オルニチンは、しじみ(ヤマトシジミ)のエキスにも含まれるアミノ酸です。たんぱく質の材料にはならず、遊離アミノ酸として存在します。日本の店頭では、睡眠の質や疲労感に関する機能性表示食品として販売されている商品もあります。

本記事は、オルニチンサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた成分ガイドです。研究で分かっていること、届け出る場合と届け出ない場合の表示の違い、剤形と配合の決め方を整理します。オルニチンは名前の認知度が高い一方で、ヒトでの研究は日本で行われた小規模な試験が中心です。研究の範囲を知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。

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研究で分かっていること

日本で行われた2つの小規模な無作為化比較試験が、睡眠の質や疲労感に関する結果を報告していますが、根拠はまだ限定的です。

試験対象結果
無作為化二重盲検プラセボ対照試験、Nutrition Journal 2014(PubMed 24889392、PMC4055948)軽いストレスと疲れを感じていた健康な日本人の成人52人。L-オルニチンとして1日400mgまたはプラセボを8週間プラセボと比べ、血清コルチゾールとコルチゾール/DHEA-S比が有意に低下。怒りの気分が減り、自覚的な睡眠の質が改善したと報告
無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験、Nutrition Research 2008(PubMed 19083482)健康な成人17人。L-オルニチン塩酸塩で1日2,000mgを7日間、8日目に6,000mg。自転車こぎ2時間の負荷回復後の自覚的な疲労感が、負荷の直後より有意に低下。プラセボとの差が有意だったのは女性だけ

研究の範囲として、次の点を押さえておく必要があります。

  • 人数:52人と17人の試験で、より大規模な試験での確認はまだ十分ではありません。
  • 測り方:睡眠の質や疲労感の多くは、アンケートや視覚的なスケールによる自己評価です。この分野では一般的な方法ですが、客観的な指標より柔らかい根拠です。
  • プラセボとの差:2008年の試験で、全体の疲労感の低下は負荷の直後との比較です。プラセボとの有意な差は、女性のグループに限られていました。
  • 資金提供:2014年の試験は、原料メーカーとそのグループ企業の研究者が行い、両社が資金を提供したと論文に記載されています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録と、2014年の試験の本文を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

オルニチンは、睡眠の質や一時的な疲労感に関する表示で、機能性表示食品として届け出られています。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁に届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

届出の例として、L-オルニチン塩酸塩が睡眠の質の向上をサポートする、という趣旨の届出表示があります。睡眠の質は、寝つきの良さ、眠りの深さ、長く眠れた感覚による目覚めの良さとして示されています。この届出は、上の2014年の試験を根拠の一つとして紹介しています。ほかに、一時的な疲労感の軽減に関する表示をした届出もあります。

2024年の制度改正で、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。

オルニチンで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究レビュー(研究レビュー)を使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:根拠とする研究の1日あたりの量に合わせる。睡眠の研究と疲労感の研究では、量が大きく違う
  • 分析の方法:製品中のオルニチンの量を測る方法と、その結果を保証する体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ないオルニチンサプリは、睡眠や疲れへの効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定オルニチンサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「疲れが取れる」「ぐっすり眠れる」「肝臓に良い」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「しじみ〇〇個分の効果」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日分にL-オルニチン400mg」(量の事実)「疲労回復」「不眠に」
「毎日の夜の習慣に」(使用場面)お酒の後の体調や、特定の臓器への効果を連想させる表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「臨床で実証済み」など、研究の人数と限界を示さない表現

オルニチンの製剤設計

オルニチンは水に溶けやすいアミノ酸で、研究の量は1日数百mgから数gまで幅があり、選ぶ量によって剤形が決まります。

剤形選ばれる理由検討すること
ハードカプセル味がなく、数百mgの量なら少ない粒数で済む量が多いと粒の数が増える
錠剤持ち運びやすく、1回あたりの費用を抑えやすい量が多いと粒が大きく、数も増える
顆粒スティック・粉末グラム単位の量も1回で摂れる遊離アミノ酸の苦味と、味の調整
飲料・スープ日常の食事に取り入れやすい加熱と賞味期間中の安定性、食品としての表示

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の形:原料にはL-オルニチン塩酸塩があり、上の2つの試験も塩酸塩を使っています。表示の量が「L-オルニチンとして」か「塩酸塩として」かをそろえます。
  2. 1日あたりの量:睡眠の試験は1日400mg、運動後の疲労感の試験は1日2,000〜6,000mgでした。研究や届出を紹介する場合は、その量に合わせます。
  3. 組み合わせる成分:睡眠やリラックスをテーマにした配合では、GABA、テアニン、グリシン、乳酸菌などと組み合わせることがあります。どの成分も、食品に使えるかの確認が欠かせません。
  4. 包装:アミノ酸の配合は湿気を吸いやすいことがあり、アルミ包装やボトルの乾燥剤を検討します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

オルニチン自体は食品に広く使われていますが、睡眠や疲れをテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせる成分では、GABAサプリのOEM、テアニンサプリのOEM、グリシンサプリのOEMの記事も参考になります。疲労感をテーマにした成分では、イミダゾールジペプチドサプリのOEMも参考になります。

見積もりの前に決めておくこと

1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • オルニチンの形(L-オルニチン塩酸塩など)と、1日あたりの量
  • 1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と、スティックや飲料の場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

オルニチンの睡眠への研究はありますか?

2014年に日本で行われた52人の試験で、1日400mgを8週間摂ったグループは、プラセボと比べて自覚的な睡眠の質が高まったと報告されています。1件の小規模な試験で、原料メーカーが資金を提供した研究である点も踏まえて説明します。

オルニチンで疲れが取れると書けますか?

いわゆる健康食品では、疲れへの効果をうたう表現は避ける必要があります。一時的な疲労感に関する表示をしたい場合は、機能性表示食品として根拠を届け出る方法があります。

研究ではどれくらいの量が使われていますか?

睡眠の試験はL-オルニチンとして1日400mg、運動後の疲労感の試験は1日2,000〜6,000mgと、大きく違います。紹介する研究や届出に合わせて、1日あたりの量を決めます。

オルニチンに向いている剤形は何ですか?

数百mgならハードカプセルや錠剤、グラム単位なら顆粒スティックや粉末が現実的です。水に溶けやすいため、飲料にも使えます。

工場に製造を断られることはありますか?

オルニチン自体ではなく、組み合わせた植物素材が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。

参考

  • “Randomised controlled trial of the effects of L-ornithine on stress markers and sleep quality in healthy workers”, Nutrition Journal 2014, PubMed 24889392, PMC4055948
  • “L-ornithine supplementation attenuates physical fatigue in healthy volunteers by modulating lipid and amino acid metabolism”, Nutrition Research 2008, PubMed 19083482
  • “Influence of low-temperature processing of the brackish-water bivalve, Corbicula japonica, on the ornithine content of its extract”, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 2004, PubMed 15215585, doi 10.1271/bbb.68.1228
  • 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)