大豆イソフラボンは、大豆に含まれるダイゼインやゲニステインなどの成分の総称です。日本では納豆や豆腐などで日常的に摂られてきた成分で、女性向けのサプリや機能性表示食品にも使われています。

本記事では、大豆イソフラボンサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、食品安全委員会が示した安全な摂取目安量と厚生労働省の指針、機能性表示食品として届け出る場合の考え方、配合量と剤形の決め方を整理します。大豆イソフラボンは、サプリで上乗せして摂る量に国の目安がある成分です。配合量を決める前に、その数字を押さえておく必要があります。

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研究で分かっていること

メタ解析では、閉経前後の女性のほてりの回数と程度の減少が比較的一貫して報告されていますが、骨密度の差は小さく、他の症状は結果が分かれています。

メタ解析対象結果
系統的レビューとメタ解析、Menopause 2012(PubMed 22433977)閉経前後・閉経後の女性を対象とした二重盲検ランダム化比較試験17件。抽出または合成した大豆イソフラボン(中央値54mg、アグリコン換算)を6週間〜12か月ほてりの回数が20.6%、程度が26.2%、プラセボより減少。試験間のばらつきは大きかった
系統的レビューとメタ解析、Journal of Clinical Medicine 2022(PubMed 36012916)閉経後の女性を対象としたランダム化比較試験18件。大豆イソフラボン1日平均106mg(40〜300mg)を6〜24か月。抽出物・大豆たんぱく・食品が混在腰椎+1.63%、大腿骨頸部+1.87%、股関節全体+0.39%と、骨密度に小さいが有意な差
系統的レビューとメタ解析、PeerJ 2025(PubMed 40718787)閉経前後の女性を対象とした試験12件(症状全体の解析は7件・533人)症状全体、頭痛、心理的な症状、動悸、抑うつで差。ほてり、発汗、不眠、疲労などには差がなかった

試験ごとに、量(1日30mg程度から300mg)、量の数え方(アグリコン換算か総量か)、形(抽出物か大豆食品か)が大きく異なります。ある試験で差が出た量が、別の原料や別の数え方にそのまま当てはまるわけではありません。

2012年と2025年の解析で、ほてりの結果は一致していません。2025年の解析は、対象者の人数が少ないため慎重に解釈すべきだと著者自身が述べています。いずれも閉経前後の女性を対象にした研究で、製品の訴求に病名や症状名を使う根拠にはなりません。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

食品安全委員会の評価と1日の目安量

食品安全委員会は2006年、大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限値をアグリコン換算で70〜75mg、特定保健用食品として上乗せして摂る量の上限値を30mgとしました。

食品安全委員会は2006年5月、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」をまとめました。数字はいずれも、大豆イソフラボンアグリコン(糖が外れた形)に換算した値です。

項目数値考え方
安全な1日摂取目安量の上限値70〜75mg/日大豆食品からの摂取量(平成14年国民栄養調査の95パーセンタイル値70mg)と、海外の臨床試験の結果(150mgの2分の1の75mg)から設定
特定保健用食品として上乗せして摂る量の上限値30mg/日閉経前の女性の臨床試験で影響が見られた57.3mgのおよそ2分の1。閉経後の女性と男性にも当てはめた
妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)、乳幼児、小児上乗せは推奨できない安全な量を設定できなかったため

食品安全委員会は、70〜75mgは毎日欠かさず長期間摂る場合の平均値としての上限値で、大豆食品からの摂取がこの値を超えても直ちに健康被害に結びつくものではないとしています。評価の対象は、長い食経験のある大豆食品そのものではなく、通常の食事に上乗せして摂る場合の安全性です。

厚生労働省はこの評価を受けて、2006年8月23日に「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針」を通知しました。錠剤・カプセル剤・粉末剤・液剤などの形状で大豆イソフラボンを濃縮・強化した食品は、1日の摂取目安量をアグリコンとして30mg以下にし、含有量と摂取上の注意事項を表示することとされています。

機能性表示食品として届け出る場合

大豆イソフラボンは機能性表示食品で使われている成分で、中高年女性の骨の成分の維持を通じて骨の健康に役立つ、という趣旨の届出表示があります。

機能性表示食品は、販売前に機能性の科学的根拠と安全性の情報を消費者庁に届け出る制度です。国の審査や許可ではなく、届出者が自らの責任で根拠を示します。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

骨の届出表示は、骨吸収(骨が壊される働き)の維持に関する研究レビューを根拠にした例があります。表示の対象が「中高年女性」と限られている点も、研究の対象者に合わせたものです。

2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMPに基づく製造管理が届出者の義務となり、2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を消費者庁へ報告することも届出者の義務です。

届け出る場合に決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:根拠とする研究の量に合わせ、厚生労働省の指針の30mgとの関係も確認する
  • 分析の方法:アグリコン換算の含有量を測る方法と、その結果を保証する体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ない健康食品は、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定大豆イソフラボンサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「ほてりを抑える」「骨を強くする」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「女性ホルモンの代わり」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日2粒に大豆イソフラボン25mg(アグリコン換算)」(量の事実)「更年期障害に」「骨粗しょう症の予防に」
「大豆の成分を手軽に」(原料の事実)「女性ホルモンを補う」「ホルモンバランスを整える」
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「たくさん摂るほどよい」など、量の目安を無視する表現

大豆イソフラボンの製剤設計

1日の量は30mg以下の数十mg単位なので、錠剤・カプセル・顆粒のどれにも収まりますが、原料の含有量の表し方をそろえることが最初の作業です。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤小さく、1回あたりの費用を抑えやすい。カルシウムなどと組み合わせやすい組み合わせる成分の量と粒の大きさ
ハードカプセル味がなく、処方を組みやすい目標の量に合わせた充てん量
ソフトカプセル油に溶ける成分と組み合わせやすい被膜の原料と費用
顆粒スティック毎日の習慣として続けやすい原料の味と、味の設計

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の規格と量の表し方:原料の含有量が、アグリコン換算か、配糖体を含む総量かを規格書で確認します。食品安全委員会の評価では、配合割合が分からない場合の換算係数として0.625(ゲニステインとゲニスチンの分子量の比)が使われています。
  2. 1日あたりの量:錠剤・カプセル状の食品では、アグリコン換算で30mg以下にします。機能性表示食品にするなら、根拠の研究の量とも合わせます。
  3. 注意事項の表示:厚生労働省の指針は、特定保健用食品について「妊娠中の方、授乳中の方、乳幼児及び小児は摂取しないこと」「過剰摂取はしないこと」などの表示を求めています。錠剤・カプセル状の食品でも、注意事項の表示が求められています。
  4. アレルゲンの表示:大豆は、食品表示でアレルゲンの表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」の一つです。
  5. 組み合わせる成分:カルシウム、ビタミンD、コラーゲンペプチドなどと組み合わせる企画があります。組み合わせる成分にも、それぞれ食品に使えるかの確認が必要です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

大豆イソフラボンで問題になりやすいのは、成分の可否よりも1日の量です。女性向けの配合では、組み合わせる植物素材が問題になることもあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせることの多い成分は、ビタミンDサプリのOEMやコラーゲンペプチドサプリのOEMでも解説しています。

見積もりの前に決めておくこと

原料の規格、アグリコン換算の1日量、剤形、注意事項の表示が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 原料の規格(アグリコン換算か総量か)
  • 1日あたりの量(アグリコン換算で30mg以下)と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 注意事項とアレルゲンの表示
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

サプリの大豆イソフラボンは1日何mgまでですか?

食品安全委員会は、特定保健用食品として上乗せして摂る量の上限値をアグリコン換算で1日30mgとしました。厚生労働省の指針は、錠剤・カプセル状などの食品でも1日の摂取目安量を30mg以下にするよう求めています。

70〜75mgと30mgは、どう違いますか?

70〜75mgは、食事とサプリを合わせた安全な1日摂取目安量の上限値です。30mgは、そのうち通常の食事に上乗せして摂る量の上限値です。どちらもアグリコン換算の値です。

妊娠中の方も飲めますか?

食品安全委員会は、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)、乳幼児、小児が上乗せして摂ることは推奨できないとしています。厚生労働省の指針も、妊娠中・授乳中の方などは摂取しない旨の表示を求めています。

大豆イソフラボンの研究では、どんな結果が出ていますか?

閉経前後の女性を対象としたメタ解析で、ほてりの回数と程度の減少や、骨密度の小さな差が報告されています。ただし、ほてりに差がなかった解析もあり、結果は分かれています。

機能性表示食品にできますか?

大豆イソフラボンを関与成分とし、中高年女性の骨の成分の維持に関する表示で届け出た例があります。届け出る場合も、1日の量は厚生労働省の指針の30mgとの関係を確認して決めます。

参考

(2026年10月12日確認)