マキベリーは、南米チリのパタゴニア地方に自生する果実で、アントシアニンの一種であるデルフィニジンを多く含みます。日本では、スマートフォンやパソコンを長く使う方に向けて、目の潤いをテーマにした機能性表示食品にも使われています。
本記事では、マキベリーサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた内容です。研究で分かっていること、機能性表示食品といわゆる健康食品の表示の違い、原料の規格と剤形の決め方を整理します。マキベリーの目に関する試験は数が少なく、どれも小規模です。研究の範囲を知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。
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研究で分かっていること
規格化したマキベリーエキスの小規模な試験で、画面作業をする人の涙の量や目の疲労感に差がみられましたが、根拠はまだ確かではありません。
| 試験/レビュー | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| ランダム化二重盲検プラセボ対照試験、Journal of Traditional and Complementary Medicine 2019(PubMed 31193920、PMC6544612) | 目の乾きと疲れを感じ、1日4時間以上画面作業をする30〜60歳の日本人74人。規格化したマキベリーエキス1日60mgまたはプラセボを4週間 | 涙の量を測る検査(シルマーテスト)で、エキス群の増え方がプラセボより大きかった。画面作業の後の目の疲労感と肩のこりの自己評価、目の不快感の質問票でも、エキス群のほうが良好だった |
| 予備試験(プラセボ群なし)、Panminerva Medica 2014(PubMed 25208615) | 目の乾きがやや強い健康な13人。エキス1日30mg(7人)または60mg(6人)を60日間 | どちらの量でも、30日後に涙の量が摂取前より増えた。60mgでは60日後も増えた状態が続いた |
| 系統的レビュー、Antioxidants 2026(PubMed 42351960) | 2014〜2023年に発表された、成人がマキベリーをとった12件の臨床試験 | 目に関する結果が最も一貫していた。一方で、根拠の確実性は「中程度」から「非常に低い」で、規格をそろえた長期の大規模試験が必要と結論 |
2019年の試験は、マキベリーエキスの原料を扱う企業が資金を出し、臨床試験の受託会社が実施しています。統計では多重比較の補正をしておらず、期間も4週間と短めです。2014年の予備試験はプラセボ群がなく、著者の一人は原料企業の所属です。
マキベリーの目に関する試験には、ドライアイと診断された患者20人を対象にした2023年の試験もあります。病気の方を対象にした試験の結果は、健康な人向けの商品の根拠にはならず、広告で引用することは避けてください。
(2026年10月14日時点で、各論文の公開抄録と公開本文を確認)
機能性表示食品として届け出る場合
マキベリー由来のデルフィニジン3,5-ジグルコシドは、目の潤いをサポートするという趣旨の表示で、機能性表示食品に使われています。
届出の例では、スマートフォンやパソコンなどの画面作業を日常的に行う健康な人の、低下しがちな目の潤いをサポートするという趣旨の表示があります。あわせて、画面作業による一時的な目の疲労感や不快感を軽減するという趣旨も含まれます。根拠には研究レビューが使われ、関与成分を1日4mgとした例が見られます。
機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。
2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも届出者の義務です。
マキベリーで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。
- 根拠の取り方:研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
- 関与成分の量:エキスの量ではなく、デルフィニジン3,5-ジグルコシドの量で根拠の研究と合わせる
- 分析の方法:製品中の関与成分の量を測る方法と、賞味期限まで量を保つ体制
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いわゆる健康食品として売る場合の表示
機能性表示食品として届け出ないマキベリーサプリは、目への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、配合量などの事実を中心に伝えます。
健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。
| 法律 | かかわる規定 | マキベリーサプリで注意すること |
|---|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 承認前の医薬品の広告の禁止(第68条) | 食品なのに「涙が出るようになる」「目の乾きが治る」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある |
| 健康増進法 | 誇大表示の禁止(第65条) | 健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない |
| 景品表示法 | 優良誤認表示の禁止 | 根拠のない「眼科医も推薦」「目薬いらず」などの表示 |
消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。
| 比較的安全な言い方 | 避けるべき言い方 |
|---|---|
| 「1粒にマキベリーエキス〇mg(デルフィニジン〇mg)配合」(量の事実) | 「ドライアイに効く」「目の乾きを改善」 |
| 「スマートフォンやパソコンを使う毎日に」(使用場面) | 目の病名を挙げた表現、目薬と比べる表現 |
| 機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内) | 試験の人数や条件を示さずに「臨床で実証済み」とする表現 |
マキベリーの製剤設計
マキベリーは、デルフィニジンの量で規格化した乾燥エキスとして1日数十mgで使われ、ハードカプセルや錠剤に配合しやすい原料です。
| 剤形 | 選ばれる理由 | 検討すること |
|---|---|---|
| ハードカプセル | 味がなく、エキスの色が気になりにくい | 組み合わせる成分の量と、1粒に入る量 |
| 錠剤 | 1回あたりの費用を抑えやすく、他の成分と組み合わせやすい | エキスの色が錠剤に出ることがあり、試作で確認する |
| ソフトカプセル | ルテインなど脂に溶ける成分と一緒に配合しやすい | 中身の油との相性と、カプセルの皮の素材 |
仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。
- 原料の規格:2019年の試験で使われたエキスは、総アントシアニン35%以上、デルフィニジン類25%以上に規格化されていました。原料メーカーに、アントシアニン・デルフィニジン・デルフィニジン3,5-ジグルコシドの含有量と測り方を確認します。
- 原料の真正性:マキベリーの果実のエキスであることを、規格書や分析結果で確かめます。色だけで判断せず、アントシアニンの組成も確認します。
- 1日あたりの量:機能性表示食品にするなら、根拠とする研究の関与成分量に合わせます。試験では、エキス1日30mgまたは60mgが使われています。
- 包装と安定性:アントシアニンは光・熱・湿気の影響を受けやすい成分です。遮光性のある包装や乾燥剤を検討し、賞味期限までの安定性を工場と確認します。
最初に確認すること:食品に使える成分か
日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。
厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
マキベリーは、厚生労働省の2つの例示リスト(2026年8月5日更新版)のどちらにも名前が載っていません。どちらのリストにも載っていない原材料は、都道府県を通じて厚生労働省に判断を求めることができます。配合前に、最新の通知と原料メーカーの資料で扱いを確認してください。
目をテーマにした配合に加えるほかの植物素材も、同じように確認が必要です。配合の確認はサプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせの候補は、ビルベリーサプリのOEMとクロセチンサプリのOEMの記事も参考になります。
見積もりの前に決めておくこと
原料の規格、1日あたりの量、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。
- マキベリーエキスの規格(アントシアニンとデルフィニジンの含有量)と、1日あたりの量
- 原料の規格書と分析結果の有無
- 剤形と、組み合わせる成分とその量
- 光と湿気を防ぐ包装の形
- 機能性表示食品として届け出るかどうか
- 初回の製造数と、年間の見込み数
配合が固まっていない段階でも、ご相談いただけます。販売先のお客様の層に合わせて、目のサプリの成分の組み合わせから一緒に整理できます。
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よくある質問(FAQ)
マキベリーの目への働きは、研究で確かめられていますか?
74人のランダム化試験で、画面作業をする人の涙の量と、目の疲労感の自己評価の一部に差がみられました。ただし試験は小規模で期間も短く、原料企業の資金によるものです。系統的レビューも、根拠の確実性は中程度から非常に低いと評価しています。
マキベリーとビルベリーは何が違いますか?
どちらもアントシアニンを含む果実ですが、別の植物です。マキベリーはデルフィニジンの割合が高いことが特徴です。紹介した試験は、規格化したマキベリーエキスを使っています。
マキベリーエキスはどのくらいの量が使われていますか?
紹介した試験では、規格化したエキス1日30mgまたは60mgを4週間から60日間とっています。エキスの規格によってデルフィニジンの量が変わるため、関与成分の量で比べることが大切です。
機能性表示食品にしないマキベリーサプリでも、目の潤いと書けますか?
いわゆる健康食品では、目への効果をうたう表現は避ける必要があります。「スマートフォンやパソコンを使う毎日に」のような使用場面の表現でも、全体として効果をうたう表示になっていないかを確認してください。
工場に製造を断られることはありますか?
原料の規格書や分析結果がそろわないこと、組み合わせた植物素材が食品に使えないことが原因になることがあります。マキベリーを含め、配合するすべての成分と規格書を最初に確認します。
参考
- “Effects of MaquiBright® on improving eye dryness and fatigue in humans: A randomized, double-blind, placebo-controlled trial”, Journal of Traditional and Complementary Medicine 2019, PubMed 31193920, PMC6544612, doi 10.1016/j.jtcme.2018.11.001
- “MaquiBright™ standardized maqui berry extract significantly increases tear fluid production and ameliorates dry eye-related symptoms in a clinical pilot trial”, Panminerva Medica 2014, PubMed 25208615
- “Clinical Evidence on the Health Effects of Aristotelia chilensis (Maqui Berry) Supplementation: A Systematic Review of Human Trials”, Antioxidants 2026, PubMed 42351960, doi 10.3390/antiox15060654
- “Effect of maqui-berry extract in dry eye disease - A clinical and molecular analysis”, Indian Journal of Ophthalmology 2023, PubMed 37026311, PMC10276697
- 厚生労働省「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(別添1、2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734637.pdf
- 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(別添2、2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)
(2026年10月14日確認)