L-テアニンは、緑茶に含まれるアミノ酸です。日本では飲料や錠剤に使われ、機能性表示食品として「睡眠の質」や「一時的なストレス」に関する表示をした商品がいくつもあります。カフェインを含まないため、夜のリラックスタイム向けの商品にも使いやすい成分です。

本記事は、L-テアニンサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた成分ガイドです。研究で分かっていること、機能性表示食品として届け出る場合といわゆる健康食品として売る場合の表示の違い、剤形と配合の決め方を整理します。睡眠やストレスは関心の高いテーマですが、病名と結びつけた表現は使えません。研究の範囲を知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。

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研究で分かっていること

2025年のメタ解析は、L-テアニンが主観的な睡眠の評価を小さいながらも有意に改善したと報告していますが、L-テアニン単独の研究が少ない点を課題に挙げています。

試験・レビュー対象結果
系統的レビューとメタ解析、Sleep Medicine Reviews 2025(PubMed 40056718)L-テアニンと睡眠に関する無作為化比較試験19報(897人)、うち18報を統合。年齢や健康状態を問わない主観的な寝つきまでの時間、日中の調子、睡眠の質の総合点が有意に改善。効果の大きさ(標準化平均差)は0.15〜0.43。L-テアニン単独の研究が少なく、さらなる研究が必要
無作為化二重盲検クロスオーバー試験、Nutrients 2019(PubMed 31623400)大きな精神疾患のない成人30人(平均48歳)。L-テアニン1日200mgの錠剤またはプラセボを4週間気分・不安傾向・睡眠の質(PSQI)の自己評価の点数がプラセボより良好。言葉の流暢さなどの認知機能の点数も向上

研究の限界として、次の点に注意が必要です。

  • 組み合わせの試験:メタ解析に含まれた研究の多くは、L-テアニンを他の成分と組み合わせており、L-テアニン単独の効果を切り分けにくい
  • 主観的な評価:改善が報告されたのは、アンケートによる睡眠の評価
  • 資金と原料の提供:2019年の試験では、試験に使う錠剤を原料メーカーが提供し、同じメーカーの社員2人が著者に入っている
  • 対象者の規模:2019年の試験は30人と小規模

2025年のメタ解析は、適切な量と期間を決めるための研究も必要だとしています。商品の表示では、研究の条件と限界を踏まえることが大切です。

(2026年10月11日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

L-テアニンは、機能性表示食品で「起床時の疲労感や眠気を軽減する」「一過性の作業にともなうストレスをやわらげる」という趣旨の表示に使われている成分です。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

初期の届出の例では、L-テアニン1日200mgを関与成分の量とし、研究レビューで2報の論文を評価しています。2報はいずれも健康な日本人の試験で、原料メーカーと国立研究機関の共同研究でした。アンケートの疲労回復感や眠気との関連が報告された一方、睡眠時間は延びていません。

2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。

L-テアニンで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:根拠とする研究で使われた1日あたりの量と合わせる
  • 分析の方法:製品中のL-テアニンの量を測る方法と、その結果を保証する体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ない健康食品は、睡眠やストレスへの効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定L-テアニンサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「ぐっすり眠れる」「ストレスを解消する」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日分にL-テアニン200mg配合」(量の事実)「睡眠に効く」「不眠を改善」
「カフェインを含まない」「緑茶由来の原料」(原料の事実)睡眠や心の病名、症状名を挙げた表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「臨床で実証済み」など、研究の条件と限界を示さない表現

L-テアニンの製剤設計

L-テアニンは水に溶けやすく、1日200mg前後の量で使われるため、錠剤・カプセル・飲料・顆粒のいずれにも使えます。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤小さく飲みやすく、量を正確にそろえやすい1日の粒の数
ハードカプセル味がなく、他の成分と組み合わせやすい配合する成分の量と粒の大きさ
飲料・お茶日本の売り場でなじみのある形味と、他の成分と合わせたときの安定性
顆粒スティック夜の習慣として訴求しやすい溶けやすさと味

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来:原料メーカーに、製法と純度、L-テアニンの含有量の分析方法を確認します。
  2. 1日あたりの量:機能性表示食品にするなら、根拠とする研究の量に合わせます。届出の例や2019年の試験では、1日200mgが使われています。
  3. 組み合わせる成分:リラックスや睡眠をテーマにした配合では、GABAやグリシン、植物素材を組み合わせることがあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  4. 包装:吸湿しやすい配合では、アルミ包装やボトルの乾燥剤を検討します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

L-テアニンは緑茶に含まれる成分ですが、リラックスや睡眠をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせることが多い成分は、GABAサプリのOEMとグリシンサプリのOEMの記事で解説しています。

見積もりの前に決めておくこと

原料の由来、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • L-テアニンの原料の由来と規格
  • 1日あたりの量と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、飲料や顆粒の場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

L-テアニンの睡眠への効果は、研究で確かめられていますか?

2025年のメタ解析では、主観的な睡眠の評価で小さいながらも有意な改善が報告されています。一方で、L-テアニン単独の研究は少なく、さらなる研究が必要とされています。

どのくらいの量が使われていますか?

機能性表示食品の届出の例や、2019年の無作為化試験では、1日200mgが使われています。届け出る場合は、根拠とする研究の量に製品の量を合わせます。

機能性表示食品にしない場合、睡眠について書けますか?

いわゆる健康食品では、「ぐっすり眠れる」のような身体への効果をうたう表現は避ける必要があります。「夜のくつろぎの時間に」のような使用場面の表現でも、全体として効果をうたう表示になっていないかを確認してください。

L-テアニンの研究に、企業はかかわっていますか?

かかわっている研究もあります。2019年の試験では原料メーカーが錠剤を提供し、社員が著者に入っています。届出の例で評価された論文も、原料メーカーと研究機関の共同研究でした。

工場に製造を断られることはありますか?

L-テアニン自体ではなく、組み合わせた植物素材が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。

参考

  • “The effects of L-theanine consumption on sleep outcomes: A systematic review and meta-analysis”, Sleep Medicine Reviews 2025, PubMed 40056718
  • “Effects of L-Theanine Administration on Stress-Related Symptoms and Cognitive Functions in Healthy Adults: A Randomized Controlled Trial”, Nutrients 2019, PubMed 31623400, PMC6836118
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月11日確認)