シトルリンは、スイカに多く含まれることで知られるアミノ酸です。海外では運動のパフォーマンスを目的としたスポーツサプリによく使われ、日本では機能性表示食品の関与成分としても使われています。

本記事は、シトルリンサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた成分ガイドです。研究で分かっていること、届け出る場合と届け出ない場合の表示の違い、剤形と配合の決め方を整理します。シトルリンの運動の研究は数が増えてきた一方で、効果は小さく、結果も分かれています。日本の機能性表示食品の届出も、運動とは別のテーマが中心です。その差を知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。

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研究で分かっていること

2026年のメタ解析は運動のパフォーマンスに小さな向上を示しましたが、根拠の確実性は低く、以前のメタ解析とも結果が分かれています。

試験・レビュー対象結果
系統的レビューと3水準メタ解析、Nutrients 2026(PubMed 42356270、PMC13304508)シトルリンリンゴ酸塩の無作為化比較試験30件(644人)。運動のパフォーマンスと主観的なきつさ運動のパフォーマンスに小さな向上(効果量0.16)。主観的なきつさには有意な差なし。根拠の確実性は「低い〜非常に低い」
系統的レビューとメタ解析、Nutrients 2022(PubMed 36079738、PMC9460004)シトルリンとプラセボを比べた10件の試験。持久系の運動のパフォーマンス、酸素摂取、主観的なきつさ、乳酸どの項目にも有意な効果は見られなかった
系統的レビューとメタ解析、Journal of Sport and Health Science 2020(PubMed 33308806、PMC7749242)健康な人を対象にした13件の試験(206人)。運動前2時間以内の摂取。最も多い量はシトルリンリンゴ酸塩8g運動後の主観的なきつさと、24時間後の筋肉痛が有意に低下。48時間・72時間後の筋肉痛と、血中乳酸には有意な差なし

研究の範囲として、次の点を押さえておく必要があります。

  • 結果の食い違い:2022年のメタ解析は持久系の運動に効果なし、2026年のメタ解析は小さな向上としました。どちらも、小規模でばらつきの大きい研究を集めた結果です。
  • 確実性の低さ:2026年のメタ解析は、量、摂るタイミング、どんな人に向くかは、まだ確立していないと述べています。
  • 筋肉痛の時間:2020年のメタ解析で差が出た筋肉痛は24時間後で、48時間後以降には差がありませんでした。
  • 原料の形:運動の研究の多くは、シトルリンにリンゴ酸を組み合わせたシトルリンリンゴ酸塩を使っています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

日本では、シトルリンは機能性表示食品の関与成分として届け出られた例があり、その届出表示は運動ではなく、冷えたときの手の体温に関するものです。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁に届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

届出の例として、L-シトルリンを1日800mg配合し、冷えたときの手(手の甲や手首)の体温を維持する機能がある、という趣旨の届出表示があります。海外の運動の研究とは、量もテーマも違います。運動向けの商品で機能性表示食品を目指す場合は、運動に関する根拠を別に用意する必要があります。

2024年の制度改正で、サプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。

シトルリンで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究レビュー(研究レビュー)を使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の形と量:L-シトルリンか、シトルリンリンゴ酸塩か。根拠とする研究の1日あたりの量に合わせる
  • 分析の方法:製品中のシトルリンの量を測る方法と、その結果を保証する体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ないシトルリンサプリは、運動能力や血流への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定シトルリンサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「血流を良くする」「血圧を下げる」「パフォーマンスが上がる」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「トップ選手が愛用」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1本にシトルリンリンゴ酸塩〇g」(量と形の事実)「血流アップ」「血管を広げる」
「スイカにも含まれるアミノ酸」(原料の説明)男性機能など、特定の体の働きへの効果を連想させる表現
「トレーニング前の習慣に」(使用場面)「疲れ知らず」「筋肉痛が出ない」など、研究の範囲を超える表現

シトルリンの製剤設計

運動の研究で使われる量はグラム単位のため、運動向けは粉末や顆粒スティック、少ない量の日常向けはカプセルや錠剤が選ばれます。

剤形選ばれる理由検討すること
粉末・顆粒スティック数グラムを1回で摂れる。トレーニング前に飲む形として定番シトルリンリンゴ酸塩は酸味が強く、味の調整が必要
ハードカプセル味がなく、数百mgの量なら少ない粒数で済むグラム単位では粒の数が多くなる
錠剤持ち運びやすく、他の成分と組み合わせやすい量が多いと粒が大きくなる
アミノ酸を組み合わせた粉末BCAAやアルギニンなどと一緒に摂れる組み合わせるすべての成分の確認

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. L-シトルリンかシトルリンリンゴ酸塩か:運動の研究の多くはシトルリンリンゴ酸塩を使っています。リンゴ酸の分だけ重さが増え、酸味も出ます。L-シトルリンは同じ重さでシトルリンを多く含みます。
  2. 1回あたりの量:2020年のメタ解析で最も多かった量は、シトルリンリンゴ酸塩8gです。研究を紹介する場合は、その研究の量と形にそろえます。
  3. 味と溶けやすさ:シトルリンは水に溶けやすく、粉末や飲料に向いています。酸味や苦味は、香料と甘味料で調整し、試作で確かめます。
  4. 組み合わせる成分:アルギニン、BCAA、クレアチンなどと組み合わせることがあります。どの成分も、食品に使えるかの確認が欠かせません。

スティック包装は粉末スティックの製造、カプセルの選び方はハードカプセルの皮膜の記事も参考になります。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

シトルリンを使った商品では、組み合わせる植物素材や刺激性の成分が問題になることがあります。海外のトレーニング前の配合をそのまま持ち込むと、日本では食品に使えない成分が含まれていることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。関連する成分では、BCAA・EAAサプリのOEMとクレアチンサプリのOEMの記事も参考になります。

見積もりの前に決めておくこと

原料の形、1回の量、剤形、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • L-シトルリンかシトルリンリンゴ酸塩か。リンゴ酸塩の場合はその比率
  • 1回あたりの量と、1袋(1箱)あたりの回数
  • 剤形と、粉末やスティックの場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 運動向けか日常の健康づくり向けか。機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

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よくある質問(FAQ)

シトルリンは運動のパフォーマンスに役立つと言えますか?

30件の試験をまとめた2026年のメタ解析は小さな向上を示しましたが、根拠の確実性は低いとしています。2022年のメタ解析は、持久系の運動に効果はないとしました。研究されてきた成分として、限界も含めて説明するのが誠実です。

筋肉痛への研究はありますか?

2020年のメタ解析では、運動後24時間の筋肉痛が有意に低下しました。ただし、48時間後以降は差がありませんでした。商品の説明では、研究の範囲を超える言い方を避けてください。

L-シトルリンとシトルリンリンゴ酸塩は、どちらを選べばよいですか?

運動の研究の多くはシトルリンリンゴ酸塩を使っています。一方、日本の機能性表示食品の届出例はL-シトルリンです。どの研究や届出を根拠にするかで、形を選びます。

シトルリンの機能性表示食品は、運動について表示できますか?

届出例の表示は冷えたときの手の体温に関するもので、運動の表示ではありません。運動について表示するには、運動に関する科学的根拠を別に用意して届け出る必要があります。

工場に製造を断られることはありますか?

シトルリン自体ではなく、組み合わせた植物素材や刺激性の成分が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。

参考

  • “Effects of Citrulline Malate Supplementation on Exercise Performance: A Systematic Review and Three-Level Meta-Analysis”, Nutrients 2026, PubMed 42356270, PMC13304508
  • “Effects of Citrulline Supplementation on Different Aerobic Exercise Performance Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis”, Nutrients 2022, PubMed 36079738, PMC9460004
  • “Effect of citrulline on post-exercise rating of perceived exertion, muscle soreness, and blood lactate levels: A systematic review and meta-analysis”, Journal of Sport and Health Science 2020, PubMed 33308806, PMC7749242
  • 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)