プラセンタ(胎盤)エキスは、日本の美容サプリの売り場で長く定番となっている成分です。食品に使われるのは豚や馬の胎盤から抽出したエキスで、カプセルや錠剤、美容ドリンクとして販売されています。

本記事では、プラセンタサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、機能性表示食品として届け出る場合といわゆる健康食品として売る場合の表示の違い、原料の動物種と剤形の決め方を整理します。プラセンタは認知度が高い一方で、ヒトでの試験は少人数・短期間のものが中心です。医薬品の注射剤と混同されやすい点も、企画の段階で押さえておきたいところです。

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研究で分かっていること

口から摂るプラセンタエキスのヒト試験は、20〜30人・4週間の小規模なものが中心で、肌の一部の指標に差が出たという報告にとどまります。

試験・レビュー対象結果
ランダム化二重盲検プラセボ対照試験、Nutrients 2020(PubMed 32512710)40〜59歳の健康な女性20人(解析は19人)。豚プラセンタエキス200mgまたはプラセボを1日1回、4週間腕の皮膚で、水分の蒸散量(バリア機能の指標)と弾力の変化にプラセボとの差。頬の水分量・蒸散量・弾力、腕の水分量には差がなかった
ランダム化二重盲検プラセボ対照試験、Health Science Reports 2022(PubMed 35224222)30〜59歳の健康な女性29人。馬プラセンタエキス220mgまたはプラセボを1日1回、4週間頬のメラニン指数がプラセボ群では上がり、馬プラセンタ群では変わらなかった。水分量と水分の蒸散量には差がなかった
系統的レビュー、Nutrients 2025(PubMed 41470802)閉経前後の女性を対象としたランダム化比較試験11件・988人。豚またはヒト由来のエキスで、経口と皮下注射の試験が混在閉経期の症状の指標や肌の状態などで改善が報告された。試験はすべてアジアの国で行われ、最も長い試験は24週

2つの肌の試験は、どちらも試験に使った原料のメーカーが資金を提供し、メーカーの社員や代表者が著者に加わっています。論文では、資金提供者は原料の提供以外に試験の設計や解析に関与していないと説明されています。

どちらの試験も人数が少なく、期間は4週間だけです。豚プラセンタの試験は、冬の乾燥した時期(1〜2月)に行われました。2025年のレビューは、ヒト由来の注射剤と豚由来の経口エキスを一緒に扱っているため、食品のプラセンタサプリの根拠としてそのまま使うことはできません。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録と本文を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

プラセンタでは、豚プラセンタ由来のペプチドを関与成分として、肌の潤い(肌の水分量)の維持に関する表示をした届出があります。

機能性表示食品は、販売前に機能性の科学的根拠と安全性の情報を消費者庁に届け出る制度です。国の審査や許可ではなく、届出者が自らの責任で根拠を示します。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

プラセンタの届出は、プラセンタエキス全体ではなく、エキスに含まれる特定のペプチドを関与成分としています。同じ表示を使うには、同じ関与成分を、根拠とした研究と同じ量だけ含むことを、分析で示す必要があります。

2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMPに基づく製造管理が届出者の義務となり、2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を消費者庁へ報告することも届出者の義務です。

届け出る場合に決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:根拠とする研究で使われた1日あたりのペプチドの量と合わせる
  • 分析の方法:ペプチドの量を測る方法と、その結果を保証する体制

なお、日本ではヒトの胎盤から作る注射剤が医療用医薬品として承認されています。食品のプラセンタとは原料も使い方も別のものです。献血では、ヒト胎盤エキス注射剤の使用歴による制限が、2026年10月1日の受付分から「投与後3か月延期」に見直されました。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ない健康食品は、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定プラセンタサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「シミが消える」「ホルモンバランスを整える」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も愛用」「注射と同じ成分」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日3粒に豚プラセンタエキス〇mg配合」(動物種と量の事実)「シミ・しわが消える」「若返る」
「毎日の美容習慣に」(使用場面)更年期障害など、病名や症状名を挙げた表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)医療用の注射剤と同じ効果を思わせる表現

プラセンタの製剤設計

試験で使われた量は1日200mg前後で、粉末のエキスは錠剤・カプセル・ドリンクのどれにも使えます。原料ごとの濃縮度とにおいの違いを確かめることが設計の出発点です。

剤形選ばれる理由検討すること
ハードカプセル味やにおいを感じにくく、他の美容成分と組み合わせやすい配合量と粒の大きさ
錠剤1回あたりの費用を抑えやすいエキスのにおいと、コーティングの要否
ソフトカプセルにおいを閉じ込めやすい油に分散させる処方と費用
ドリンク美容ドリンクとして日本の売り場でなじみがある少ない容量で1日分の量を入れる濃度と、味の設計

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来:豚か馬か、産地とトレーサビリティ(生産履歴の記録)を原料メーカーに確認し、表示にも動物種を明記します。牛由来の原材料については、BSEの発生を受けた2001年10月5日の厚生労働省通知が、食品の製造者に特定危険部位の使用・混入の点検と保健所への報告を求めました。
  2. アレルゲンと食の制限:豚肉は、食品表示でアレルゲンの表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」の一つです。豚由来の原料をどう表示するかは、原料の規格書を見て工場と決めます。動物由来のため、ベジタリアン向けやハラール対応の商品には向きません。
  3. 1日あたりの量:エキスの濃縮の度合いは原料ごとに違うため、エキス末の量だけでなく、原料メーカーの規格値で比べます。機能性表示食品にするなら、関与成分の量を根拠の研究に合わせます。
  4. 組み合わせる成分:コラーゲンペプチドやヒアルロン酸など、他の美容成分と組み合わせることがよくあります。組み合わせる成分にも、それぞれ食品に使えるかの確認が必要です。
  5. 包装:原料メーカーの保存条件と、配合全体の吸湿のしやすさを見て、アルミ包装やボトルの乾燥剤を検討します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

豚や馬のプラセンタエキスは食品として販売されていますが、美容をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材や動物由来素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせることの多い成分は、コラーゲンペプチドサプリのOEMとヒアルロン酸サプリのOEMでも解説しています。

見積もりの前に決めておくこと

原料の動物種と規格、1日あたりの量、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 原料の動物種(豚・馬)と産地、エキスの規格
  • 1日あたりの量と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、ドリンクの場合は容量と味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

プラセンタサプリの効果は、研究で確かめられていますか?

口から摂るプラセンタエキスの試験は、20〜30人・4週間の小規模なものが中心です。肌の一部の指標で差が出たという報告はありますが、どちらの試験も原料メーカーが資金を出しており、根拠は限定的です。

プラセンタサプリと、クリニックのプラセンタ注射は同じものですか?

同じものではありません。注射剤はヒトの胎盤から作る医療用医薬品で、食品のプラセンタサプリは豚や馬の胎盤から作るエキスです。広告で注射剤と同じ効果を思わせる表現は避けてください。

豚と馬、どちらの原料を選べばよいですか?

どちらも食品として使われており、試験もそれぞれ行われています。販売する商品の訴求、原料の規格と産地の書類、費用を比べて決めます。どちらを選んでも、表示には動物種を明記します。

機能性表示食品にできますか?

豚プラセンタ由来のペプチドを関与成分とし、肌の潤いに関する表示で届け出た例があります。届け出るには、根拠とする研究と同じ関与成分を同じ量だけ含むことを、分析で示す必要があります。

プラセンタに向いている剤形は何ですか?

1日の量が数百mg程度なので、ハードカプセル・錠剤・ソフトカプセル・ドリンクのいずれにも使えます。エキスのにおいが気になる場合は、カプセルやコーティングした錠剤を検討します。

参考

  • “Effect of Porcine Placenta Extract Supplement on Skin Condition in Healthy Adult Women: A Randomized, Double-Blind Placebo-Controlled Study”, Nutrients 2020, PubMed 32512710, PMC7353038
  • “Effects of oral administration of equine placental extract supplement on the facial skin of healthy adult women: A randomized, double-blind, placebo-controlled study”, Health Science Reports 2022, PubMed 35224222, doi 10.1002/hsr2.522
  • “Efficacy and Safety of Placental Extract on Menopausal Symptoms: A Systematic Review”, Nutrients 2025, PubMed 41470802, doi 10.3390/nu17243857
  • 厚生労働省「特定危険部位を含むおそれのある牛由来原材料を使用して製造又は加工された食品の安全性確保について」(平成13年10月5日 食発第294号) https://www.mhlw.go.jp/houdou/0110/h1005-2.html
  • 厚生労働省「欧州等滞在歴及びヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に係る献血制限の見直しについてのQ&A(令和8年10月)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70274.html
  • 消費者庁「アレルギー表示について」(令和8年4月時点) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)