冬虫夏草(コルディセプス)は、スポーツやアクティブな毎日をテーマにしたサプリで人気のある素材です。海外では「コルディセプス」の名前で、きのこの粉末を組み合わせた商品も販売されています。

本記事は、冬虫夏草サプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた内容です。研究で分かっていること、種と部位ごとの日本での扱い、表示の注意点、原料と剤形の決め方を整理します。「冬虫夏草」という名前は複数の種と製法をまとめて指すため、原料の中身を最初に確かめることが品質と表示の両方を左右します。

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研究で分かっていること

冬虫夏草のヒト試験は20〜30人ほどの小規模なものが中心で、運動の指標が高まったという報告と、変化がなかったという報告に分かれています。

試験対象結果
ランダム化二重盲検試験、Journal of Dietary Supplements 2017(PMID 27408987)平均22.7歳の28人。サナギタケ(Cordyceps militaris)を含むきのこ混合品を1日4gまたはプラセボ。うち10人が3週間まで継続1週間では最大酸素摂取量などに有意な差はなかった。3週間後、混合品の群で最大酸素摂取量が有意に増え、疲労困憊までの時間も延びた
二重盲検試験、Journal of Alternative and Complementary Medicine 2010(PMID 20804368)50〜75歳の健康な20人。発酵菌糸体の規格品Cs-4を333mg、1日3回、12週間乳酸がたまり始める強さ(代謝閾値)が10.5%、換気閾値が8.5%上がった。最大酸素摂取量はどちらの群も変わらなかった
ランダム化比較試験、International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism 2004(PMID 15118196)持久系の訓練を積んだ男性の自転車選手22人。Cs-4の錠剤を1日3g、5週間最大酸素摂取量、換気閾値、タイムトライアルの記録のいずれも、プラセボと差がなかった

いずれの試験も参加者は30人に満たず、2017年の試験で3週間続けたのは10人だけでした。2017年の試験はサナギタケを含む6種類のきのこの混合品を使っており、冬虫夏草だけの働きとは言えません。

2010年の論文によると、Cs-4は天然の冬虫夏草から分離された別の菌(Paecilomyces hepiali)を発酵させた原料です。2004年の試験も同じ規格名の原料を使っていますが、高齢の方で一部の指標が上がった一方、訓練を積んだ選手では差がありませんでした。

資金面では、2017年の試験は食品企業と米国の公的研究費の支援を受けています。2010年の試験は一部が公的研究費でまかなわれ、試験品は企業から提供されました。

(2026年10月18日時点で、各論文の公開抄録を確認)

日本での扱い

冬虫夏草の2つの種は、厚生労働省の食薬区分で「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない」リストに載っていますが、載っている部位は限られています。

厚生労働省の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新)には、次の2種が載っています。「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」には、どちらの種も載っていません。

種(学名)食薬区分のリストリストに書かれた部位
オフィオコルジケプス・シネンシス(Ophiocordyceps sinensis)、他名トウチュウカソウ/ホクチュウソウ医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しないリスト子実体及びその寄主であるセミ類やコウモリガ科の幼虫を乾燥したもの
サナギタケ(Cordyceps militaris)、他名トウチュウカソウ/ホクチュウソウ同上同上
培養した菌糸体、別の菌(Paecilomyces hepiali など)の発酵物どちらのリストにも名前の記載なし原料メーカーの資料で種と製法を確認し、必要に応じて都道府県の薬務担当に相談

リストに書かれた部位は「子実体」と「寄主の幼虫を乾燥したもの」です。市場の原料には、穀物などで培養した菌糸体や発酵物もあります。リストに名前のない原料は、配合する前に種と製法の資料をそろえて、扱いを確かめることが大切です。

きのこの素材では、部位によって扱いが分かれる例もあります。たとえばカワラタケ(Trametes versicolor)は、子実体と菌糸体で載っているリストが違います。子実体は医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しないリスト、菌糸体は専ら医薬品のリストです。海外のきのこ混合品をまねる場合は、組み合わせるきのこの部位も一つずつ確認します。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

冬虫夏草サプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定冬虫夏草サプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「疲れが取れる」「滋養強壮」「体力が回復する」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「天然100%」「アスリート愛用No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日3粒にサナギタケ子実体粉末〇mg」(種・部位・量の事実)「スタミナが続く」「疲労回復」
「トレーニングを続ける方の毎日に」(使用場面)病名や症状名を挙げた表現
原料の種と製法の正確な説明別の種や混合品の試験結果を、自社製品の効果のように見せる表現

冬虫夏草の製剤設計

冬虫夏草のヒト試験では1日1〜4gの粉末が使われており、グラム単位の量をどの剤形に収めるかが設計の出発点になります。

剤形選ばれる理由検討すること
ハードカプセル味やにおいがなく、粉のまま詰められる1日の量に合わせた粒数
錠剤1粒に多く入れやすく、費用を抑えやすい打錠に必要な賦形剤と粒の大きさ
粉末スティックグラム単位の量を1包にまとめられるきのこ特有の風味と、湿気を防ぐ包装

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の由来:種(学名)、部位(子実体・菌糸体・発酵物)、培養に使った培地を、原料メーカーの規格書で確認します。同じ「冬虫夏草」でも、種と部位で日本での扱いと研究の根拠が変わります。
  2. 1日あたりの量:参考にする試験の量と原料をそろえます。試験では、きのこ混合品が1日4g、Cs-4が1日約1gと3gでした。
  3. 組み合わせる成分:運動をテーマにした配合では、ほかのきのこやアミノ酸を組み合わせることがよくあります。きのこは部位ごとに、食品に使えるかの確認が欠かせません。
  4. 包装・安定性:粉末は湿気を吸いやすいため、アルミ包装や乾燥剤入りのボトルを検討します。目標の賞味期限での安定性も工場と確認します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

冬虫夏草では、種と部位がリストの記載と合っているかが最初の確認点です。運動をテーマにした配合で組み合わせる素材は、クレアチンサプリのOEMやシトルリンサプリのOEMもご覧ください。食品と医薬品の境目は食薬区分の解説、配合の確認はサプリメントOEMのページで詳しく説明しています。

見積もりの前に決めておくこと

原料の種と部位、1日あたりの量、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 冬虫夏草の種(学名)と部位、原料の製法
  • 1日あたりの量と、1袋(1本)あたりの日数
  • 剤形と1日の粒数
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

原料の規格書が手元にあれば、相談の最初にお送りいただくと確認が早く進みます。

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よくある質問(FAQ)

冬虫夏草の運動への効果は、研究で確かめられていますか?

確かな結論はまだありません。若い成人や高齢の方の小規模な試験では一部の指標が高まりましたが、訓練を積んだ自転車選手の試験では差がありませんでした。どの試験も参加者は30人に満たない規模です。

サナギタケと、オフィオコルジケプス・シネンシスは同じものですか?

別の種です。どちらも厚生労働省のリストで「トウチュウカソウ」の他名が付いていますが、研究も別々に行われています。原料の規格書で学名を確認し、参考にする試験と種をそろえることが大切です。

培養した菌糸体の原料は、日本で使えますか?

厚生労働省のリストに書かれている部位は、子実体と、寄主の幼虫を乾燥したものです。菌糸体や発酵物はリストに名前がないため、原料メーカーの資料をそろえ、必要に応じて都道府県の薬務担当に相談してから配合を決めます。

海外のきのこ混合サプリと同じ配合で作れますか?

組み合わせるきのこごとに、部位を含めた確認が必要です。カワラタケのように、子実体と菌糸体で扱いが分かれる素材もあります。配合表を拝見したうえで、食品に使えるものだけで組み立て直すこともできます。

1日あたりの量はどのくらいにすればよいですか?

ヒト試験では、原料によって1日約1gから4gが使われていました。いちばん多い量を選ぶのではなく、参考にする試験の原料と量に合わせて決めます。

参考

  • “Cordyceps militaris Improves Tolerance to High-Intensity Exercise After Acute and Chronic Supplementation”, Journal of Dietary Supplements 2017, PMID 27408987, PMC5236007
  • “Effect of Cs-4 (Cordyceps sinensis) on exercise performance in healthy older subjects: a double-blind, placebo-controlled trial”, Journal of Alternative and Complementary Medicine 2010, PMID 20804368, PMC3110835
  • “Cordyceps Sinensis (CordyMax Cs-4) supplementation does not improve endurance exercise performance”, International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism 2004, PMID 15118196
  • 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
  • 厚生労働省「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734637.pdf
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月18日確認)