チュアブル錠やグミ、粉末スティックのサプリは、口に入れた瞬間に味が伝わります。続けて飲んでもらうには味の設計が欠かせず、多くの場合、甘味料と香料が配合に入ります。一方で、甘味料と香料は使用基準や表示の決まりが細かく、選び方を誤るとパッケージを作り直すことになりかねません。
本記事では、日本国内で自社ブランドのサプリを売りたい事業者の方に向けて、甘味料と香料の分類、使用基準、表示の決まりを整理します。「人工甘味料不使用」のような表示が、なぜ注意の対象になるのかも説明します。
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サプリで使われる主な甘味料と分類
サプリで使われる甘味料には、指定添加物の高甘味度甘味料、既存添加物の植物由来の甘味料、糖アルコールなどがあり、分類によって使用基準の有無が違います。
| 甘味料 | 分類 | 使用基準 | 表示で気をつけること |
|---|---|---|---|
| スクラロース | 指定添加物 | あり(食品の区分ごとに上限) | 「甘味料(スクラロース)」と用途名を併記 |
| アセスルファムカリウム | 指定添加物 | あり(栄養機能食品の錠剤に専用の上限) | 「甘味料(アセスルファムカリウム)」と用途名を併記 |
| アスパルテーム | 指定添加物 | 個別の使用基準はない | 用途名の併記に加え、L―フェニルアラニン化合物を含む旨の表示が必要 |
| ステビア抽出物 | 既存添加物 | 個別の使用基準はない | 用途名を併記 |
| カンゾウ抽出物、ラカンカ抽出物 | 既存添加物 | 個別の使用基準はない | 用途名を併記 |
| キシリトール、D―ソルビトール | 指定添加物 | 個別の使用基準はない | 甘味料として使う場合は用途名を併記 |
| エリスリトール | 管理上は添加物ではなく食品として扱われている | ― | 原材料名の欄に食品として書く |
エリスリトールについては、食品安全委員会の資料(2010年)で、管理上は添加物ではなく食品として扱われていると説明されています。同じ「甘味のある素材」でも、添加物か食品かで書く欄が変わる点に注意が必要です。
物質名の代わりに簡略名を使える添加物もあります。どの簡略名が使えるかは消費者庁の通知「食品表示基準について」で決まっているため、表示を作る段階で通知と照らし合わせます。
使用基準:剤形と食品の区分で上限が変わる
スクラロースとアセスルファムカリウムには、食品の区分ごとに1kgあたりの上限があり、サプリをどの区分で作るかによって使える量が変わります。
使用基準は「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)で定められています。主な区分と上限は次のとおりです。
| 区分 | スクラロース(1kgあたり) | アセスルファムカリウム(1kgあたり) |
|---|---|---|
| 栄養機能食品(錠剤に限る) | 専用の区分はない | 6.0g以下 |
| 菓子・生菓子 | 1.8g以下(チューインガムは2.6g以下) | 2.5g以下(あん類を含む。チューインガムは5.0g以下) |
| 清涼飲料水など | 0.40g以下 | 0.50g以下 |
| 砂糖代替食品 | 12g以下 | 15g以下 |
| その他の食品 | 0.58g以下 | 0.35g以下 |
アセスルファムカリウムは、栄養機能食品の錠剤に専用の区分があります。一方で、いわゆる健康食品のチュアブル錠や粉末スティックがどの区分に当たるかは、商品の形や売り方で変わります。区分の判断は工場と表示の担当者で確認し、上限の範囲で甘さを設計します。
糖アルコールは、ほかの甘味料に比べて配合量が多くなりやすい素材です。1日分あたりの量が多くなる場合は、注意書きを入れるかどうかも含めて、工場と相談しておくと安心です。
甘味料の表示の決まり
甘味料として使う添加物は、食品表示基準で「甘味料(スクラロース)」のように用途名を併せて書くことが決まっており、アスパルテームには追加の表示が必要です。
食品表示基準では、甘味料・着色料・保存料など8つの用途に使う添加物は、物質名と用途名を一緒に表示します。複数の甘味料を使う場合も、それぞれを添加物の欄に重量の多い順で書きます。
アスパルテームを含む食品には、「L―フェニルアラニン化合物を含む旨」の表示が義務づけられています。アスパルテームを使うか迷っている場合は、この表示がパッケージに入ることも含めて判断します。
| 表示したい内容 | 書き方の考え方 |
|---|---|
| 甘味料を使っている | 「甘味料(ステビア抽出物)」など、用途名と物質名を併記する |
| アスパルテームを使っている | 用途名の併記に加えて、L―フェニルアラニン化合物を含む旨を表示する |
| 特定の甘味料を使っていない | 食品添加物の不使用表示に関するガイドラインに沿って確認する |
| 「人工甘味料不使用」と書きたい | 「人工」の語は食品表示基準から削除されており、ガイドラインで誤認のおそれが高い例とされている |
「人工甘味料不使用」「合成甘味料不使用」は、よく見かける表示です。しかし、食品表示基準の「人工」「合成」の語は令和2年7月に削除されました。消費者庁のガイドラインでは、不使用の表示と人工・合成・化学・天然の語を組み合わせた表示が、誤認のおそれが高い例とされています。
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香料の分類と表示
香料は、指定添加物の香料と天然香料に分かれ、表示では一括名の「香料」とまとめて書けるのが一般的です。
指定添加物の香料の多くは、使用基準で「着香の目的以外に使用してはならない」と決まっています。天然香料は、動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使うものです。どちらも、食品表示基準の一括名「香料」で表示できます。
| 種類 | どんなものか | 表示 |
|---|---|---|
| 指定添加物の香料 | 個別に指定された香りの物質。着香の目的以外には使えないものが多い | 一括名「香料」でまとめて書ける |
| 天然香料 | 動植物から得られる天然の物質で、香りを付ける目的で使うもの | 一括名「香料」でまとめて書ける |
香料は、表示の欄で「香料」の2文字にまとまるため、中身が見えにくい素材です。原料メーカーの香料製剤の規格書で、香りの成分のほかに、どんな副剤(デキストリン、乳化剤など)が入っているかを確認します。
香料とアレルゲン表示
消費者庁のハンドブックによると、香料は食物アレルギーを引き起こした知見が乏しいため、現時点では特定原材料等の表示が義務づけられていません。ただし、次のような香料は、特定原材料由来のたんぱく質を含むと考えられるため、アレルゲン表示が必要です。
- 香料製剤に、果汁や練乳、落花生など特定原材料等そのものが含まれているもの
- 特定原材料等に由来する香料で、蒸留など精製の工程を経ていないもの
- 特定原材料等やその由来物を、副剤として使っているもの(小麦由来のデキストリンなど)
ミルク風味やナッツ風味の香料では、特に確認が欠かせません。アレルゲン表示の全体像はサプリのアレルゲン表示で整理しています。
味の設計の進め方
味の設計は、成分そのものの味を確かめてから、甘味料・香料・酸味料の組み合わせを試作で詰めていくのが基本です。
- 成分の味を確かめる:苦味、えぐみ、金属のような味など、主成分の味の特徴を工場と共有します。
- 剤形を決める:チュアブル錠・グミ・粉末スティックなど、口に入れる剤形ほど味の工夫が必要です。チュアブル錠はチュアブル錠サプリのOEM、グミはグミサプリのOEMで詳しく説明しています。
- 甘味料の方向性を決める:砂糖・高甘味度甘味料・植物由来の甘味料・糖アルコールのどれを中心にするかを、表示の見え方も含めて選びます。
- 香料の方向性を決める:フルーツ系、ミルク系など、商品のイメージと成分の味の相性で選びます。
- 試作で確かめる:上限の範囲で量を調整し、味と表示の両方を確認してから仕様を決めます。
飲み込むタイプの錠剤やハードカプセルでは、甘味料や香料を使わないことも多くあります。味が気になる成分でも、カプセルにすれば甘味料が要らない場合があるため、剤形の段階から比べてみる価値があります。
見積もり・相談の前に決めておくこと
剤形、成分の味、甘さと香りの方向性、売り方の区分が決まれば、工場は甘味料と香料の候補を絞って試作に進めます。
- 剤形(チュアブル錠、グミ、粉末スティック、ゼリーなど)と、1日分の量
- 主成分の味の特徴(苦味、酸味、においなど)
- 甘さの方向性と、使いたい・避けたい甘味料
- 香りの方向性(フルーツ系、ミルク系など)
- 栄養機能食品・機能性表示食品・いわゆる健康食品のどれで売るか
- パッケージで甘味料や香料について伝えたい表現があるか
甘味料は食品の区分によって上限が変わるため、売り方の区分が決まっていると試作の回数を減らせます。表現の希望がある場合は、早めに伝えていただくと、表示の確認と並行して味を詰められます。
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よくある質問(FAQ)
サプリに使う甘味料は、パッケージにどう書けばよいですか?
甘味料として使う添加物は、「甘味料(スクラロース)」のように用途名と物質名を併せて書きます。アスパルテームを使う場合は、L―フェニルアラニン化合物を含む旨の表示も必要です。
スクラロースやアセスルファムカリウムは、どれだけ使ってもよいのですか?
どちらも使用基準で、食品の区分ごとに1kgあたりの上限が決まっています。アセスルファムカリウムは栄養機能食品の錠剤に専用の上限があるなど、売り方で上限が変わります。
ステビアは使用基準のない甘味料ですか?
ステビア抽出物は既存添加物で、個別の使用基準はありません。ただし、甘味料として使う場合は用途名の併記が必要です。
「人工甘味料不使用」と書いてもよいですか?
「人工」の語は令和2年7月に食品表示基準から削除されています。消費者庁のガイドラインでは、不使用の表示と人工・合成などの語を組み合わせた表示は、誤認のおそれが高い例とされています。
香料は「香料」とだけ書けばよいのですか?
香料は一括名の「香料」でまとめて表示できます。ただし、特定原材料等を含む香料製剤など一部の香料は、アレルゲン表示が必要になります。
参考
- 消費者庁「食品添加物」(4分類の定義、規格基準) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives/
- 「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)第2 添加物 F 使用基準(厚生労働省 法令等データベース) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78334000&dataType=0
- 日本食品化学研究振興財団「各添加物の使用基準及び保存基準」(令和8年4月7日改正まで記載)、「指定添加物リスト」「既存添加物名簿収載品目リスト」(消費者庁のページからリンク) https://www.ffcr.or.jp/shokuhin/2018/11/post.html
- 食品安全委員会「(平成22年度)食品安全委員会が自ら行う食品健康影響評価の案件候補について」資料(エリスリトール) https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/hyoka_10.pdf
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条、別表第六、別表第七(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010
- 消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」(令和2年7月16日改正) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_250328_1011.pdf
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf
- 消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
(2026年10月12日確認)