ハードカプセルは、粉末を2つの殻に詰めるだけの単純な剤形に見えます。ところが、殻の素材をゼラチンにするか、植物由来のHPMCやプルランにするかで、湿気に弱い中身の守りやすさや、パッケージの表示が変わります。

本記事は、日本国内で自社ブランドのサプリを販売したい事業者の方に向けた内容です。ハードカプセルの素材ごとの違い、湿気に弱い中身との相性、ゼラチンのアレルゲン表示、添加物の表示の仕方を整理します。素材は中身の性質と売り方から逆算して選ぶと、試作のやり直しを減らせます。

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ゼラチン・HPMC・プルランの違い

ハードカプセルの主な素材は、動物由来のゼラチン、植物の繊維から作るHPMC、多糖類のプルランの3つで、食品表示上の扱いがそれぞれ異なります。

素材由来食品表示上の扱い選ばれる理由
ゼラチン牛・豚・魚食品として流通。消費者庁の一覧では、添加物として使われる一般飲食物にも挙がる従来から広く使われてきた素材
HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)植物の繊維(セルロース)指定添加物動物由来を避けたい商品、湿気に弱い中身
プルラン多糖類既存添加物(増粘安定剤・製造用剤)動物由来を避けたい商品、湿気に弱い中身

日本で食品に使える添加物は、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物に限られます。HPMCは指定添加物、プルランは既存添加物として、どちらも食品に使えます。

現在の規格基準の使用基準の項には、HPMCとプルランについての個別の定めはありません。規格基準は改正が続くため、最新の扱いは製造前に工場と確認してください。

湿気に弱い中身とカプセルの相性

湿気を吸いやすい粉末を詰めるときは、殻そのものの吸湿のしやすさも、品質を保つ期間に影響します。

2020年に発表された比較試験では、ゼラチン・HPMC・プルランの3種類のハードカプセルについて、湿気の吸いやすさを調べています。

項目ゼラチンHPMCプルラン
湿気の吸いやすさ3つの中で最も吸いやすい3つの中で最も吸いにくいゼラチンより吸いにくい
吸った湿気の保ちやすさ保ちやすい3つの中で最も保ちにくいゼラチンと同程度
吸湿しやすい中身を外の湿気から守る力3つの中で最も弱いゼラチンより強いゼラチンより強い

試験は実験室で行われたもので、詰めた中身もサプリの原料ではなく、吸湿性の異なる試験用の粉末です。実際の製品では、中身の配合と包装、保管する環境で結果が変わります。

乳酸菌や植物エキスの粉末など、湿気に弱い中身を詰める場合は、殻の素材も安定性の試験の条件に含めてください。乳酸菌の製剤については、乳酸菌サプリのOEMでも説明しています。品質を保つ期間の決め方は、賞味期限と安定性試験の記事が参考になります。

💬 湿気に弱い原料を使う予定の方は試作の前にご相談ください。中身に合うカプセルの素材と包装の組み合わせをご提案します。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。

ゼラチンはアレルゲン表示の推奨品目

ゼラチンは、消費者庁が表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」20品目の一つで、表示の扱いを決めておく必要があります。

消費者庁のアレルギー表示の資料(令和8年4月時点)では、表示の対象を次のように分けています。

区分根拠品目
特定原材料(表示義務)食品表示基準えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生
特定原材料に準ずるもの(表示推奨)消費者庁次長通知アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

2026年4月1日には、カシューナッツが表示義務の対象に加わり、ピスタチオが推奨品目に加わりました。カシューナッツには2年間の経過措置があります。

消費者庁のハンドブックは、ゼラチンについて、牛や豚を主原料とすることが多く、魚から作るものもあると説明しています。ゼラチンのカプセルを選ぶときは、原料の由来を規格書で確認し、表示の書き方を決めます。表示の全体像は、サプリのアレルゲン表示で詳しく整理しています。

原材料名と添加物の表示

HPMCやプルランのカプセルは、添加物として表示します。殻に色を付ける場合は、着色料の表示も必要です。

食品表示基準では、原材料と添加物を分けて表示します。カプセルの素材ごとに、表示で確認することは次のとおりです。

  • ゼラチン:アレルゲンの推奨品目として、表示の扱いを決める
  • HPMC・プルラン:添加物として物質名で表示する
  • 色付きの殻:着色料は「着色料(〇〇)」のように用途名を併記する区分にあたる
  • 二酸化チタン:白く不透明な殻に使われることがある指定添加物。着色の目的以外には使えない

二酸化チタンを使う場合は、簡略名の「酸化チタン」を使って「着色料(酸化チタン)」のように表示できます。素材の表示名は、カプセルの供給元が出す規格書を見て決めます。表示全体の決め方は、サプリの食品表示で説明しています。

「植物性カプセル」と書くときの注意

HPMCやプルランの殻を使っても、中身や他の添加物に動物由来の原料があれば、商品全体を植物性とは言えません。

動物由来の原料を避けたい消費者に向けて、植物由来の殻を選ぶ事業者は少なくありません。ただし、パッケージで「植物性」とうたうなら、次の点をすべて確認します。

  • 中身の原料(魚由来・乳由来などがないか)
  • 滑沢剤やつや出しなど、他の添加物の由来
  • 殻の着色料の由来

確認した内容は、原料ごとの規格書として残しておきます。販売後に問い合わせを受けたとき、根拠を示せるようにするためです。油の中身を包む場合はソフトカプセルの皮膜、胃で溶けにくくしたい場合は腸溶性カプセルのサプリ製造も参考になります。

見積もり・相談の前に決めておくこと

殻の素材、中身の性質、売り方が決まれば、工場は具体的な提案と見積もりを出せます。

  • 殻の素材(ゼラチンの場合は牛・豚・魚の希望)
  • 中身の配合と、湿気に弱い原料の有無
  • カプセルの大きさと色
  • 「植物性」など、パッケージでうたいたい内容
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 包装の形(ボトル、アルミ袋、PTPなど)

ロット・費用・納期は工場ごとに異なります。殻の素材と色、中身の配合が決まると、必要な試作と試験の範囲が決まり、見積もりの前提がそろいます。

💬 ハードカプセルのサプリを企画中の方はSunshoにご相談ください。素材の選び方から表示の確認まで、製造の段取りを一緒に整理します。お問合せフォーム・LINEから。

よくある質問(FAQ)

ゼラチンとHPMCでは、どちらが湿気に強いですか?

2020年の比較試験では、HPMCのカプセルはゼラチンより湿気を吸いにくく、吸湿しやすい中身を外の湿気から守る力も強いという結果でした。実際の製品では、中身の配合と包装で結果が変わるため、安定性の試験で確かめます。

ゼラチンのカプセルには、アレルゲン表示が必要ですか?

ゼラチンは表示が推奨される20品目の一つで、表示義務のある品目ではありません。ただし、食物アレルギーのある方が商品を選ぶ手がかりになるため、表示の扱いを工場と決めておくことをおすすめします。

HPMCのカプセルは、食品に使ってよいのですか?

HPMCは指定添加物で、食品に使えます。現在の規格基準の使用基準の項に、HPMCについての個別の定めはありません。

白いカプセルには、何が使われていますか?

白く不透明な殻には、着色料として二酸化チタンが使われることがあります。二酸化チタンは日本では指定添加物で、使う場合は「着色料(酸化チタン)」のように表示します。

機能性表示食品にする場合、カプセルの素材で気をつけることはありますか?

錠剤・カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMPに基づく製造管理が届出者の義務になり、2026年9月1日に完全施行されています。殻を含むすべての原料について、規格書と管理の記録をそろえられる工場を選ぶことが大切です。

参考

  • 消費者庁「アレルギー表示とは」(令和8年4月時点) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
  • 消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(事業者用)」(令和8年4月)
  • 消費者庁 事務連絡「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日)
  • 消費者庁「食品表示基準について」別添 添加物関係(既存添加物名簿収載品目リスト、一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用される品目リスト、用途名併記を要するものの例示、簡略名一覧) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
  • 消費者庁「食品添加物」(添加物の区分、指定添加物リスト、食品、添加物等の規格基準 第2 添加物) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives
  • 食品衛生法施行規則 別表第1(e-Gov法令検索)
  • “Moisture sorption and desorption properties of gelatin, HPMC and pullulan hard capsules”, International Journal of Biological Macromolecules 2020, PubMed 32439451

(2026年10月12日確認)