メラトニンは、米国のドラッグストアや通販で睡眠をテーマにしたサプリの定番になっている成分です。海外の人気商品を見て、同じような商品を日本の自社ブランドで作りたいと考える事業者の方も少なくありません。

結論から言うと、メラトニンは日本では食品に使えません。本記事では、厚生労働省の最新のリストで確認した日本での扱い、米国やEUとの違い、日本でこの扱いになっている理由を整理します。あわせて、睡眠やリラックスをテーマにした商品で代わりに検討できる、日本で食品に使える素材も紹介します。

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結論:日本での扱い

メラトニンは、厚生労働省の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(別添1)に載っており、量や剤形にかかわらず食品として製造・販売できません。

2026年8月5日更新の別添1では、「その他(化学物質等)」の区分にメラトニンが掲載されています。他名等の欄には「松果体ホルモン」と書かれています。

成分リスト食品に使えるか
メラトニン(他名 松果体ホルモン)別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」の「その他(化学物質等)」使えない

別添1の成分を配合した製品は、効能効果・形状・用法用量にかかわらず、原則として医薬品と判断されます。錠剤・グミ・ドリンクなど、どの剤形でも同じです。

実際に、メラトニンを含む健康食品が医薬品成分の検出事例として公表されたこともあります。2008年(平成20年)6月には福岡県が、メラトニンが検出されたカプセルの健康食品を公表しました。厚生労働省はこの事例のページで、メラトニンを「国内では専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」と説明しています。

海外での扱いとの違い

米国ではメラトニンはダイエタリーサプリメントとして扱われ、EUには食品の健康強調表示として登録された表示がある一方、日本では医薬品の成分です。

国・地域扱い出典
日本専ら医薬品として使用される成分。食品に使えない厚生労働省 別添1(2026年8月5日更新)
米国ダイエタリーサプリメントとして扱われる米国国立衛生研究所 NCCIH
他のいくつかの国処方せんが必要な医薬品として扱われる米国国立衛生研究所 NCCIH
EU健康強調表示の規則(規則432/2012)に、メラトニンを含む食品の表示が2つ登録されているEU規則432/2012

EUの規則に登録されているのは、1回分に1mgを含む食品の「寝つくまでの時間の短縮に寄与する」という表示です。もう一つは、0.5mg以上を含む食品の時差ぼけの感覚に関する表示です。ただし、各国で食品として販売できるかどうかは、それぞれの国の扱いを確認する必要があります。

米国の国立衛生研究所の機関(NCCIH)は、米国では市販のグミの表示量と実際の含有量が合わない製品が多かったという2023年の調査を紹介しています。子どもの誤飲や過量摂取への注意も呼びかけています。海外で手軽に買えることと、品質や安全性が十分に管理されていることは別の問題です。

なぜ日本ではこの扱いなのか

厚生労働省の専門家会議は2023年に、メラトニンを専ら医薬品の成分に留め置くことが妥当としました。ホルモンであり、日本で処方せん医薬品として使われていることなどが理由です。

2023年6月26日の「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」では、メラトニンを非医薬品の成分へ移すかどうかが議論されました。議事概要に書かれている主な理由は次のとおりです。

  • メラトニンはホルモンで、日本で処方せん医薬品として使用実態がある
  • 海外では、メラトニンを含む栄養補助食品に関連すると思われる健康被害が一部報告されている
  • 新たな知見が生じたわけではない

議事概要には、動物の反復投与毒性試験での報告や、製造工程に由来する不純物について議論されたことも記録されています。日本では2020年に、メラトニンを有効成分とする小児向けの医療用医薬品が承認されています。医薬品としての審査を経た成分であることも、食品と区別される背景の一つです。

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代わりに検討できる食品素材

睡眠やリラックスをテーマにした商品では、GABA、グリシン、L-テアニン、オルニチンなど、日本で食品に使え、機能性表示食品でも使われている素材を検討できます。

どの素材も、メラトニンと同じ働きをするものではありません。研究の量や質も素材ごとに違うため、「メラトニンの代わりになる」といった訴求は避けます。

素材研究されてきた内容研究の現状
GABA一時的なストレス、睡眠の質海外の系統的レビューでは、ストレスは限定的、睡眠はごく限定的
グリシン睡眠の質、起床時の爽快感就寝前3gの小規模な日本の試験が中心
L-テアニン一時的なストレス、睡眠の質主観的な睡眠の評価で小さな効果。単独成分の研究はまだ少ない
オルニチン睡眠の質、一時的な疲労感日本の小規模な試験が中心で、根拠は限定的

4つの素材は、いずれも機能性表示食品で睡眠やストレスに関する表示に使われてきました。機能性表示食品として届け出る場合は、届出者が自らの責任で科学的根拠と安全性を示します。国の審査や許可ではありません。

いわゆる健康食品として売る場合は、「眠れる」「寝つきがよくなる」など身体への効果をうたうと、医薬品的な効能効果とみなされるおそれがあります。各素材の研究と表示の注意点は、リンク先の成分ガイドで詳しく説明しています。

見積もり・相談の前に決めておくこと

商品のテーマと、配合を考えている成分の一覧があれば、食品に使えるかの確認と見積もりを同時に進められます。

  • 商品のテーマ(睡眠、リラックス、休息の時間など)と、売り場で伝えたいこと
  • 参考にしている海外商品の全成分(メラトニン以外の植物素材も含めて)
  • 機能性表示食品として届け出るか、いわゆる健康食品として売るか
  • 剤形(錠剤、カプセル、グミ、粉末スティック、ドリンクなど)
  • 1日あたりの摂取の目安と、1袋あたりの日数
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

海外商品の成分表を早い段階で共有いただくと、メラトニン以外に日本で使えない成分が含まれていないかも一緒に確認できます。

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よくある質問(FAQ)

海外で売られているメラトニンサプリと同じものを、日本の工場で作れますか?

作れません。メラトニンは別添1の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に載っているため、日本では食品として製造・販売できません。工場や販売する会社を変えても同じです。

1mgや0.5mgのように量を減らせば、食品として作れますか?

作れません。別添1の成分は、量・剤形・表示にかかわらず、原則として医薬品と判断されます。少量であれば食品になるという扱いはありません。

海外の工場で作った商品を輸入すれば、日本で売れますか?

売れません。医薬品の成分を含むいわゆる健康食品は医薬品とみなされ、承認を受けずに販売することは薬機法で禁止されています。どこで製造したかではなく、日本で販売する物の成分で判断されます。

メラトニンが食品に使えるようになる見込みはありますか?

厚生労働省の専門家会議は2023年6月に、メラトニンを専ら医薬品の成分に留め置くことが妥当としています。リストは改正が続いているため、企画のたびに厚生労働省の最新の通知を確認してください。

GABAやグリシンは、メラトニンと同じ効果がありますか?

同じではありません。働き方も研究の量も素材ごとに違い、研究の多くは小規模です。商品の表示や広告では、メラトニンの代わりになるような表現を避け、素材ごとの研究の範囲で言葉を選ぶことが大切です。

参考

(2026年10月18日確認)