自社ブランドのサプリを作りたいと工場に相談する方の多くは、最初は企画の段階です。使いたい成分、届けたいお客様、売りたい場所は決まっていても、規格書はまだない状態です。企画の段階での相談で問題ありませんが、企画のままでは見積もりも製造もできません。
本記事は、日本国内で自社ブランドのサプリを販売したい事業者の方に向けた内容です。販売の区分、配合の確認、試作から製造まで、必要な表示、販売前に確認する法律と手続きを順番に整理します。前の段階の決定が後の確認で通らないと、手戻りが大きくなります。順番どおりに進めることが、遅れを防ぐ近道です。
💬 企画の段階からでもご相談いただけます。 成分のアイデアを、製造できる配合に整えるところからお手伝いします。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。
1. 販売の区分を決める
最初に、いわゆる健康食品として売るか、栄養機能食品や機能性表示食品として表示するかを決めます。区分によって、表示できる内容と準備が大きく変わります。
| 区分 | 国の関与 | 表示できること | 主な準備 |
|---|---|---|---|
| いわゆる健康食品 | なし | 身体への効果は表示できない | 広告と表示の言葉選び |
| 栄養機能食品 | 届出・個別審査は不要(自己認証) | 国が定めた栄養成分について、定められた機能の文言 | 成分量を下限値・上限値の範囲に収め、決められた表示をする |
| 機能性表示食品 | 販売開始の60日前までに消費者庁へ届出(国の許可ではない) | 届け出た科学的根拠の範囲の機能 | 安全性と機能性の根拠、分析、製造管理、健康被害の情報収集の体制 |
| 特定保健用食品 | 消費者庁長官の個別の許可 | 許可を受けた保健の用途 | 製品ごとの審査 |
機能性表示食品の届出は、食品表示基準で、販売を開始する日の60日前までに消費者庁長官に行うと定められています。初めて届け出られる機能性関与成分などで確認に時間がかかる場合は、120日前までとされています。
錠剤・カプセルなどの形状の機能性表示食品は、2026年9月1日から、GMPに基づく製造管理が届出者の義務になりました。届出者は、医師が診断した健康被害の情報を、因果関係が分からなくても速やかに都道府県知事等と消費者庁長官に提供する義務も負います。
区分ごとの詳しい要件は、機能性表示食品の届出、栄養機能食品とは、トクホ(特定保健用食品)で説明しています。
2. 配合が食品として使えるかを確かめる
配合するすべての成分を厚生労働省の「専ら医薬品」のリストと照らし合わせ、食品に使えると確かめてから剤形や費用の話に進みます。
日本では、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方にもとづき、成分によって食品か医薬品かが判断されます。リストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断され、食品の工場では製造できません。海外で一般的なサプリの成分でも、日本では扱いが異なることがあるため、成分ごとに確認します。
錠剤・カプセルなどの形状の食品については、消費者庁が「原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針」を示しています。食経験の情報の収集と評価、成分の安全性に関する文献の調査、安全性試験の3段階で、原材料の安全性を点検する考え方です。原材料メーカーと工場が、点検の情報を持っているかを確認しておくと安心です。
食品衛生法第8条にもとづく「指定成分等含有食品」に当たる成分を使う場合は、取り扱う営業者に健康被害の情報を届け出る義務がかかります。使いたい成分がどの扱いになるかも、配合の確認の段階で調べます。判断の考え方は食薬区分とはと指定成分等含有食品をご覧ください。
💬 まず成分の一覧をお送りください。 剤形や費用の話の前に、すべての成分が食品に使えるかを確認します。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。
3. 剤形・試作・規格書・製造
剤形は成分の性質と1日あたりの量から選び、承認した試作品をもとに規格書を作り、規格書にもとづいて製造と検査を行います。
錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、粉末、顆粒、ゼリー、飲料、グミは、入れられる量も、熱・湿気・味への強さも異なります。グラム単位で摂る成分は飲み込むカプセルには収まりにくく、油に溶ける成分はソフトカプセルが向いています。剤形ごとの違いはサプリの剤形の選び方で比べています。
剤形と配合が決まると試作に進みます。試作は、特に味を作り込むグミ・ゼリー・飲料で、複数回になるのが一般的です。承認した試作品をもとに作る製品規格書は、見積もり、試験成績書、ロットの合否判定のすべての基準になります。
各段階の詳細は、サプリOEMの試作と見積もり、サプリの製品規格書、サプリの試験成績書で説明しています。工場とどの形で組むかは、OEM・ODM・既製品の違いを参考にしてください。
製造は、日本国内のGMP認証を取得した提携工場で行います。製造したロットごとに、規格書の基準に対する試験成績書を受け取ります。
4. 表示を作る
容器包装に入れたサプリを販売するときは、食品表示基準が定める名称・原材料名・添加物・内容量・賞味期限・保存方法・栄養成分表示・表示責任者などを表示します。
| 表示の項目 | 主な決まり |
|---|---|
| 名称 | 内容を表す一般的な名称 |
| 原材料名・添加物 | 原材料は重量の割合の高い順に表示する。添加物も重量の割合の高い順に物質名で表示し、甘味料など一部は用途名も併記する |
| アレルゲン | 特定原材料を含む場合は表示が義務。2026年4月1日にカシューナッツが加わり9品目 |
| 内容量 | 重量、体積、または個数を単位を明記して表示する |
| 賞味期限・保存方法 | 期限は表示責任者が科学的・合理的な根拠で設定し、保存方法と合わせて表示する |
| 栄養成分表示 | 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量 |
| 食品関連事業者 | 表示内容に責任を有する者の氏名・名称と住所 |
| 製造所 | 製造所の所在地と製造者の氏名・名称。条件を満たせば製造所固有記号で代えられる |
アレルゲンの対象品目と書き方は、サプリのアレルゲン表示で詳しく説明しています。
栄養機能食品や機能性表示食品は、上の項目に加えて、それぞれの区分で決められた表示が必要です。栄養機能食品は、2026年10月1日に食品表示基準の別表第11が改正され、下限値・上限値や機能の文言が変わりました。2030年3月31日までに製造される加工食品は、改正前の基準によることもできます。
5. 販売の方法と、販売前に確認すること
常温で保存できる包装済みのサプリを販売するだけなら営業の届出は不要とされていますが、通信販売の表示、広告の規制、健康被害への対応は、販売者として準備が必要です。
食品衛生法の営業届出制度では、常温で長期間保存しても衛生上の危害のおそれがない包装食品の販売業は、届出が不要な営業とされています。冷蔵・冷凍が必要な商品を扱う場合や、自社で詰め替えなどの加工をする場合は扱いが変わるため、管轄の保健所に確認してください。
| 販売の場面 | かかわる法律 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 自社EC・通信販売 | 特定商取引法 第11条・第12条の6 | 広告に販売価格・送料、支払と引渡しの時期、返品の条件、事業者の氏名と連絡先などを表示する。定期購入のように2回以上の契約が必要なら、その旨と条件も表示する |
| ネット注文の最終確認画面 | 特定商取引法 第12条の6 | 分量、価格、支払と引渡しの時期、申込みの撤回・解除に関する事項などを表示する |
| 広告・商品説明 | 薬機法 第68条、健康増進法 第65条 | 医薬品のような効能効果や、著しく事実と異なる健康効果の表示をしない |
| 広告・商品説明 | 景品表示法 第5条・第7条 | 実際より著しく優良と示す表示をしない。表示の裏付けとなる合理的な根拠の資料を求められることがある |
| 卸・小売店での販売 | 取引先との契約 | 取引先から規格書や試験成績書の提出を求められることが多い |
自社ブランドで販売する以上、品質の問題にも販売者が向き合います。製造物責任法では、製造業者として自社の名前や商標を表示した者も責任を負う対象です。お客様からの問い合わせや体調の変化の連絡を受ける窓口と、工場と情報を共有する流れを、販売の前に決めておいてください。
見積もり・相談の前に決めておくこと
配合の確認を通り、販売の区分が決まれば、工場は剤形と見積もりの具体的な提案ができます。
- 使いたい成分と、届けたいお客様
- 販売の区分(いわゆる健康食品、栄養機能食品、機能性表示食品)
- 剤形の希望と、その理由
- 規格書があるか、試作品から作る必要があるか
- 販売の方法(自社EC、定期購入、卸・小売店など)
- 初回の製造数のおおよその見込み
すべてが決まっていなくても、企画の段階から相談できます。決まっていない項目は、工場の提案を受けながら順番に決めていきます。
💬 自社ブランドのサプリを始めたい方は、Sunshoにお知らせください。 企画を伺い、どの手順から始めるとよいかをご説明します。お問合せフォーム・LINEから。
よくある質問(FAQ)
規格書がないと、工場に相談できませんか?
相談できます。多くの方は、成分・お客様・売り方といった企画の段階で相談を始めます。規格書は試作の段階で作っていくもので、配合の確認を早く始めるほど時間の節約になります。
企画から販売まで、どれくらいかかりますか?
剤形、試作の回数、販売の区分によって大きく変わるため、一般的な期間は示していません。機能性表示食品にする場合は、販売開始の60日前までの届出も必要になります。具体的な商品に合わせて流れをご説明します。
海外でよく売られている成分なら、確認を省けますか?
省けません。日本で食品として使えるかどうかは日本のルールで判断されるため、海外で一般的な成分でも医薬品と判断されることがあります。配合の確認は、どの成分でも最初に行います。
通販でサプリを売るのに、営業許可は必要ですか?
常温で保存できる包装済みのサプリを販売するだけなら、営業の届出は不要とされています。冷蔵品を扱う場合や自社で加工する場合は扱いが変わるため、管轄の保健所に確認してください。通信販売の表示は、特定商取引法に従う必要があります。
機能性表示食品にしないと、売りにくいですか?
区分ごとに向き不向きがあります。いわゆる健康食品は準備が少ない一方、身体への効果は表示できません。機能性表示食品は届け出た範囲の機能を表示できますが、根拠・分析・製造管理・健康被害の情報収集の体制が必要です。
参考
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第2条・第3条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010
- 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」(令和7年10月1日一部改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/assets/food_labeling_cms205_251001_41.pdf
- 消費者庁「栄養機能食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_nutrient_function_claims/
- 消費者庁「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/health_food/
- 消費者庁「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日事務連絡) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 厚生労働省「営業許可業種の見直し及び営業届出制度の創設に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/000772503.pdf
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
- 消費者庁・厚生労働省「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供の義務化について」(令和6年8月30日) https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001298189.pdf
- 食品衛生法 第8条/医薬品医療機器等法 第68条/健康増進法 第65条/景品表示法 第5条・第7条/製造物責任法 第2条(e-Gov法令検索)
- 「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号)別添1(厚生労働省)
(2026年10月12日確認)