葉酸は、妊娠を考える女性向けの商品として、日本の売り場で定番になっているビタミンです。単体の錠剤のほか、鉄やカルシウム、ビタミンB群と組み合わせた商品も多く見かけます。葉酸サプリはマイクログラム単位で配合でき、錠剤にもカプセルにも入れやすい成分です。

本記事では、葉酸サプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、栄養機能食品と特定保健用食品の決まり、いわゆる健康食品として売る場合の表示、配合の決め方を整理します。葉酸は、国の食事摂取基準が妊娠を計画している女性に食品以外からの摂取をすすめている、珍しい成分です。その一方で、多くとれば良いわけではない成分でもあり、表示の言葉選びには注意が必要です。

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研究で分かっていること

妊娠前から妊娠初期の葉酸の摂取は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害を減らすことがコクランレビューで確実性の高い根拠とされる一方、高用量ではビタミンB12不足を見逃すおそれも指摘されています。

レビュー対象結果
系統的レビュー、Cochrane Database of Systematic Reviews 2015(PMID 26662928)5試験・女性7,391人。妊娠前後の葉酸の摂取(単独またはビタミン・ミネラルと組み合わせ)を、プラセボや葉酸を含まないビタミン・ミネラルと比較神経管閉鎖障害が少なかった(リスク比0.31、6,708出生、確実性が高い)。口唇口蓋裂、心臓の先天異常、流産などには、はっきりした差がなかった
レビュー、Food and Nutrition Bulletin 2024(PMID 38987872、PMC11288374)ビタミンB12が不足している人が葉酸を多くとった場合の、臨床と疫学の報告ビタミンB12が少なく葉酸が高い人は、B12が少なく葉酸が高くない人より、認知機能の検査の点数が低い傾向。根拠の多くは観察研究で、仕組みの仮説はまだ検証されていない
系統的レビュー、Cochrane Database of Systematic Reviews 2008(PMID 18843658)高齢者を対象に、葉酸(ビタミンB12との組み合わせを含む)を調べた8試験選別していない健康な高齢者では、認知機能や気分に対する十分な根拠はなかった

コクランレビューの対象は、妊娠前から妊娠初期という限られた時期の摂取です。含まれた試験の多くは、割り付けの方法がはっきりしないなど、偏りのおそれが指摘されています。2024年のレビューは、ビタミンB12不足が起きやすい高齢者などで、葉酸を多くとる場合にB12の状態に注意するよう求めています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

栄養機能食品として表示する場合

葉酸は栄養機能食品の対象成分で、1日あたりの摂取目安量に72µg以上200µg以下を含めば、国が決めた文言で機能を表示できます。

栄養機能食品は、国が決めた栄養成分について、決められた機能を表示できる制度です。届出や国の個別審査は必要ありません。そのかわり、量の範囲と表示する文言が、食品表示基準の別表第十一で決まっています。

別表第十一は、2026年10月1日公布・施行の内閣府令(令和8年内閣府令第89号)で改正されました。葉酸の基準は次のとおりです。

項目改正後(2026年10月1日施行)改正前
1日あたりの摂取目安量に含まれる量下限値72µg、上限値200µg同じ(72µg、200µg)
栄養成分の機能「葉酸は、赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつです。」
「葉酸は、胎児の正常な発育を助ける栄養素です。」
「葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。」
「葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。」

摂取をする上での注意事項は、改正の前後で同じ次の文言です。

「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育がよくなるものではありません。」

下限値は、栄養素等表示基準値240µgの30%です。上限値200µgは改正の前後で変わらず、消費者庁の資料では医薬部外品の1日最大分量をもとにした値と説明されています。

改正府令の附則には経過措置があり、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正前の基準によることもできます。改正前の基準で表示する場合は、文言もすべて改正前のものでそろえます。

機能の文言と注意事項は、主旨が同じでも言い換えや省略が認められていません。ほかにも、次の表示が必要です。

  • 「栄養機能食品(葉酸)」のような、栄養機能食品である旨と成分の名称
  • 1日あたりの摂取目安量と、摂取の方法
  • 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の文言
  • 「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」の文言
  • 1日あたりの摂取目安量に含まれる葉酸が、栄養素等表示基準値に占める割合

葉酸のように食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素は、機能性表示食品の機能性関与成分にはできません。

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食事摂取基準と特定保健用食品での葉酸

国の食事摂取基準は妊娠を計画している女性に食品以外から1日400µgの葉酸をすすめており、葉酸は特定保健用食品の疾病リスク低減表示の関与成分にもなっています。

日本人の食事摂取基準(2025年版)は、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦について、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)を1日400µgとることが望まれる、としています。同じ基準は、通常の食品以外からとる葉酸の耐容上限量を、成人で900〜1,000µgとしています。

400µgは栄養機能食品の上限値200µgを超えます。400µgを配合する商品は、栄養機能食品の表示はできません。

特定保健用食品には、関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合に認められる「疾病リスク低減表示」があります。消費者庁の資料では、現在の関与成分はカルシウムと葉酸の2つです。

項目栄養機能食品(葉酸)特定保健用食品(疾病リスク低減表示・葉酸)
国の関与届出・審査ともに不要製品ごとに国の審査を受け、消費者庁長官の許可が必要
1日あたりの量72〜200µg400〜1,000µg(プテロイルモノグルタミン酸)
表示する内容赤血球と胎児の発育に関する決まった文言神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減する可能性がある旨の、決まった表示と注釈

特定保健用食品の疾病リスク低減表示には、葉酸を過剰に摂取してもリスクがなくなるわけではない旨の注意事項も決められています。許可を受けていない食品が同じような内容を表示することはできません。

いわゆる健康食品として売る場合の表示

栄養機能食品や特定保健用食品の表示をしない葉酸サプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定葉酸サプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「先天異常を防ぐ」「貧血に」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1粒に葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)〇µg」(量の事実)「元気な赤ちゃんが生まれる」など結果を約束する表現
栄養機能食品の決まった文言(範囲内の量で、言い換えずに使う)「多く飲むほど安心」など量を増やすほど良いとする表現
「妊娠を考え始めた方の毎日に」(使用場面)許可を受けずに、特定保健用食品の疾病リスク低減表示と同じ内容をうたう表現

厚生労働省のパンフレット「健康食品の正しい利用法」は、葉酸と葉酸代謝拮抗薬(抗がん剤)の組み合わせで薬効が弱まる例を挙げています。商品ページには、服薬中の方は医師・薬剤師に相談するよう書いておくと安心です。

葉酸の製剤設計

葉酸はマイクログラム単位で配合するため、狙う量と制度を先に決め、ほかの原料に含まれる葉酸も合わせて量を管理することが設計のポイントです。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤小さく飲みやすく、1回あたりの費用を抑えやすい微量の成分を均一に混ぜる工程
ハードカプセル味がなく、他の成分と組み合わせやすい1粒に入る量と粒の数
鉄・カルシウム・ビタミンB群との配合妊娠を考える女性向けの商品で多い形成分ごとの栄養機能食品の範囲と、包装の表示面積

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 葉酸の形:食事摂取基準や特定保健用食品で示されているのは、プテロイルモノグルタミン酸としての量です。原料の規格書で、葉酸の形と含有量を確認します。
  2. 1日あたりの量:栄養機能食品にするなら72〜200µg、食事摂取基準の400µgを目安にするなら栄養機能食品の表示はできません。どちらにするかを最初に決めます。
  3. 組み合わせる成分:鉄、カルシウム、ビタミンB12などと組み合わせることがあります。ビタミンAを加える場合は、妊娠初期の女性への注意事項も必要になるため、配合の段階で確認します。
  4. 合計量の管理:マルチビタミンなどを配合する場合は、すべての原料に含まれる葉酸を合計して、上限を超えないかを確かめます。

食品表示基準の別表第九では、葉酸の表示値の許容差を、プラス80%からマイナス20%までと定めています。栄養機能食品の場合も、保管中の減少を見込んだ配合量が上限値200µgを超えないように設計します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

葉酸自体は食品に使われていますが、妊活や女性の体調をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせる成分を検討する際は、鉄、マルチビタミンの成分ガイドと、特定保健用食品のしくみも参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

1日あたりの量と使う制度、剤形、組み合わせる成分が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 葉酸の1日あたりの量と、使う制度(栄養機能食品・いわゆる健康食品)
  • 剤形と、1日の粒数
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形と、表示に使える面積
  • 栄養機能食品の場合、使う文言(改正後か経過措置か)
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

量と制度の組み合わせによって表示の内容が大きく変わるため、販売方法と一緒に早めに決めておくと進めやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

葉酸400µgの商品は、栄養機能食品にできますか?

できません。栄養機能食品の葉酸の上限値は200µgです。400µgを配合する場合は、栄養機能食品の表示をせずに、量の事実を中心に表示します。

葉酸の栄養機能食品の基準は、2026年に変わったのですか?

量の範囲(72〜200µg)と注意事項は変わっていません。機能の文言が「赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつです」「胎児の正常な発育を助ける栄養素です」に変わりました。2030年3月31日までに製造する食品は、改正前の文言によることもできます。

「赤ちゃんの先天異常のリスクを下げる」と書けますか?

許可を受けていない食品では書けません。神経管閉鎖障害のリスク低減に関する表示は、国の審査を受けて許可された特定保健用食品だけに認められています。

葉酸は多くとるほど良いのですか?

そうとは言えません。栄養機能食品の注意事項にも、多量摂取により胎児の発育がよくなるものではない旨が決められています。食事摂取基準は、食品以外からとる葉酸の耐容上限量を成人で900〜1,000µgとしています。

ビタミンB12も一緒に配合したほうがよいですか?

2024年のレビューは、ビタミンB12が不足しやすい人が葉酸を多くとる場合の注意を求めています。高齢の方も対象にする商品などでは、ビタミンB12を組み合わせるかを配合の段階で検討するとよいでしょう。

参考

(2026年10月12日確認)