サプリの製造を工場に頼もうとすると、「OEM」「ODM」「既製品OEM」「プライベートブランド」など、似た言葉がたくさん出てきます。工場によって言葉の使い方が少しずつ違うため、同じ言葉で話していても、思い描いている内容が食い違うことがあります。
本記事は、自社ブランドのサプリを日本国内で販売したい事業者の方に向けた内容です。OEM・ODM・既製品へのラベル貼りの違い、処方と書類の扱い、販売者と工場の責任の分け方を整理します。言葉の違いよりも、「処方をだれが作ったか」「同じ処方をほかの会社にも売れるか」の2点を契約で決めておくことが大切です。
💬 OEMとODMのどちらで進めるか迷っている方へ。 処方をお持ちかどうかを伺い、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での進め方をご説明します。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。
OEM・ODM・既製品へのラベル貼りの違い
OEMとODMは「処方をだれが作るか」の違いで、既製品へのラベル貼りは「同じ中身をほかの会社も売るか」に関わる形です。
| 呼び方 | 一般的な意味 | 処方を用意するのはだれか |
|---|---|---|
| OEM | ブランド側が決めた、または工場と一緒に決めた仕様で、工場が製造する | ブランド側、または両者の共同 |
| ODM | 工場がすでに開発した処方や商品を、ブランド側が自社の名前とパッケージで販売する。一部の調整を加えることもある | 工場 |
| 既製品へのラベル貼り | 工場の既存品を、中身をほぼ変えずに自社のラベルで販売する。同じ中身がほかの会社にも供給されることが多い | 工場 |
| プライベートブランド | 自社の名前で販売する商品のこと。処方が自社専用かどうかは契約による | 契約による |
実際の案件では、言葉どおりに分かれないことが多くあります。たとえば、工場が提案した基本処方をもとに配合を調整し、完成品を自社だけの商品として売る形です。処方の出発点はODMに近く、売り方はプライベートブランドに近いといえます。
契約で大切なのは、どの呼び方を使うかではありません。処方の出どころと、ほかの会社への供給を認めるかどうかを、文書で決めておくことです。
処方と書類はだれのものか
処方の権利と、規格書や試験成績書などの書類の扱いは別の問題で、片方だけを決めた契約ではもう片方があいまいなまま残ります。
ブランド側が費用を負担し、主導して開発した処方は、ブランド側のものとして扱う取り決めにしやすい傾向があります。ただし、自動的にブランド側の権利になるわけではありません。どう扱うかは契約の内容によって決まります。
工場がもともと持っていた処方を少し変えて使う場合は、処方は工場に残り、ブランド側は完成品を販売できるだけ、という取り決めになることが多くあります。処方が工場に残る取り決めでは、別の工場に同じ処方で作ってもらうことは難しくなります。
製品規格書や試験成績書も同じです。書類はある工場の、ある製品について作られたものです。ほかの工場に渡して同じ製品を作ってもらえるかどうかは、書類の形式ではなく取り決めで決まります。本記事は一般的な実務の説明で、個別の案件への法的な助言ではありません。契約書は、必要に応じて弁護士などの専門家に確認してもらってください。
日本で販売するときの責任の分け方
自社ブランドで販売する場合、表示の内容に責任を持つのは販売者で、機能性表示食品の届出者になるなら工場の製造管理を確保する責任も負います。
工場に製造を任せても、販売者としての責任がなくなるわけではありません。主な法令で、販売者と工場の役割は次のように分かれます。
| 場面 | 根拠 | 販売者(自社ブランド)の役割 | 工場の役割 |
|---|---|---|---|
| 食品表示 | 食品表示基準 第3条 | 表示内容に責任を有する者として、氏名・名称と住所を表示する | 製造所の所在地と製造者の氏名・名称が表示される |
| 機能性表示食品のGMP | 内閣府告示第108号(令和6年8月30日) | 届出者として、工場が告示に従って製造することを確保する | 告示に定める製造管理・品質管理を行う |
| 健康被害の情報 | 食品衛生法施行規則 別表第17(令和6年9月1日施行) | 機能性表示食品の届出者は、健康被害の情報を集め、都道府県知事等に提供する | 品質に関する情報を販売者と共有する |
| 製品の欠陥による損害 | 製造物責任法 第2条・第3条 | 製造業者として自社の名前を表示した者も「製造業者等」に含まれる | 製造した者として責任を負う |
表示について補足すると、製造所の所在地と製造者の名称は、原則として表示が必要です。同じ製品を2か所以上の製造所で作っている場合などは、消費者庁に届け出た「製造所固有記号」で代えることができます。工場の名前を表示に出すかどうかは、ブランド側だけでは決められない点に注意してください。
製造物責任法では、製品の製造業者として自社の名前や商標を表示した者も責任を負う対象になります。工場で作った製品でも、自社ブランドで売る以上、品質の問題には販売者も向き合う必要があります。
💬 販売者と工場の役割分担を、最初に整理しておきたい方へ。 販売方法と表示の予定を伺い、製造の段取りと書類の流れをご説明します。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。
既存の処方から始めるか、一から作るか
工場の既存の処方から始める方法と、一から処方を作る方法は、どちらが優れているというものではなく、企画の具体性と準備にかけられる時間で選びます。
初めて商品を出す場合は、工場がすでに安定して作れている処方をもとに、パッケージとラベルを自社のものにする方法があります。処方の開発にかかる手間が少なく、試作の回数も抑えやすい方法です。
使いたい成分の組み合わせや、届け出たい機能性の表示がはっきりしている場合は、一から処方を作る必要があります。既存の処方では、伝えたい内容と配合が合わないためです。機能性表示食品にする場合は、根拠とする研究で使われた成分と量に配合を合わせることになります。
どちらの方法でも、配合するすべての成分が食品に使えるかどうかの確認から始めます。日本では成分によって食品か医薬品かが判断されるため、医薬品に当たる成分を含む処方は、サプリとして製造できません。企画から販売までの全体の順番は、自社ブランドのサプリを始める手順で整理しています。
契約書に書いておくこと
処方の専用性、変更の手続き、書類の保管、取引をやめるときの扱いを、製造を始める前に文書で決めておくと、後の食い違いを防げます。
| 決めておくこと | 文書にしておく理由 |
|---|---|
| 処方を自社専用にするか、工場がほかの会社にも供給できるか | ほぼ同じ商品が別のブランドから出る可能性に関わる |
| 処方や原材料の変更をだれが決めるか。承認した版を以後の基準にするか | 了承していない原材料の切り替えを防ぐ |
| 製造を別の工場に移すとき、規格書を使えるか | 特定の工場から離れられるかどうかが決まる |
| 試験成績書や製造記録をだれが、どれだけの期間保管するか | 健康被害の情報が入ったときや自主回収のときに必要になる |
| 取引をやめるときの資材・版下・在庫の扱い | 関係を終えるときの争いを避ける |
記録の保管期間は、消費者庁が示すGMPの指針が目安になります。指針では、製造や保管の記録を、作成の日から3年間、または消費期限・賞味期限から1年間保管するとしています。工場の保管期間と、自社で必要な期間がそろっているかを確認してください。
見積もり・相談の前に決めておくこと
処方を持ち込むか開発を頼むか、処方を自社専用にしたいかが決まれば、工場は見積もりと契約の案を具体的に出せます。
- 自社の処方を持ち込むか、工場に開発を頼むか
- 開発した処方を自社専用にしたいか
- 規格書や試験成績書を、だれがどれだけの期間保管するか
- 剤形の希望と、販売方法(機能性表示食品として届け出るかどうか)
- 将来、製造する工場を変える可能性があるか
製造の進め方は、工場ごとに異なります。上の項目が決まっていなくても相談はできますが、決まっている項目が多いほど、話が早く進みます。試作と見積もりの流れはサプリOEMの試作と見積もり、規格書の中身はサプリの製品規格書をご覧ください。
💬 自社ブランドのサプリを、どの形で作るか相談したい方は、Sunshoにご連絡ください。 処方の有無と販売方法を伺い、契約の前に言葉の意味と進め方を分かりやすくご説明します。お問合せフォーム・LINEから。
よくある質問(FAQ)
プライベートブランドとOEMは同じ意味ですか?
同じではありません。OEMは「工場がブランド側の仕様で作る」という作り方を指し、プライベートブランドは「自社の名前で売る」という売り方を指します。プライベートブランドの商品は、OEMでもODMでも作られます。
工場が開発した処方は、自社のものになりますか?
契約の内容によって決まります。ブランド側が主導し費用を負担した場合は、自社のものとする取り決めにしやすい傾向がありますが、自動的にそうなるわけではありません。思い込まずに、契約書に書いておくことが大切です。
ODMでも、処方を自社専用にしてもらえますか?
工場に直接たずねてください。同じ処方やほぼ同じ処方をほかの会社に供給しないと約束する工場もあれば、基本処方は複数の会社に提供する方針の工場もあります。条件は工場ごとに異なります。
表示に工場の名前を出さないことはできますか?
製造所の所在地と製造者の名称は、原則として表示が必要です。同じ製品を2か所以上の製造所で作っている場合などには、消費者庁に届け出た製造所固有記号で代えることができます。
工場との取引をやめたら、処方はどうなりますか?
契約によって異なります。規格書を持ち出して別の工場で作れる契約もあれば、工場の開発成果として工場が使い続ける契約もあります。工場を変えようとしたときに初めて分かることがないよう、最初に決めておいてください。
参考
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010
- 消費者庁「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」(令和6年内閣府告示第108号) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms205_240830_01.pdf
- 厚生労働省「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令の公布について」(令和6年8月23日 健生発0823第8号) https://www.mhlw.go.jp/content/001297242.pdf
- 消費者庁「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」(令和6年12月27日一部改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/health_food/
- 製造物責任法(平成6年法律第85号)第2条・第3条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/406AC0000000085
(2026年10月12日確認)