ソフトカプセルは、魚油やアスタキサンチンのように油に溶ける原料を、そのまま包める剤形です。外から見ると一つの粒ですが、皮膜そのものがゼラチンと可塑剤と水からなる小さな配合で、中身との組み合わせを誤ると、保管中に硬くなったり溶けにくくなったりします。

本記事は、日本国内で自社ブランドのサプリを販売したい事業者の方に向けた内容です。皮膜の種類、可塑剤の役割、中身との相性と保管中の変化、シームレスカプセル、表示の確認点を整理します。皮膜の仕様は工場任せにせず、中身と売り方に合わせて一緒に決めるのが近道です。

💬 ソフトカプセルのサプリを企画中の方へ。中身と皮膜の組み合わせを確認し、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造をご提案します。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。

ゼラチンの皮膜と植物由来の皮膜

ソフトカプセルの皮膜はゼラチンと可塑剤と水が基本で、動物由来を避けたい商品には、加工デンプンや海藻由来の多糖類の皮膜もあります。

皮膜の種類主な素材選ばれる理由検討すること
ゼラチンの皮膜牛・豚・魚のゼラチン、グリセリンなどの可塑剤油の中身に広く使われ、対応できる工場が多いゼラチンの由来、アレルゲン表示、保管中の変化
植物由来の皮膜加工デンプン、カラギナンなどの多糖類と可塑剤動物由来の原料を避けたい商品対応できる工場と設備、中身との相性、表示

植物由来の皮膜は、ゼラチンの皮膜と同じ条件でそのまま作れるわけではありません。素材の性質がゼラチンとは違うため、ゼラチンで試作した配合を植物由来に切り替えるときは、試作と安定性の確認をやり直す前提で計画します。

カラギナンは既存添加物で、用途は増粘安定剤です。加工デンプンは、ヒドロキシプロピルデンプンなどの品目が指定添加物になっています。どちらも食品に使える添加物で、表示の仕方は次の章以降で説明します。

可塑剤:グリセリンとソルビトール

グリセリンとソルビトールは皮膜をやわらかく保つ役割を持ち、どちらを多くするかで、皮膜の硬さや湿気の影響の受けやすさが変わります。

2024年に発表されたソフトカプセルの皮膜に関するレビューは、可塑剤の性質を次のように整理しています。

可塑剤食品添加物としての区分レビューで示された性質
グリセリン指定添加物可塑化の力が強い。吸湿性があり、グリセリンを使った皮膜は湿気に弱く、酸素を通しやすい
D-ソルビトール指定添加物可塑化の力はグリセリンより弱い。種類によっては、湿度が低いと結晶化することがある

同じレビューは、皮膜の性質を左右する要素として、皮膜の配合、製造と保管の条件(温度・湿度・光)、中身と皮膜の相互作用の3つを挙げています。可塑剤の配合は、工場の皮膜の設計担当が、狙う硬さと保管環境に合わせて決めるのが一般的です。

噛んで食べるタイプや小粒のタイプでは、皮膜の硬さが食感に直結します。食感に希望がある場合は、試作の前に工場へ伝えてください。

💬 魚油や植物油の中身でソフトカプセルを作りたい方へ。中身の性質を伺い、皮膜の種類と包装の組み合わせをご提案します。お問合せフォーム、またはLINEからご相談ください。

中身との相性と、保管中に溶けにくくなる問題

ゼラチンの皮膜は保管中に溶けにくくなることがあるため、出荷時の検査だけでなく、保管期間を通した確認が必要です。

2024年のレビューは、ゼラチンの皮膜で起きる「架橋」という変化を取り上げています。高温や高湿度・低湿度、紫外線、金属塩、酸化剤、アルデヒドや過酸化物などの物質にさらされると、ゼラチンの分子どうしが結びつきます。結びつきが進むと、皮膜が溶けにくくなり、中身が出てくるまでの時間に影響します。

レビューが挙げる対策は、次のようなものです。

  • アルデヒドを含まない添加物を選ぶ
  • 架橋を抑える成分を加える
  • 架橋が起きにくいよう加工したゼラチンを使う

酸化しやすい油を使う場合は、中身の酸化を抑える配合と、光と空気を通しにくい包装を合わせて考えます。紫外線や酸化剤も、レビューが挙げる架橋の要因に含まれます。保管期間を通した確認の方法は、賞味期限と安定性試験の記事で説明しています。

中身の種類ソフトカプセルとの相性
油(魚油、植物油、油に溶けるビタミン)ソフトカプセルの最も一般的な使い方
油に粉末を分散させたもの使えることが多い。粉末の粒の大きさと水分を確認する
酸化しやすい油、反応しやすい成分を含むもの保管中の変化を安定性の試験で確かめる

魚油やアスタキサンチンの製品設計は、オメガ3(DHA・EPA)サプリのOEMとアスタキサンチンサプリのOEMでも説明しています。

シームレスカプセルという選択肢

シームレスカプセルはソフトカプセルの一種で、滴下法という作り方により、継ぎ目のない球形の粒になります。

一般的なソフトカプセルは、2枚の皮膜で中身を挟んで閉じるため、粒に継ぎ目ができます。シームレスカプセルは、中身と皮膜の液を同時に滴下して作るため、継ぎ目がありません。

日本の学会誌に掲載された技術解説では、シームレスカプセルの技術が1970年代初頭までさかのぼると紹介されています。同じ解説は、油溶性の香料を包む2層のカプセル、乳酸菌の末を分散させた液を包む3層のカプセルなど、多層構造の例も挙げています。

シームレスカプセルは、作れる工場と設備が限られます。粒の大きさや層の構成に希望がある場合は、企画の早い段階で対応できるかを確認します。

表示で確認すること

ソフトカプセルの表示では、ゼラチンのアレルゲン表示、皮膜に使う添加物の表示、植物由来をうたう場合の根拠の3つを確認します。

  • ゼラチンの皮膜:ゼラチンは表示が推奨される20品目の一つ。由来(牛・豚・魚)を規格書で確認する
  • 可塑剤:グリセリンやD-ソルビトールなどを、添加物として物質名で表示する
  • 植物由来の皮膜:増粘剤・安定剤・ゲル化剤として使う添加物は、用途名を併記する区分にあたる
  • 中身の原料:魚油の魚種など、中身のアレルゲンも別に確認する

皮膜を植物由来にしても、中身が魚油なら、商品全体を植物性とは言えません。アレルゲン表示の詳細はサプリのアレルゲン表示、表示全体の決め方はサプリの食品表示で説明しています。ハードカプセルとの違いは、ハードカプセルの素材の記事が参考になります。

見積もり・相談の前に決めておくこと

中身、皮膜の種類、粒の形と大きさが決まれば、工場は具体的な提案と見積もりを出せます。

  • 中身の種類(油、油に粉末を分散させたもの)と酸化のしやすさ
  • 皮膜の種類(ゼラチンの場合は牛・豚・魚の希望、または植物由来)
  • 粒の形と大きさ、色
  • 一般的なソフトカプセルか、シームレスカプセルか
  • 「植物性」など、パッケージでうたいたい内容
  • 包装の形と、機能性表示食品として届け出るかどうか

ロット・費用・納期は工場ごとに異なります。皮膜の種類と中身が決まると、必要な試作と安定性の試験の範囲が決まり、見積もりの前提がそろいます。

💬 ソフトカプセルの製品化をご検討中の方はSunshoにご相談ください。皮膜と中身の組み合わせから表示の確認まで、製造の段取りを一緒に整理します。お問合せフォーム・LINEから。

よくある質問(FAQ)

魚油のソフトカプセルを植物由来の皮膜で作れますか?

植物由来の皮膜で油の中身を包むことはできます。ただし中身が魚油なので、商品全体を植物性とは言えません。植物性をうたう場合は、中身も植物や藻類由来の原料にする必要があります。

ソフトカプセルが、保管中に溶けにくくなるのはなぜですか?

ゼラチンの皮膜は、温度や湿度、光、中身から出る物質の影響で分子どうしが結びつき、溶けにくくなることがあります。出荷時の検査だけでは分からないため、保管期間を通した安定性の試験で確認します。

グリセリンとソルビトールは、どちらを使えばよいですか?

どちらも皮膜をやわらかく保つ指定添加物で、性質が異なります。グリセリンは可塑化の力が強く吸湿性があり、ソルビトールは力が弱めです。配合は、狙う硬さと保管環境に合わせて工場の設計担当と決めます。

シームレスカプセルとは何ですか?

滴下法で作る、継ぎ目のない球形のソフトカプセルです。層を重ねた構造も作れますが、対応できる工場と設備が限られるため、企画の早い段階で確認します。

ゼラチンのソフトカプセルには、アレルゲン表示が必要ですか?

ゼラチンは表示が推奨される品目で、表示義務のある品目ではありません。食物アレルギーのある方が商品を選ぶ手がかりになるため、由来を確認したうえで表示の扱いを決めることをおすすめします。

参考

(2026年10月12日確認)