サプリの原材料名を見ると、主役の成分のほかに「結晶セルロース」「ステアリン酸カルシウム」「二酸化ケイ素」といった名前が並んでいます。錠剤やカプセルを安定して作るには、こうした形を整える素材が欠かせません。一方で、自社ブランドの企画では「なるべく添加物を減らしたい」という声もよく聞きます。

本記事は、日本国内で錠剤・カプセルのサプリを売りたい事業者の方に向けたガイドです。賦形剤・結合剤・崩壊剤・滑沢剤の役割、よく使われる素材と使用基準、表示の書き方、乳糖などのアレルゲン表示を整理します。添加物を減らしたいときに何と引き換えになるかも説明します。

💬 錠剤やカプセルの配合を考え始めた方へ。 主成分の量と剤形を伺い、形を整える素材の組み合わせから一緒に検討します。日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造は、サプリメントOEMでご紹介しています。

形を整える素材の4つの役割

賦形剤は量を補い、結合剤と崩壊剤は錠剤の固まり方とほどけ方を決め、滑沢剤は粉を機械にくっつかせずに流す役割を持ちます。

役割何をするか必要になる理由気をつけること
賦形剤粉の量を増やして、錠剤やカプセルに詰めやすくする主成分が数mgと少ないと、そのままでは打錠も充てんもできない乳糖のように乳を原料とする素材は、アレルゲン表示が必要になる
結合剤粉どうしをつなぎ、錠剤や顆粒の形を保つないと錠剤が欠けたり、割れたりする多すぎると錠剤がほどけにくくなる
崩壊剤水分を吸って、錠剤を中からほどけさせる飲み込んだ後に錠剤が崩れるようにする結合剤とのバランスで、硬さとほどけやすさが決まる
滑沢剤・流動化剤粉の流れをよくし、機械への付着を防ぐ打錠機や充てん機を止めずに、重さのそろった製品を作るごく少量で使う。量が多すぎると錠剤のほどけ方に影響する

すべての剤形に4つ全部が要るわけではありません。粉末やカプセルでは結合剤を使わないこともあり、グミやゼリーでは別の素材(ゲル化剤など)が中心になります。剤形ごとの違いはサプリの剤形の選び方で詳しく説明しています。

日本でよく使われる素材と法律上の分類

形を整える素材の多くは食品衛生法上の食品添加物で、指定添加物か既存添加物のどちらかに分類され、一部には使える食品の範囲や量の上限があります。

日本の食品添加物は、指定添加物・既存添加物・天然香料・一般飲食物添加物の4つに分かれます。指定添加物は、食品安全委員会の評価を受けて国が使用を認めたもので、既存添加物は長い食経験から例外的に使用が認められた天然由来の物質です。使用基準は「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)で定められています。

素材主な役割分類使用基準のポイント
微結晶セルロース(結晶セルロース)賦形剤・結合剤既存添加物個別の使用基準はない
粉末セルロース賦形剤既存添加物個別の使用基準はない
ステアリン酸マグネシウム滑沢剤指定添加物カプセル・錠剤等通常の食品形態でない食品と錠菓以外には使えない
ステアリン酸カルシウム滑沢剤指定添加物個別の使用基準はない
微粒二酸化ケイ素流動化剤指定添加物食品の2.0%以下。母乳代替食品と離乳食品には使えない
ショ糖脂肪酸エステル滑沢剤など指定添加物個別の使用基準はない
ヒドロキシプロピルセルロース結合剤指定添加物個別の使用基準はない
カルボキシメチルセルロースカルシウム崩壊剤指定添加物食品の2.0%以下(同系統の素材と併用する場合は合計で2.0%以下)
シェラック、カルナウバロウ、ミツロウ錠剤のつや出し(コーティング)既存添加物個別の使用基準はない

ステアリン酸マグネシウムは、錠剤やカプセルのような形の食品と錠菓に限って使える点が特徴です。同じサプリでも、粉末スティックやグミに移すと使えなくなるため、剤形を変えるときは滑沢剤も見直します。

微粒二酸化ケイ素は、ケイ酸カルシウムと一緒に使う場合、両方の量の合計にも上限がかかります。ただし、特定保健用食品と栄養機能食品のカプセル・錠剤は、この合計の上限から外れます。数値は改正されることがあるため、配合を決める時点の告示で工場と確かめます。

原材料名への書き方:物質名で書くのが原則

形を整える素材は、甘味料や着色料のような用途名を付ける対象ではないため、原則として「ステアリン酸カルシウム」のように物質名だけで表示します。

食品表示基準では、使用した添加物を重量の多い順に、原則として物質名で表示します。原材料と添加物は「/」で区切るか、改行するか、添加物欄を別に設けて、はっきり分けて書きます。

用途名を併せて書く必要があるのは、甘味料・着色料・保存料・増粘剤(安定剤、ゲル化剤又は糊料)・酸化防止剤・発色剤・漂白剤・防かび剤の8つだけです。賦形剤や滑沢剤はこの中に入らないため、物質名のみで足ります。ただし、同じ素材でも増粘やゲル化の目的で使う場合は、用途名の併記が必要になります。

表示の方法内容形を整える素材での例
物質名原則。通知で認められた簡略名・類別名も使える「結晶セルロース」「ステアリン酸カルシウム」「微粒二酸化ケイ素」
一括名光沢剤・乳化剤など14の一括名に当たる場合は、まとめて書けるつや出しに使う素材を「光沢剤」と表示する
表示の省略加工助剤とキャリーオーバーは表示を省略できる原料の製造で使われ、製品では働かない量しか残らない素材など

一括名で書ける添加物の範囲は、消費者庁の通知「食品表示基準について」で決まっています。原料メーカーの規格書に書かれた添加物が、どの書き方に当たるかを1つずつ確認しておくと、表示の作り直しを防げます。表示全体の作り方はサプリの食品表示の作り方をご覧ください。

💬 原料の規格書を見ても、表示の書き方が分からない方へ。 配合表と原料の規格書をお送りいただければ、表示の確認まで含めて製造の段取りをご案内します。お問合せフォーム、またはLINEからご相談ください。

乳糖とアレルゲン表示

乳糖は乳を原料とする素材なので、賦形剤として少し使うだけでも、特定原材料「乳」のアレルゲン表示の対象になります。

食品表示基準では、えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生の9品目が特定原材料で、表示が義務です。カシューナッツは2026年4月1日に追加され、2年間の経過措置が設けられています。消費者庁のハンドブックによると、乳糖は高度に精製されてもたんぱく質が0.3%程度残ります。

同じハンドブックでは、乳糖は「乳」の文字を含むため、「乳」の拡大表記に当たるとされています。そのため、表示の書き方は工場と表示の担当者で、ハンドブックに沿って確認します。乳を避けたい商品にするなら、賦形剤をセルロースなど乳由来でない素材にするのが近道です。

カプセルの皮に使うゼラチンは、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」20品目の一つです。また、添加物が特定原材料に由来する場合は「(大豆由来)」のように由来を書くのが原則です。添加物の表示を省略できる加工助剤やキャリーオーバーでも、アレルゲン表示は省略できません。詳しくはサプリのアレルゲン表示で整理しています。

添加物を減らしたいときの考え方

形を整える素材を減らすと、ラベルは短くなりますが、製造の安定性や錠剤の硬さ、ほどけやすさのどれかに影響が出るため、何を優先するかを先に決めます。

よく使われる素材減らす・替える方法得られること引き換えになりやすいこと
ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)別の滑沢剤に替える、量を減らす原材料名の見え方が変わる打錠の条件を調整し直す必要が出ることがある
微粒二酸化ケイ素(流動化剤)粉の粒の大きさを調整して減らす原材料名が1つ減る充てん量のばらつきが増え、湿気の影響を受けやすくなる
乳糖(賦形剤)セルロースなど乳由来でない素材に替える乳のアレルゲン表示が要らなくなる打錠のしやすさが変わり、配合の調整が必要になる
役割ごとに別々の素材複数の役割を持つ素材にまとめる原材料名が短くなる硬さやほどけ方を細かく調整しにくくなる

形を整える素材をゼロにできるかどうかは、主成分の性質と剤形によって変わります。カプセルでも、粉の流れが悪い原料では流動化剤が必要になることがあります。「ラベルの短さ」「アレルゲンを避けること」「製造の安定」のどれを最優先にするかを工場に伝えると、提案が具体的になります。

減らした結果を「無添加」「〇〇不使用」とパッケージでうたう場合は、消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」に沿った確認が必要です。ガイドラインの内容はサプリの食品添加物の基本で説明しています。

見積もり・相談の前に決めておくこと

剤形、主成分の量と粉の性質、乳由来の素材を使えるか、表示で何を優先するかが決まれば、工場は形を整える素材を具体的に提案できます。

  • 剤形(錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、粉末など)と、1粒の大きさの目安
  • 主成分の1日あたりの量と、原料の粉の性質(流れやすさ、湿気の吸いやすさ)
  • 乳由来の素材(乳糖)を使ってよいか
  • 原材料名の短さを優先するか、製造の安定を優先するか
  • 「無添加」「〇〇不使用」などの表示を検討しているか
  • 機能性表示食品として届け出る予定があるか

上の項目がそろうと、工場は形を整える素材の候補と、表示の見え方を同時に提案できます。決まっていない項目は「未定」と伝えていただければ、選択肢を並べて比べるところから始められます。

💬 配合と表示を一度に固めたい方は、Sunshoにご相談ください。 主成分・剤形・表示の希望を伺い、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造をご提案します。お問合せフォーム・LINEから。

よくある質問(FAQ)

賦形剤や滑沢剤は、サプリに必ず入っているものですか?

錠剤やカプセルを機械で安定して作るには、多くの場合、少量の賦形剤や滑沢剤が必要です。どれだけ減らせるかは、主成分の量や粉の性質、剤形によって変わります。

ステアリン酸マグネシウムは、どんなサプリにも使えますか?

使えません。使用基準で、カプセル・錠剤等通常の食品形態でない食品と錠菓以外には使えないと決まっています。粉末スティックやグミに剤形を変える場合は、滑沢剤の選び直しが必要です。

結晶セルロースやステアリン酸カルシウムには「〇〇剤」と書く必要がありますか?

必要ありません。用途名の併記が必要なのは甘味料・着色料・保存料など8つの用途に限られます。形を整える素材は、原則として物質名だけで表示します。

乳糖を少しだけ使う場合も、アレルゲン表示は必要ですか?

乳糖は特定原材料「乳」に当たる素材として扱われます。高度に精製されてもたんぱく質が残ることが分かっているため、消費者庁のハンドブックに沿って表示を確認します。

添加物を減らせば「無添加」と書けますか?

単に「無添加」とだけ書く表示は、何を加えていないかが分からず、誤認のおそれが高いとガイドラインで示されています。不使用の対象をはっきり書いたうえで、同じ働きの別の添加物を使っていないかも確認します。

参考

(2026年10月12日確認)