スペルミジンは、ポリアミンと呼ばれる物質の一つで、エイジングケアをテーマにしたサプリで注目されている成分です。細胞が自分の成分を分解して再利用する「オートファジー」との関係が、細胞や動物の研究で調べられてきました。
本記事は、スペルミジンサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた内容です。研究で分かっていること、日本での扱い、小麦胚芽由来の原料で必要なアレルゲン表示、剤形と配合の決め方を整理します。スペルミジンのヒト試験は数が少なく、最も長い試験では記憶の成績に差がありませんでした。研究の現状を正しく知っておくと、広告で行き過ぎた表現を避けやすくなります。
💬 スペルミジンサプリの企画をお考えですか? 原料と配合の確認から、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造までご相談いただけます。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。
研究で分かっていること
小規模な試験で記憶の成績が良かったという報告はありますが、より大きく長い12か月の試験では差がなく、ヒトでの結果はまだはっきりしていません。
| 試験 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| ランダム化二重盲検試験、JAMA Network Open 2022(PMID 35616942) | 記憶の衰えを自覚する60〜90歳の100人。小麦胚芽由来の原料でスペルミジン1日0.9mg、またはプラセボを12か月 | 主要評価項目の記憶の検査で差はなく、副次評価項目にも差はなかった。探索的な解析で一部に前向きな結果があり、より多い量での確認が必要とされた |
| ランダム化二重盲検の予備試験、Cortex 2018(PMID 30388439) | 記憶の衰えを自覚する60〜80歳の30人。スペルミジンを多く含む植物抽出物を3か月 | 記憶の検査の成績が、プラセボより中程度に良い傾向だった(効果量で評価)。著者は、より大きな試験での確認が必要としている |
| ランダム化二重盲検試験、Dermatology Practical & Conceptual 2017(PMID 29214104) | 健康な男女100人。スペルミジンを主体とした錠剤、またはプラセボを1日1回90日 | 成長期の毛包の数が増え、プラセボより良い結果だった。著者は予備的な研究としている |
| ランダム化二重盲検試験、Nutrition Research 2024(PMID 39405978) | 50〜70歳の健康な男性37人。高純度の合成スペルミジンを1日40mg、最長28日 | 検査値に問題となる変化はなく、副作用の報告もなかった。血液と尿のポリアミンの量は大きく変わらなかった |
2018年の予備試験で前向きな結果が出たため、同じ研究グループは2022年に100人・12か月の試験を行いました。その結果、主要評価項目の記憶の成績には差がありませんでした。小規模な試験の結果が、大きな試験で確かめられなかった例といえます。
2022年の試験は主に公的な研究費で行われましたが、著者の一部は原料の開発企業に出資や助言をしていました。髪の試験は食品企業が資金を出し、著者の一部がその企業の社員でした。
安全性については、同じ研究グループが30人・3か月の試験で、1日1.2mgの小麦胚芽抽出物を報告しています。血圧などの生命徴候、体重、血液検査の値に、プラセボとの差はありませんでした。
(2026年10月18日時点で、各論文の公開抄録を確認)
日本での扱い
スペルミジンという名前は食薬区分のどちらのリストにも例示されておらず、原料によく使われる小麦胚芽は食品のアレルゲン表示の対象になります。
厚生労働省の食薬区分のリスト(2026年8月5日更新)では、スペルミジンとその原料にかかわるものが次のように扱われています。
| 成分・原料 | 食薬区分のリスト | 確認すること |
|---|---|---|
| スペルミジン | どちらのリストにも名前の記載なし | 原料の製法と規格を確認し、必要に応じて都道府県の薬務担当に相談 |
| コムギ(Triticum aestivum)の胚芽など | 医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しないリスト | 医薬品的な効能効果をうたわなければ使える。小麦のアレルゲン表示が必要 |
| プトレシン(同じポリアミンの仲間、化学物質等の項) | 医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しないリスト | 医薬品的な効能効果をうたわなければ使える |
スペルミジンのヒト試験では、小麦胚芽の抽出物が多く使われてきました。小麦は食品表示基準で表示が義務付けられた特定原材料のため、小麦胚芽由来の原料を使う場合は、アレルゲンの表示が欠かせません。
化学合成のスペルミジンを使う場合は、リストに例示がないため、原料メーカーの資料をそろえて扱いを確かめます。原料の安全性の資料と、製法の説明が判断の材料になります。
💬 スペルミジンの原料選びや、アレルゲン表示で迷っている方へ。 原料の規格書を確認し、配合と表示の段取りまでご提案します。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。
いわゆる健康食品として売る場合の表示
スペルミジンサプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。
健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。
| 法律 | かかわる規定 | スペルミジンサプリで注意すること |
|---|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 承認前の医薬品の広告の禁止(第68条) | 「老化を防ぐ」「もの忘れを防ぐ」「抜け毛が減る」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある |
| 健康増進法 | 誇大表示の禁止(第65条) | 健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない |
| 景品表示法 | 優良誤認表示の禁止 | 根拠のない「長寿成分」「含有量No.1」などの表示 |
消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。
| 比較的安全な言い方 | 避けるべき言い方 |
|---|---|
| 「1日1粒にスペルミジン〇mg(小麦胚芽由来)」(量と由来の事実) | 「老化を止める」「寿命が延びる」 |
| 「年齢を重ねた毎日の習慣に」(使用場面) | 病名や症状名を挙げた表現 |
| 研究の結果を、主要評価項目の結論とあわせて紹介する | 探索的な解析や動物の研究だけを取り上げる表現 |
スペルミジンの製剤設計
スペルミジンは研究で1日1mg前後から数十mgまで幅のある量が使われており、原料の種類によって配合する原料の量が大きく変わります。
| 剤形 | 選ばれる理由 | 検討すること |
|---|---|---|
| ハードカプセル | 味がなく、少ない量の原料も詰めやすい | ほかの成分との組み合わせと粒の大きさ |
| 錠剤 | 1回あたりの費用を抑えやすい | 打錠に必要な賦形剤 |
| 粉末スティック | 量を調整しやすく、飲み物に混ぜられる | 味と、湿気を防ぐ包装 |
仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。
- 原料の由来:小麦胚芽の抽出物か、化学合成か、そのほかの素材かを確認します。抽出物の場合は、スペルミジンの含有量と分析の方法を規格書で確認します。
- 1日あたりの量:参考にする試験の原料と量にそろえます。12か月の試験は小麦胚芽由来で1日0.9mg、合成品の安全性の試験は1日40mgでした。
- アレルゲン:小麦胚芽由来の原料では、小麦の表示が必要です。工場のアレルゲン管理と、製品の表示をあわせて確認します。
- 包装・安定性:目標とする賞味期限での安定性のデータを、原料メーカーと工場に確認します。湿気を防ぐアルミ包装や、乾燥剤入りのボトルを検討します。
最初に確認すること:食品に使える成分か
日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。
厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
スペルミジンでは、原料の製法と、組み合わせる植物素材の確認が出発点になります。小麦の表示はアレルゲン表示の解説、エイジングケアをテーマにした配合はNMNサプリのOEMもご覧ください。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。
見積もりの前に決めておくこと
原料の種類、スペルミジンの量、剤形、アレルゲン表示が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。
- 原料の種類(小麦胚芽の抽出物、化学合成など)と規格書
- スペルミジンの1日あたりの量と、1袋あたりの日数
- 剤形と1日の粒数
- 組み合わせる成分と、その量
- 包装の形
- 初回の製造数と、年間の見込み数
アレルゲンの管理は工場ごとに体制が異なるため、小麦を使うことは相談の最初にお伝えください。
💬 スペルミジンサプリの製品化をご検討中の方は、Sunshoにご相談ください。 原料・配合・表示を伺い、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造をご提案します。お問合せフォーム・LINEから。
よくある質問(FAQ)
スペルミジンの記憶への効果は、研究で確かめられていますか?
確かめられていません。30人・3か月の予備試験では記憶の成績に良い傾向が見られたものの、100人・12か月の試験では主要評価項目に差がありませんでした。広告では、主要な結果とあわせて研究の限界を伝えることが大切です。
スペルミジンは日本で食品に使えますか?
スペルミジンという名前は、厚生労働省の食薬区分のどちらのリストにも例示されていません。原料によく使われる小麦胚芽は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない」リストにあります。原料の製法を確認し、必要に応じて都道府県の薬務担当に相談してから配合を決めます。
小麦胚芽由来の原料では、何を表示する必要がありますか?
小麦は食品表示基準で表示が義務付けられた特定原材料です。小麦胚芽由来の原料を使う場合は、アレルゲンとして小麦を表示します。原料メーカーの資料で、原料の由来と製造工程を確認しておきます。
「オートファジー」や「長寿」を広告に書けますか?
オートファジーや寿命との関係は、主に細胞や動物の研究で調べられてきたものです。製品が老化を止める、寿命を延ばすと受け取られる表現は避ける必要があります。
1日あたりの量はどのくらいにすればよいですか?
試験では、小麦胚芽由来で1日0.9〜1.2mg、合成品で1日40mgが使われていました。原料によって量の考え方が違うため、参考にする試験の原料と量にそろえて決めます。
参考
- “Effects of Spermidine Supplementation on Cognition and Biomarkers in Older Adults With Subjective Cognitive Decline: A Randomized Clinical Trial”, JAMA Network Open 2022, PMID 35616942, PMC9136623
- “The effect of spermidine on memory performance in older adults at risk for dementia: A randomized controlled trial”, Cortex 2018, PMID 30388439
- “A spermidine-based nutritional supplement prolongs the anagen phase of hair follicles in humans: a randomized, placebo-controlled, double-blind study”, Dermatology Practical & Conceptual 2017, PMID 29214104, PMC5718121
- “Supplementation of spermidine at 40 mg/day has minimal effects on circulating polyamines: An exploratory double-blind randomized controlled trial in older men”, Nutrition Research 2024, PMID 39405978
- “Safety and tolerability of spermidine supplementation in mice and older adults with subjective cognitive decline”, Aging 2018, PMID 29315079, PMC5807086
- 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
- 厚生労働省「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734637.pdf
- 消費者庁「アレルギー表示について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)
(2026年10月18日確認)