカの方がグルコシノレートが多いという報告もあります。剤形と包装を含めて、原料メーカーと相談して決めます。
機能性表示食品のマカは、何をうたっているのですか?
マカのエキスを使った届出は、睡眠に関する表示です。運動のパフォーマンスに関する届出ではありません。届出は消費者庁の審査や許可ではない点にも注意が必要です。
マカサプリで男性向けの訴求をしてもよいですか?
性に関する機能をうたう表現は、医薬品的な効果の表示とみなされるおそれが高く、避けるべきです。素材の由来や配合量など、事実を中心に伝えます。
工場に製造を断られることはありますか?
マカ自体ではなく、組み合わせた植物素材が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。
参考
- “Effects of Maca (Lepidium meyenii Walp.) on Physical Performance in Animals and Humans: A Systematic Review and Meta-Analysis”, Nutrients 2024;17(1):107, PMID 39796542, doi 10.3390/nu17010107
- “The Impact of Lepidium meyenii (MACA) Supplementation on Basketball-related Performance and Antifatigue Ability: A Double-blind Crossover Study”, Journal of Physiological Investigation 2025;68(5):297-304, PMID 40960048
- “Enhancement of Interferon-γ Secretion by Lepidium meyenii Extract Supplementation After Exhaustive Endurance Exercise in Healthy Men: A Double-blind, Placebo-controlled Trial”, International Journal of Medical Sciences 2025;22(2):398-408, PMID 39781531
- “Not All Maca Is Created Equal: A Review of Colors, Nutrition, Phytochemicals, and Clinical Uses”, Nutrients 2024;16(4):530, PMID 38398854
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)
(2026年10月12日確認)