アシュワガンダ(学名 Withania somnifera)は、インドの伝統医学アーユルヴェーダで使われてきたナス科の植物です。米国などでは、ストレスや睡眠をテーマにしたサプリの素材として広く売られ、日本でも名前を見聞きする機会が増えました。

結論から言うと、アシュワガンダは日本では食品に使えません。根だけを使った原料でも同じです。本記事では、厚生労働省の最新のリストで確認した日本での扱い、2012年の改正の経緯、海外との違いを整理します。あわせて、リラックスや睡眠をテーマにした商品で代わりに検討できる、日本で食品に使える素材も紹介します。

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結論:日本での扱い

アシュワガンダは、厚生労働省の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(別添1)に全草で載っています。根・葉・抽出物のどれも食品として製造・販売できません。

2026年8月5日更新の別添1では、「植物由来物等」の区分に次のように掲載されています。

成分・部位リスト食品に使えるか
ウィザニア・ソムニフェラ(Withania somnifera (L.) Dunal、他名 ウィザニア/アシュワガンダ)全草別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」使えない
同上(根・根の抽出物)全草に含まれるため別添1使えない

部位等の欄は「全草」です。根、葉、茎などの部位を問わず、別添1の成分として扱われます。2026年8月5日更新の別添2(非医薬品のリスト)には、アシュワガンダの記載はありません。

別添1の成分を配合した製品は、効能効果・形状・用法用量にかかわらず、原則として医薬品と判断されます。2025年10月には東京都が、アシュワガンダを原材料に含む茶葉の輸入品を、医薬品成分を含む製品として公表しました。東京都は、全草が別添1に記載されていること、国内でアシュワガンダを含む医薬品の承認実績がないことを説明しています。

海外での扱いとの違い

米国ではアシュワガンダを含むダイエタリーサプリメントが販売されていますが、デンマークのように食品への使用を認めていない国もあり、扱いは国によって大きく違います。

国・地域扱い出典
日本全草が専ら医薬品として使用される成分。食品に使えない厚生労働省 別添1(2026年8月5日更新)
米国アシュワガンダを含むダイエタリーサプリメントが販売されている。短期(3か月まで)の使用は安全な可能性があるとされる一方、まれな肝障害の報告がある米国国立衛生研究所 NCCIH、Liver International 2020
デンマークアシュワガンダを含む製品を食品として販売することは違法デンマーク獣医食品庁

デンマーク獣医食品庁は、デンマーク工科大学のリスク評価を根拠に挙げています。評価では、男女の性ホルモンや生殖への悪影響が指摘されました。米国のNCCIHも、妊娠中・授乳中は避けること、肝臓や甲状腺の状態によっては注意が必要なことを挙げています。

肝障害については、アイスランドと米国の5例をまとめた2020年の症例報告があります。同じ報告は、米国と欧州でアシュワガンダ入りのサプリが売られていると述べています(Liver International 2020、PMID 31991029)。5例とも黄疸などが出ましたが、追跡できた4例は1〜5か月で検査値が正常に戻りました。症例報告のため、どのくらいの頻度で起こるかは分かっていません。

なぜ日本ではこの扱いなのか

厚生労働省は2012年の改正で、アシュワガンダを非医薬品のリストから専ら医薬品のリストへ移しました。毒性の強い成分ウィザフェリンAが、根を含む植物全体に含まれることが理由です。

改正は、平成24年(2012年)1月23日の厚生労働省医薬食品局長通知(薬食発0123第3号)で行われました。通知には、ウィザニア(全草)を専ら医薬品のリストに追加したことと、根はそれまで非医薬品のリストに例示されていたことが書かれています。すでに出回っていた製品には、平成25年(2013年)1月22日まで猶予期間が設けられました。

改正に先立つ意見募集では、根は食経験が長く、ウィザフェリンAの含有量も葉より少ないという意見が寄せられました。厚生労働省はこれに対し、毒性の評価は特定の成分の含有量ではなく毒性の強さで行うと回答しています。そのうえで、ウィザフェリンAは根や葉だけでなく他の部位にも含まれるとして、全草を専ら医薬品の成分と判断しました。

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代わりに検討できる食品素材

リラックスや睡眠をテーマにした商品では、GABA、L-テアニン、グリシン、オルニチンなど、日本で食品に使え、機能性表示食品でも使われている素材を検討できます。

どの素材も、アシュワガンダと同じ働きをするものではありません。研究の量や質も素材ごとに違うため、「アシュワガンダの代わりになる」といった訴求は避けます。

素材研究されてきた内容研究の現状
GABA一時的なストレス、睡眠の質海外の系統的レビューでは、ストレスは限定的、睡眠はごく限定的
L-テアニン一時的なストレス、睡眠の質主観的な睡眠の評価で小さな効果。単独成分の研究はまだ少ない
グリシン睡眠の質、起床時の爽快感就寝前3gの小規模な日本の試験が中心
オルニチン睡眠の質、一時的な疲労感日本の小規模な試験が中心で、根拠は限定的

ストレスをテーマにする場合は、機能性表示食品で「一時的なストレス」に関する表示に使われてきたGABAやL-テアニンが候補になります。機能性表示食品は、届出者が自らの責任で科学的根拠と安全性を示して届け出る制度で、国の審査や許可ではありません。

いわゆる健康食品として売る場合は、「ストレスをなくす」「よく眠れる」など身体への効果をうたうと、医薬品的な効能効果とみなされるおそれがあります。植物素材を組み合わせるときは、その素材が食品に使えるかも一つずつ確認します。

見積もり・相談の前に決めておくこと

商品のテーマと、参考にしている海外商品の全成分が分かれば、食品に使えるかの確認と見積もりを同時に進められます。

  • 商品のテーマ(リラックス、休息、睡眠の時間など)と、売り場で伝えたいこと
  • 参考にしている海外商品の全成分(アシュワガンダ以外のハーブも含めて)
  • 機能性表示食品として届け出るか、いわゆる健康食品として売るか
  • 剤形(錠剤、カプセル、粉末スティック、お茶、グミなど)
  • 1日あたりの摂取の目安と、1袋あたりの日数
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

海外のストレス・睡眠系の商品は、複数のハーブを組み合わせていることがよくあります。成分表を早めに共有いただくと、日本で使えない素材をまとめて確認できます。

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よくある質問(FAQ)

根だけを使った原料なら、食品として作れますか?

作れません。2026年8月5日更新の別添1では、アシュワガンダは部位を「全草」として掲載しています。根は2012年の改正までは非医薬品のリストにありましたが、改正で専ら医薬品のリストへ移されました。

ウィザフェリンAが少ない規格の抽出物や、少量の配合なら作れますか?

作れません。厚生労働省は2012年の意見募集への回答で、毒性の評価は特定の成分の含有量ではなく毒性の強さで行うとしています。別添1の成分は、量にかかわらず原則として医薬品と判断されます。

海外で売られているアシュワガンダ入りの商品を輸入すれば、日本で売れますか?

売れません。医薬品の成分を含むいわゆる健康食品は医薬品とみなされ、承認を受けずに販売することは薬機法で禁止されています。2025年には、アシュワガンダを含む輸入品の茶葉が東京都の調査で見つかり、公表されました。

お茶やハーブティーのような食品らしい形なら、扱いは変わりますか?

変わりません。別添1の成分は、形状にかかわらず原則として医薬品と判断されます。東京都が2025年に公表した事例も、茶葉の形状の製品でした。

GABAやL-テアニンは、アシュワガンダと同じ効果がありますか?

同じではありません。働き方も研究の量も素材ごとに違い、研究の多くは小規模です。商品の表示や広告では、アシュワガンダの代わりになるような表現を避け、素材ごとの研究の範囲で言葉を選ぶことが大切です。

参考

(2026年10月18日確認)